浜四津敏子の発言 (本会議)
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○浜四津敏子君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました所信表明演説を中心に、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
初めに、度重なる豪雨や大型台風上陸により被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
政府は、被害の復旧に全力を挙げるとともに、激甚災害法、天災融資法の速やかな発動及び制度融資の弾力的運用などについて、被害者の方々の立場に立った施策に万全を期すべきであります。また、何よりもまず、治山治水を始め国民が安心して暮らせる国土を造ることが大事であります。
直面するこの緊急課題につき、総理並びに国土交通大臣に伺います。
第二次小泉内閣は、総理自らが郵政民営化実現内閣と言われるように、郵政民営化の実現を最大の目的とされています。しかし、今、日本が抱える課題は、政治と金の問題、年金、介護、医療など社会保障制度改革、北朝鮮による拉致問題、沖縄米軍基地問題、日中関係、三位一体改革など、困難な問題が山積しております。郵政民営化だけにとらわれることなく、これらの課題に果敢に挑戦し、改革の成果を上げられるよう、全力を尽くしていただきたいと思います。
郵政民営化についても、総理の並々ならぬ御決意と国民の理解とは大きく懸け離れているのではないかと思われてなりません。内閣改造後に行われたある新聞の世論調査で、新しい内閣で一番力を入れてほしいことは何ですかとの問いに、年金・福祉問題が五二%、景気・雇用対策が二八%などに対し、郵政民営化はわずか二%で最下位でした。これでは、事実上、国民は民営化の必要性をほとんど理解していないのと同じだと言われてもやむを得ないと思われます。
総理御自身はこの数字をどのように受け止められるのか、お聞かせください。
民主主義の政治で大事なのは、国民の皆様に対して説明責任を果たすこと、また説得の努力を尽くすことであると思います。なぜ民営化が必要なのか、なぜ優先課題なのか、目指す将来像はどういうものなのか、どのようにして移行するのか、国民の皆様にとってのメリット、デメリットは何か、そういう基本的な事項について、総理御自身がこの場で明確に語っていただきたいと思います。また、今後の取組についてのお考えも伺います。
自民党と公明党の連立政権は、十月五日で満五年になりました。この五年間、公明党は、一貫して連立の信頼関係を重視しながら、生活者の目線に立ち、政策実現政党として様々な政策を実現してまいりました。今後も生活与党として、国民の皆様のための改革を前進させていく決意でございます。
その視点から、以下、質問をさせていただきます。
公明党は結党以来、一貫してクリーンな政治の実現を目指し、殊に連立政権に参加して以降、あっせん利得処罰法、政治家個人への企業・団体献金の禁止など大きく前進させてまいりました。しかし、まだ課題は残っております。そうした中で起きた日本歯科医師連盟の一億円献金問題で、今また政治と金をめぐり政治不信が高まっております。
政治に対する信頼を回復するためにも、政党及び政治資金団体を除く政治団体間の寄附について、現行無制限となっている献金額に上限を設けるとともに、献金の透明化を図る観点から銀行振り込みなどを義務付けるべきと考えます。総理の御見解を求めます。
去る八月十三日に起きた沖縄県の米軍ヘリ墜落事故は、改めて住宅地に隣接する基地の危険性をまざまざと見せ付けました。
それとともに、事故の重大性を踏まえて沖縄県警が要請した現場検証を米軍は拒否し、一方的に事故機を撤去したと伝えられる行為は、日米地位協定の実効性を疑わせるものであり、同協定の抜本的見直しの必要性を改めて痛感させるものでした。
私は、事故当時ちょうど沖縄におりましたので、直ちに現場に急行しました。墜落ヘリは大学の校舎のブロックを削り取り、建物に黒い焼け跡を残しながら黒煙を上げておりました。そして、巨大な主翼や尾翼のローターなどが周辺住宅地に落下し、無数の破片が民家を直撃しました。
私は、被害を受けた民家を訪ねました。ブロックの破片やヘリの部品が窓ガラス、ドア、ふすままでも突き破り、部屋じゅうにガラスが飛び散り、生後六か月の赤ちゃんが寝ていたすぐわきにも破片が突き刺さっておりました。死傷者が出なかったのが不思議なぐらいで、一歩間違えれば大惨事になっていた事故でした。
