遠藤乙彦の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○遠藤乙彦君 公明党の遠藤乙彦でございます。
 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました有事関連七法案及び三条約について、関係閣僚に質問いたします。(拍手)
 まず冒頭に、今月八日にイラクで発生した日本人人質事件について申し上げます。
 事件発生以来六日目を迎えましたが、情報が錯綜しており、厳しい事態となっていることを深く憂慮いたしております。三名の人質の方々、そして御家族の方々の心痛はいかばかりかと思いつつ、一刻も早い解放を強く求めるものであります。また、当然のことながら、イラクの人道復興支援活動を引き続き実施するとの毅然たる姿勢を示しつつ、人質解放に全力を挙げている政府の努力を支持するものであります。(拍手)
 事件解決への取り組みに当たって、行政が機能していないイラクにおいては、部族指導者や宗教指導者の力をかりることが極めて重要であると考えます。このような人々に対し、日本はイラクの真の友人であり、純粋にイラク人道復興支援に取り組んでいることを正しく理解してもらいつつ、事件解決に向け影響力を行使してもらうことを強く期待するものであります。
 こういった点も含め、今回の人質事件の最新の状況、見通し及び解決へ向けての政府の決意を伺いたいと思います。また、あわせて、イラクからの退避勧告をさらに周知徹底することを強く求めるものであります。
 以上の点につき、川口外務大臣にお伺いいたします。
 今国会、審議の対象とされました有事関連七法案及び三条約は、昨年成立しました武力攻撃事態対処法などとともに、諸外国からの武力攻撃及び国内テロ事件等発生の際、自衛隊の運用につき、内閣や国会のシビリアンコントロールの明確化や、国民の生命と財産を守るための特別の権限や手続を定めるものであります。
 先進国の中で有事法制の整備がおくれていた我が国において、今、ようやく一通りの法制度が整えられようとしています。我が国においては、長い間、有事に関する議論ができる環境になかったのであります。今日、このように国会において建設的な形で議論できることは画期的なことであり、往時と比べるとまさに隔世の感があるのであります。
 緊急事態に適切な対応をとり得る態勢を平時から備えておくことは、政治の責務であります。なぜなら、法的枠組みがないまま緊急事態に直面した場合、超法規的な措置がとられたり、基本的人権を著しく侵害するおそれがあるからであります。
 我が国の一部には、有事法制が我が国を戦争に導くものである、あるいは米国に対する戦争協力のためのものであるなどといった批判があります。しかし、これらの法案及び条約は、我が国が万一武力攻撃等を受けた際の国民の生命と財産を守ることを主眼としたものであり、そのような批判は全く当たらないことは明らかであります。有事法制の整備は法治国家として当然のことであり、また、そのことが抑止力の向上につながるものと考えます。
 しかしながら、今後、何よりも有事関連法に基づく措置を実際に発動しなければならない事態が起きないことが重要であり、そのために政府は、引き続き外交努力により我が国の平和と安全を維持していくべきであることをここで指摘し、強調しておきたいと思います。
 その上で、我が国を取り巻く国際環境について伺います。
 冷戦構造の崩壊により、全面核戦争の脅威は薄れた反面、文明の衝突と言われるように、世界各地の宗教上、民族上の対立が表面化し、地域紛争が多発するようになり、大量破壊兵器やミサイルなどの拡散に対する懸念が生じるようになりました。
 また、世界に衝撃の走ったあの二〇〇一年九月十一日、米国を襲った同時多発テロは記憶に新しいところでありますが、今日では、テロ組織などの非国家主体が脅威の中心となりつつあります。国連を初め世界各国は、テロ撲滅へ向け努力を重ねていますが、その危険性はいまだ減少していないのが実情であります。
 その意味で、我が国で起こり得る紛争形態としては、大規模紛争よりもテロや工作員による破壊活動などといった非対称的な紛争の方がより可能性が高いものと思われますが、石破防衛庁長官はどのような認識をお持ちか。また、我が国の安全保障政策において、テロ防止のための施策はどのような位置づけにあるのか、井上有事法制担当大臣の見解をお聞かせください。
 次に、大規模テロ等への対処に関する法整備について伺います。
 今回提出された国民保護法案では、新たに緊急対処事態という概念を設定し、大規模テロのような事態が発生した場合における住民の避難や被災者の救援手続などについて定めています。
 このたび、自由民主党、民主党、公明党三党は、武力攻撃事態対処法において明示されていない大規模テロ等に際して、国としての取り組みや対処するための基本的な考え方をまとめた緊急事態基本法の必要性について認識し、基本法を制定することについて合意いたしました。我が国においてもテロに対する危険が指摘されている中、テロも含めた緊急事態に対処する基本的枠組みを定めておくことは有益ではないかと思いますが、政府としてこのような基本法の制定の必要性についてどのような見解をお持ちか、井上国務大臣に伺います。
 さて、今回国会に提出された七法案及び三条約は、国民の権利義務に密接にかかわるものも多く含まれていることから考えますと、より一層、幅広く国民の理解と協力を得なければなりません。そのためには、各法案及び条約の内容について、国民に対して十分な説明を行い、理解を得る努力をしていく責任が政府に課せられていることを申し上げておきたいと思います。その説明責任を十分に果たしつつ、有事の際、迅速に対応するためのシステムを構築し、運用していくべきであります。
 そこで、説明責任の観点から質問いたします。
