大塚直の発言 (環境委員会)

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○大塚参考人 大塚でございます。
 今回の改正廃棄物処理法案、二〇〇五年改正案というふうに申し上げさせていただきたいと思いますが、これにつきまして、環境法の研究者の立場から、その考え方と今後の課題について扱っておきたいと思います。
 まず最初に、これまでの廃棄物処理法、廃掃法と呼びますが、廃掃法改正の経緯、背景について簡単に申し上げておきたいと思います。
 廃掃法に関しましては、一九九一年、九七年に大改正がございましたし、その後も数次の改正がございますが、二〇〇〇年以降におきます改正としては重要な点が幾つかありますので、そちらについて申し上げます。
 まず、二〇〇〇年改正におきましては、この年に循環型社会形成推進基本法が制定されまして、いわゆる三Rと呼ばれるリユース、リデュース、リサイクル、その中でも、リサイクルの中でもマテリアルリサイクルの方を優先いたしますが、この順序について規定が置かれましたし、いわゆる拡大生産者責任についての規定も置かれたわけでございます。
 このときに、廃掃法に関しましても幾つかの重要な修正、改正がございまして、その中でも特に申し上げておきたいのは、排出業者の責任の強化でございます。産業廃棄物の管理票制度が見直されたのと同時に、排出事業者が適法な委託をしていても一定の場合には原状回復の義務を負う、すなわち措置命令の対象になるということにこのときからなったということでございます。
 その後、二〇〇三年、二〇〇四年の改正を経ているわけですけれども、まず二〇〇三年の改正につきましては、大きく分けて二点ございます。
 一つは、不法投棄の未然防止等の措置といたしまして、都道府県等の調査権限が拡充されたということ。それから二つ目に、不法投棄、不法焼却の未遂罪がつくられたということでございます。それから三つ目に、国の関与が強化されたということ。それから四つ目に、特に悪質な業者に関しまして、先ほどお話もありましたように、許可権者は必ず許可を取り消さなければならないというふうにされたことでございます。
 それから、大きく分けて二つ目につきましては、リサイクルの促進等の措置がとられまして、いわゆる広域認定、広域的なリサイクル等の推進のために、環境大臣が認定した者は廃棄物処理業の許可を必要としないということなど、特例制度が整備されたということでございます。これによって、その後、二輪車、パソコンなど広域的なリサイクルを推進する業者の大臣認定がふえてきているという状況でございます。
 さらに、関連して、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法もこのときにつくられております。
 次に、二〇〇四年改正でございますが、二〇〇四年改正におきましては、大きく分けて三つのポイントがございました。
 一つは、やはり国の役割の強化ということでございまして、環境大臣は、産業廃棄物の不適正処理によって生活環境の保全上の支障が生じることを防止するために、緊急の必要があると認めるときには都道府県知事に対しまして指示ができるということが規定されたということでございます。
 それから二つ目は、廃棄物処理施設をめぐる問題の解決についての問題でございます。
 三つ目は、罰則の強化などによる不法投棄の撲滅でございまして、硫酸ピッチを指定有害廃棄物として指定いたしまして、これについての不適正処理が禁止されたということでございます。それから、罰則が強化されまして、中でも、(4)に挙げておきましたように、不法投棄、不法焼却の目的で廃棄物の収集運搬をしている者に対して罰則がかけられるようになったということがございます。先ほど未遂罪の創設ということがございましたが、ここで、それよりもまた前に、不法投棄等の目的で収集運搬をしているだけで犯罪になるということになったわけでございます。
 二〇〇四年の廃掃法改正と直接関連しない施行令、施行規則の改正としても重要なものがその後出てきております。そちらに挙げましたとおりでございますけれども、一つは、産業廃棄物の運搬車に係る表示及び書面備えつけについての義務づけがなされたということがございます。それから、最終処分場の残余容量の定期的な把握、記録閲覧の義務づけがなされたということもございます。
 さらに、つい最近、三月二十八日に省令が改正されまして、産業廃棄物処理業者の優良性の判断に係る評価制度がつくられたということがございます。この評価基準に適合する産業廃棄物の処理業者に対しましては、都道府県知事等の判断によって、産業廃棄物処理業の許可の更新、変更の際に提出する申請書類の一部が省略できるようになったということでございます。
 さて、今般の廃掃法改正案でございますけれども、その背景といたしましては、先ほどお話がございましたように、一つは大規模な不法投棄問題というものがございます。もう一つは中国の廃プラスチックの輸入の停止措置ということがございます。中国の廃プラスチックの輸入停止措置につきましては、我が国の企業が中国に輸出しました廃プラスチックに再生利用できないものがまざっているということが発覚して、昨年の五月、我が国から中国への廃プラスチックの輸入停止措置がとられたということがあります。中国から再発防止対応が求められているということもございまして、今回の改正案はこの点と関連しているということでございます。
 次に、改正案の主要点でございますが、まず、大規模不法投棄事案への対応についてでございます。これにつきましては、四つほどございます。
