高橋千秋の発言 (本会議)

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○高橋千秋君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十五年度補正予算三案に対して、反対の立場から討論を行います。
 先週行われた参議院の委員会で、小泉総理は、改革が進まないことに対して、「桃栗三年柿八年」と申されました。小泉内閣が発足して間もなく三年になろうとしていますが、三年前と比較しても我が国を取り巻く環境はますます厳しさを増すばかりで、今も正にがけっ縁のところで日本、そして国民は踏ん張っているんです。小泉内閣は、この間判断を誤り、政権公約を守ることもできず、このままでは実がなるどころか、その前に木は枯れてしまいます。
 今月三日には、国民に対してきちんとした説明もないまま陸上自衛隊本隊がイラクに向けて派遣され、昨日には第一陣がサマワに到着しました。派遣された自衛隊員の無事の帰還をお祈り申し上げます。
 しかし、連日のように駐留軍への襲撃が報道され、我が国の二人の外交官の尊い犠牲を出したイラクの地のどこに非戦闘地域があるのか、いまだに戦争に行くのではないと強弁を続ける根拠がどこにあるのか。イラク復興支援法の考え方に反し、また憲法の大原則をも大きく破るものであります。
 イラク戦争の大義としていた大量破壊兵器も、米国のケイ前団長があったとは思えないと断言し、今日の夕刊によれば、ブッシュ大統領も製造の能力があったと言い方を変え、その大義も完全に失う中で、衆議院ではあのような強行採決という与党の不誠実な国会運営の中で、まず最初に自衛隊の派遣ありきという姿勢は日本の将来をも大きくゆがめる暴挙と断ぜざるを得ず、私たちは現時点での自衛隊派遣に断固反対いたします。
 国内の課題でも、小泉内閣が唱える聖域なき構造改革はすべてが小手先の国民の目をごまかす帳じり合わせと先送りでしかなく、改革断行内閣ではなくて改革断念内閣でしかありません。
 二名の委員が抗議の辞任をした道路四公団の民営化推進委員会は、正にその象徴です。委員会の最終報告は民営化により無駄な道路建設をやめて債務の返済を優先する内容だったのに、総理の再三にわたる委員会を尊重するという発言とは裏腹に、結局は道路族や官僚の抵抗により、四十兆円にも及ぶ膨大な債務の削減のめどはなく、無駄で不採算な道路の建設が続く仕組みが温存されております。
 また、国と地方の税財政改革を行うとしている三位一体改革も、結局は各省の省益を守ることのみに終始して、とても三位一体などと言えるようなものではなく、地方の苦しみが全く分かっていない内容であります。
 年金制度改革に至っては、これだけ多くの国民が将来の不安を訴えているのに、何ら国民的議論もないまま単なる数字合わせを行っただけで、取る分を多くして出す分を少なくするだけのことでは論評にも値しないものであります。国民の将来不安や制度に対する不信を払拭できないままの先送りでは単なる国民への負担の押し付けでしかなく、今でさえ四割もの人が払っていない国民年金も制度そのものの破綻が目に見えています。
 このようなことで改革と呼ぶには余りにほど遠く、ごまかしの改革で我が国を崩壊へと導く政治を認めるわけにはいきません。
 これらのことを前提に、以下、補正予算案に反対する具体的な理由を申し上げます。
 私たちは、被災したイラク国民に対して、医療、教育、経済分野などの人道復興支援については積極的に取り組むべきものと思います。しかし、今なお戦闘行為の続くイラクへの憲法違反とも言えるなし崩し的な自衛隊の派遣は直ちに中止し、支援の在り方全体を見直すべきであります。本補正予算に計上されているイラク復興支援費一千百八十八億円について、その拠出先、使途、運用等が明確でないままの拠出には断固反対の意思を表明します。
 反対の第二の理由は、義務的経費の大幅な追加が行われていることであります。
 本補正予算案では義務的経費について七千百七十九億円が計上されていますが、本来この経費は当初予算に計上しておくべきものであります。しかし、近年、財政が厳しさを増す中で、当初予算では過小計上して後から補正予算で追加するという、シーリング逃れとも思えるこそくな手段が毎年毎年行われています。
 あらかじめ当初予算編成の段階で支出の見通しが立たなかったのか。七千億円という巨額な経費を追加せざるを得ない予算というのは見積りが余りにも甘いと言わざるを得ません。
 当初予算の帳じり合わせの補正予算など、これから本予算を審議しようとしている中で、国会審議を形骸化させるだけで、財政法二十九条の趣旨にも反し、認められるものではありません。
 反対の第三の理由は、剰余金の使途についてです。
 本補正予算では、前年度剰余金受入れとして三千八百七十四億円が計上されています。しかし、剰余金とは、本来、財政法六条により、公債償還財源に充当すべきものです。
 本補正予算で国債の追加発行を行わないのは、全額剰余金受入れという例外的な措置を取っているからであって、政府による公債圧縮努力の成果ではありません。公債発行残高が平成十六年度末で五百兆円にも積み上がる厳しい状況の下では、剰余金は原則どおり公債の償還財源に充てるべきものであります。
 反対の第四の理由は、中小企業対策及び雇用対策が不十分なことです。
 中小企業対策として、本補正予算では約八百五十億円しか計上されていません。当初予算と合わせても、一般会計全体の一%にも満たない予算です。企業倒産はやや抑制されてきたとはいえ、依然として多くの中小企業は貸し渋り、貸しはがしにあえいでいます。失業率も少し改善されたものの、相変わらず高い水準のまま厳しい状況が続いているにもかかわらず、本補正予算では雇用対策が全く講じられていません。
 日本経済の屋台骨である中小企業、そして労働環境を改善し、公的部分を含めた積極的雇用創出を行うなど、本当のセーフティーネットを一刻も早く実現できるようにしなければなりません。その意味で、イラク復興支援費に比べ、日本復興のための対策には余りに少な過ぎて、とても効果が上がるとは思えません。
 以上のように、補正予算に反対する主な理由を述べてまいりました。
 小泉内閣は、外交、内政ともに重要課題へのかじ取りを誤っています。米国追従だけの外交姿勢、看板倒れの構造改革など、我が国と国民を崩壊へと導こうとしている小泉内閣に政権担当能力がないことは桃もクリも実る前に明らかになってまいりました。
 小泉総理はこの責任を真摯に受け止めるべきであり、一刻も早い退陣こそが日本の復興につながることを申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 115915254X00520040209_009

発言者: 高橋千秋

speaker_id: 216

日付: 2004-02-09

院: 参議院

会議名: 本会議