船田元の発言 (憲法調査会)
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○船田委員 私たちが現在議論をしております衆議院憲法調査会も、平成十二年の一月の設置以来、五年間の真摯な議論を重ねてまいりました。かねて衆議院の議運委員会で申し合わされました、おおむね五年程度を目途に最終報告書をまとめるということでありますが、いよいよその重要な時期に差しかかっていると思います。我々は、これまでの議論を振り返りながら、あるべき憲法の姿を模索する役割を大変強く認識しています。
今後、きょうを含めまして四回の自由討議によりまして、五年間の立法府における、特に衆議院における憲法議論を締めくくり、次のステージへの足がかりをしっかりと築いていきたいと考えております。
今回のテーマの天皇制でございますが、さまざまな議論がこれまでもございました。幾つか論点の整理を私なりにしてみたいと思います。
まず、天皇が元首であるかどうかということであります。
これにつきましては、なお我が党の中でも議論が残っていることでございます。確かに、国際的には元首であると事実上認知をされている状況ですが、やはり元首という言葉は、一般的に言って、統治権の全部あるいは一部を所有している存在である、このように解されるのが一般的であります。したがって、国政に関する一切の権能を有しない、日本国憲法四条一項に規定されておりますが、そういう現在の天皇のお立場、地位からすると、私は、元首と規定することには慎重を期したいと考えておる次第でございます。
次に、象徴天皇制であります。
象徴天皇のあり方について大方の異論はないと思っておりますが、ただ、私は、象徴について現行憲法の記述はやや簡単過ぎるのではないかと考えております。象徴の中身をもう少し具体的に記述しておくべきではないか。例えば、日本国の象徴あるいは日本国民統合の象徴に加えまして、日本の歴史、伝統、文化など日本の国柄を代表する存在とか、我が国の平和と繁栄、国民の幸福を願う存在というような記述をつけ加えることが望ましいと考えています。
次に、女性天皇についてであります。
皇位の継承順位や宮家の創設などは皇室典範に規定すべき問題でありますが、これだけ国民世論が盛り上がっている現状でありまして、かつ、総理大臣の諮問機関である皇室典範に関する有識者会議が先般スタートしたことでもあり、憲法論議とあわせて議論しておくべきであると思っております。
まず、皇室の将来にわたっての継承の安定性を確保するという観点、そして、男女共同参画社会の進展を反映し、さらに発展させるべきである、このような観点から、女性皇族の皇位継承は認める方向で議論するべきであると思っています。過去にも女性天皇容認論は、明治初期に宮内庁が立案した皇室制規や、戦後の、吉田内閣に設置された臨時法制調査会で提案された実績もございます。
その際、皇位継承を男系に限って万世一系を守り、女性天皇は一代限りとして、その後は男系に戻る、そういう方法も考えられますけれども、また、過去にもそういうことを行いましたけれども、この方法は、将来の皇位継承の安定性を確保することはできず、根本的な解決にはならないと考えております。現行憲法に規定する世襲を幅広く解釈すれば、この際、女系による世襲も認めるべきであると思っております。
また、女性天皇に配偶者が来ないのではないか、このような懸念は現代社会においては無用であると思っております。配偶者の立場は、例えばイギリスのエディンバラ公など、欧州の王室の例に倣うことでよろしいのではないかと考えています。
継承順位は長子優先で、男子優先より早くお世継ぎが決められて安定性もあると思っております。男子優先ということでは、何のために女性天皇を容認するのか、理由がよくわからなくなると思っております。
なお、この制度を採用すると、女性皇族に皇位継承の可能性が生じ、宮家を創設する必要が出てまいります。このことが皇室財政を圧迫するのではないか、このような意見もありますが、何らかの一定の基準を設けて宮家の数の制限をするということも方法としては考えられると思います。
最後の項目でございますが、天皇の公的行為についてであります。
従来から、天皇の国事行為と私的行為以外、天皇の行為は何も規定しておりません。また、何もできないという解釈もあります。しかし、私は、天皇の象徴としての地位をより強固なものにするために、内閣の助言と承認に基づき、また、その責任は内閣が負う、行うという条件のもとで公的行為を新たに設けるのがよろしいのではないかと思っております。
その際、公的行為には二つの種類があると考えております。
一つは、天皇の象徴としての行為であります。例えば、国会開会式でのおことば、認証官の任命式への御臨席、国民体育大会や全国植樹祭など国民的行事への御臨席、また、外国訪問、さらには災害お見舞いなどがその例であると思っております。このことで、先ほども申し上げましたような天皇の象徴の役割をさらに強化することができると思っております。
もう一つが、皇室行為とも言えるものであります。これは、皇室内部の諸行事の実施あるいは宮中祭祀などでありまして、天皇制という伝統を支える役割を持つものと考えております。
国事行為、公的行為、そして私的行為、この三つのカテゴリーによりまして天皇の地位をさらに明確なものとし、国民統合の象徴である天皇の立場がさらに明らかになっていくのではないか、このように理解をしております。
最後になりますけれども、我が国独自のこの象徴天皇制ということについて、国民の間で基本的には定着をしているわけでありますが、さらに、先ほど申し上げましたように、象徴の意義と役割を明らかにするために、また、今大変大きな話題となり問題となっております女性天皇についても、はっきりした道筋をつけるために、この衆議院憲法調査会でも今後大いに議論をし、そして国民に広く問う必要があると思っております。
以上でございます。