 特に国民保護法案につきましては、まさに法律の対象が国民であり、避難・誘導を行う際などにおいては国民の協力が大前提となっております。その意味では、政府は、内容について国民だれにでもわかりやすく説明する責任があると考えますが、どのように周知徹底を図っていくつもりなのか、その方策について説明願います。また、どこまで国民の協力を仰ごうとしているのか、あわせて見解を伺いたいと思います。
 また、法案の具体的な内容については、多くの部分において政令で定めるとされています。確かに、法律ですべての内容を定めるのは、法の柔軟な運用を妨げることにもなり、妥当ではありません。しかし、政令は政府限りで制定できるものであり、法律と比較して、国民の代表が集う国会が関与する度合いが低いと言えます。関係政令についても、国民の幅広い理解を得るため、何らかの形で主権者たる国民との接点を設けるような施策を講じていく必要があると思いますが、有事担当大臣の見解を伺いたいと思います。
 国民への説明責任は、国内法だけにとどまるものではありません。ジュネーブ諸条約は、その原則を自国のすべての軍隊及び住民に知らせるため、この条約の本文をできる限り普及させることを求めております。しかしながら、我が国の現状を見ますと、ジュネーブ諸条約の内容が国民に広く知られているとは言いがたいのが現状だと思います。人道上及び国民保護の観点からも、政府はその普及に努力すべきだと思いますが、外務大臣の見解を伺います。
 また、政府は、ジュネーブ諸条約の二つの追加議定書の承認案件及び国際人道法違反処罰法案を提出いたしております。
 戦争犯罪等、世界の平和及び安全を脅かす国際犯罪の処罰に関する世界の動向に目を転じてみますと、二〇〇二年七月一日、国際刑事裁判所に関するローマ規程が発効し、裁判所設立に向けた動きが本格化いたしました。我が国は同裁判所規程の採択に向け積極的な役割を果たしたと承知していますが、現時点では規程を批准しておりません。我が国としても、戦争犯罪や人道に対する罪等への対処に関する国際協力の意味からも、国際刑事裁判所規程の批准を早急に行うべきと思われますが、批准のめどについて外務大臣にお伺いいたします。
 続いて、有事の際、適切に対処するための体制づくりについてお伺いします。
 都道府県及び市町村は、国があらかじめ作成した国民の保護に関する基本指針に基づき、個別に国民の保護に関する計画を策定することとされています。しかしながら、自治体としては初めてのことでもあり、ノウハウの蓄積がないことや、厳しい財政事情の中、一定の出費を迫られることもあり得ることなどから、計画策定への体制は必ずしも万全ではありません。
 政府は、地方が実施する計画策定についてサポート体制を強化すべきであると考えますが、どのような体制で臨んでいくのか、有事担当大臣に伺います。
 また、有事法制が一通り整備され、計画まで策定されたとしても、その適切な運用を行っていくためには、運用のための組織がしっかりと構築され、かつ、組織相互間の意思疎通が十分に図られなければ不可能です。まして、その成否が国民の生命に直結する避難・誘導ということになればなおさらのことであります。
 実際に住民に対して警報発令の伝達や避難の指示、避難・誘導などを行うのは、都道府県や市町村など多岐にわたり、多くの人々が携わります。その上、指定公共機関やボランティアの人々なども一定の役割を担うことが予定されています。これらの組織及び人員に的確な情報や指示を素早く提供するためのシステムが不可欠ですが、どのように構築していくのか、政府の方針を伺います。
 さらには、運用に当たっては、災害対策の場合と同様に訓練を実施していくことも重要であります。国民保護法案では、指定行政機関の長等は、国民保護のための措置について訓練を行うよう努めなければならない旨の規定がありますが、政府としてはその頻度及び規模についてどのように考えているか、お伺いいたします。
 最後に、有事の際における基本的人権の取り扱いについて伺います。
 公明党は、有事法制の整備に当たり、緊急事態の措置であっても、憲法の範囲内という原則を堅持するよう主張してまいりました。その結果、武力攻撃事態対処法には、基本的人権の尊重や、やむを得ず財産権が制約される場合の損失補償の原則などが明記されたわけであります。
 国民保護法案でも、国民保護のための措置を実施する際に、憲法が保障する国民の自由と権利が尊重されなければならないと規定し、やむを得ず権利が制限される場合も必要最小限に限ることを明示して、損害や損失を補償する規定が盛り込まれています。
 国民保護法案の運用の際には、マスコミなどから懸念の声も寄せられている表現の自由のほか、思想及び良心の自由を初めとする基本的人権を侵さないようにするため、改めて政府の人権に対する基本的認識及び対処方針について有事担当大臣にお伺いいたします。
 今回の審議に際しては、何といっても、国民や地方自治体の幅広い意見を聞く努力が必要であります。同時に、アジア諸国の理解を得ることも重要であり、丁寧な説明が必要であります。特に韓国や中国に対しては、今回の関連法案の趣旨について、今の段階からきちんとした説明を行い、理解を得るための絶え間ない外交努力がますます重要であります。こうした努力を含めた我が国の有事法制の整備は、二十一世紀におけるアジア太平洋地域の平和の構造の確立に必ずや寄与するものと確信するものであります。
 この点について外務大臣の御決意をお伺いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣川口順子君登壇〕

発言情報

speech_id: 115905254X02320040413_028

発言者: 遠藤乙彦

speaker_id: 22256

日付: 2004-04-13

院: 衆議院

会議名: 本会議