遠藤乙彦の発言 (予算委員会)

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○遠藤(乙)委員 それでは、次のテーマに入ります。
 医療費の構造改革あるいは医療の構造改革というテーマに私は触れたいと思っております。
 今の社会保障の中で、年金、医療というのは大変大きなウエートを占めておりまして、しかも急速に増大しつつあるというのが現状でございまして、どうやってこの構造改革をしていくかということは、これも一つの大きなテーマであると思います。
 年金につきましては減らすわけにはいかないんですけれども、医療費については、かなりこれから医療費の伸びを抑える、あるいはまた削減に向けて踏み込むことも可能ではないかと私は思っておるんですが、特にそれは一次予防、これを徹底的に進めることによって、片や国民の健康を高め生活の質を高めるとともに、結果として医療費の抑制ないし削減に取り組むことができる、大変重要な構造改革のテーマではないかと私は考えているところでございます。
 特に、今、医療費が大体年率六ないし七%で増大をしつつある、また国民所得の比率にしても七%を超える段階に来ておるわけでありまして、そういった意味で、国民の健康の増進とまた財政のスリム化、一石二鳥の非常に重要なテーマであると私は考えているわけであります。
 そこで、日本の場合、病気の質が変わってきております。かつては、終戦直後は感染症等が中心でありましたけれども、今、これはかなり減ってきて、むしろいわゆる生活習慣病が大宗を占めております。
 生活習慣病につきましては、これは一九九六年に、従来、成人病という名前であったものが生活習慣病という名前に変更されたわけでありますが、これは予防のあり方について非常に一つの見方を示したものと思っております。
 予防の中には、一次予防、二次予防、三次予防とあることは御承知のとおりでございますが、一次予防というのは、そもそも病気にならないようにどうするかというやり方、それから二次予防というのは、病気になって早期発見、早期対処という考え方、三次予防というのは、病気がこれ以上悪くならないように何とか手を打つ、そういった段階でありまして、その段階に応じて、いろいろなやり方あるいはコストというものが大きく変わってまいります。
 そういった意味で、生活習慣病というのは、やはり一次予防を志向した一つのネーミングでありまして、大変これは重要な一つの見方の変化であると私は思っておりまして、それを踏まえて、二〇〇〇年に健康日本21といういわば基本方針が発表され、また二〇〇二年には健康増進法が成立をしたわけでありまして、この内容は私は極めてよくできたものと考えているところでございます。
 ただ、問題は、どうやってこれを実行していくか、定着させるかということが非常に私は大きな課題であると思っておりまして、この点につきまして、国民の健康増進という視点と、そしてまた財政のスリム化という視点から、ぜひ強力に取り組む余地がある、また必要があると考えているところでございます。
 それで、具体的な事例から申し上げた方がわかりやすいと思うんですが、日本の中の四十七都道府県、これを個別に見ると、医療費のいわば数字に大きな格差があることに気がつくわけであります。日本の中で一番、特に高齢者医療費が少ないのは長野県でございます。長野県の場合、最新の数字ですと、一人当たりの高齢者の医療費、年額約四十九万三千円という数字が出ております。これに対しまして一番高いのは北海道でありまして、一人当たり、年額九十五万三千円と二倍の格差が存在をしております。
 また、入院日数につきましても、一番短いのが長野県でありまして、悪いところと比べますと、二・五倍ないし三倍のやはり入院日数の格差があるわけであります。
 これに加えまして、長野県の場合には、特に男性の平均寿命日本一、女性が四位でありまして、非常に長寿県として知られております。また、自宅で亡くなる高齢者の比率、これが非常に高いわけでありまして、昨今は、高齢者の方々も寝たきりになって病院や施設で亡くなる方が非常に多いわけですけれども、長野県の場合には、自宅で亡くなられる方が非常に高いという比率があるわけであります。
 また、高齢者の雇用も長野県が一番高いわけでありまして、あらゆる指標において、長野県は非常に健康で長寿の生き生きした高齢者のイメージが存在をしているわけでありまして、四十七都道府県という大きな単位でとってみても、大きな格差があることが理解をされるわけであります。
 長野県の場合は、私もちょっと調べてみたんですが、もともと医療機関が非常に少ない、医者や看護師さんの数も少ない、病気になってしまったら面倒見切れないよ、したがって、病気にならないようにどうするかという、特に一次予防の視点から徹底的に取り組んだという成果があらわれているのではないかと思うわけであります。
 特に、国民健康保険中央会から長いレポートが出ておりまして、市町村における医療費の背景要因に関する報告書という極めて示唆に富んだ報告書が出ておりますけれども、長野県のケースを取り上げ、さまざまな調査をして、長野県のすぐれたパフォーマンスについて、背景につきまして分析をしているところであります。
 結論的には、やはり長野県の場合には、何といっても一次予防に徹底的に力を注いだということでございまして、特に医師会や自治体あるいは地域ともどもに一次予防に取り組んで、お医者さんもよく巡回指導に出ては在宅の高齢者の方にもさまざまな健康アドバイスをする、あるいはまた地域で減塩運動とか、あるいは運動を取り入れるそういったキャンペーンを繰り広げるとか、大変地域を挙げてのそういった一次予防への強い取り組みが見られるところであります。
 そしてまた、特に一次予防に関連した、栄養士さんであるとか保健婦さんであるとか、あるいはまた健康運動療法士といった、そういった方の比率が非常に高いわけでありまして、長野県の場合、人口十万人当たり、一次予防にかかわる人々の数は全国平均の二倍という高い数値になっておりまして、こういった県を挙げての、また医師会や地域も含めたそういった人々の取り組みが、こういった大きな格差をもたらしているものと考えております。
 そういった点で、今後の日本の医療行政には、ぜひ一次予防を核とした体制を徹底的に強化していく、これによって、国民の生活の質の向上とそれから医療費の削減につなげようということが大事だと思っておりますけれども、これにつきまして、厚生労働大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

発言情報

speech_id: 115905261X01520040223_012

発言者: 遠藤乙彦

speaker_id: 22256

日付: 2004-02-23

院: 衆議院

会議名: 予算委員会