川橋幸子の発言 (憲法調査会)

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○川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子と申します。
 私は、個人的な立場を申し上げますと、なぜ今憲法改正をしなければならないのかということで大変懐疑的な意見の持ち主でございます。
 今日は時間が短いのですけれども、できれば三点からお話しさせていただきたいと思います。
 一点目は、冷戦後の世界秩序という面から、二点目は、バブル崩壊後のこの国の形という論議の点から、そして三点目は、平和の創造のための国際協力という観点から意見を述べたいと思います。
 世界秩序、冷戦後の世界秩序といいましたときに、私は、国会議員になりたてのころに、クリントン前大統領が来られて国会で演説されたことを非常に強く記憶しております。あのとき、どちらかといえば普遍性を強調されたと思います。平和、自由、平等、人権といった普遍的な価値を共有しようということを強調されたように思いますけれども、このところはむしろ、この世界秩序は力の支配か法の支配か、これが拮抗していると私は見ております。力の支配というものは、力の持てる者は抑制する努力をしなければならないと思いますが、法の支配というものは、改めて考えますと、何よりも法を維持する努力、たゆまない努力が必要なのではないかと、このように考えます。
 今日、昼のニュースで、靖国参拝に対する、小泉総理の靖国参拝に対する一審判決ですか、出ていたようでございますが、違憲という、そういう結論でした。
 これがどのようになっていくのかはさておきまして、小泉総理は絶えず、常識、常識というふうに主張なさった。ああ、やはり私はそこに、法の支配というのは維持する努力が必要なんだなということをその小泉総理の発言から私は非常に強く感じたのでございます。
 そういう意味では、私は、内閣法制局の役割は評価する立場でございます。すっきりしないという様々な批判のあることは確かでございますけれども、私は、日本国憲法の有権解釈を、現実の厳しい中で、自衛権はあるけれども、集団的自衛権は行使しないと、こういう論理を立ててきたこと、これはやっぱり私は、日本国民の努力が法制局見解に表れているというふうに考える人間でございます。
 二点目は、「この国のかたち」という言葉でございます。司馬遼太郎さんの言葉をかりまして、バブル崩壊後の日本の再生のためにこの国の形を考えようという議論が盛んになされました。そして、構造改革とこの憲法論議があるわけでございます。
 かつて、憲法論議といいますと、いつも、改憲と護憲が政局を絡めて議論するという、そういう生臭さがございましたけれども、最近では、まあ私の個人的な印象では、政界再編と絡めた憲法論議という、そういう意味合いを持っておりまして、本当のところ、一人一人の日本人、日本の国民が、自分はどんな生き方をしたく、その集積であるこの日本という国の在り方がどんなアイデンティティーを持つべきかと、こういう価値観を個人参加の下に再構築する、そういう作業はないがしろにされていたのではないかというふうに思います。
 九五年の不戦の決議というものも、私、議員になってから割合早い時期でしたので、強く覚えているわけでございます。
 個人的では、カンボジアの地雷除去の作業、カンボジアのNGOに対して日本政府及び日本のNGOが協力しながらやっている地雷除去作業でございましたが、その現場に立ち会わせましたときに、大変安い、廉価でできる地雷でございますけれども、その地雷の生産国に安保理の五大国の名前があり、あるいは韓国も北朝鮮の製造元の印もあるというようなものを見たときに、地雷除去作業の人たちがいかに日本をたたえてくれたか、日本を頼りにしてくれたかということを個人的には非常に体験論として強く感じております。
 日本の国の在り方、アイデンティティーというものを考えたときには、やはりこの平和主義というのは日本の国の基本なのではないかと思います。核を持たないということ、あるいは武器輸出をしないということがいかに日本の在り方、国際社会の中における日本の在り方を強くアピールするものであったか、現地の住民の方々からいかに信頼されるものであったかということを私はお伝えさせていただきたいのであります。
 三点目は、平和の創造。これは武力で創造することもあるのかもしれませんが、私は、長期に見ました国際協力の重要性を主張したいと思います。
 緒方貞子さんが様々な御本で書いておられますけれども、テロ、紛争がどのようにして生じるかというと、著しい極貧の中で不公平、不公正、不正義というものがあったときにそれがテロの温床になる、そこからテロが生まれるというよりも、その人たちを人質にしてテロ勢力が力を伸ばす、このような言葉を本の中で書いておられます。
 今、世界人口六十億中十二億の人口が一日一ドル以下の生活、これを絶対貧困と言って、ミレニアム開発目標の中では二〇一五年までに半減したいという目標を国連で掲げて、日本もこれを積極的に支持し、むしろミレニアム開発目標を作る方に努力した国であったというふうに聞いております。
 私も、終戦のとき、小学校一年生でございましたから、給食の始まった世代、ララ物資だとか脱脂粉乳とかということを知っている世代でございますが、日本がここまで来れたことは、あの当時、世銀を始め、非常に国際社会から大きな支援があったから来られたわけでございます。
 物の本によりますと、新幹線に対する借金を返したのもつい最近の、返し終えたのも最近のことだということでございます。私たち日本の場合は特に相互依存関係が強い。海外に食料も依存しなければならない、エネルギー源も依存しなければならないという、そういう国であった場合には、やはり私は、人間の安全保障とか、先ほど申し上げましたミレニアム開発目標に対する日本の貢献というものをむしろ推進すべきだと思います。
 ほかの委員会で参考人の方の御意見を伺ったときに、こういう気持ちというのがどうして今の世代に伝わらないのだろうかというふうにお尋ねしましたら、それはやっぱり学校教育の中で開発教育というものをやらなければいけないのではないかと。それは北欧が非常に進んでいるそうでございますけれども、先進国諸国の中では学校教育の中に開発教育の意義というものがしっかり位置付けられているというお話がありました。
 そういう点、教育も含めまして、日本の平和の創造に対する国際協力ということをもっともっと私はやらなければいけない国なのではないかということを申し述べさせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 川橋幸子

speaker_id: 1047

日付: 2004-04-07

院: 参議院

会議名: 憲法調査会