古屋圭司の発言 (憲法調査会)

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○古屋(圭)委員 自由民主党の古屋圭司でございます。
 本日は、国会、内閣をテーマとした自由討議ですので、まず私は、自民党を代表して、このテーマについて意見を申し上げたいと思います。
 まず、二院制を維持すべきか一院制を導入すべきかについてでございますが、私は二院制を維持すべきと考えます。参議院は衆議院のカーボンコピーなどとやゆされ、不要であるとの議論がなされ、一院制を実現する会などができておりますが、私は、それについては慎重であるべきだというふうに考えます。
 参議院には、議会の行動をより慎重にする役割があること、あるいは衆議院に比べて任期が長く、半数改選で解散もありません。急激な政治的変革を避けることができるなどの役割があります。私は、本来あるべき役割を果たしていけば二院制の機能は十分に果たせるものと考えます。
 二院制を前提とした上での二院制の機能を果たすための改革として、まず衆参両院の役割分担の明確化を図ることが必要だというふうに考えます。もちろん、その際には、構成面だけではなくて、具体的な役割や権限の面での、参議院がその独自性、正当性を十分に発揮できるような制度改革を行うということであります。
 そのために、まず選挙制度につきましては、地方分権をより実態の伴ったものにするために、道州制の導入を前提に、参議院の選挙区を道州単位とすることを検討すべきです。憲法上、道州制を規定するか否かにつきましては論の分かれるところでありますが、明治維新の廃藩置県以来の大改革であり、その姿勢を明確にするため、憲法上も明記をするのが望ましいと考えます。道州代表としての参議院の独自性、正当性の具体化を図ることも可能であります。
 衆参両院の具体的な権限ですが、現在、内閣の総辞職を求める不信任決議案の権能は、憲法上衆議院にしか与えられていませんが、現実には参議院において、憲法上の規定がないにもかかわらず問責決議を行っております。そして、仮に参議院が重要法案を否決した場合には、事実上、閣僚の責任を問い、辞職に追い込むことが可能であります。内閣としても、安定した政権運営をするために、現実問題として、参議院の政党化をせざるを得ないという状況にあります。
 そうしますと、参議院には、権限行使を自主的に抑制するようなシステムがあってもよいというふうに考えます。
 具体的には、例えば、問責決議によって閣僚を事実上辞任に追い込むといった行為は避けるべきだと思いますし、良識の府と呼ばれていることからも、そのような自制があってしかるべきではないかというふうに考えます。
 次に、政党ですが、政党は議会制民主主義において国民の政治的意思を国政に媒介する重要かつ不可欠な存在であることから、憲法上に、国民の政治的意思形成に協力するという趣旨の、政党の本質に関する政党事項を明記すべきと考えます。もちろん、政党の結成や活動の自由を明記することは申し上げるまでもないことであります。また、政党の概念や政党の要件あるいは政党の成立など、政党に関する具体的な事項については、別途政党法を制定し、そこに規定をすべきというふうに考えます。
 次に、国会の運営あるいは手続についてでございますが、現行憲法の五十六条一項は、両議院は、それぞれ総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決を行うことができないと議事の定足数について規定をいたしております。
 問題は、数ではなく、いかに中身のある議論をしていくかということでもあり、私は、憲法上、この規定を削除してもよいのではないかというふうに考えます。
 また、国会の会期が規定をされている中で、予算や重要法案は衆議院が先議であるため、参議院には十分な審議時間がなく、結果として、かなり粗々しく処理をしているというケースもあるわけでございまして、これは会期制がとられているためでありまして、参議院でしっかりと議論をして独自性を発揮するという視点からも、会期制の廃止ということも提案をしたいと思います。
 また、法案の提案権については、国務大臣を含めた国会議員に限定する方向で憲法の改正をすべきというふうに考えます。
 次に、議院内閣制あるいは首相公選制についてでございます。
