近藤基彦の発言 (憲法調査会)
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○近藤(基)委員 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会における調査の経過及び概要について御報告申し上げます。
本小委員会は、三月四日に会議を開き、参考人として、駐日欧州委員会代表部ベルンハルド・ツェプター大使をお呼びし、国家統合・国際機関への加入及びそれに伴う国家主権の移譲、特に、EU憲法とEU加盟国の憲法、「EU軍」について御意見を聴取いたしました。
会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会の会議録を御参照していただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
ツェプター参考人からは、欧州統合が欧州諸国間の戦争を二度と起こさないという教訓のもとで進められ、欧州に平和や経済的繁栄をもたらしたこと、EUが、ある分野では国家主権の一部をプールし、他の分野では単に政府間協力を行うという国家と国際機関のいわば混成体であること、その発展過程には事前のゴールを設定した青写真はなく、加盟国が特定分野で合意した共通利益の上にボトムアップで構築されるプロセスをとっていること等について説明がなされました。
次いで、統合の推進力は、協力、競争、連帯であること、EU立法は、加盟国の国内法に対するEU法の優位や、意思決定を可能な限り市民に近いところで行うとする原則等に基づくこと、域内の経済格差是正のために多額の資金援助が行われていること、外交政策問題に関して共同行動が試みられたが成功には至っていないこと等について説明がなされました。
さらに、EU統合の深化と拡大は加盟国憲法の適合化を要求したが、主権の一部移譲を受け入れる政治、社会、文化の存在がこれを可能にしたこと、現在、討議過程にあるEU憲法草案は、EUの民主的正統性を強化し、ヨーロピアンアイデンティティーの必要性を強調し、透明で包括的な法体系を提示していること等について説明がありました。
その上で、欧州の経験は、そのままでは他の地域のモデルにはならないが、統合の手法や手続等に関して参考になるのではないかとの見解が示されました。
その後、参考人の意見陳述を踏まえて、質疑及び委員間の自由討議が行われました。
そこで表明された御意見を小委員長として総括すれば、欧州との比較においてアジアの地域安全保障について議論がなされ、アジアの地域安全保障体制の構築が必要であるが、構築に当たっては安全保障に対する共通の基盤や経済分野等における信頼関係の形成が必要である、あるいは、地域安全保障と集団安全保障及び集団的自衛権との関係等について考え方を整理すべきとの見解が示された一方で、平和主義を踏まえた北東アジアにおける安全保障対話の必要性や集団的自衛権を是認するNATOは冷戦下に生まれたという背景があることについての発言がありました。
参考人が意見陳述で述べられたように、欧州の経験は、歴史的、地理的、文化的な基盤と密接な関係があり、そのままでは他の地域のモデルにはなり得ないと考えますが、地域に政治的安定を醸成しつつ、一国だけで十分な対応ができない問題に対処するというEUの手法は、安全保障やテロ、国際犯罪といった問題のみならず、エネルギーや環境問題を初めとする多くの課題に対応するために参考にすべき点があると感じました。
以上、御報告申し上げます。