樋口俊一の発言 (本会議)

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○樋口俊一君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十六年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
 小泉内閣は、過去三年間、構造改革と称し、国民に不安を与え痛みばかりを押し付ける政治を行ってまいりました。この結果、国民の生活は今や破綻寸前にまで追い込まれ、将来の展望も夢さえも描けない状況で、自殺者の数も高水準で推移し、児童や弱い者への虐待は多発し、人心は疲弊、荒廃しております。この失政は厳しく問われなければなりません。
 イラク戦争開始の大義名分であったはずの大量破壊兵器がいまだ発見されないまま、政府・与党は自衛隊のイラク派遣をなし崩しで強行いたしました。イラクの地は、一般国民を巻き込んだ流血テロが絶えず、治安情勢は不安定で危険と隣り合わせであります。派遣された自衛隊員の方々は、我が国を代表して復興支援に取り組み奮闘しておられます。この自衛隊員の安全と無事の帰還を願わずにはおられません。
 我が党は、自衛隊の安全確保の観点から、サマーワにおける自衛隊の活動に関する質疑を行ってまいりましたが、政府は機密事項であることなどを盾として、不誠実な答弁に終始するばかりで、イラク問題に対する政府対応のずさんさ、認識の甘さが浮き彫りとなりました。国民への説明責任を全く果たそうとしない小泉内閣の姿勢は、責任ある政権とはほど遠いものであります。
 我が党は、被災したイラク国民に対する人道復興支援については積極的に取り組むべきものと考えます。しかし、それには前提条件があります。アメリカ追従の自衛隊派遣でないこと、我が国が主体的立場で国連を中心とした国際協調体制を再構築すること、イラク復興支援の在り方全体を見直すこと、以上三点が条件となります。
 一方、国内問題に目を向けますと、景気回復は一部の企業、製造業が主導する都市部のみ回復兆候があるものの、地方経済とその地域を支える中小企業の多くは景気の回復から完全に取り残されており、二極分化が極めて深刻な状況となっております。小泉総理は景気回復傾向が改革の成果だと自画自賛していますけれども、景気回復はあくまで民間企業の自助努力によるものであり、改革の成果とは全く別物であります。
 小泉内閣の掲げる構造改革は、改革と呼ぶには余りにもほど遠く、看板倒れに終わっております。その例が、鳴り物入りでスタートした道路公団民営化です。建設中の道路の一部凍結や国費を投入せずに三十年以内に四十兆円にも上る債務を償還すると宣言した道路公団改革は、小泉改革の目玉とも言えるものでした。しかし、でき上がった政府案は、当初期待された改革の理念とは似ても似つかない骨抜きの内容で、正に羊頭狗肉と言えるではないでしょうか。
 年金制度改革を見ても、保険料と給付年金額のバランス維持しか念頭にない厚労省案をベースにした改革案は、単なる数字合わせと妥協の産物にすぎず、改革と呼ぶにふさわしくないお粗末な結果に終わっています。
 国と地方の税財政改革である三位一体改革に至っては、地方に痛みを押し付けるだけの内容でしかありません。補助金と地方交付税を大幅に減らした一方で、税源移譲を十分に行われてないとなれば、地方経済は破壊的打撃を受けるのではないでしょうか。
 我が党は、高速道路料金の無料化、国民が真に安心できる年金改革、霞が関のひも付き補助金の基本的廃止など抜本改革を提案していますが、三年を経過した小泉改革内閣は機能不全に陥り、国民に犠牲ばかりを押し付けているだけであり、断じて認めるわけにはまいりません。
 以下、本予算に反対する主な理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、抜本的な年金制度改革を、改正を行わず、給付を引き下げ、国民に大幅な負担増のみ強いる内容となっている点であります。
 小泉内閣は、平成二十九年度までに厚生年金保険料の上限を一八・三%に固定することで、給付水準は現役収入の五〇%を確保すると宣伝しています。しかし、この数字は最高の条件に近いモデル世帯のものにすぎず、かつその試算の前提となる出生率や経済見通しも極めて甘く、実現不可能な内容であり、国民を欺く誇大広告であると断ぜざるを得ません。
 さらに、基礎年金国庫負担割合の引上げに関連して、小泉総理は、自分の任期中は消費税を上げないと無責任な発言をし、消費税の議論を避けております。持続可能な年金制度を構築するためには、消費税論議は欠かせないものであります。現行制度の延長線上だけで負担と給付の在り方を調整する小手先のつじつま合わせは、もはや限界に達しており、年金財政が破綻することは明らかであります。
