長有紀枝の発言 (国際問題に関する調査会)

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○参考人(長有紀枝君) 高野先生、ありがとうございます。
 私自身のNGOの仕事とのかかわりでございますが、きっかけは大変に単純でございまして、今この豊かな、日本はまだまだ豊かでないと言う方も、おっしゃいますが、この豊かで平和な日本に暮らしている私たちとそうでない大多数の国に暮らしている方々の生活の落差に単純にびっくりして、何かしたいと思ったことがきっかけでございます。ただ、この世界に入りましていろいろな人に会い経験をしていく中で、今、人道というもののために仕事ができるのが大変うれしく思っております。
 これは日本赤十字社の近衛副社長の言葉なんですが、人情と人道の違いを表されまして、人情というのは人間に生まれたらばだれでも持っている、ちょっと言葉が悪いと、まあやくざでも持っているものが人情であると。それこそ任侠映画があれだけ日本で人気があるのは、その親分子分であるとか仲間内でのそういった助け合いとか思いやりとか。他方、それが、じゃ全然見ず知らずの人に行くかどうかというのが人道ということで、日本人というのは、通常、そういった人道的な概念というのを欧米でキリスト教と密接な関係があるというような言われ方もしますが、日本でも困ったときはお互いさまというのは、正に知っている人だけではなくて遠い人とも困ったときはお互いさまという概念でいたわけですから、人道というのは日本人にも大変分かりやすい概念ではないかと思っております。
 人間の安全保障という概念でございますが、ある意味で、人間の安全保障自体は比較的新しい言葉ではございますけれども、その中身というのは今までNGOが長い間取り組んできたものではなかったかと思います。
 例えば、また地雷の話になりますが、それまで使われていた通常兵器を廃絶しようという動きは、今まで軍縮というのは国家の専売特許であったものを、被害を受ける一人一人の個人の立場からこの非人道性を何とかしなくてはいけないという形でNGOと政府が共同して禁止条約を作っていくわけですが、正にそれも人間の安全保障の考え方ではなかったかと思います。
 ただ、その人間の安全保障という概念自体が比較的新しいものでございますので、今後、我が国が政策概念としても人間の安全保障というのは使っていくべき場面が多々あると思いますので、そういった勉強といいますか研究をNGOの立場からもしてまいりたいと思っております。
 それから、御指摘のあったNGOの資金源の問題ですけれども、NGOとはいえ確かに政府の資金はいただいております。ただ、そこで大変重要なのは、必ず民間の資金といいますか、資金源の多様化をすることではないかと思います。
 組織によっては、これも本当に組織によってまちまちですが、政府からの助成金を二割に上限を設定して、残りはとにかく民間の方からお願いしようとか、あるいは政府のお金をいただいても同じ政府のお金でいろんな窓口のお金にしようとか、そういった資金の多様化を図ることで中立性であるとか独自性が保たれるのではないかと思います。
 もちろん、民間からの資金が重要なのは言うまでもありませんが、そういった意味ではまだまだ日本のNGOは弱うございまして、そのときに比較的影響を受けますのがメディアでございます。一般の方の御寄附が集まるかどうかというのはメディアがその紛争を取り上げているかにかかわっているような部分もございまして、昨今はインターネットなどでNGO自身から情報発信をすることが可能になっておりますが、まだまだ一般の御寄附を下さる方たちの層は、インターネットというよりは一般のテレビ、新聞をごらんになる層が大変多いので、日本のメディアに放送されない紛争の支援というのが大変難しくなるところです。
 ちょっと先ほどの御質問ともかかわってしまうのですが、これからの日本のNGOの役割といたしまして、忘れられた紛争といいますか、あるいはアフガン、イラクに対する報道がなくなった後も現地のニーズは引き続きあるわけですから、息長くそういった地域に支援するための資金の確保というのが大変重要になってくるかと思います。
 以上です。

発言情報

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発言者: 長有紀枝

speaker_id: 26649

日付: 2004-02-16

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会