我が党は、度重なる現地調査をし、稲嶺沖縄県知事を始め関係者とも意見交換し、政府への申入れなども行いましたが、地元の要請が全くと言っていいほど実現していないことは誠に遺憾であり、改めて政府の姿勢が問われていると思います。
沖縄県民の切実な声に対し、真摯に耳を傾け、打開策の検討に着手されているのか、まずはお伺いします。
最大の再発防止策は、普天間基地の早期移設です。そのために政府として具体的にどのような努力をしておられるのか、伺います。
沖縄の基地負担を軽減させる方策については、在沖縄米軍の国内移転と国外移転とが考えられますが、我が国が米国と交渉する基本方針が明確でありません。この点について明確に御答弁いただきたい。あわせて、日米地位協定の見直しについての総理の御見解を求めます。
次に、国民の皆様が今一番強い関心を持っておられる年金問題についてお尋ねします。
さきの通常国会では、給付と負担の均衡を図り、世代間の格差をなくして、将来にわたり持続可能な制度を作るための年金改革法が成立しました。
引き続き、年金制度の一元化、第三号被保険者の取扱い、社会保険庁改革、無年金障害者対策などの課題が残されています。これらの課題に積極果敢に取り組み、制度の信頼回復に努めなくてはなりません。
こうした問題に取り組むためにも、本年五月の自民、公明、民主の三党合意に基づき、与野党協議の場を設けて一元化問題を含む社会保障全体の在り方を議論することが急務と考えます。
この点につき、どのようにお考えか、総理にお伺いします。
我が国の景気はようやく回復しつつあると言われております。しかし、大企業と中小企業では格差がありますし、また、業種や地域によって偏りがあるのが実態です。ようやく上向き出した景気回復の足取りをより一層確かなものとするためにも、こうした経済の実態を踏まえた取組が政府に求められています。
特に地域再生のために不可欠なのが、地場の中小企業の活性化です。中小企業の多くは厳しい環境の中で積極的に事業革新に取り組んでおり、また、最近では、複数の事業者が連携することにより、大企業と対等以上に競い合う事例も見られます。中小企業は日本経済を支える大きな柱ですから、政府は中小企業をしっかりとサポートすべきです。
公明党は、中小企業の皆様の声をしっかり受け止め、これまでも資金繰り円滑化借換保証制度を始め様々な中小企業支援策を提案し、その多くが実現されてまいりましたが、全般的に経済が上向きつつある今、更に力強い支援策が必要です。
その一つとして、現在の創業・経営革新支援策は、法律も三つに分かれ、縦割りで使い勝手が悪いと指摘されていますが、それを一つにまとめて中小企業を総合的に支援する法律を制定するなどして、企業連携、販路開拓などを支援すべきと考えます。経済産業大臣の御見解をお聞かせください。
次に、中小企業への融資について伺います。
中小企業の皆様が特に関心を寄せておられるのは包括根保証の撤廃で、公明党も強く主張してまいりました。長引く不況で経営不振や倒産に至る事業者が後を絶ちませんが、特に包括根保証を抱える事業者は、全財産を身ぐるみはがされる上、更に過酷な責任を追及されて、自殺に追い込まれる例が少なくありません。過去最悪を記録した昨年の自殺者のうち、自営業者は実に四千二百十五人と、十人に一人以上が自営業者でした。
このように、一度倒産したら二度と立ち上がれないような今のシステムを見直し、再挑戦できるシステムへと改めるべきだと考えます。その意味で、人生を丸ごと担保に提供しているのと同じとまで言われる包括根保証の撤廃は急務です。今後の見通しなどについて法務大臣に伺います。
また、元々担保力や信用力の乏しい中小企業への融資については、金融機関は、現在のような不動産に重きを置く担保の在り方を見直し、中小企業の事業計画や経営者の資質、技術力、将来性などを評価して融資する姿勢に転換すべきと考えます。この点、一部の大手銀行が創業期のベンチャー企業に対して、その成長性を独自に評価して無担保で融資する成長性評価システムを導入する動きを見せていることは注目されます。金融機関に対し、是非こうした方向性を促す行政指導や誘導措置が望まれますが、総理の御見解を伺います。
私は、本年四月、日本医科大学付属千葉北総病院のドクターヘリを視察し、関係者の方々の御意見を伺いました。当日、高度の緊急手術を要する幼児をドクターヘリが千葉から東京世田谷の成育医療センターにわずか十五分で搬送する現場にちょうど立ち会いました。こうした急病に限らず、一分二分を争う交通事故の被害者救援に大きな力を発揮するのがドクターヘリです。
