福島啓史郎の発言 (憲法調査会)
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○福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎であります。
これまでの憲法改正についての論議も踏まえまして、私、次の三点につきまして述べたいと思います。
第一点目は、日本国の在り方についての憲法上の考え方ないし哲学が第一点。第二点目は、集団的自衛権の保有と行使について憲法上明確化しなければならない理由。三点目につきましては、関連する重要な問題としてシビリアンコントロールの問題、それから集団的自衛権ないし集団的安全保障の運用の問題、それから三番目には国際協力の問題。これらにつきまして所感を述べたいと思うわけでございます。
まず、日本国の歴史を振り返ったときに、明治維新、これは欧米列強支配の当時の国際社会の中で、いかに我が国の独立と繁栄を確保していくかということから、富国強兵という政策が取られたわけでございます。すなわち、教育なり司法なりあるいは産業なり制度を創設する、と同時に、徴兵制あるいは軍備強化という、富国と強兵が同時スタートしたわけでございます。
その当時におきますその調和点が、私は、明治二十二年の明治憲法の制定であったというふうに考えるわけでございます。この明治憲法の制定を受けまして、大正デモクラシーあるいは政党政治が発展したというふうに考えるわけでございます。
しかしながら、その後、昭和恐慌の下、政党政治の腐敗もありまして、富国強兵のうち、強兵の比重が増してきた。その結末が、去る日中なり太平洋戦争の敗戦という結末であったわけでございます。
こうした経験、多数の人の生命、財産を失うという悲しいかつ厳しい経験を十分尊重した憲法改正でなければならないと、まず考えるわけでございます。
と同時に、国際情勢の変化を検証しながら、すなわち、北朝鮮、中国、ロシア等、また国際テロ、そういう顕在的、潜在的な脅威を削減して、国家国民の繁栄を図るとともに、個別的及び集団的自衛権の行使を明確化する、と同時に、合理的な我が国の安全保障体制を確立するということ。言わば、明治の、明治維新の富国強兵の時代から、私は、富民保力、民を富まし力を保つ、富民保力の時代にあるというふうに考えるわけでございます。
具体的に、憲法九条に関連した議論でございますが、一つは、まず私は今の第二章、私は、章の順番につきましては、今の天皇を第一章にすることから国民主権というものを第一章にすべきだと考えますが、それはさておきまして、この第二章の章名を今の戦争放棄から国際紛争を解決する手段としての戦争放棄という章に改め直しまして、現行の九条一項は保持、維持をするという考えでございます。
それから二番目は、その次に第三章として安全保障という章を設けまして、その中身は三つあります。一つは、個別的及び集団的自衛権の保有と行使権能を持つということを明確化するということ。それから二番目には、そのために、その目的のために自衛隊を保有する、まあ自衛軍、自衛隊を保有するということ。三番目には、国際協力のためにこの自衛隊を派遣することができるということでございます。三番目は、国際協力の章を設けて、そちらに規定する方法もあるかと思います。
私は、この二章、三章を一緒の章で書くという考え方もあるというふうに思っておりましたけれども、性格的に考えれば分けた方がいいというふうに最近考え方を変えておるところでございます。
それで、次に二番目の議論でございます。
なぜゆえに、憲法上、個別的及び集団的自衛権の保有と行使を明確化しなければならないかということでございます。
まず、これは一つは、物と人との協力から人と人との協力に変えなければならないということでございます。そうしなければ日本の真の安全保障は確保されないということでございます。他人であるだれが、その他人のために血を流さない国のために血を流すでしょうか。極めて素朴な問題でございます。
それから二番目には、国際法上、集団的自衛権を保有しながら、しかし憲法解釈上その行使が許されないという、世界でもまれな、例のない不正常な国の形を変えなければならないと、正常の形に持っていかなければならないということでございます。
三番目には、そのことが私はアジア地域を含めた地域安全保障取決めの推進に資するというふうに考えるからでございます。
その次に、こうした政府の憲法解釈の変更、集団的自衛権につきましての憲法解釈の変更の方法でございます。
これにつきまして私は五つの考え方があると思います。
一つは、政府の解釈を変える。具体的には、官房長官談話あるいは閣議決定等により政府の解釈を変えるということ。二番目に、国会決議でございます。それから三番目には、議員立法で明らかにするということ。四番目には、安全保障基本法といったような法律の中で明らかにするということ。それで五番目には、憲法改正によって集団的自衛権を保有すること、保有、行使することの権能を憲法改正によって明らかにするということでございます。
