加藤紀文の発言 (本会議)

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○加藤紀文君 私は、自由民主党を代表して、施政方針演説に対し、総理及び総務大臣に質問いたしたいと思います。
 まず、社会保障や年金改革等について基本姿勢を伺いたいと思います。
 言うまでもなく、我が国の社会保障制度は、戦後から高度成長期にかけて、安定した経済成長やピラミッド型の人口構成を前提として構築されてきました。近年、その前提が崩れ、少子高齢化が予想以上に進む中で、社会保障において給付と負担の不均衡が拡大し、若年世代を中心に社会保障制度の継続性や将来の負担増に対する懸念が強まっております。また、平成十四年の我が国の出生率は一・三二と過去最低を更新し、経済活力や国力の低下につながるもので、深刻な事態として受け止める必要があります。
 このような状況を踏まえ、小泉総理は、社会の安定的発展のためには、いかなる理念、展望の下で社会保障改革と少子化対策を推進されるのか、基本的な考えをお伺いいたします。
 昨年末にかけ、政府・与党の間では年金制度改革に関する検討が精力的に進められてきました。結果として、給付水準は現役世代の所得水準の五割以上を確保し、負担は当面の上限を一八・三五%とする、そして基礎年金の国庫負担割合を平成二十一年度までに二分の一に引き上げるとの方針が固まりました。
 今回の改革に関しては、負担水準等に関して経済界から企業の競争力を低下させかねないと強く引き下げる声が出されたところでありますが、悪化する年金財政から見てもやむなき水準に落ち着いたものと思います。
 そこで、総理には今回の年金制度改正に関し、いかに評価し、どのように今後の法案化作業を進め、国会審議に臨んでいかれる所存なのか、お伺いいたします。
 年金問題は複雑で分かりにくいと言われます。また、過去に年金改正に携われた実務者の方々も、年金に解なしと言われています。これは制度設計上ある程度仕方のないことですが、分かりやすい説明の努力が不可欠と考えます。年金制度改革の内容はもちろんのこと、家計に与える影響、経済効果やこの新しい制度がいつまで持続できるのか、国民の将来不安を軽減するために具体的に総理に御説明いただきたいと思います。
 今後、年金を始め社会保障改革を進める裏打ちとして、何よりも国民理解の上での安定した財源確保が必要であります。その際、消費税率引上げといった国民生活に直結する問題については、国民の十分な理解が必要であります。歳出構造の全般的な見直しだけで財源が十分捻出できるものではありません。年金改革など社会保障制度改革の中での財源、特に税制はどうあるべきかについて総理にお伺いします。
 次に、国と地方の税財政の仕組みをも大きく変えることになり、地方分権を進める三位一体の改革についてお伺いします。
 今まで地方は、いわゆる三割自治と言われるように、地方税で歳出の三割しか賄えないため、受益と負担の関係が希薄とならざるを得ず、同時に国依存体質が長年続いてきました。この改革の目的は、国の関与を廃し、地方にできることは地方で、自らの創意工夫の下で行政サービスを行うことにあります。
 我が党の政権公約は、二〇〇六年までに四兆円の国庫補助金の廃止、縮減、交付税の見直し、税源の移譲を行うこととしております。
 来年度予算では国庫補助金は義務教育費の退職手当等で一兆円の一般財源化が行われますが、今後もっと地方の考え方や裁量が反映できるような補助金の一般財源化に取り組む必要があります。税源移譲については、今後、消費税の配分、基幹税の移譲について本格的な議論を早急に開始すべきものと考えます。さらに、地方交付税交付金も計算方法や留保財源率等について抜本的な見直しには至っておりません。また、団体間にある財政力格差をどのように調整していくのか、難しい問題についても方向性が示されておりません。
 以上の点について総理の基本的な考えをお聞かせ願うとともに、十六年度の予算、税制面における改革においてどの程度三位一体の改革が進捗すると見られているのか、お伺いいたします。
 三位一体改革の期間はあと三年間しかありません。それだけ総理の責任は重いものがあります。リーダーシップがなければ中途半端に終わるおそれさえあります。この改革に取り組まれる総理の御決意を披瀝していただきたいと存じます。
 地方分権の先には地域再生があります。地域再生は、地方や民間が主体的かつ積極的にかかわり、様々な知恵を出し、それをどのように生かすかが成功のかぎと言えます。高速道路でのインターチェンジや新幹線の新駅の設置だけで地域再生の大きなインパクトになり、中央では考えられない地域に根差した活性化策がたくさん生まれることが期待できるのであります。
