渡辺博道の発言 (本会議)

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○渡辺博道君 自由民主党の渡辺博道でございます。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま報告のありました小泉総理の北朝鮮訪問について質問をいたします。(拍手)
 私は、議員三期目で初めての登壇であります。その登壇を楽しみにしていた私の父が、小泉総理訪朝の前日、九十三歳の人生の幕を閉じました。私にとりまして生涯忘れ得ぬ登壇の機会を与えていただき、心から感謝を申し上げる次第であります。(拍手)
 時は人を待たず。とりわけ、拉致問題に関しては、その発生から四半世紀以上が過ぎたことを踏まえれば、一日も早い解決が必要であります。そして、そのためには、具体的な行動が不可欠であることを、今、改めて実感しております。
 小泉総理の歴史的な北朝鮮初訪問から一年八カ月の時を経て、今回、総理は、外交上異例とも言える、二度目の続けての訪問を決行しました。これは、停滞した日朝関係を打破できるのは自分だけしかいない、何としても拉致問題を早期に解決したいという小泉総理の強い信念と使命感に裏打ちされたものであると私は信じ、高く評価をいたします。(拍手)
 また、核問題やミサイル問題といった我が国の平和と安定に直結する問題についても、金正日国防委員長との間で突っ込んだ意見交換が行われたものと承知しております。
 他方、依然として積み残されたままの重要な案件があります。拉致問題については、曽我ひとみさんの御家族の今回の訪日は実現できませんでした。安否不明の十名の方々に関する真相究明、また、いわゆる特定失踪者の方々に関する安否確認等は、依然として大きな課題として残っております。核問題等の安全保障上の問題についても、その完全な解決のためには、依然としてなすべき課題が山積しております。
 本日は、こうした問題意識を踏まえ、小泉総理に対し、今回の訪朝に関する所感を伺うとともに、日朝関係の今後の取り進めについて伺いたいと考えております。
 そこで、まず初めに、今回の北朝鮮訪問の成果について、総理にお伺いをいたします。
 拉致問題については、前回の訪朝の際、金正日委員長みずから、この問題について明確な形でおわびの言葉を表明いたしました。また、その一カ月後には、拉致被害者である蓮池薫さん、祐木子さん、地村保志さん、富貴恵さん、曽我ひとみさんの五名の帰国が実現いたしました。これは、まさに前回の総理の訪朝の大きな成果であったと考えます。他方、五人の拉致被害者の帰国の後、さまざまな理由から日朝関係は再び停滞し、拉致問題についても一年七カ月にわたりほとんど進展が得られなかったのも御承知のとおりであります。
 時は得がたくして失われやすし。このまま放置しておいては、拉致問題の解決はますます遠のいていたのかもしれません。そうした意味で、拉致問題の解決に向け具体的な進展を得るべく、総理が北朝鮮訪問を決行されたことを改めて評価したいと思います。(拍手)
 世間では、日本の首相が二度にわたり同一の国に訪問するというのは外交上異例のことであり、このことに批判の声もあります。しかし、私は、そうした外交上の慣例というものは、あくまでも正常な国交関係を持つ国の間のものであり、北朝鮮のような独裁国家であり、正常な関係でない国との間ではやむを得なかったものでないかと考えております。(拍手)
 今回は、蓮池さん御一家、地村さん御一家の五名のお子さんたちが帰国を果たされました。他方、曽我ひとみさんの御家族については、総理の必死の説得にもかかわらず、今回の訪日はかなうことができませんでした。この問題は、人道的にも一日も早い解決の求められる問題であり、また、我が国とアメリカとの関係でも重要な課題であると考えます。
 そこで、曽我さんの御家族であるジェンキンスさん及び二人の娘さんの訪日に関し、金正日国防委員長との間でいかなるやりとりがあったのか、お尋ねをしたいと思います。
 また、金正日委員長との会談の後、ジェンキンスさん及び二人の娘さんとの間で話し合いを行い、総理みずから訪日の説得に努められたと伺いました。ついては、ジェンキンスさんとの間でいかなるやりとりがあったのか、具体的に御説明をいただきたいと存じます。