これらにつきましては、昭和五十八年二月二十二日の内閣法制局長官の答弁、また、それを受けての外務大臣、防衛庁長官の答弁もあります。要するに、憲法につきましての解釈につきまして、憲法九条の解釈につきましていろいろな議論があるときに、それをいわゆる立法的に解決するというのが考え方としてあると。集団的自衛権の行使を憲法上認めたいという考え方があり、それを明確化したいということであれば、憲法改正という手段を当然取らざるを得ないということを法制局長官、五十八年二月二十二日の衆議院予算委員会の答弁でございます。これを受けまして、安倍、当時の外務大臣、谷川防衛庁長官もその答弁、そのとおりだということを述べております。
先日、本年二月二十七日、参議院本会議におきまして、山本香苗議員の質問に対しまして、小泉内閣総理大臣が同様の趣旨の答弁をしております。要するに、「私としては、」、つまり内閣総理大臣である私としては、「憲法について見解が対立する問題があれば、便宜的な解釈の変更によるものではなく、正面から憲法改正を議論することにより解決を図ろうとするのが筋だろうと私は考えております。」という答弁をしております。
私も、先ほど述べました五つの方法をいろいろ考えますと、従来からの解釈論、国会での議論の経緯等を踏まえますと、憲法改正により対応するのが望ましいというふうに私も考えるところでございます。
次に、派生する問題のまず第一のシビリアンコントロールでございます。
先ほど藤野委員からありました。ありましたけれども、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、アメリカにおきましても、憲法上明記しております。
私は、憲法上、一つは、「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」といったような自衛隊法の七条のような規定、あるいは、防衛庁長官は、内閣総理大臣の指揮命令を受け、自衛隊の隊務を総括するといったような自衛隊法八条のような規定を憲法上設け、かつまた、自衛隊の使用なり派遣の個々の場合につきまして国会の関与を憲法上規定すべきだというふうに思います。これは個別法の憲法上の根拠を与えるものだというふうに考えるわけでございます。
そういうことから、この憲法改正を受けました自衛隊法なり安全保障会議設置法等の見直しが必要であろうというふうに考えるわけでございます。
次に、集団的自衛権ないし集団的安全保障の運用でございます。
私は、日本の歴史を振り返れば、一つは日英同盟、二つ目は日米安保条約でございます。
先に、日米安保条約について述べます。
日米安保条約におきましては、旧安保条約におきましては、第一条におきまして、極東における国際の平和と安全の維持に寄与して、かつ日本国に対します外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために米国の軍隊が使用されるというふうに規定されているところでございます。要は、この集団的安全保障ないし集団的自衛権の運用について問題なのは、どういう性格、発動対象の性格論と地理的範囲が問題になるわけでございます。
改正後の現安保条約におきまして、その点を、「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威」というものに対する対処ということで四条を定め、五条でもって、具体的な武力行使は「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と言っているわけでございます。そうした発動対象の性格と地理的範囲が日米安保条約上示されているわけでございます。
また、かつて日英同盟につきましては二回の改正を含めまして三回持っているわけでございます。それぞれの時代背景、つまり極東、それから韓国、清国、それからインドと、それぞれの歴史的な状況の変化に応じましてその対象が変化しております。また、発動の要件も、当初は中立義務、それから更に第三国が交戦に加わった場合の参戦規定、参戦といいますか支援規定だったわけでございますが、その後は即時の参戦協力規定になっております。そういったこと、また日露戦争に関しての規定もあります。そうした時代時代を踏まえまして、発動対象の性格及び地理的範囲を限定しているわけでございます。
こうしたことから、私は、当面私は日米安保条約だと思いますけれども、その周辺事態の扱いも含めまして、どういう場合に、またどういう範囲でこの集団的自衛権を行使し得るようにするかということにつきまして、現行と同じ扱いにするのか、あるいは周辺事態の扱いも含めまして検討する必要があるというふうに考えるわけでございます。
最後に国際協力の問題でございますが、これは国連軍への参加も含めまして、国際協力のための自衛隊の派遣と、その派遣自衛隊の武力行使ないし武器使用は集団的自衛権の論議とは別なものであるというふうに私は考えるわけでございます。国連ないしこれに準ずる国際的なスキームの下での派遣であるわけでございます。したがって、これは集団的自衛権の論議とは別なものであると、国際協力基本法、国際協力基本法の制定などによってその点を明確にし、武器使用ないし武力行使の範囲を明確に、目的に照らして合理的な範囲で認める方向で明確化すべきだというふうに考えるところでございます。
以上で終わります。