近藤基彦の発言 (憲法調査会)

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○近藤(基)委員 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会における調査の経過及び概要について御報告申し上げます。
 本小委員会は、四月二十二日に会議を開き、参考人として、青山学院大学国際政治経済学部教授菊池努君をお呼びし、地域安全保障について、憲法の視点からのFTA問題を含めて御意見を聴取いたしました。
 会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会の会議録を御参照いただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
 参考人からは、
 アジア太平洋の地域安全保障を考えるに当たっては、国際社会との協力、協調関係の重視や軍事力だけではなく、経済活動等総合的な取り組みのほか、テロ等の新しい脅威への対応が重要であるとの認識が述べられました。
 そして、アジア太平洋地域には、近代化を終えて安定した国家、近代化の途上にある国家、国家体制が脆弱な国家が存在し、後者二つの分類に属する国家群は、国内体制の脆弱性に伴う問題、国家間紛争及びテロや経済問題などの新しい問題を抱えており、これらが同地域の安全保障上の課題となるとの見解が述べられました。
 さらに、これに対する地域諸国の対応として、地域安全保障の環境整備としての同盟の機能強化、政府間または官民合同での地域安全保障対話の拡大、内政への地域諸国による共同介入、共同関与が挙げられるとの見解が述べられました。
 最後に、FTAが地域安全保障にもたらす効果について、FTAは地域経済の安定化や国境を越えた利害の共有等のプラス面を持つ反面、締結国間の利益の不均衡を生じさせることによる国内政治の対立の惹起等のマイナス面を有することから、多少の効果は期待できるが、過剰な期待はできないとの見解が述べられました。
 その後、参考人の意見陳述を踏まえて、質疑及び委員間の自由討議が行われました。
 そこで表明された意見を小委員長として総括すれば、
 地域安全保障のあり方についてさまざまな角度から意見が述べられたと思います。その主なものを紹介しますと、アジアにおける地域安全保障の枠組みを考える際には、集団的自衛権の行使を認めるか否かが重要なポイントとなるが、認めるに当たっては、何らかの条件を設けるべきかどうかについて検討を要するとの発言、アジアにおいて有事が発生した際に我が国がとり得る行動について議論すべきとの発言、冷戦崩壊後、二国間同盟関係から多国間の協調的安全保障が重視されるようになってきており、憲法は軍事的手段を否定していることから、我が国は平和的な外交手段を充実させるべきとする発言、アジアの地域安全保障において北朝鮮をめぐる六カ国協議を活用すべきとの発言等がありました。
 我が国の外交や安全保障のあり方については、国連の機能が完全に発揮されていない中で米国との協調は不可欠であるが、国連に対する働きかけを積極的にしていくべきとの発言、ODAのあり方について検討が必要とする発言、FTAを締結することによる我が国の経済的なプレゼンスの高まりがアジア諸国の脅威となるのではないかとの発言、アジアにおける我が国の役割を考える際に中国の存在を念頭に置くことが必要との発言等がありました。
 大量破壊兵器の拡散、頻発する国際テロ、北朝鮮の核問題等の最近の国際情勢の変化や、国際の平和と安全の維持を担う国連機能の不完全が指摘される現下の情勢を踏まえ、我が国の安全保障や国際協力のあり方について、さまざまな角度から調査をしてまいりました。そこでは、憲法前文や九条についての幅広い論点についてこれを掘り下げる調査が行われ、具体的には、自衛権行使のあり方や自衛隊の憲法上の位置づけ、国際協力と九条や前文との関係、国連の集団安全保障への参加の是非や国際協力についての規定を憲法上に設けることの是非、自衛隊の海外における活動と憲法との関係等、多岐にわたって議論がなされました。
 また、非常事態については、昨年調査をいたしましたテロや自然災害等への対処に引き続き、国民保護法制をサブテーマとして掲げつつ、非常事態と憲法をテーマに調査を行いました。
 これまでの議論を踏まえつつ、今回の地域安全保障をテーマとした小委員会における議論を見ますと、不安定な要素を含むアジア地域全体を念頭に置いた安全保障の確保が我が国にとって喫緊の課題であること、また、それを実現する手段としては、防衛という側面のみならず、経済的な結びつきを強めていくこと、各国間の対話を通じて信頼関係を築くことなど、多様な取り組みが存するということを感じた次第であります。
 我が国の安全保障や国際協力のあり方について、九条や前文をめぐる争点に関する憲法上の問題の所在が次第に明らかになってきたと思います。今後も、そうした問題に関して、引き続き調査会においてさらに議論が深まることを望むところであります。
 以上、御報告申し上げます。

発言情報

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発言者: 近藤基彦

speaker_id: 34408

日付: 2004-06-03

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会