三田優子の発言 (共生社会に関する調査会)
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○参考人(三田優子君) こんにちは。今から十五分で、大きなテーマなんですけれども御説明させていただければというふうに思っています。
今日は、障害者の自立と社会参加ということですが、一つのある調査を中心にお話をさせていただきます。その調査結果を基に、それは知的障害者の方が生活されている入所施設に対する調査結果です。それを一つの導入というか、今日のお話の柱としてお持ちいたしました。
前のパワーポイントで説明させていただきたいと思います。(資料映写)
御存じのとおり、二〇〇三年から二〇一二年度まで新障害者基本計画というのが策定されました。その前半の五年間を新障害者プランというふうに呼んでいるんですけれども、こちらの調査会と同じ共生社会の実現という考え方の下にこの計画が出されました。この計画が出された中には、支援費制度というのも始まりまして、障害者御本人が利用者として、利用者主体の、利用者本位の支援が始まる記念すべきときだというふうに私たちも理解していましたし、そして、本当にそのとおりになっていただければなというふうに思っております。
中身に関してはもう御存じかとも思いますし、あるいはもう長いものですから全部は御紹介できませんが、赤いところだけです。一つだけお伝えしたいとすると、今まで障害者プランというのが作られてきましたけれども、そこから新しく新障害者プランあるいは新障害者基本計画が作られる際に、やはり世界じゅうの流れを基に、入所施設というのはもう限定しましょうと、目標値を定めずに、障害者の生活の場はできるだけ小規模化、個室化をというふうになっています。というのは、知的障害関係の入所施設は、日本以外の先進国ではもう明らかにどんどんどんどん右下がりになっております。スウェーデンを始め幾つかの国では、知的障害者の入所施設はもう既にゼロになっております。日本だけがいまだに増え続けているものですから。でも、この新障害者プランあるいは新障害者基本計画でも、入所施設はもう作らないというふうにはならず、限定になりました。
ほかに、地域でのサービス、ホームヘルプサービスあるいはショートステイというのも一応数値が出たんですけれども、前回のプランに比べてもそうそう大きな伸び率がなく、在宅の方の数を後で御紹介しますけれども、見ると本当に数少ない地域の予算になっております。
先ほどの入所施設は限定すると。限定する、じゃ、どういう場合に作るのかというときに、入所施設は地域の実情に合わせて真に必要なものに限定するというふうに明記されております。
けれども、障害者本人たちは入所施設が必要かどうかを判断するのは利用者ではないかというふうにずっと運動してきましたし、今も言っておりますが、その地域の実情というのがいわゆる今までと同じように本人の意思にかかわらず施設が増えたり、あるいは入ることになったりということがこのまま継続するということになりかねないという危惧を障害者の方が言っております。
数値目標は立てていないんですけれども、厚生労働省に問い合わせましても、この支援費始まってからの昨年の四月以降の入所施設の伸び率についてはなかなか教えてくださらなかったんですが、いろいろ足を運びまして調べたところ、現にこの四月以降も新規のものが増え続けております。どうも入所施設作られそうもないみたいといううわさが流れたのか、駆け込み入所施設オープンというのが随分今進んでおりまして、すごい勢いで増えております。
今後も増えていく背景には、平成十五年度までに策定された各都道府県の障害者計画に入所施設を整備、設置すると書かれてあれば国の方もこれを補助すると言っておりますし、あるいはこれも全国で増えているんですが、親の会の人が一人五百万とか一千万のお金を出しまして、ある程度準備をするのであとはお金をくださいというような形の場合にはなかなか断れないということで入所施設が増えております。
関西のある県でも、四月以降に三つの入所施設がオープンしましたが、一人五百万から一千万のお金を出したにもかかわらず、その二割しか入所者が充足されておりません。御本人、お母さんたちにお聞きになったら、保険としてお金を出して、うちの子はここには入れたくないという状況で、しかし一か所の入所施設が作られるのには莫大な予算が作られているということを考えると、本当にどこもお金は大変だと思うんですけれども、使い方っていうのかななんて思ったりもしております。
済みません、もう分かり切っていることかもしれませんが、障害者はこのように三障害、身体、精神、知的とありまして、全部で約六百万ですので、国民の二十人に一人というふうに言われております非常に身近な問題なんですけれども、うち入所率が一番この中で高いのが知的障害者となっておりますので、その入所施設の調査結果をお伝えしたいと思います。