 具体的な展望のないまま負担増では、国民の将来不安や制度不安を払拭できないばかりか、単なる国民への負担の押し付けでしかなく、到底認めるわけにはまいりません。
 また、国民に負担を強要する前に、年金資金の無駄遣いを改めるべきであります。今般、社会保険庁の役員宿舎やグリーンピアの建設に多額の年金保険料がつぎ込まれたり、年金保険料の納付促進のための広告に出演した女優さん自身が年金未納者であることが判明したりとか、無駄遣い実態が次々に明らかとなりました。放置してきた政府に対し猛省を促すとともに、その責任が厳しく問われなければ真の年金制度改革など断じてあり得ません。
 反対の第二の理由は、三位一体改革により、政府の失政のツケを地方に押し付けている点であります。
 地方交付税及び地方向け補助金がそれぞれ一兆円以上削減された上に、臨時財政対策債も大幅に削減される一方で、国からの税源移譲などの財源措置はわずか四千五百億円にとどまっています。このため、地方はこれまで歳出削減努力だけでは対応できず、基金を取り崩すなど、予算編成が困難な状況に陥っています。
 いまだ地方経済は冷え込んでいるにもかかわらず、大幅な歳出削減が続き、先行きが不透明のままでは、地方はどうして抜本的な改革を行うことができましょうか。このような地方へのしわ寄せを強いるだけの改革など、断じて認めるわけにはまいりません。
 我が党は、小泉内閣のように地方いじめの予算ではなく、国の裁量に左右されやすい補助金のほとんどを廃止する一方、一括交付金や十分な税源移譲を行うことによって、地方が自主性を発揮できる改革を行います。
 反対の第三の理由は、従来型公共事業を温存するなど、効率的な予算編成に向けた改革が全く進んでいない点であります。
 予算改革の掛け声だけで、公共事業の省庁別、事業別シェアは、既得権益に縛られ、ほとんど変化が見られず、予算の硬直化は何ら改善されていません。また、小泉内閣が公約に挙げた道路特定財源の見直しも、石原国土交通大臣は九千三百四十二キロの整備計画を超える道路見直し、道路建設を可能とする新直轄方式の可能性を示唆しており、全く進展が見られない結果に終わっています。
 道路公団民営化に至っては、不採算な道路建設をやめ、国民負担を最小化し、民間企業としてあるべき自己責任原則を確立するといった、本来あるべき民営化の理念が完全に欠如しています。償還主義や料金プール制を維持したままでは正に道路建設ありきの茶番としか言いようがなく、これを画期的な改革と評価する小泉総理の感覚を全く理解することができません。
 反対の第四の理由は、破綻の危機に直面している我が国の財政の再建への道筋が一向に見えない点であります。
 本予算では、国債発行額は約三十六兆六千億円と過去最高になり、租税収入は約四十一兆七千億円と、一般会計の半分しか賄うことができない異常事態となっています。さらに、十六年度末には、国と地方を合わせた長期債務残高が七百二十兆円にまで積み上がり、GDPの一・四倍にも達します。にもかかわらず、本予算では交付税特会への返済繰延べ等の隠れ借金を続けるなど、一時しのぎの対応を繰り返しており、借金依存の構造から脱却するめどが全く立っていません。
 かかる危機的財政状況下の下、二〇一三年度にプライマリーバランスを黒字化するという虚言を吐きながら、無責任な財政運営を放置する本予算など、断じて認めるわけにはまいりません。
 反対第五の理由は、中小企業対策及び雇用対策が不十分である点であります。
 景気回復の兆しが見え始めたとはいえ、それはあくまでアメリカや中国の景気に支えられたものであり、いまだ地方経済の中核を担う中小企業は不況から脱することができずに苦しみ嘆いています。雇用を取り巻く環境も依然として厳しく、失業者は三百万人を超え、特に若年者の失業者、とりわけフリーターの増加は我が国の将来にとって深刻な事態となっています。
 にもかかわらず、本予算では中小企業対策費はわずか〇・五%の伸びにとどまっており、さらに失業対策に至っては四百六十七億円の減額となっています。日本経済の屋台骨である中小企業及び労働者を冷酷に切り捨てる小泉内閣の本予算に対し反対するものであります。
 以上、本予算に反対する主な理由を述べました。
 本予算は、官僚の既得権益を放置したまま、構造改革が全く進まない状況と天文学的借金を未来永劫国民に押し付ける内容であることは間違いなく、改革断念予算又は国民虐待予算と呼ぶほかなく、正に小泉内閣三年間の失政を象徴するものと言えるでしょう。
 ビジョンなきつじつま合わせの予算が行き着く先は、我が国財政の破綻であり、国民生活の崩壊であります。我が国の将来を背負う……

発言情報

speech_id: 115915254X01020040326_005

発言者: 樋口俊一

speaker_id: 5335

日付: 2004-03-26

院: 参議院

会議名: 本会議