斉藤鉄夫の発言 (憲法調査会)

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○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。
 公明党として、党内に憲法調査会を設置し、現憲法に対する議論を重ねてまいりました。昨年六月に、今後のさらなる議論における参考とするために、党内の憲法調査会における意見や論点整理を行いました。その後、半年を経過しておりますが、党内の論議に基本的に大きな変化はありませんので、本日はまず、この論点整理の中における天皇制についてどのように述べているか、まず紹介をしたいと思います。
 これを読みますと、「象徴天皇とは、権力なき権威としての存在を示し、象徴天皇制は定着しているし、的確であり、維持していくべきだ。」「あくまで象徴天皇であるとしたうえで、それを表現として「元首」と呼んでもいいという意見もあるが、国政に関する権能を与えるなどの強いものにしない方がいいという意見が強い。象徴天皇における国事行為については現行に異論はほとんどない。」「象徴天皇制と国民主権をよりクリアにした方がよいとの意見もあり、今後の検討課題といえる。」「女性天皇については、皇室典範の改正論議に委ねるが、方向性としては認める方向で検討したい。」こういう文章になっております。
 我が党は、憲法改正の方法として加憲方式を提案しておりますが、この天皇の条項について言えば、先ほど申し上げました論点整理にありますように、現行憲法に特に加えるものはない、現行のままでいいというのが現段階での結論であると言ってもいいかと思います。
 このように考える論拠についてですが、四点申し述べます。
 まず、象徴天皇制についてですが、衆議院の憲法調査会における参考人質疑の中で横田耕一参考人が、天皇は、それ自体によって、またその行動によって国民を統合するという社会的機能を果たしており、その意味では高度に政治的な機能を果たしてきたと言い得ると述べておりますように、現行の象徴天皇制については、広く国民に浸透し定着しているものであると考えます。日本国の象徴であり日本国民統合の象徴という憲法の規定に現状は的確であり、今後も、主権者たる国民の総意に基づく象徴天皇制を維持していくべきである、このように考えます。
 次に、元首という呼び方についてですが、昭和六十三年十一月の参議院内閣委員会における、当時の大出内閣法制局第一部長の答弁によれば、天皇が元首であるかどうかは「元首の定義いかんに帰する問題」とし、「元首とは内治、外交のすべてを通じて国を代表し行政権を掌握をしている、そういう存在であるという定義によりますならば、現行憲法のもとにおきましては天皇は元首ではないということになろう」と思うとの見解を示し、一方、「さらにごく一部ではございますが外交関係において国を代表する面を持っておられるわけでありますから、現行憲法のもとにおきましてもそういうような考え方をもとにして元首であるというふうに言っても差し支えない」というふうに考えると答弁しております。
 要は、元首をどのように定義するかによるわけでありますが、さまざまな見解がある中、私どもも、今の天皇の地位に元首という側面があることは否定はいたしません。しかし、元首という呼称に執着する余り、象徴天皇制から一歩踏み込んだ、元首の名にふさわしい権能を新たに規定するなどの措置は慎まなければならないと考えます。
 その上で、国事行為については、内閣の助言と承認に基づいて行われている以上、受動的、儀礼的なものであると考えますので、現行制度を維持していくことが妥当ではないかと考えます。
 次に、象徴天皇制と国民主権との関係ですが、この点については、より深い議論と明確さが必要とされるのではないかと思います。
 かつて、横田耕一参考人が、象徴天皇制は国民主権の原則と直ちに矛盾するものとは考えないが、国民の主権者意識を希薄にする働きを有しているとの指摘がある一方、小林武参考人は、象徴天皇制は、近代憲法の普遍的原理としての国民主権と調和させる形で現行憲法に残されたものであるとの見解もございます。
 象徴天皇制と国民主権の関係性においては、あいまいさが残り、一つの明確な見解を導き出すにはさらなる精査と議論を積み重ねていくべきと考え、我が党としても今後の検討課題としているところでございます。
 最後に、女性天皇制ですが、この問題は、ある意味、天皇制そのものの存続を決定づける議論であろうかと思います。皇位継承は男系男子の伝統を重視すべきとの意見もありますが、その伝統継承は天皇制の消滅という事態に耐えられるのであろうかと横田耕一参考人も指摘しているように、否めない事態であろうと思います。
 歴史的に見て十代八人の女性天皇が存在していましたが、いずれも寡婦か独身の女性で、男系の天皇でありました。しかしながら、今は、女性天皇の可否とともに、女系女子、女系男子に対しての皇位継承をも検討していかなければなりません。皇室典範の改正論議をしっかりと行っていく必要がありますが、二十一世紀を迎え、伝統の尊重とともに、新しい視点、柔軟な対応が求められてくるのではないかと思います。
 その意味でも、我が党としては、女性天皇を認める方向性を持ってさらに検討を重ねていきたいと考えております。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 116204184X00120050203_011

発言者: 斉藤鉄夫

speaker_id: 16806

日付: 2005-02-03

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会