太田昭宏の発言 (本会議)
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○太田昭宏君 私は、公明党を代表して、さきの小泉総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
本年は、集中豪雨や地震、火山の噴火、さらには台風が九つも上陸するなど、史上まれに見る災害に見舞われる年となりました。亡くなられた方の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、災害により困難な生活を余儀なくされておられる皆様にお見舞い申し上げます。
脆弱国土をだれが守るか。まさに、治山治水、そして耐震は国の基本であります。今般の災害ではとりわけお年寄りなどの災害弱者に被害が集中しており、こうした観点からの総点検、見直しを行っていくべきであります。
これからの災害対策に向けた決意、あわせて、明年に迫った三宅島への島民の方々の帰島に向けた政府としての支援、取り組みについて、小泉総理並びに北側国土交通大臣の決意を承りたいと存じます。
さて、私は、ちょうど二年前の本院本会議において、我が国は、負の遺産の清算と二十一世紀日本の未来の創造という大きな歴史的分水嶺にあると申し上げました。そして今、負の遺産の清算から、未来を切り開くための改革を本格的に進めるときが来たと思うものであります。
時代の変化は激しく、グローバリゼーション、少子高齢化、環境重視、治安の悪化など、社会の構造変化にどう政治が対応するか。まさに政治の役割は大きく、構想力とスピードと決定力が求められています。「民の憂い募りて国滅ぶ」との言葉どおり、私は、変化に対応するときにまず立脚すべきは庶民と現場であると思います。
この八月、九月、公明党は、全国各地で列島縦断フォーラムを開催し、中小企業や福祉の現場で働く皆様と対話を重ねてまいりました。変化激しき時代であるからこそ、現場の声、庶民の声を聞き、国民のための改革に邁進する決意を込め、以下、何点か質問をいたします。
我が国経済は、経済構造改革の進展、民間企業の献身的な経営努力、世界経済の景気拡大等も相まって、回復過程に入りました。景気回復を確実なものにすることこそ、今、最大の課題であります。
原油価格の高騰や依然続いているデフレの影響、若年者の失業問題など課題は多く、特に地方や中小企業へのバックアップこそ重要であり、適切な対策を講じていくべきであります。あわせて、明年四月のペイオフ解禁に向け、着実に実施に移せるよう、金融システムの安定、特に地域金融の安定を図っていくことが不可欠であると考えますが、これらについて総理の御見解を承りたいと存じます。
次に、経済再生のかぎである地域再生について、具体的にお伺いいたします。
中小企業、地場産業、商店街を成長のエンジンにすることなくして、地域の再生はありません。ところが、近年、全国の歴史も名もある商店街が荒廃する事例が相次いでいます。よく見ると、商店街の中心の大型店舗が閉店したと思ったら、急速にシャッター商店街に変貌してしまう。これら大型店の閉店は、その約七割が、より大規模な店舗が郊外に立地したことが原因と言われます。
中長期の観点から都市計画、さらに言えば地域のコミュニティーのあり方、特にまちづくりには生活環境概念を大きく取り入れることなどの検討が不可欠であり、また、都市計画において、隣接する市町村などとの広域的な調整が必要だと考えます。
まちづくり三法の施行等から六年、ここで現状を踏まえて抜本的に見直し、都道府県の総合的な都市計画の調整機能を強化すべきであると考えます。また、チェーン店と地域との共生やまちづくり条例の制定支援が大切だと思いますが、政府の見解を伺います。(拍手)
次に、中小企業対策についてであります。
我が党は、無担保無保証融資や売り掛け債権担保融資制度といった中小企業の資金調達の円滑化、さらには創業・ベンチャー企業への融資、個人保証の見直し、経営革新に挑戦する中小企業への融資の拡充などを訴え、その導入、拡大がなされてきております。
景気の回復によって民間金融機関の中小企業融資増加への兆しは出てきましたが、なお公的金融機関の役割は大きいと考えます。特に、無担保無保証融資の拡大、資金調達の円滑化、多様化をさらに進めるとともに、新進気鋭のベンチャー起業家、若手・女性経営者を初め、なお民間資金調達が困難な企業や個人に対しての支援をより一層図っていくべきと考えます。地域小規模事業者のための相談指導体制の強化やSBIRの拡充等も含め、中小企業対策についての総理の認識をお伺いいたします。
住宅基本法の制定について申し上げます。
少子高齢化、国民の住宅ニーズの多様化や家族形態の変化、地方分権の進展など、住宅をめぐる環境は大きく変わってきております。私は、少子高齢化や階層分化が指摘される中で、住宅はますます社会安定の基盤であるとの思いを深くいたします。