 第一は、産業廃棄物関係事務等を行う行政主体の見直しがなされるという提案でございます。これは、保健所設置市であれば必ず産業廃棄物の関係事務を行うという考え方を改めていくべきではないかということでございます。十分実施体制が整っていない自治体に事務を負わせるということは必ずしも合理的ではないという面があるということが一つございますし、もう一つは、先ほどもお話がございましたように、産業廃棄物行政というのは、従来は地域密着型の公衆衛生行政の範疇に入るというふうに考えられておりましたが、産業廃棄物問題が広域化するに伴って、これを生活環境保全行政というふうにとらえる立場が一般化しておりまして、この立場からは、保健所設置市であれば一律に事務を負わせるという議論には必ずしもならないということになってきたということでございます。
 改正案では、事務を行う体制が整備されていると判断される市を廃掃法の政令で指定するということが提案されておりますが、実際には、中核市でない保健所設置市について権限を調整するということになると思われます。
 第二は、マニフェスト制度の強化でございます。大規模な不法投棄事件に関しまして、産業廃棄物の組織的な横流しとそれを隠ぺいするためのマニフェストの不正行為が行われております。これに対しましては、三つの点が改正案として提案されております。
 一つは、マニフェストに関する罰則の強化でございます。
 もう一つは、運搬または処分を受託した処理業者のマニフェストの保存義務を設定するということでございます。これは、青森・岩手の県境不法投棄事件におきましては、処分を受託した処理業者にマニフェストの保存義務がなくてマニフェストを焼却してしまったということが問題視されたということが関連しているわけであります。
 さらに、マニフェストの違反行為に対する勧告に従わなかった者に対して都道府県知事がその旨を公表できるようにしようということであります。そして、公表をしても正当な理由がなくて勧告に係る措置をとらないという者に対しては、命令、命令違反の場合は罰則ということが考えられているわけであります。勧告だけではそれに従おうとしないという者が多いわけでございまして、処理業者が社会的なイメージを大事にしているということからも、公表の制度というのは重要であると考えられるわけでございます。
 第三は、無許可業者に対する抑止効果を強化するために、法人重課をする、罰金を一億円にするということでございます。
 第四は、収集運搬業者と処分業者が廃棄物の処理をほかの人に委託する場合の規制を明確化するということでございます。
 以上が、大きく分けて一つ目の不法投棄の未然防止の問題でございます。
 大きく分けて二つ目の問題といたしましては、廃棄物の無確認輸出に対する取り締まりの強化ということがございます。
 従来、輸出の通関手続の段階で環境大臣の確認を受けていない廃棄物を発見しても、未遂段階なので犯罪が成立しないという問題があったわけでございますけれども、これに対して未遂罪と予備罪をつくるということが今回の提案でございます。さらに、罰則も強化するということでございます。
 三つ目に、その他の制度上の問題に対する対応でございますが、先ほどもお話にありましたように、一つは、最終処分場の維持管理積立金の制度を拡充するということがございます。
 これは、平成十年六月以前に埋立処分が開始された最終処分場についても維持管理積立金制度の対象といたしまして、積み立てを義務づけるという提案でございます。平成十年以前に埋立処分が開始された最終処分場につきましても、倒産をして適切な維持管理がなされていないという事例がございますので、施設に対する不信感を払拭するためにも、このような改正が必要ではないかということでございます。
 この場合の積立金の金額につきましては、その処分場の残余容量に見合った金額に、必要なモニタリングの費用を加えたものになると思われます。したがって、過剰な規制にはならないということでございます。
 さらに、欠格要件の厳格化については、レジュメに書きました三つの点が改正案として提案されているわけでございます。
 最後に一言だけ申し上げておきますけれども、今回の改正案は、二〇〇〇年以降の産業廃棄物処理のあり方についての構造改革ということと大いに関係しているわけでございます。
 二〇〇〇年以降の廃掃法改正の大きな流れとして三つの点が挙げられると思いますけれども、その第一が、不法投棄等の未然防止等の規制の強化をしているということであります。そして第二に、リサイクルに関しまして不必要に厳格な規制を改めて、規制の合理化を図ったということがございます。第三が、国の役割の強化ということがございます。
 今回の改正は、このうち第一点に関する不法投棄等の未然防止等の規制を強化するということとともに、廃棄物の無確認輸出の取り締まりを強化するという新しい観点を加えたものでございます。最近の事件から得られた教訓をもとにして、地道ではありますけれども、きめ細やかな制度的な対応がなされつつあると言ってよいと思われます。
 この第一点の未然防止等に関しましては、先ほどもお話がありましたように、電子マニフェストの普及ということが一つの大きな課題となっているわけでございますけれども、現在、普及率が二%にとどまっているために、直ちに法律上の義務ということにするのは時期尚早ではないかと思われます。しかし、早急な普及率の拡大が望まれるところであります。
 さらに、産業廃棄物の優良業者の育成という観点については、先ほど申し上げたような新しい省令ができたところでございまして、こういうことも相まって、先ほど申し上げたような産業廃棄物処理の構造改革というのは徐々に進んできていると言ってよいと思います。
 このように、廃掃法の制度としては、コアの部分はでき上がってきているわけでございますけれども、不法投棄というのは極めて利益の多い経済犯罪となっておりまして、制度面を含めた対策の評価、見直しというのが今後も必要となってくると思われます。また、自治体の実施体制の充実、関係行政機関や住民との連携による監視体制の充実の必要など、運用上の問題はなお残されていると考えております。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 大塚直

speaker_id: 13333

日付: 2005-04-05

院: 衆議院

会議名: 環境委員会