葉梨康弘の発言 (憲法調査会)
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○葉梨委員 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
大きく二点について申し上げたいと思います。第一点は二院制の意義ということ、第二点は現行憲法の欠点ということでございます。
二院制の意義については、先般来、発言者からいろいろと御発言がありました。学説の紹介等もあったわけですが、私は、それに加えて、別の観点から一点、二院制を維持するメリットというのを申し上げたいと思います。これは議員立法との関連でございます。
昨日採決が行われました発達障害者支援法、これは衆議院の委員長提案ですから、衆議院においては審議は行われておりません。参議院においてのみ行われています。これから議員立法がしっかりとやっていかなきゃいけないといったときに、衆法について衆議院だけが行うということではなく、衆法については参議院が審議をすることが大切。それから、委員長提案ですから、発言はあったんですけれども、審議という形では行われていない、あれはあくまで発言ですから。また、参法についてはやはり衆議院が審議を行うという形で、やはり議員立法というのがこれから重大になってくるのであれば、それぞれの院がそれぞれの見方から審議を行っていくということも必要かなということで一点申し上げたいと思います。
ただ、今現在の衆議院、参議院のあり方について、現行憲法の決定的な欠点というのがあります。
一つは、選び方についてでございます。
憲法四十三条、四十四条、それから十四条という形で、参議院と衆議院の選び方について、国民との関係については現行憲法は差を設けておりません。したがって、参議院であろうと衆議院であろうと、やはり一票の重みということに重点を置いた選挙制度をとらざるを得ない。ですから、選挙区の大きさを多少違えたにしても、ある程度その一票の重みということを、まあ二分の一なのか三分の一なのか、考えていきますと、どうしても構成としては同じような構成になってこざるを得ないだろうと思います。
道州制の議論もありますけれども、私は、道州制を絡めて議論するまでもなく、例えば、衆議院については一票の重みを絶対徹底するんだ、参議院についてはある程度一票の重みを外しても地方の意思を反映するんだというような形で切り分けた書き方をしていきませんと、どうしても院の構成というのが似通ってきてしまう、これが現行憲法の一つの欠点だと思います。
もう一つの欠点は、内閣と国会との関係において、内閣から参議院に対して、チェック・アンド・バランスとありますけれども、抑制機能が全く現行憲法上書き込まれていないということです。
予算関連法案について参議院が否決した場合に国政運営ができなくなるので、ここのところをどうしたらいいかという議論は今までも行われたことがありますけれども、予算関連法案が非常に技術的なものであったり、審議未了であってもそんなに影響がなかったり、あるいは参議院において多数を政権党がとっていたということで今まで問題にならなかったわけですが、大きく国論が二分するような状況になって、例えば、自衛隊について、自衛隊は自衛のために持つのか、あるいは自衛のためには自衛隊を持てない、国際貢献のためにしか持てないという、大きく国論が二分して、前の国論、つまり、今のような自衛隊の形の国論を参議院が反映し、そして、新たな解散・総選挙によって、自衛隊は自衛のためには持てない、戦力は国際貢献のためにしか持てないというような政権党が政権をとったとします。
そして、自衛隊法を全部改正して国際平和協力法を出す、そして予算も組み替えるというような法案を出したときに、約五兆円から六兆円の予算になりますが、その予算を、予算は衆議院が成立させた、ところが、その執行のためには、自衛隊法が国際平和協力法に変わっていなければいけない。ところが、自衛隊法が自衛隊法のままで参議院がその全部改正を否決してしまった場合に、内閣としては参議院に対して何らの文句も言えないというような状況が起こります。
衆議院と参議院との優越の関係だけではなくて、国会と内閣との関係において、例えば、こういった場合には、参議院の議決に対して、アメリカの大統領が持っているようなビートー、拒否権、これを持つとか、そういった形で、国会と参議院という形の抑制を考えていかなければ、これが現行憲法においては決定的に欠けている点でございます。
ですから、その意味では、国会と内閣の関係ということでまた見直していくことが必要だというふうに考えております。
以上です。