松本恒雄の発言 (内閣委員会)
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○参考人(松本恒雄君) この法律の性格をどのように見るかということにも少し戻るわけですけれども、労働者の保護を、従来保護されていなかった部分に新たな保護を作るという、労働者の権利を拡張するという新規立法というふうに見るのか、そうでないのかということになります。
私あるいは労働法学者の見解はそうではないということでありまして、元々、労働基準法において労働者の権利は、一般条項の形ではありますが、相当保護されているというのが日本であります、特に解雇に関しましては。他方で、公益通報者を保護するための特別の法律をいち早く制定しております幾つかの国、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカといった国は、いずれも英米法の国でありまして、英米法の国の労働法の原則は解雇自由という大原則に立っております。
したがって、公益通報を理由にして解雇できないぞという法律を作るということは、今まで保護されていなかった部分に新たな保護を作るという非常に積極的な、労働者保護という意味で積極的な意義があります。それに加えて企業経営をきちんとさせるという効果もあるわけですが、日本の場合は、労働法上、解雇不自由が大原則で、最近少しそこが変わってきたというところはございますけれども、英米法に比べて解雇自由ではございません。したがって、一般条項的な労働者の保護は既に日本においては存在をしているということがあります。
しかし、一般条項ではどちらになるか分かりにくいところがあるから、はっきりとさせられる部分ははっきりとさせよう、それによって企業経営者に対するメッセージをより明確にしようというのがこの法律の基本的な発想でありますから、一般条項がないから保護が切り下げられたとか、特定の条項に当たらない場合は保護をしないとかという性格ではなくて、当然、労働基準法の解釈上従来からされていたし、されるべきであった部分という部分は全然変わらないというふうに理解しておりますし、それを念のために明らかにする規定が加えられたということであります。そのことは審議会でも議論になりまして、答申の中にも入れられているところです。