 正に、地域再生は、国の権限や補助金等での関与を必要最小限度にとどめ、地方の実情に応じたプランニングの道を開き、民間の力も積極的に活用するものであります。
 このような国と地方と民間の三位一体の協力をどのように構築していくかが大切になります。
 一方、三位一体の改革は、政策の選択、決定について具体的な説明責任や情報開示が地方団体に求められます。さらに、財政のやりくりや財源確保にはいろいろな工夫、努力が要請され、政策の結果責任も大いに問われることになります。
 この点について、国としてどのように協力、対応していかれるのか、また、地域再生にどのように取り組んでいかれるのか、総務大臣にお伺いします。
 次に、道路公団の改革について伺います。
 道路公団の民営化については、いろいろな議論と経過をたどりましたが、今通常国会に関連する法律案が提出されることになりました。
 まず、民営化の目的として、民間にできることは民間にゆだねるとの基本原則に基づき、約四十兆円の債務の確実な返済、真に必要な道路の早期にかつできるだけ少ない国民負担での建設、弾力的な料金設定や多様なサービスの提供等が掲げられております。
 高速道路建設に関しましては、新直轄方式と有料道路事業のまま継続する道路に分け、その事業方法等を見直しております。
 加えて、有料道路事業費の縮減として、建設費は当初計画に対し半減して約十・五兆円に、管理費を平成十七年度までに三割のコスト縮減を図ることとしております。
 さらに、新規建設における会社の自主性を尊重し、国からの一方的命令の枠組みを廃止して、会社の自主的な経営判断に基づく申請方式を導入することになりました。
 従来の高速道路事業の大転換であります。一日も早い関係法案の成立を望むものであります。
 この枠組みを決めるに当たって、国土交通省は都道府県及び十三の政令指定都市の六十の自治体に意見照会を実施しております。三十七の自治体で高速道路は国民共有の財産であり私有財産化は認めない、二十七の自治体が料金収入を最大限活用して必要な道路整備を行うべき等々の意見が表明されております。
 道路は公有物であり、国が建設するものである、この道路についての総理のお考えをまず御披瀝いただき、今回決定いたしました民営化に向けた具体策についてどのような評価をされておられますか、お尋ねいたします。
 次に、郵政民営化についてお伺いします。
 総理は、郵政公社の民営化について、構造改革の重要な柱として特に強調されております。このことにつきましては、既に総選挙の政権公約におきまして、郵政事業を二〇〇七年の四月から民営化するとの政府の基本方針を踏まえ、日本郵政公社の経営改革の状況を見つつ、国民的論議を行い、二〇〇四年秋ごろまでに結論を得るとなっており、先日開かれた我が党の党大会での運動方針におきましても再確認いたしております。
 しかし、御案内のとおり、郵政三事業につきましては、昨年四月から日本郵政公社を発足させ、民間的な経営手法を取り入れた改革が進められているところであります。公社がスタートしてまだ一年もたっていません。その成果がまだ全く明らかでないのに、民営化の経営形態等について、政府においてかなり具体的な検討が進んでいるかのような報道が見られるのは大変理解に苦しむところであります。
 政権公約にも明らかなように、郵政民営化についての国民的な論議は正にこれからであり、国民各層、各地域の意見を積み上げて、いわゆる万機公論に付することが是非とも必要であります。
 郵便局は、高齢化や過疎化が進む地域や条件に恵まれないところでの地域に密着した一番身近な頼りになるサービスを提供しており、広域市町村合併が急速に進んでいく中で、行政のワンストップサービスの末端拠点としても大いに期待されております。
 このような民間の営業ではカバーされにくい恵まれない地域の意見をいかに反映していくか、これから幅広く公聴会等を各地で開催して真剣に論議されなければなりません。
 これらの肝心なところを十分に踏まえ、総理の今後の検討方針をお聞かせいただきたいと思います。
 以上、小泉改革の中心である、社会保障改革、三位一体の改革、道路四公団・郵政事業の民営化についてお伺いいたしました。改革も道半ばでありながら、改革の痛みがあらゆる方面で出てきております。有能な外科医のように、小泉改革の必要性を総理自身の言葉で丁寧に国民に説明し、納得していただくことが肝要であります。小泉改革の意義とこれまでの成果を最後にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 加藤紀文

speaker_id: 27348

日付: 2004-01-23

院: 参議院

会議名: 本会議