山口富男の発言 (憲法調査会)

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○山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。
 きょうの調査会では、海外調査の概要の報告と、派遣された四人の委員の方からの発言を受けたんですけれども、どうもお疲れさまでした。
 私は、私自身が二回海外調査に行ってまいりまして、その経験からいきましても、この海外調査というのは、貴重な経験があると同時に、時間的な点でも内容的な点でもいろんな制約もあったなということを感じています。同時に、世界の政治的、社会的な動向をきちんと押さえるということは、その目でもって日本国憲法の諸原則の値打ちというものをとらえ直すことになりますから、非常に大きな意味がある、そういう絶好の機会になると思うんです。
 その際に大事なのは、やはり、世界に対するさめた目といいますか、冷静な目と、日本国憲法が本来持っている諸原則の値打ちを、普遍的な性格と日本的条件を押さえておくことが大事になるんじゃないかというふうに思うんです。
 まず、世界の動向なんですけれども、イラク戦争をめぐっては、世界とアジアでアメリカのやり方に批判が集中して、あのイラク戦争が国際法にも国連憲章にも反したものだということで、世界の多数の国と国民がこれに反対を貫きました。最近も、アナン国連事務総長がイラク戦争は国際社会の立場にも国連憲章にも反した違法なものだったと言明したことは、日本でも広く報じられたところです。
 そして、九月の国連総会の各国演説を見ましても、国連憲章に基づく平和のルールを守ろうというのが世界の多数派であって、これに対して、先制攻撃戦略を持って現実にイラク戦争を実行したアメリカなどの主張と行動は、やはりこれに反する流れになっている。これが、私、今回の海外調査でもそのさまざまなあらわれが各所にあった、きょう発言を聞きまして、そのことを改めて感じました。
 そして、ヨーロッパ諸国が目指している方向というのは、アメリカの一国主義、単独行動主義の危険に対して、国連のもとでの多国間主義、これを目指すものです。イラク戦争をめぐっては、その対応をめぐっては、EUの中で対立が生まれましたけれども、基本的に、EUが国連を中心とする国際秩序を守って強めることを志向しているということは、この調査会でのツェプターEU大使の発言でも確認されたことだというふうに思うんです。
 私が重要だと思いますのは、こうした動向が、ヨーロッパだけでなくて、アジアやラテンアメリカでも共通に確認されているということだと思います。
 例えば、昨年十一月に開かれたラテンアメリカ会議でサンタクルス宣言というものが出されておりますが、これを見ましても、国連憲章で確立された国際法の目的と原則、主権の尊重、国家間の法的平等、不干渉の原則、国際関係における武力による威嚇や武力行使の禁止、領土保全の尊重、紛争の平和的解決、人権の擁護と促進を支持する、この立場をうたっています。
 そして、ことし九月に中国の北京で、アジア三十五カ国、八十三の政党が参加して第三回アジア政党国際会議が開かれました。ここで採択された北京宣言を見ますと、国連憲章、平和五原則及びバンドン精神十原則の目的と精神に従い、対話と協議を通じて相違点を解決することを主張する、また、我々は、戦争、侵略、覇権に反対する、我々は多国間協力に尽力し、正義によって平和が確保されると信じるというふうにしています。
 このように、テロも無法な戦争も許さない、世界の平和秩序を求める流れが二十一世紀に広がっているということを確認できると思うんです。
 もともと国連憲章は、個々の国が勝手にやる戦争を認めないし、各国の自主、協調によって平和と安定をつくるということをうたったわけですけれども、日本国憲法は、この立場を日本で具体化したものです。そして、特に日本国憲法は、戦争放棄をさらに進めて、第二項で戦力の不保持と交戦権を放棄したわけですけれども、ここに、世界の平和の流れの中で先端を行くと評価されている憲法の大事な到達点があると思います。
 来年の夏に、国連のアナン事務総長の呼びかけで大規模な国連NGO会議がニューヨークで開かれますけれども、これは武力紛争予防のための市民社会の役割をテーマにしていますが、この中では、東北アジアの紛争防止装置としての憲法九条の役割を強調し、それを課題として考えるという準備が進められていると報じられております。
 このように、二十一世紀の世界という大きな視野から見たときに、私は、九条の掲げる方向が、国連憲章に基づく世界の平和秩序の確立という点で新しい意義と力強さを持ってきているということを感じているという点で、発言にかえたいと思います。

発言情報

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発言者: 山口富男

speaker_id: 25006

日付: 2004-10-14

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会