今日のテーマでもあります自立と社会参加ということですけれども、自立という言葉が近年の障害者御本人からのいろんな声も出ておりますし、今日お配りした本も後で時間があれば触れたいと思いますが、何もかもできるようになってから地域で暮らせるとか自立というふうには、もう障害者自身もそこからとらわれないようにしようと。できないことは助けていただいて、そして三十年も入所施設の中で字が読めるように訓練をしてから外に出るのではなく、地域で字が読めなくても生活できるように援助していただければ私たちは暮らせるんだということを言っております。エンパワーメントというのは、やはり障害者の方がうちに秘めているいろんな才能を訓練、指導の下に見えなくなってしまうのは損ではないかと私自身も思っています。
しかしながら、集中する入所、あるいは精神科の場合では入院に掛かる予算が莫大なものでありますので、地域にきめ細やかなサービスが十分ではないというふうになっています。
この調査ですけれども、平成十三年度から厚生労働科学研究班でやらせていただきましたが、全国で千四百七十五か所にある知的障害者の入所のうち七割の施設から回答を得まして、入所者全員についてどのような実態であるかということを教えていただきました。これを基に新障害者プランへの提言も行いましたし、私が所属しているこの研究班の特徴は、知的障害者御本人が半分を占めております。障害者御本人と研究を進めてまいりましたので、この結果を基に知的障害者の方から提案もいただきましたし、その方たちの半数以上は入所施設体験者でございますので、このお金の使い方に対しても意見が出ております。
全部説明する時間はないんですけれども、入所者六万二千八百五十五人の内訳を見てみますと、多岐にわたって長期に入所されている方もたくさんいらっしゃいます。新しくまだ今も入り続けているという状況です。その方たちが入所施設から出ていっている状況というのを見ますと、大まかに見ますと全体の二%しか地域には出ません。入所施設は本来、指導、訓練をして地域社会で暮らせるように支援する更生の場だというふうに言われてきましたけれども、その移動は年間二%、うち半分は他の障害者施設や病院、病院は老人病院と精神病院です。それから三番目に大きな退所の理由が死亡となっております。死ぬか、ほかの施設に行くか、病院に行くか以外はなかなか外に出れない。残りの、全体の一%というのは地域に出ているんですけれども、うち半分が家庭に戻されるということで地域サービスを整えてということではなく、高齢化した後に家庭に戻されるということもあるようです。
職員と入所者との関係を幾つかお聞きしましたけれども、知的な障害を持っている方、コミュニケーションが難しいというふうに言われておりますけれども、ということが施設の職員の結果からも分かってきました。もちろん説明、確認をしているんだけれども、元々御本人に意向を聞くというのはなかなかできていないというような実態も明らかになっています。
つまり、御本人がここから出たいという意思表明をしてくれればまだはっきり分かるんだけれども、何も言ってくれないので聞いても分からないと。こちらに返ってこないので仕方がないというふうに言っている専門職員の回答が四三・三%です。ですから、三十年間ずっとそこにいるままという方が生み出されているのかもしれません。
次の予算比較は非常に乱暴な予算比較です。というのは、こういう形で厚生労働省の方で予算についてのグラフを幾らお願いしても出していただけないようです。いろんな流れがあるようなんですけれども。それでこちらで調べまして、十三年度分までグラフに書いておりますが、十四年度、十五年度についても似たような傾向になっています。要は、オレンジの部分が知的障害者福祉予算の、つまり七割、八割に当たる部分が入所施設関係で占められています。これは設備費、設備整備費を引いておりますので、かなりの部分が職員のお給料になっているわけです。入所施設のお金がこれだけ使われているところに知的障害者の三人に一人の方がいます。あるいは、成人の場合は三人に一人ですが、児童になりますと三、四人に一人、三・五人に一人ぐらいです。つまり、施設に入っている方以外の方がその倍以上いるのに、三分の一の方のために予算の七割以上を使っているということから地域のお金が貧しいということになっているんじゃないかというふうに思っています。ノーマライゼーションとうたわれていますけれども、お金の配分は全然変わっておりません。これは支援費になりました今年度を見ても同じ状況のようです。
五年以上入っていらっしゃる方の理由は、やはり社会の適応問題、作業能力がなかなか十分ではないから出せない、あるいは社会で適応できないから地域に出せないと、非常に御本人さんの能力についての意見が多いです。
では、それで一方で施設にいらっしゃる方の多数は中軽度者なんです。障害が重い方ばかりではないんですね。中軽度者の方が、じゃ中で何をしているんだろうというふうに調べてみましたら、千四ある施設のうち、七百五十五施設は中軽度者は配ぜんのお手伝いでどうもお忙しいようです。それから、他の入所者の清掃を中軽度者の方が施設の中で行っておりました。他の入所者というのは限りなく重度の方です。重度の方の身辺介護も中軽度者が行っていて、おふろに入れたりおむつを替えたり、食事の介助をしたりということを同じ入所者である中軽度者が行っているという実態が明らかになってまいりました。