住宅のセーフティーネット機能の向上などについての公的責任とは一体何かなどについて、その理念、哲学を含め、住宅基本法として国の基本姿勢を明らかにすべきであると考えます。住宅基本法制定は我が党の十年来の主張でありますが、総理の見解を伺います。
次に、社会保障制度改革についてお尋ねいたします。
少子高齢社会の進行と人口減少社会に入ろうとしている我が国にとって、社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするための改革は、もはや待ったなしであります。
先般行われた年金制度改革に続き、平成十七年には介護保険制度改革、そして平成十八年には医療制度改革が控えており、年金、医療、介護等を一体的にとらえた改革と財政、税制の抜本的な改革が重要であります。とりわけ医療と介護は、高齢者の保険料や自己負担のあり方、両制度の連携及び役割の明確化など、トータルな見直しの議論が不可欠であります。
そうした観点から、本年五月六日には、自民党、公明党、そして民主党の三党間において、年金の一元化問題を含めた社会保障制度全般の一体的見直しなどを内容とする三党合意が交わされました。与党としても、公党間の約束に従って早急に議論を開始すべきであると、野党第一党である民主党に重ねて強く申し上げる次第であります。(拍手)
他方、政府でも、社会保障の在り方に関する懇談会が発足し、税、保険料等を含めた負担と給付のあり方など、制度の一体的な見直しの議論がスタートしています。財源も含めた社会保障制度改革のビジョンについて、総理のお考えを伺います。
少子化対策については、平成十五年の合計特殊出生率が一・二九と過去最低となるなど、国を挙げた取り組みが喫緊の課題となっております。
これまで、新エンゼルプランや待機児童ゼロ作戦に基づき、子育てと仕事の両立支援策が強化され、また、昨年は、次世代育成支援対策推進法や少子化対策基本法が成立し、国、地方自治体、企業等が一体となって次世代育成支援に取り組むための枠組みがつくられました。さらに本年六月、少子化対策大綱の策定によって、今後の政府の取り組みの方向性が示されました。
持続的な社会保障制度の基盤を支え、また、これら次世代育成支援施策の効果的な推進を図るためにも、新エンゼルプランにかわる新たな次世代育成プランの策定を急ぎ、総合的な取り組みが必要と考えますが、厚生労働大臣のお考えを伺います。
若年雇用問題についてお伺いいたします。
平成十五年のフリーター数が二百十七万人に達し、また最近では、無職で、教育や職業訓練を受けていない若年無業者、いわゆるニートの数は五十二万人とも言われております。こうした若者に対し、実情を踏まえた幅広い就業支援策を打ち出すべきであります。公明党の主張によって、若年者トライアル雇用やジョブカフェなどの施策が実現し、また、来年度から若者人間力強化プロジェクトが始動する予定ですが、教育段階からの職業意識の形成等、一人一人に即したきめ細かな取り組みが必要であります。
若年雇用問題、ニートに対しての認識とさらなる支援策について、総理並びに厚生労働大臣の御見解を伺います。
郵政事業の民営化についてであります。
去る九月十日、郵政民営化の基本方針が閣議決定され、方向性、骨格が大枠として示されました。民営化問題における制度設計の前提となる事項等につき、簡潔に総理のお考えをお聞きしたいと存じます。
第一点は、民営化の目的、必要性について、国民の皆様に改めて総理の言葉でわかりやすくお示しいただきたい。
第二点は、今般の基本方針はあくまでも基本方針であって、これからの詳細な制度設計の取りまとめの中で、全体像の提示など、政府・与党間での緊密な議論と合意形成、並びに国民への説明責任を果たしていく必要があると考えます。取りまとめの時期、法案策定・提出までのスケジュール、与党との調整についてお尋ねをしたい。
第三点は、民営化の基本五原則、すなわち利便性原則、配慮原則、活性化原則、整合性原則、資源活用原則に忠実に従って制度設計を行っていただきたいという点であります。民営化はあくまでも国民利便性の向上のためであり、仮にも競争の導入に名をかりた国民サービスの後退、低下等があってはなりません。また、現在頑張っている四十万人職員の方々の雇用の安定の確保について、明確な御見解を伺います。
次に、三位一体改革であります。
そもそも三位一体の改革とは、従来の中央省庁主導の縦割り画一行政を打破し、地域における個々の政策判断を住民主導で行うシステムに切りかえ、真に自立した地方自治体を目指すという地方分権の土台の改革であります。また同時に、二十一世紀の国と地方のあるべき姿の構築に向けた大きな国家ビジョンの踏み台であると考えております。
