朝日俊弘の発言 (本会議)

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○朝日俊弘君 私は、民主党・新緑風会を代表して、当面する数多くの課題の中でも、とりわけ年金問題を中心に、介護、福祉、そして医療問題を含めた社会保障制度に焦点を絞って、私なりの切り口から、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、私の議論の出発点は、何といってもさきの参議院選挙を通じて示された民意、すなわち国民の皆さんの思いを私たちがどのように受け止めるかという点にあります。その上で、多くの課題の中でも何が最も切実な政策課題であるのか、つまり政策的な優先順位をどこに置くのか、その判断こそが重要なのだと思います。
 今回の選挙を通じて、私は、国民の圧倒的多数の皆さんは、直前の国会が大荒れの中で年金法案は成立したけれども、正直なところ今回の改正で自分たちの年金がどうなるのかよく分からない、テレビや新聞の報道を見ても、どうも納得できるような説明になっていない、総理や大臣の説明を聞けば聞くほど不安が増すばかりだ、国は、そして政治家は、これからの年金がどうなっていくのかもっと分かりやすく示してほしい、このままでは到底納得できないという意思を表示されたのではないでしょうか。その意味では、選挙後ある程度の期間をもって開かれた今国会の果たすべき役割は極めて大きいと思います。
 そこで、まず総理にお尋ねいたします。
 総理は、さきの参議院選挙を通じて国民の皆さんが一体何を求め何を訴えられたのか、どのように受け止められているのか。ここは総理御自身の感性が問われていると思います。率直にお答えください。
 ところで、総理は、さきの通常国会において強引に成立させた年金制度改正法は、一連の社会保障制度改革の中で一体どのような位置付けで、どういう意味を持った改正だったとお考えなのでしょうか。改めてお尋ねをいたします。
 別のお尋ね方をすれば、総理はこれで年金問題に区切りが付いたとお考えなのでしょうか。それとも、引き続き早急に着手すべき課題が残されているとお考えなのでしょうか。もしその課題が残されているとお考えであれば、それは一体何々だとお考えなのでしょうか。正確にお答えをいただきたいと思います。
 そういえば、総理は、年金法案を強引に押し通した直後、そして参議院選挙の直前に、突然、社会保障制度を包括的に見直すための協議機関の設置を表明されました。正直なところ、私たちは、年金改正法を強行採決しておいて今更何を言うてんねんと、いささか唖然としました。
 本年七月に設置された社会保障の在り方に関する懇談会は、そうした協議の場であることは承知していますが、改めて総理にこの懇談会の目的と役割等、その位置付けを明確にお示しいただきたいと思います。そして、総理としてはどのような機能を果たすように期待されているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 また、同懇談会の今後のタイムスケジュールと作業手順をどのように組み立てていくのか、大変難しい問題があって、私も気掛かりであります。とりわけ関連する審議会等との調整をどのように図っていくのか、また既に予定されている制度改正のスケジュールとのタイミングをどう計っていくのか、こうした点についてはその懇談会を所掌されております内閣官房長官にお答えをいただきたいと思います。
 さて、我が国における社会保障制度改革に取り組むに当たって、私は極めて重要なかぎとなる概念が二つあると思っています。
 その一つは、これからのおよそ半世紀を貫く基調として、最近ベストセラーとなった本の表現をかりれば、我が国は正に人口減少社会あるいは人口減少経済の時代を迎えようとしていること、それは早ければ二〇〇五年、つまり来年から始まるとの基本認識を総理はお持ちなのでしょうか。
 先日の所信表明演説の中では、今や古めかしい表現と化した「人生八十年」とか「日本は世界一の長寿国」との表現が並んでいますが、私に言わせれば我が国は良くも悪くも更に先に進んでおりまして、明らかに人口減少社会に入りつつあるのです。もちろん、少子化対策、次世代育成支援のための諸施策の必要性は十分に認めながらも、しかしそれでもなお現状が横ばい、若しくは縮小する社会への転換が始まっているという現実は冷静に見ておく必要があると思います。
 当然のことながら、社会保障制度に関しても従来どおりの制度設計では到底対応できなくなってきており、年金制度を含めその枠組みそのものの再構築を図るなど、文字どおりの抜本改革が求められているのだと思います。総理は果たしてこうした認識をお持ちなのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 社会保障制度改革に向けてのもう一つの重要な概念は、ベーシック・インカムという考え方であります。この考え方は、国がすべての個人に対して最低限の所得保障を原則無条件に支給する仕組みを構築することを意味しております。
 ちなみに、このベーシック・インカムという概念は、近年、ヨーロッパを中心に大きな関心を呼んでいる考え方で、社会保障給付のうちの現金給付部分をすべてこれに置き換えて、その財源は勤労所得への比例課税並びに所得控除の廃止に求める新たな構想として我が国に紹介されており、従来の公的扶助でも社会保険給付でもない、国民のだれもが社会に参加し活動するための基本手当とでも言うべき考え方であります。
 こうしたベーシック・インカムという考え方を視野に入れて今後の社会保障制度改革を構想していくか否か、これは大きなポイントの一つだと思います。このような視点について、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、以下、各論的な部分について厚生労働大臣にお尋ねしたいと思います。
 まず初めに、この十月から改正年金法の一部が施行されることになっています。そこで、この十月段階で施行される事項の概略と、そして来年四月段階で施行に入る予定の事項等について、主要な項目だけで結構ですから簡単に御説明いただきたいと思います。
 次に、年金改正法案審議の中でも、委員会の場で総理が答弁できなくて大問題となりましたマクロ経済スライドについて、これは今回改正の目玉というか最重要ポイントでありますので、改めてその趣旨を御説明いただくとともに、実際にこのスライド方式による調整はいつの時点からどのような調整率に基づいて算定されていくことになるのか、その要点、ポイントを御説明いただきたいと思います。
