船田元の発言 (憲法調査会)
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○船田委員 私は、国民の権利及び義務に関しまして、幾つかの点でお話をしたいと思います。
まず、今までも出ておりましたけれども、公共の福祉という概念が非常にあいまいであるということは以前から指摘をされております。十二条、十三条、その他のところに出ておりますけれども、やはりこれは、個人の権利と権利が相互にぶつかり合う、そういうときに、それを調整する概念、あるいは国家の安全、社会秩序を維持する、そういう概念として私は明確にもう一度規定し直す必要があると思っております。言葉としても、公共の福祉というよりも、公共の利益とか公共の価値という言葉の方がふさわしいと思っております。
次に、権利、自由あるいは義務規定、非常に細かく現憲法は規定をしております。そのほとんどにおいてはこれはそのまま踏襲すべきであると思っておりますが、その中で一部、権利の規定の中で修正すべきものがあるのではないかということも考えております。
例えば、二十条の信教の自由であります。
戦後の日本社会においては、政教分離という原則はかなり徹底をしてきたというふうに思っております。ただ一方で、国や地方自治体が行う地鎮祭であるとか、あるいは公金による玉ぐし料の支出など、これまでの社会的儀礼や習俗的な行事、そういったものまで否定されるような状況があると、なかなか私たちの地域社会を維持していくということは難しいことになっていくと思います。もちろん、特定の宗教を援助、助長するということではいけないと思いますが、そういう目的、効果を伴わない行政的な対応ということは、社会的儀礼、習俗的行事の範囲内であるということでこれは許されるべきであるということもつけ加えるべきであると思います。
表現の自由、二十一条にありますが、これは、心の内面の自由を保障するという大事な自由であります。しかしながら、最近の出版関係あるいはさまざまな情報メディア関係において、青少年の健全育成に悪影響を与える可能性のある、確実に与えるおそれのある有害情報などが出ております。これはやはりきちんと制限すべきである。表現の自由は当然守りつつも、このような分野においては、法律によって制限、禁止できる規定もつけ加えるべきであると思っております。
それから、財産権というものが二十九条に出ておりますが、これは、公共の福祉に適合するように制限することができるとなっております。これに加えまして、最近やはり、良好な環境、あるいはこの中には景観ということも含むわけでありますが、良好な環境や景観を保護するために財産権が一部制限されるという考え方も大事だと思っております。
また、追加すべき新しい権利としては、例えば国民の知る権利があります。
国の行政、地方自治体もそうでありますが、非常に多様化し複雑化しております。その中で個人の権利を守るということはなかなか難しくなってきております。そういう状況の中で個人の権利をさらに守っていくためには、やはり、国民の情報開示請求権というものも明記すべきではないかというふうに考えております。
また、先ほど来お話が出ておりますように、犯罪被害者の権利ということもあります。現行憲法は、余りにも犯罪加害者の権利擁護、これは三十三条から四十条まで列記されておりますけれども、やや偏り過ぎていると思っております。犯罪被害者及びその家族や遺族は、現代社会において、マスコミ等のさまざまな取材あるいは世間の中でのさまざまな問題が発生をしている。このような人々に対しての個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇が保障されなければいけない、このような犯罪被害者の権利はやはり殊さらに書き加えておくべきである、このように考えております。
以上でございます。