その意味で、財政論のみでなく、こうした本来の原点、目的に立ち返って、国の担うべきもの、地方にゆだねるべきものとを十分に論議を尽くしていくべきだと考えます。小泉総理の見解を伺います。(拍手)
教育は、今最も重要な問題です。
私は、かねてより、今日の教育にあって最も取り組むべき課題は三つあると訴えてきました。第一に大学改革、第二に学力低下の問題、第三に不登校、学級崩壊などの問題、この三点であります。政府は、この三つの課題についてどのような認識を持ち、対策を考えておられるのか、総理並びに文部科学大臣にお聞きいたします。
その上で、公明党のこれまでの主張は、学校、家庭、地域が相互に連携し合い、地域が学校を支えていく、開かれた学校のシステムを構築していくことであります。
具体的には、学校長を中心として、保護者や地域住民などが学校運営に参画していく学校運営協議会制度の全国展開、また、兵庫県のトライやる・ウイークのような、子供たちが学校を出て、地域の方々の御協力を得て行う一週間程度の職業体験活動をすべての中学校に導入することを提案いたします。また一方で、学校の安全確保も重要であり、学校安全警備員、すなわちスクールガードを小学校に配置することを提案いたしますが、文部科学大臣のお考えを伺いたい。
同時に、教育にとって重要なのは、やはり教師であります。教育改革は教員改革であると言っても過言ではありません。河村前大臣は義務教育改革案として教員育成の大幅改革を提唱され、今後、中央教育審議会で検討されると伺っております。私も、教員になるための教育実習の期間を大幅に拡充することや、今後、教員の養成期間を専門職大学院に広げていくなどの諸改革をする必要があると認識します。文部科学大臣の御所見を伺います。
イラク問題について申し上げます。
イラク情勢は、依然、予断を許さぬ状況にあります。私は、昨年六月、イラクを訪問して以来、一貫して、イラクの民生の安定こそ平和の礎であり、電気、水、医療、そして雇用など広範な人道支援が大事である、自衛隊派遣もまた人道復興支援に徹することだと主張してまいりました。
先日、自衛隊が派遣されているサマワを県都とするムサンナ県のハッサーニ県知事等と意見交換をいたしました。ハッサーニ知事は、イラクにおける自衛隊や外務省の努力を高く評価し、イラク国民が苦しんでいるときに自衛隊は適切な支援をしてくれた、サマワ市民も大歓迎しているとして、日本の復興支援が、サマワだけでなく南部の他地域やイラク全体にとってよいモデルになっていることを強調しておりました。さらに知事は、電気などの基礎インフラがまだ不十分である、新しい、長期にわたる広範なプロジェクトをお願いしたいと言っておりました。
サマワの安定に自衛隊が果たした役割は大であり、ムサンナ県が他の地域のモデルになっている状況をさらに一歩進めることが、イラクの復興、さらには日本・イラク関係の今後に重要だと考えます。政府の具体的な意思を示していただきたいと思います。
次に、北朝鮮問題についてであります。
政府においては、依然、安否不明の十人を初めとする拉致問題の全面解決へ向け、対話を基本としつつも、経済制裁等も選択肢とした毅然たる対応を含め、最大限の努力をしていただきたい。そして、国際社会の責任ある一員となることが北朝鮮の利益に最もかなう選択であることを粘り強く説得していただきたいと思います。日朝平壌宣言を踏まえ国交正常化に取り組むのは当然として、今大事なことは、米韓両国との緊密な連携、中国、ロシアや国際機関とも協力しつつ、北朝鮮に対し、核兵器開発の放棄を強く求めることであります。
政府の拉致問題解決へ向けての具体的な取り組み、そして、六カ国協議の再開の見通しについてお答えいただきたいと存じます。
最後に、政治と金の問題について質問をいたします。
政治に対する国民の信頼、これこそ改革の原点であります。しかし、日本歯科医師連盟の一億円の献金問題は、国民の政治に対する信頼を大きく失墜させました。
政治と金については、政治家一人一人が常に襟を正していくとともに、再発防止策を講じなければなりません。第一には、政党及び政治資金団体以外の政治団体間の寄附については、青天井ではなく、年間限度額など一定の量的制限を設けること。第二には、政治団体間の寄附については、手続のより透明化を図るために銀行振り込みなどを義務づけることであります。
これらの課題に関しては、政治への信頼回復に向け、特に、今般の問題の発端となっている自由民主党自身が、疑惑について国民にその事実を明らかにするとともに、真摯に取り組まれんことを、連立を組む友党として強く要望するものであります。
小泉総理に対し、その決意をお伺いし、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