ドイツでは、昭和四十五年にドクターヘリを導入後、約二十年間で交通事故による死亡者の数は三分の一に減少しました。我が国はドイツに後れること三十年、アメリカに後れること二十年、イギリスに後れること十年と言われています。
ドクターヘリは、現在、全国でわずか七県、計八機が導入されているだけです。そして、現場では、ヘリが飛べば飛ぶほど赤字が増える、高速道路上に着陸できない、そもそもドクターヘリの絶対数が少ないなどの問題が指摘されています。
ドクターヘリは一番早く事故現場に到着できますから、より多く導入し、高速道路にも着陸できれば確実に交通事故による死者の数を大きく減らすことができ、また後遺症も格段に軽くすることができます。ドクターヘリの導入の障害になっているのは、ひとえに事業主体の都道府県が一機九千万円弱という財政負担を懸念しているためですが、事業を予定していた幾つかの県がここに来て、三位一体の補助金改革によって導入をちゅうちょし始めました。このままではドクターヘリの増加は期待できません。
小泉総理は、年一万人以上だった我が国の交通事故死亡者数を五千人にまで減らすことを明言されています。そのためにはドクターヘリの活用が不可欠です。
かつて政府内では、ドクターヘリの運営資金として、損害保険会社など関係企業・団体の民間資金を仰ぐ案が浮上したとも聞きます。また、ドクターヘリは厚生労働省の所管ですが、それ以外にも全国で六十九機配機されている消防庁の防災ヘリをドクターヘリとして活用することなど、あらゆる手段を講じて全国三十か所でドクターヘリを導入するという政府の約束を果たしていただきたい。より多くの方々の命を救うとの一点で、厚生労働省、国土交通省、警察庁、消防庁などが連携し、真剣に取り組むべきと思います。総理の勇気ある決断を求め、お考えを伺います。
また、ドクターヘリの高速道路上への着陸について、国土交通大臣にその実現を強く要望いたします。前向きのお答えを期待いたします。
我が国は、従来、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済活動により発展を遂げてまいりました。しかし、将来へ向けて、こうした経済社会の在り方を根本から見直し、子供たち、そして更に続く後世代の人たちのために、美しい健康な国土と緑の地球を守り、残していかねばなりません。
そのために、我が党が、かねてよりごみゼロ社会への転換を主張し、それに基づき提案した循環型社会形成推進基本法が平成十二年に成立しました。その後、その下で具体的な法整備をし、政策を前進させてまいりましたが、直面する課題として、廃棄物のリサイクルと適正処理の対策強化があります。廃棄物については、なお大規模な不法投棄が後を絶ちません。不法投棄は環境を破壊するだけでなく、原状の回復に莫大な費用を要します。その費用には国民の皆様の税金が使われます。経済的にも大きな損失です。
不法投棄は、循環型社会の基盤を崩すものであり、何としてもなくしていかねばなりません。そのためには、規制の強化や監視体制の整備はもとより、廃棄物の受皿の確保も含め、強力な対策を総合的に講じていく必要があると考えます。
また、リサイクルについては、当面は、来年予定されている容器包装リサイクル法の見直しをしっかりと行うことが重要です。
特に、近年、多くの市民団体や地方自治体が指摘しているように、市町村の分別収集に関する費用負担の問題を解決することが今回の見直しの最重要課題でもあります。
拡大生産者責任の考え方を一層徹底し、リサイクルはもとより、リデュース、リユースも含めて、一層の効果が上がるよう制度を強化していくことが重要と考えます。これらについて、総理の御見解を伺います。
本年、司法制度改革は総仕上げを迎え、推進本部は十一月に役目を終えて解散することになっています。市民の司法参加を実現する裁判員制度や、全国どこでもだれでも法律サービスを受けられる司法ネットの整備など、司法制度改革の目玉と言われる制度はできても、それを国民の生活に真に根付かせるための具体的な施策はこれからです。また、民事法律扶助や公的刑事弁護などを十分に機能させるためには、更なる財政支援が必要です。
総理は、所信表明演説で改革に引き続き取り組んでいくと言われておりますが、立法措置がなされた後の法律や制度の施行こそ重要と私は考えます。今後の政府の取組について、総理の御所見を伺います。
次に、人身売買を犯罪として取り締まること、及びその被害者保護の必要性についてお尋ねします。
一九九〇年代前半ころから、タイやコロンビア、フィリピン、中国、メキシコ、ウクライナなどの国から大勢の女性たちが商品として日本に送り込まれてきました。アメリカの人身売買に関する報告書では、日本は人身売買の監視対象国とされています。日本は、今や世界最大の人身売買受入れ国との不名誉な指摘を受けているのです。