 現行の議院内閣制については、これを維持するべきものと考える点で異論はございません。ただ、その際、英国流の議院内閣制的運用という形で、政権政党の主たるメンバーが内閣に入って共同責任をとっていくという与党、内閣の一体化を図っていく必要があると考えます。議院内閣制のもとでは政府・与党は実際一体であるのに、時として与党内での議論を見守る云々といった奇妙な答弁が間々あるわけでございまして、政策決定と執行の責任を明確にするためにも、与党、内閣の一元化が必要でございます。
 既に述べましたが、この視点からも、憲法上の政党条項あるいは政党法の制定というのが必要だというふうに考えます。その上で、閣議における内閣総理大臣のリーダーシップや、衆議院の解散権の行使主体としての内閣総理大臣など、現行憲法では必ずしも明確ではない事項について、やはり首相のリーダーシップに関する明確な憲法規定を置くべきであるというふうに考えます。
 こういったことによりまして、首相のリーダーシップの強化は十分に図り得るというふうに考えておりますので、私は、首相公選制についての導入は消極的に考えます。
 また、これに関連をいたしまして、現行憲法六十八条一項については、内閣総理大臣が国務大臣を任命するに当たっては、国務大臣はすべて国会議員の中から選ばなければならないという形に、今の半数の規定から、すべて国会議員というふうに規定を改めていくべきではないかというふうに考えます。
 また、憲法六十三条に関しまして、議院内閣制のシステムからは、現状では、国務大臣の国会への出席義務自体を排除するわけにはいかないわけでございますけれども、しかし、出席が困難な場合あるいはやむを得ない事情がある場合は、副大臣あるいは政務官が出席を条件といたしまして国務大臣の国会への出席義務を緩和するということは、必ずしも議院内閣制に反するものとは考えておりません。これも、国会、内閣という権力相互間の重要な事項であると思いますので、こういったことも憲法事項として規定すべきであるというふうに考えます。
 さて、本調査会は、百四十七回国会の設置以来、六十五回開催されております。広く意見を聴取するため、公聴会ほか小委員会も設置されて、個別の論点、テーマについて議論がなされております。累計しますと、五年間で四百時間であります。きょうの国会、内閣をテーマにした議事も延べ十回やっております。その中では、やはり多くの委員から、現行憲法が現在の社会情勢に合わなくなっているという指摘が多くなされたところでございます。
 ことしは五年間にわたる憲法調査会の締めくくりでありまして、最終報告書を世に問うときが来ています。最終報告書を取りまとめるに当たっては、しっかりと議会の多数意見を反映させ、将来の憲法改正というものを視野に入れたものが読み取れる、そういう内容をぜひ盛り込んでいくべきだろうというふうに私は考えます。
 世界の例を見ても、時代の変遷に応じて憲法改正を行ってきたというのが厳然たる事実です。我が国においても、戦後六十年を経た現在、最高法規たる憲法を時代のニーズ、時代の流れに合致するために変えていこうという柔軟な姿勢を持って、憲法についての議論が幅広くなされております。
 国民の皆様にとっても、国民の代表から構成される国会においてどのような意見が多数を占めたかということをしっかり御理解いただけるような形で提示をしていく、情報をクリアに提示をしていく、まさにこのことが立法府の果たすべき責任ではないでしょうか。そして、立法府の責任として、憲法調査会の五年間にわたる議論の積み重ねを次のフェーズに移していくためには、議案提案権を有する機関を早急に設置することを最終報告書にも盛り込んでいただければと思います。
 また、折に触れて指摘していることでございますが、憲法改正について定める九十六条の規定を具体的に実施するための法整備がなされていないということは、いわば立法府の不作為と言えますので、憲法改正のための国民投票法案の関連法案を直ちに整備する必要があると考えます。
 最後に、我が党におきましても、結党五十周年を迎え、憲法改正試案を発表いたします。現在、党内で活発な議論を進めております。各党においても、ぜひ具体的な改正案について議論を進めていくことを期待したいと思います。二十一世紀という新しい時代にふさわしい、世界に誇るべき国民の憲法、この制定に向けての議論を早急に進めて、合意形成を図っていくべきであるということを申し上げて、私の発言といたします。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 古屋圭司

speaker_id: 7136

日付: 2005-02-10

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会