海江田万里の発言 (厚生労働委員会)
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○海江田議員 ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ提出の国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について、提出者を代表し、その趣旨を御説明いたします。
さきの通常国会で政府・与党の提案した年金改正法を審議していた時点で、各種世論調査では、国民の六割から七割がこの法律を成立させるべきではないと答えていました。にもかかわらず、与党は、この民意を無視し、衆参両院で異例の強行採決を行い、数の力で強引に法律を成立させました。与党による民意を踏みにじったこうした国会運営の結果、選挙中の世論調査では、この法律を評価しないと答える人が与党支持者でも半数を超えました。
そして、この民意は選挙結果で改めて明確に示されました。年金問題が最大の争点となったさきの参議院選挙で、与党は改選過半数を割り込み、自民党は第一党の座を滑り落ちるなど、国民は明らかに年金改正法案にノーを突きつけたのであります。
言うまでもありませんが、我が国の主権者は国民です。国民の総意が国の方向性を定め、社会のあり方を規定するのです。とりわけ年金のように国民生活に密接に関連する問題について、選挙による投票という形で民意が明らかに示されたのですから、国会がこれに従うのは当然であります。憲法において国権の最高機関と定められた国会の権威は、民意を代表するがゆえの権威であって、国民から乖離した国会に権威はありません。我々民主党は、民意に基づいて政治を行う責任ある政党として、選挙で国民に約束したとおり、年金改正法を廃止すべくこの法案を提出したところであります。
年金改正法が成立した後に厚生労働省が発表した二〇〇三年の合計特殊出生率は一・二九と過去最低を更新し、法律の想定を下回っています。少子化がこのまま続けば、改正法で政府が国民に約束した給付水準は守ることができません。政府・与党は、将来にわたって負担と給付をバランスさせたから抜本改革だと主張してきました。しかし、改正法は既に実現不可能であり、もはや従来の負担増、給付減の繰り返しにしかすぎません。それを抜本改革として、何の反省もなく実施に移すのは余りにも無責任ではないでしょうか。
改正法は、形式上も法律の体をなしていません。民主党議員の指摘をきっかけに、年金改正法には四十カ所もの過誤があることが判明いたしました。法律は国民の権利や義務を規定するものであり、その主体や要件などは明確であることが求められます。一つの法案の中に四十カ所もの過誤があれば、どのような要件で年金がもらえるのか、どのような要件で罰則が科せられるのか不明確になります。これはまさしく欠陥法以外の何物でもありません。改正年金法は形式的にも破綻をしているのであります。
法律として形式的にも実質的にも破綻している、このような法律を廃止せずして国会は立法機関とは言えません。参議院選挙で示された民意は、年金を一から議論し直すことであったのは明らかであります。これは与野党の違いを超えた受けとめ方ではないでしょうか。それならば、なぜ政府・与党はみずから改正法を撤回しないのか、なぜいともたやすく民意を踏みにじるのか、私たちには全く理解ができないところであります。
この欠陥法をこのまま放置しておくと、あと二ヶ月後には厚生年金保険料の引き上げが始まります。来年度からは給付額の実質的な切り下げも始まります。このような欠陥法で国民の権利を奪い、負担を増加させることは認められるべきものではありません。一刻も早くこの法律を廃止し、議論を一からやり直すべきであります。
以上の問題意識に立ち、国民の年金制度に対する信頼を一刻も早く回復するために、我々民主党はこの法律案を提出する次第であります。
以下、この法律案の概要を申し上げます。
第一に、先般の通常国会で成立した国民年金法等の一部を改正する法律及び年金積立金管理運用独立行政法人法を廃止いたします。また、平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律を改正し、国民年金事業における事務費の国庫負担の特例に関する措置等に係る規定を削除します。
第二に、基礎年金に係る国庫負担率を、歳出の抜本的な見直しを通じて、平成二十年度末までにその割合を二分の一とするものといたします。
第三に、平成十八年度末までに社会保険庁を廃止するものとし、公的年金制度における保険料及び国税の効率的な徴収を行うため、公的年金制度における保険料及び国税を徴収するための新たな行政機関を設置するものといたします。
第四に、年金官僚のむだ遣いの温床となっている福祉施設に係る規定を削除いたします。
第五に、改正法に盛り込まれていた事項のうち、改正が適当であり、かつ施行時期が近いものについては、改めて所要の改正を行うこととしています。三十歳未満の第一号被保険者に係る納付特例制度及び第三号被保険者の届け出の特例等に関する改正、在職老齢年金制度の改正、育児をする被保険者に対する配慮措置の拡充、企業年金等に対する改正等がこれに当たります。
最後に、抜本改革への道筋について、附則に公的年金制度の一元化のための検討等についての条項を設けました。この法案では、三党合意に基づいて衆議院で修正可決した部分も廃止となります。しかし、我々民主党は、与野党協議を否定しているわけではなく、むしろ公的年金制度の一元化を実現するために速やかに取り組みたいと考えております。そのために、修正部分をそのまま生かした上で、その期限を平成十八年度中と明記いたしました。また、国会議員互助年金制度についても、公的年金制度の一元化が実施されるまでに廃止することとしております。
以上が、この法律案の概要でございます。
年金改革の最大の目的は、年金制度に対する国民の信頼を取り戻すことにあります。参議院選挙で民意が示された以上、制度そのものの抜本的な改革に取り組み、国民の失われた信頼を回復し、持続可能な新しい年金制度の創設を目指すべきであります。そのためにも、民意に従い、さきの国会で数に物を言わせて強引に成立させた年金改正法を廃止し、議論をゼロからやり直すことを内容とするこの法案に対する御理解を賜るようお願い申し上げまして、趣旨説明を終わらせていただきます。