これらの女性たちはだまされて来日するケースも多く、通常、一人数百万円の架空の借金が課せられ、パスポートを取り上げられて監禁され、売春などを強要され、逃げると殺すなどと脅され、ひどい暴力を振るわれたりします。こうした女性たちは不法滞在者として処罰されています。しかし、処罰されるべきは人身売買のブローカーなどであり、女性たちは被害者として救済され保護されるべき対象のはずです。女性相談所に保護された人身売買による被害者は、平成十三年から毎年増加しています。まず、我が国における人身売買の実態、取締りの現状、被害者の保護などに関し、法務大臣にお伺いします。
我が党もこのたび、党内に人身取引による被害者保護対策プロジェクトチームを立ち上げ、与党としてこの問題を現実的に解決するため真剣に取り組んでまいります。
総理、人身売買犯罪対策及びその被害者の保護、救済につきどのようにお考えか、お聞かせください。
若者の就業支援のため、我が党はトライアル雇用やジョブカフェ、インターンシップ制度などを提案し、それらが実現された結果、一昨年から若者の失業率が少しずつ改善してまいりました。しかし、それでもまだ若者の失業率は全年齢平均の二倍以上に上っています。さらに、ニートと呼ばれる若年無業者の増加が大きな社会問題になっています。仕事をする意欲もなく、学校にも職業訓練にも行かず、社会とのつながりを持つことができないニートは五十二万人以上いると言われています。
そこで、公明党は以下の政策を提案し、それらは来年度の概算要求に取り入れられました。その一つは、合宿形式による集団生活の中で生活訓練や労働体験を行い、社会人としての基本的な能力や働く意欲を養う若者自立塾。二つ目には、ボランティア活動や職場体験が採用に反映される体制を作るためのジョブパスポート。三つには、中学生が五日以上職業体験をするキャリア教育実践プロジェクトなどです。こうした一つ一つきめ細かい政策を実施することにより、必ず効果が上がるものと思います。
若者がフリーターやニートになるには、それぞれ異なる理由があり、置かれた状況も異なります。それを理解し、一人一人に合ったきめ細かい雇用支援を推進する必要があります。そのためには、国が全力を挙げて取り組むことは当然ですが、NPOやボランティア団体などの力を最大限活用して、協力して取り組むことが不可欠と考えます。総理のお考えを伺います。
身体障害者補助犬法は、私たち公明党もその成立を強く推進しましたが、施行されてこの十月で二年、完全施行からちょうど一年を迎えます。町を歩くと店の入口に補助犬ステッカーを見掛けるようになり、補助犬に対する社会全体の取組と認知が進んでいることがうかがえます。
しかし、一方で、この二年間で介助犬と認定されたのは十九頭、聴導犬は八頭、合わせてもわずか二十七頭にすぎません。補助犬が普及しない原因の一つは、多くの都道府県、政令指定都市に介助犬、聴導犬の認定を行う指定法人がないことです。
また、補助犬を持つことができるのは仕事など社会活動に参加する人に限られているため、家庭の主婦や仕事を持たない障害者は補助犬を持つことができません。社会参加が余りに狭い意味に限定されているため、希望しながら補助犬を持つことができない人がたくさんいます。さらに、障害者の方々に対し、補助犬制度を知らせるための取組が十分とは言えません。
是非とも、献身的な活動をしておられる育成団体やユーザーである障害者の意見を十分に聞きながら、希望する人がだれでも良質の補助犬を持ち、積極的に自分らしく社会参加できる制度となるよう、国として更なる強力な施策の推進を希望します。総理のお考えを伺います。
次に、アニマルセラピーについて伺います。
数年前、私は高齢者施設で行われているアニマルセラピーを見る機会がありました。訓練された犬が高齢者のそばにぴったり寄り添っていきます。それにより、それまで手を動かせなかった高齢者がいつの間にか動かせるようになったり、表情が全くなかった高齢者の顔に少しずつ表情が表れます。
また、千葉で長年ボランティアで実施しているホースセラピーにも視察に行きました。そこでは、健常児に混じって知的障害や自閉症の子供たちが、初めは怖がっていましたが、やがて馬にまたがり、温かい馬の体温を体全体に感じながら、そのうち楽しそうに馬に乗るようになります。自閉症の子供に笑顔があふれ、足の障害を持つ子供の運動機能が少しずつ改善されているというデータもあります。