 また、曽我ひとみさんとジェンキンスさんら御家族との再会については、第三国で行う方向で今後調整を行っていくとの報告を先ほど受けました。政府は、曽我さん御一家が静かな雰囲気の中で自由に話し合う環境を整えるべく、早急に北朝鮮側と調整を行うべきであると考えます。ついては、改めて、曽我さん御家族の早期再会に向けた総理の御決意及び今後の段取りを伺いたいと思います。
 さらに、拉致問題については、安否不明の拉致被害者十名の方々に関する真相究明がございます。
 先ほど総理は、金正日国防委員長より、改めて白紙の状態から、直ちに本格的な調査を行う旨の明言があったとの説明がありました。私としては、こうした調査が、日本の参加のもと、早急に進められ、一日も早い真相究明を実現することが重要であると考えております。ついては、この再調査につき、今後の段取りや日本としてどのように参加していくのか、政府としての見解を伺いたいと思います。
 また、拉致問題に関する政府内の枠組みである専門幹事会を早期に開催すべきであると考えますが、この点についても総理のお考え方をお伺いします。
 核問題及びミサイル問題も、我が国の安全保障にとり重要な案件であるとともに、北東アジア地域、ひいては国際社会全体の問題として、包括的な解決が必要であります。
 核問題については、総理が前回訪朝された直後である一昨年十月に、アメリカのケリー特使が訪朝し、ウラン濃縮計画を進めていることが明らかになって以来、再び国際社会から強い懸念が寄せられております。
 核問題の平和的解決に向け、昨年八月には、我が国も含めた六者会合の枠組みが立ち上がり、昨年八月、本年二月に本会合が北京において行われ、この六者会合に関連した作業部会も先日行われたところであります。
 しかし、こうした国際社会での取り組みにもかかわらず、完全、検証可能かつ後戻りできない核計画の廃棄等を求める日米韓とそれを拒否する北朝鮮側との間で、立場の相違は依然として縮まっておりません。
 総理は、今回、このような状況の中、訪朝されたのでありますが、六者会合のメンバーである日本の総理として、核問題及びミサイル問題についてどのような姿勢で臨まれたのでしょうか、また、金正日国防委員長からはどのような反応があったのか、さらに、今後こうした問題についていかに取り組んでいくか、お聞かせ願いたいと存じます。
 さらに、来月行われますG8サミットにおいて、今回の首脳会談における成果を各国首脳に対しどのように説明される予定でおられるか、お伺いしたいと思います。
 首脳会談において、総理は、日朝平壌宣言が遵守されるならば制裁を発動しないと発言されたと伝えられております。このことは、すなわち、平壌宣言が遵守されないならば必要な制裁措置を発動することにちゅうちょしないという意味であると私は受けとめております。この点について、総理の真意をお伺いいたします。
 外交は、一歩一歩の積み重ねが大事であります。特に、第二次大戦以来、不正常な関係の続いてきた北朝鮮との間で問題解決に向け交渉することは、決して容易なことではありません。
 今回の総理の訪朝は、北東アジアの平和と安定につながる日朝関係の打開を目指し、大局的な見地から決断がなされたものと思います。今回の首脳会談を通じ、一定の成果を得、拉致問題、核問題、ミサイル問題等の諸問題の包括的な解決のため、新たなる一歩を踏み出されたものと考えます。
 しかし、依然として、解決を要する問題も数多く残されているのも事実であります。北朝鮮をめぐる問題の解決には、我が国のみならず、米国、韓国等、国際社会全体の協力と理解を得ながら、粘り強く努力を継続することが重要であると考えます。
 最後に、総理に、日朝関係の前進、とりわけ時間との闘いとも言える拉致問題解決に向けた覚悟と決意のほどをお伺いし、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 115905254X03520040525_025

発言者: 渡辺博道

speaker_id: 15180

日付: 2004-05-25

院: 衆議院

会議名: 本会議