仙谷由人の発言 (憲法調査会)

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○仙谷委員 ツェプター大使のお話で、ある種の想像力というかイメージを膨らませることができたのではないか、そんなふうに思いました。
 一つは、二十五カ国のEUが形成される、そういたしますと、従来、いわゆる国民国家、主権国家と言われてきたヨーロッパ大陸における国境線はどうなるのか、国境線を挟んで対峙をしてきた、つまり国境線を守るために対峙をしてきた国防軍の存在というのはどうなっていくんだろうかということに思いをはせたわけであります。
 そしてまた、EUの持つ、欧州諸国間の戦争を二度と起こさないというこの大きな目的。先般、広島の地方公聴会の席上で、平和は手段であって目的ではないとおっしゃられる方もいたわけでありますが、私は、平和というのは目的にすることに何らはばかることはないというか、平和というのは一つの大きな目的であるというふうに考えるところでございます。
 ただ、この平和を求める、あるいは平和をつくるということにおいて、日本はもう少し具体的、制度的に考える必要があるのではないか。このことを単に守る守ると百回繰り返しても守れないということは、ある意味で、これだけのEU統合をなし遂げて、先ほど申し上げましたように、国境防衛という古典的な意味での国防軍の意味がほとんどなくなる、あるいはそれをなくしつつあるEUの中で、先般スペインで鉄道爆破テロが起こってしまうというこの現実を、私どもは安全保障の観点からよく考えて、このようなことから国民の人権あるいは市民権を守り得る体制あるいは制度を構築しなければならないと改めて考えたところでございます。
 もう一つ、ツェプター大使のお話の中で、はっと目を見開かされるような話が私にとってはございました。
 それは、人権について、なぜある意味で具体的にプライバシーの権利とか個人情報の保護の権利というものをEU憲法草案で書こうとしているのか、こういう質問に対して、それは国民がわかりやすいからだと極めて簡潔明瞭なお答えでございまして、つまり、憲法学者や裁判官の解釈によってつくられる、あるいは、それはそれで決して間違っていないことなのかもわかりませんし、時代の進展とともに、ある種の憲法条項を解釈して、そこに個別具体的な、新しいといいましょうか、時代によって守られなければならない人権が含まれるというふうに解釈すること自身は間違っていないわけでありますけれども、その蓄積の上に立って、憲法の文言の上でもそのことが明確にされることが国民にはよくわかるんだ、憲法典というのは国民が見てすぐわかるようなものであることの方が必要なんだ、こういう趣旨のお答えには、私は感銘を受けたわけであります。
 したがいまして、私どもは、さらにこのEU憲法草案の持つ制度的保障といいましょうか、独立の救済機関というような書き方とかあるいは欧州オンブズマンの制定とか、こういうふうな条項とか考え方を見てみますと、やはり具体的に、観念的にでなく具体的に、人権を守り平和をつくるためにどういう制度構築をすべきなのか、改めて思い知らされたような気がいたします。
 以上であります。

発言情報

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発言者: 仙谷由人

speaker_id: 31924

日付: 2004-03-18

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会