どちらにも今まで措置費というお金が使われまして、措置費の対象者でありました。そして、入所者という意味では同じなんですけれども、中軽度者は非常に忙しかったです。それをちゃんとこうやって回答したところがすごいなと思ったんですけれども、これを海外の研究者に訳しましてお伝えしましたら、ほかの国々ではこれを人権侵害と呼ぶというふうに言われました。つまり使役です、施設の中で。
この点呼係をしたり身辺介護をしたり、見守りができるんだったら、地域でお金にならないのかと私は思いました。ここの方が高齢になったら、また軽度の方に見守られ、身辺介護をさせられるという、この悪循環を断ち切らなければ入所施設からは出れないと。
施設はこのことについてどう思うのかというふうにお聞きしましたら、やっぱりこれが訓練の一環だという考え方です。施設の中でいろいろなことが行われているという、私たちから見たら人権侵害と思われることが本人の訓練のため、この訓練によって社会に出られるということなのかもしれませんが、先ほど言った適応能力がない、あるいはいろんな作業能力が乏しいと言われた方がちゃんと重度の方の面倒を見ているわけですね、施設の中で。これは非常に大きな問題だと思っております。
正直にお答えになっている施設もあります。頼りになっている、あるいは重度者ばかりでは限界がある、中軽度者はずっと施設にいてほしいというのは非常に正直な回答ではないかというふうに思いますが、人手が足りないのだから仕方がないという回答もあり、しかし予算の七割、八割を入所施設が使っているということになると本当に一から使い方を見直した方がいいんじゃないかと思いまして、同じ研究班にいる当事者の方たちと一緒に、昨年の今ごろですが、記者クラブで記者会見をさせていただきました、研究の成果として。くしくも、そのころは厚生労働省の周りを身体障害者の方が囲んで、ホームヘルプに関する上限問題だとか一般財源化ということがあったときなんですけれども、知的な障害を持つ方たちが私たちの意見も聞いてほしいということでこの調査結果を基に提言を行いました。文章はとても分かりやすいです。私は打っただけで、言葉は知的な障害をお持ちの方が言われたことをまとめました。
一番。支援費制度になっても、自分で住みたいところに住めません。入所施設はまだまだ増えています。入りたくないのに入れられてしまう。グループホームも足りない。増やす数が少な過ぎる。そして三番。どう私たちの思いを聞いたらいいか分からない職員が多過ぎるというようなことを言っております。
また、これも端的に表しておりますが、国はお金の使い方が間違っています。
入所施設の職員は何もしなくても高い給料をもらっていると。これは記録に残りますけれども、私が言った言葉ではございませんので、知的な障害をお持ちの方が言っておりますので、風当たりが随分強いんですけれども。大切な地域の支援には真剣にお金を掛けていない。地域の支援を待っている人は施設に入っている人の数より多いということです。どうして入所施設ばかりにお金を回すのか私たちに説明しない。新しいプランを作ったけれども、今までのお金の使い方を反省していない。私たちの暮らしや思いを分からない人が使い方を決めている。ちゃんと私たちに聞いてください。
今日お配りしたこの赤い本、時間がないので後でお読みください。たしかどなたかが書かれています。総理大臣も入所施設に一度入ってごらんなさいというタイトルで文章を書いておりますけれども、本人たちから手厳しい言葉が出てくるようになってきました。
要望です。これも御本人の言葉です。
入所施設を減らす計画を立ててください。具体的に数字を言ってください。でないと少しも変わりません。国が貧乏なら、一番お金を使っているところからカットしてください。厚生労働省の人も、自分だったら入所施設に入りたいかどうかを考えながら仕事をしてくださいと。かぎ付きの中で三十年暮らしたという方たちがこういうことを言っているわけです。
それから、グループホームやホームヘルプは何よりも大切なものです。ここにお金を掛けてください。地域は無理だから施設に入りなさいとか、あちこちに動かされるのはもう嫌ですと。障害が重くても年を取っても、町の中で住みたいのです。あちこち動かされるたびに新しい訓練が始まるのはたまらないということです。
ちょっと次をカットしまして、四番。人権侵害を平気でやっている施設をそのままにしているのは国の責任です。当事者をオンブズマンにした制度が必要です。
五番もカットさせていただいて、済みません、時間が過ぎております。
全国の仲間へ。どこに住みたいか、どんな支援が必要か、どんどん自分の思いを言っていかないと、今までと同じように勝手に決められてしまいます。身体障害者の人たちも命懸けで抗議しました。私たちも我慢しないでおかしいともっと言っていきましょう。私たちが主役だからですと。
次にあるグラフは、三番目に、今日お話をしていただけると思うんですが、精神障害者の状況も同じような状況です。障害者福祉に関してグラフを作りますと、どうも日本だけがいつも全く別の動きをしております。精神科の病床も千人当たり増え続けているのは日本だけです。平均在院日数が増え続けているのも日本だけです。全く別の道を歩んでいると。知的障害者の入所施設も同じことです。
