辻惠の発言 (憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会)
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○辻小委員 衆議院の法務委員会で、裁判員制度について、私は、国民の司法参加と、他方で、被告人の刑事手続上の人権保障、この二つの要請がある意味で衝突しかねない、両方がきちんと保障されればそれにこしたことはありませんけれども。だとすれば、国民の司法参加というのは憲法上どのような権利なのかということをお尋ねしたところ、これは憲法上の要請でも憲法上の権利でもないんだ、政策的な要請なんだ、こういう御回答を野沢法務大臣からいただきました。他方で、被告人の人権保障というのは、これは憲法上の権利である。そうすると、二つの要請がぶつかった場合に、憲法上の権利が優越的に考慮されるべきではないか、このように申し上げ、しかし、憲法上の被告人の人権手続を侵害することはないんだから問題はないんだ、こういうお答えだったんですね。
ですから、私は、公判前整理手続と相まって、被告人の憲法上の権利が侵害されるおそれがやはり場面場面であり得る、そうすると、それをどのように解決するかというのが非常に問題ではないかというふうに今も考えております。
配付された資料の中で、松尾先生が、これは司法改革審議会発足間もないころに、「その効果には素晴らしいものがあるかも知れないが、大変な危険をはらんでいるかも知れず、審議会には慎重な検討を求めたい旨の意見を述べた」、このように書いておられることは、私はまさにそのとおりだと思います。
時間が参りました。最後に一点だけ。この司法制度審議会で佐藤幸治会長が、これは参考人も引用されましたけれども、国民が統治客体から統治主体になるんだ、このことで画期的なんだというふうにおっしゃいますが、そもそも憲法からいえば、国家と国民とはやはり対立的な問題であって、国家の恣意から国民の人権を保障するという意味で、自由権の保障やいろいろな保障というのは、国家の侵害から国民をどう保障するのかが憲法の役割である。そういう意味で、やはり憲法問題を考えるときには、国民が統治客体から統治主体になったというふうに一概には言うべきではないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。