動物と触れ合うことでストレスや孤独感をいやし、心を和ませ、喜びや楽しみの感情を呼び起こし、生理的、身体的、精神的な治療効果を生むことが広く知られております。各国においても、近年、その取組が熱心になされております。例えば、アメリカでのアニマルセラピーは、長年の歴史と実績を誇っており、自閉症や痴呆症の改善やリハビリ効果などにその力を発揮し、また、刑務所内での犯罪者更生及び社会復帰にも大きな効果を上げていることが報告されています。
我が国では、アニマルセラピーをボランティアで行っておられる民間の方々は、様々な費用を自ら捻出しながら御苦労しておられます。アニマルセラピーの普及のために、ボランティア団体への支援策を始め、きめ細かい施策に国は積極的に取り組むべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
総理は、就任以来、改革のスローガンの一つとして官から民へを挙げてこられました。公明党も、無駄や非効率の多い官の在り方を抜本的に改革すべきとの信念を共有する立場から、その改革の方向性は支持してまいりました。しかし、官から民へというスローガンは、一見斬新に見えても、さほど新しい発想に基づいたものではありません。なぜなら、その背景にあるのは、社会は官と民の二つのセクターでしか構成されていないという旧来型の考えだからです。
この考えによると、公益を促進するのは官であり、私益を追求するのは民、すなわち企業で、国民も基本的にはこのどちらかの世界で働いているという前提があります。税金の無駄遣いを最小限に抑えるための官の改革は必要ですが、それを市場原理と効率性を追求する民へというだけでは公益を損なうリスクを伴います。
そこで、公益性の高い事業を目的としつつ、その形態は、官ではなく、また利益追求の企業でもない、効率性の高い民間組織である団体の存在が非常に大切になってきます。それは、NPO、NGOなどの非政府・非営利組織や独立した政策研究所、公共性の高い事業を行う非営利の財団やボランティア組織を意味します。
これらの活動は、例えば国際的には国境なき医師団やAMDA、難民を助ける会など、国内では先ほど述べた介助犬の育成やアニマルセラピーもその一例ですが、子育て支援や本の読み聞かせ、不登校や引きこもりの支援など、福祉、医療、環境、人権、教育、平和、人道支援など多岐にわたっております。その活動は、利用者のニーズからも共助の世界を作る上でも不可欠なものです。
これが今、社会を構成する第三のセクターとして先進諸国で注目を集めているシビルソサエティーであります。第一セクターとしての官と第二セクターとしての企業と並ぶシビルソサエティーが育っていない社会は、成熟した民主主義社会とは言えないとまで言われております。今や世界は官から民へではなく、官から民及びシビルソサエティーへという流れになっております。
日本でも、一九九八年にNPO法が成立し、今日まで数多くのNPO団体が創立されましたが、国際的に比較すると、日本のNPO団体などは財政基盤も弱く、人材育成や人材確保に難航しています。殊に、最も大事な寄附金にかかわる税制上の優遇措置も機能してきたとは言い難い現状です。現に、約一万数千あるNPOのうち、税の優遇控除を受けているのはわずか約三十団体にすぎません。認定NPO法人の要件は徐々に緩和されてきておりますが、なお十分とは言えません。
国、地方の財政難の中、また少子高齢化の中で、より心豊かな共助、共生の社会を築くためにも、NPOなどを力強く支援して、社会を担う第三のセクターとしてのシビルソサエティーを育てることが必要ではないでしょうか。総理の御見解を伺うとともに、今後、日本におけるシビルソサエティー育成に具体的にどのように取り組まれるのか、お伺いします。
最後に、さきのアテネ・オリンピック及びパラリンピックにおいて日本選手が大活躍し、日本じゅうが感動のあらしに包まれました。
また、アメリカ大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手は、八十四年間だれも破ることができなかったシーズン最多安打の新記録を打ち立てました。イチロー選手の偉業は血の出るような地道な努力の結果です。努力なくして結果はあり得ません。日々地道に努力することの大切さを教え、勇気と希望を与えてくれたイチロー選手でした。
今、我が国が直面している数々の課題に対して、私たち政治に携わる者が、また行政に携わる者がひたすら国民の皆様のためにとの思いで、結果を出すまで我が身を惜しまず努力し続けることで、必ずより良い社会を作ることができることを肝に銘じ、すべての課題に取り組んでまいりたいと思います。
総理の御感想をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