最後に、まとめとしまして幾つかのポイントをお書きいたしました。
今までお話しした中で、御本人からは厳しい言葉もありましたが、専門的な援助を提供する入所施設というところで権利擁護がずっと続いているということもあったり、あるいはずっと出さないでいるということ自体、そして中軽度者の先ほどの実態そのものが人権侵害ではないかという動きがあるということが一つです。
専門的な援助とわざわざかぎ括弧を付けさせていただいたのは、ちょっと余りアカデミックな報告でなくてお恥ずかしいんですけれども、同じ研究班の当事者、知的障害者御本人から、全国の入所施設の職員の平均給与を調べなさいと命令されまして一生懸命調べました。少なくとも県立、県営で全国にできてきたコロニーと言われている各施設の平均給与を調べさせていただきましたところ、全国の平均給与は九百万を軽く超えておりました。職員の平均給与です。幾つかの施設では軽く一千万を超えている職員の平均給与というのがありまして、一部はある新聞でも出ましたけれども、これがこの結果で出てきた専門的な援助を提供する職員の集団なのかということは、本人たちは非常に立腹いたしまして、それこそお金の使い方を考えてほしいということです。専門職としての技能を見直すということはもちろん、お金、つまり予算の大半が入所施設に使われ、その大半が職員給与だということを考えると、ここを改革しなければいけないというふうに思っています。
時間がない中で私からの一つのお願いは、ずっと私自身もこのことについては研究班を超えていろんなところでも言ってきたんですけれども、予算の在り方として、入所施設にかかわるものは義務的経費と言われております。そして、ホームヘルプやグループホームと地域支援にかかわるものが裁量的経費ということになっておりまして、この裁量的な経費の方がどんどんどんどん今カットされております。義務的経費に関しては手が付けられないというふうにおっしゃいます。それについては手を付けなければ、手を付けられるようにならなければ日本ではノーマライゼーションはあり得ないと思っておりますので、これは私のような下っ端の研究者では何にも役に立ちませんので、この辺を、どういうふうにお願いしていいのか分からないですけれども、変えていかないと、いつまでも入所施設の予算はそのまま、どんどん今から建て直されて残っていくということがあります。
自立というのは障害者本人が自ら選び決めていくもので、入所施設に措置されたままそこで死んでいくということで自立も何もないだろうと御本人たちが言っております。入所、収容の存続自体が社会参加を推進しないというふうに提言させていただきます。社会は障害者の存在で潤うという実態もたくさん今出てきておりますので、そのことがもっともっと語られるようになったらいいなと思って、その前段階としてこういう本を作らせていただきました。
最後に、玉木さんという方、身体障害をお持ちの方が、自立生活センターをやっていらっしゃる職員でもあるんですけれども、私たちの権利ということで知的障害者向けに十の権利を今伝えてくださっています。知的障害者の方たちは目からうろこの状態でこのお話を聞いております。
自分のやりたいことをはっきり言って、それを優先する権利があなたにあるんだと。優先という言葉でみんな分かんなくなっちゃうんですけれども、玉木さんが上手に説明してくださっています。みんな初めて聞いたと言いました。人の言うことを聞いて自分の言いたいことを言わないのがいい障害者だというふうに言われてきたと、かわいがられる障害者になりなさいと言われてきたと御本人は言っておりました。
それから、四番の危険を冒す権利。社会にいたら失敗することもたくさんあるので、危険を冒すということは次に危険を回避できるんだから、やってみようよいろんなことをというふうに言われました。
それから、自分だけの考えを持つ権利。持てないんではなくて持たされなかったということを気付いていいんだということを言い始めております。
パワーポイントは以上でございます。
この本の中には、二十一人の知的障害者の方が実名で自分たちの体験をお書きになりました。最後まで実名で施設名と職員名を書きました。出版社の方が負けました、ちょっとまずいということで。ですが、御本人さんたちの体験を読むたびにどきっとさせられることが多いです。半分以上の方は字が書けません。聞き語りで私たちが書きました。この本の特徴は、一般書店で一般の方が圧倒的に買ってくださっています。福祉関係者ではなくて一般の方が、日本で障害者はどこにいるんだというふうに思っていた方が買っていただいて、ここに税金が使われているということはどういうことなんだろうというアンケートも寄せてくださっているということになっています。やはり、御本人の声を聞きながら社会参加、自立ということを考えていかなければいけないというふうに思いました。
早口で申し訳ありませんが、以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。