枝野幸男の発言 (憲法調査会)

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○枝野委員 民主党の枝野でございます。
 まず、天皇の元首論についてお話ししたいと思いますが、これは、元首という言葉をどう定義するのかということで、法律的な意味というのは人によって多種多様であるということで、まず法律論としてははっきりしていることだと思います。その上で、元首というような言葉を天皇制のあらわし方として憲法に書くことがいいのかどうかということですが、私は、ちょっと違った視点からこのことについて論じたいと思っております。
 というのは、いずれにしても元首という言葉は、横並び、つまり国際的な横並びの言葉だと思います。他国の代表者、例えば大統領とか国王とかを元首と呼ぶのか呼ばないのかという意味では、外国との横並びだと思います。
 日本の天皇制が各国のいわゆる王室などと比較して圧倒的に長期にわたって継続をしていることの意味は、あるいは根拠はどこにあるのかといえば、やはり違うものだ。つまり、ヨーロッパの王制であったり、あるいは中国の皇帝であったり、あるいは朝鮮半島において幾つかあった王制であったりというものと明らかに違う天皇という存在で日本は位置づけてきたということが、たくさんの王室、王族が各国において変わっていった中で日本の天皇制だけは継続をしてきたということなのではないだろうかと思います。
 そうした中で、各国のトップと横並びに天皇の意味づけをしてしまう表現の仕方をするということは、私は、かえって天皇制の安定あるいは天皇制の特殊性というものをふさいでしまうことにならないかということを危惧いたします。
 実は、象徴という言葉がよかったのかどうかわかりませんけれども、日本の天皇はヨーロッパの王制や中国の皇帝とは違うんだということで別の言葉で日本国憲法に書いたということは、私は、結果的に非常によかったし、そのことは国民的にも定着をしているんだというふうに思いますので、あえて、天皇の地位を他国の大統領や他国の国王と横並びに扱うような元首という言葉を使うべきではない、そういうふうに思います。
 それからもう一点、国事行為についてお話をしたいと思います。
 ちょっと全く別の視点なんですが、実は、七条の国事行為を見ていったときに、異色の号があります。それは三号と九号と十号です。ほかの国事行為については根拠となる憲法上の規定あるいは法律上の規定がありますが、衆議院の解散はいつどういうときにできるのかということは全く何も書いてありませんし、九号の大使、公使の接受は、ぎりぎり国際法上の根拠があるというか、国際法上の法的効果があるという意味はあるかもしれませんが、儀式を行うことについては全く法的効果を生じない項目であります。
 そこで、そこから二つのことを申し上げたいと思いますが、私は、今の憲法あるいは憲法に基づく法体系の中で、七条三号の具体化が法の欠缺だと思います。つまり、天皇の国事行為として衆議院の解散というものがある以上、それをどういう要件でできるのかということについては、本来、国会法なり内閣法なりで書く必要があった。解釈であいまいにやってきた。今さら、これだけ憲法慣習として定着をしている解散という制度を現行憲法上変えるというのは困難だというふうに思いますが、もし国事行為について整理をするというようなことがあるのであれば、衆議院の解散の要件はきちっと書く必要がある。
 その際には、私は前にもここで述べたことがあるかと思いますが、いわゆる従来の七条解散、内閣が自分勝手に解散できるという仕組みは私は余り望ましいものではないのではないかというふうに思っています。
 それから、もう一つの視点は、法的効果を持たない国事行為である九号、十号の問題というのは、先ほど来お話のあった皇室外交などの話とあわせて、ちょっと国事行為とは別に位置づけた方が整理としてはわかりやすいのではないだろうかというふうに思っております。
 以上が私からの意見であります。

発言情報

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発言者: 枝野幸男

speaker_id: 10425

日付: 2005-02-03

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会