高橋千鶴子の発言 (憲法調査会)
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○高橋委員 本日の各委員の発言を興味深く聞きました。新しい人権についてそれぞれの角度から規定すべきであるという意見が多かったと思いますけれども、私は改めて、現憲法がこれを包括していること、憲法の精神を豊かに生かし発展させる努力こそが求められていると考えております。
憲法第十三条は、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は国政上最大の尊重を必要とすると定めています。この幸福追求権が新しい人権をまず含んでいるというのが、憲法学者の一般的な議論であります。この幸福追求権では、限界論があるということもよく言われることは承知をしております。しかし、幸福追求権によって基礎づけられる個々の権利は、裁判上の救済を受けることができる具体的権利であると解されるようになったという指摘もあります。
例えば、夜間飛行差しとめを求めた大阪空港公害訴訟で、大阪高裁判決、一九七五年は、十三条と二十五条を根拠に、平穏、自由で、人間たるにふさわしい生活を営むことも最大限尊重されるべきものとして、住民の訴えを認めました。プライバシー権は、十三条を根拠に、私生活をみだりに公開されない権利として判例上定着しています。一九六四年、東京地裁の判決などがあります。また、知る権利は、二十一条の表現の自由を国民の側から支えるものとして広く認められるようになっており、このように、憲法は新しい人権に十分対応できるものと考えています。
また、環境権が叫ばれている一方、例えば九三年制定の環境基本法も、自民党あるいは官庁の抵抗で環境権という言葉が盛り込まれませんでした。先般の障害者の権利という問題でも、基本法に盛り込まれなかったことは記憶に新しいことかと思われます。
家族の尊重ということも言われました。しかし、そのためにも、働く皆さんが一方的な出向、単身赴任を命じられる、長時間労働などで家庭に帰ることができないような実態がある中で、労働基準法を改悪するのではなく、しっかり守り拡充することこそが求められていると思います。
これまで指摘されてきた新しい人権については、憲法が本来持っている本当の力をしっかり私たち自身が深め、それをまた、不足するというのであれば、立法、行政、司法、あらゆる努力によってしっかりと担保することが求められていると考えております。
以上です。