 この十月から厚生年金の保険料率が〇・三五四%引き上げられることになりますが、実はこの年金改正法の成立直後に、当時の坂口厚生労働大臣は、保険料率が現在の一三・五八%から一五%に到達することになる二〇〇七年度をめどに、その料率の在り方を改めて検討する旨の姿勢を示されていましたが、この考え方は新しい大臣も同様の考え方でおられるのかどうか、念のため確認させていただきたいと思います。
 さて、つい最近、またまた国民年金保険料の未納問題について会計検査院の調査結果が発表されました。報道によれば、昨年度までの二年間の国民年金の保険料が一か月以上未納のままとなっているいわゆる督促対象者が約一千万、加入者の四五%に上ると報告されています。正直言って、これはもう絶望的な数字と言わざるを得ません。
 このような会計検査院の指摘について、厚生労働省はどのように受け止め、どのように対応しようとしているのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、年金問題と密接に関連する幾つかの課題について質問いたします。
 まず、次期通常国会に提出が予定されている介護保険法の見直しの中で、特別養護老人ホーム等の介護施設入所者に係る食費、居住費等、いわゆるホテルコストの部分を自己負担とするとの考え方が報じられていますが、これは一体どういうことなのか、御説明をいただきたいと思います。
 改めて指摘するまでもなく、現金給付の中心である年金の給付水準は、さきの制度改正によって段階的に引き下げられていきます。一方、現物給付の柱である介護保険のサービス給付については、これまで以上に相当額の自己負担を強いられることになります。この点をどのようにお考えか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 さらに、現物給付のもう一方の柱である医療保険、再来年の制度改正、とりわけ新たな高齢者医療保険制度の創設に向けて作業が進められていることは承知していますが、その中で、ここでも、長期療養入院患者の食住費、食事と住居の費用を全額自己負担とする方向で検討に入ったと報じられております。この点もこのまま座視するわけにはいかない問題です。
 さきの問題と併せて、大臣のお考え、今後の方針を聞かせていただきたいと思います。
 最後に、関連する直近の課題について幾つかお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
 その一つは、中医協、中央社会保険医療協議会を舞台とした贈収賄事件、日本歯科医師会と健保連、さらには連合の委員との間で行われた贈収賄事件を契機として、中医協の在り方そのものの改革が課題となりました。
 事件の個々の当事者については既に司法の手によってその責任が問われつつある段階ということですが、さきの国会では、同時に中医協の在り方そのものについて、例えばその委員構成とか運営の在り方とか広範な論議がなされました。参考人も呼んでお話を伺いました。にもかかわらず、最近の報道によれば、中医協における診療報酬改定の結果を検証するための組織、フォローアップ委員会の設置等が検討されてはいるものの、更に踏み込んで設置法改正をも視野に入れた抜本的な改革の議論がどこかに吹き飛んでしまっている感が強いように思います。
 審議の中で、私自身も、例えば中医協のメンバー構成で、患者、利用者の立場あるいは病院を代表する立場、さらにはチーム医療を構成する看護師やコメディカルの皆さんの参加など、構成メンバーの在り方を再検討することを含めて問題提起をしてまいりました。しかし、このままでは、下手をすると、またしても小手先の改正に終わりそうな気配であります。大臣の今後の方針について、しっかりとお伺いしたいと思います。
 二つ目に、現行の生活保護制度の水準及び仕組みの在り方について検討作業が進められてきたと承知していますが、この点についてその後の検討状況はどうなっているのか、そして今後どうされるおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 そのことと併せて、最近、国と地方の税財政改革、いわゆる三位一体改革との絡みの中で、厚生労働省の側から生活保護費に係る国庫負担率を大幅に縮小するとの動きも出てきていますが、この点について大臣はどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。
 私に言わせれば、生活保護制度の在り方そのものの見直しの中から制度改正の方向が示されるのであればまだしも、初めに国庫負担の率の引下げありきの法改正は余りにも動機が不純。この点については原点に戻って再検討を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 生活保護法の見直しとも連動して、これまたいわゆる三位一体改革との絡みの中で、突如、国民健康保険の国庫負担分の一部を都道府県負担とするとの考え方がこれまた厚生労働省サイドから示されました。これも唐突な提案であり、その手法の乱暴さを含めて到底承服し難い内容と言わざるを得ませんが、この点についても大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 もちろん私は、国民健康保険制度を含め、医療保険制度全体の見直しが求められているということは承知しておりますし、その中で、新たな高齢者医療保険制度の創設を含めて、そうした全体的な改革のスキームの中で国民健康保険制度の改正をどうするか、こういう提案であれば、まだ受け止める余地もあり得ると思いますが、今回の提案はそもそも問題の立て方がおかしいと言わざるを得ません。
 以上、幾つかの関連する当面の課題を含めて質問をさせていただきました。最後に、余りにも問題の多い一連の制度改正の流れを見るとき、あえて次のように申し上げて質問を終わりたいと思います。正体見たり、小泉流、切捨て御免の構造改革。
 終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 朝日俊弘

speaker_id: 25759

日付: 2004-10-15

院: 参議院

会議名: 本会議