辻惠の発言 (憲法調査会)

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○辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。
 この憲法調査会、五年という時限的存在の最後の一年間に参加する機会を与えられ、現在の憲法をめぐるいろいろな問題について考える機会を得られたということは非常に幸せだというふうに思っております。
 今の日本を考えた場合に、三権分立と言われながら、司法が十全にその機能を果たしていない、司法消極主義の問題があります。また、今、地方分権と言われておりますが、どのように地方自治を徹底させていくのか、このような問題も、憲法上問題にすべき点であろうかというふうに考えております。
 ただ、マスコミ等で、憲法改正の必要性ということでいろいろ議員にもアンケート調査等が回ってくるわけでありますが、部分的に、非常に答えにくい、ある意味では、マスコミが設定した課題、その切り口の中で答えを求められているというような場面をしばしば目の当たりにするわけであります。
 したがいまして、私は、今の憲法改正論議につきましては、マスコミ等で喧伝される切り口にとどまらず、もっと全般的な議論をしっかりとすべきではないかというふうに思います。そういう意味で、拙速的な改憲論議というのは避けるべきなのではないか。この中央公聴会においても、公述人の方が憲法調査会の存在すら余り十分には御存じなかったということも、国民的論議の土台がまだまだ不十分であるというふうに言えるのではないかと私は思います。
 憲法改正論議の導入部として、現在の自衛隊、実力的存在としての自衛隊と憲法九条が乖離しているではないか、こういう問題が指摘されるわけであります。確かに、そのことはそうであり、措置を講ずる必要があると私自身は思います。しかし、その論議の糸口と、先に論ぜられているものは、集団的自衛権をめぐる問題、外国へ自衛隊を派遣するべきかどうかという問題に、論議がそういうふうに展開していっている。
 したがって、問題は、私は、もちろん拙速を避けるべきだと申し上げても、政治家でありますから、日本の将来、世界の将来に対するリーダーシップをどのように発揮していくのか、そういう意味におきましては、世界観、国家観、そして、先ほど太田委員からも出ましたけれども、類的存在としての人類史的な観点からどのように考えるべきなのかという観点が重要であろうと思います。
 そのときに、私は、今焦点となるべきものは、集団的自衛権を認めるか認めないのかという問題と、それとリンクした形で、日本のスタンスを、確かに日米同盟を基礎とすべきではあろうというふうに思いますけれども、アジアとの関係でどのような関係性をとっていくのか、この二つをしっかりと議論すべきであろうというふうに思います。
 私は、現在の憲法、そして現在の日本国というのは、人類史的な流れでいえば、国民国家としての、ある意味で歴史的過渡の存在である。したがって、そのような国民国家を前提として国家主権を声高に語るような、そのような考え方というのは、やはり歴史的限界性のある観点であって、もっと広く歴史的に物事を考えていくべきだろうというふうに考えております。
 そういう意味におきまして、近隣のアジアの人々との連携を重視しながら、もちろん日米同盟を基底に置くとしても、そのような観点で物事を考えていくべきであろうと思いますし、必然的に、今論議されているような集団的自衛権という問題については、これは行使に否定的であるべきだろうというふうに思います。
 このような問題も含めて、議論を拙速的に進めるのではなくて、しっかりとした、もっと国民的な議論を、そのような広がりの中で問題点を論議していくべきであろう。憲法改正問題で取り上げるべきものは、司法消極主義をどうするのか、地方分権をどうするのか、そして、実力部隊としての自衛隊と九条との法文上の乖離をどのようにするのか、そのような問題点をまず出発点として議論すべきではないか、このように考えております。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 115904184X00820040610_016

発言者: 辻惠

speaker_id: 30633

日付: 2004-06-10

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会