阿久津幸彦の発言 (国土交通委員会)
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○阿久津委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案に対して、反対の立場から討論を行います。
以下、反対の理由を述べます。
民主党は、国土計画とは、当面の経済状況等に左右されるべきものではない、国家百年の計として必要であると考えています。よって、人口減少社会に入る等、時代の大転換点である今日、新たな国土計画が必要であるということを否定するつもりはありません。しかし、今回の法改正によって、時代の変化に対応できる計画策定が可能であるとはとても考えられないのであります。今回のように、拙速のうちに、しかも既存法の手直しで済ますのではなく、どうせつくるのなら、これまでの計画を徹底的に検証の上、既に時代的な使命を終えた既存法を一たん廃止し、新たな視点に立って抜本的な新法を定める必要があると考えます。
第一の問題は、国土計画が所期の目標を達成できなかった反省が全く生かされていないということであります。
全国総合計画は、限られた資源の配分を目的とし、地域格差の縮小等、一定の役割は果たしました。しかし、安定成長期に移行してから、計画理念と現実との乖離は著しく、東京一極集中と地方の過疎化の進行を食いとめることができず、自然環境や地域の生活を破壊したのであります。全国レベルの格差は縮小したものの、地域における格差は拡大し、特に中山間地域等の疲弊はますます深刻なものとなっています。本法案は、こうした課題に対する認識を欠いていることは明らかであります。
第二に、無秩序な公共事業の波が国土計画を裏切ってきた経緯に対する反省を欠いています。
理念と秩序のもとに公共事業をコントロールすべき国土計画は、特に一九九〇年以降、景気対策重視の公共事業の増加により裏切られ、政官業癒着のもと、利権誘導合戦となり、全国至るところ乱開発と廃墟化が進みました。今後、公共事業は厳しい選択と集中が求められるところですが、本法案にはそのための具体的な仕組みが提示されていません。
環境や地域生活を破壊してきた大規模プロジェクトについても、全国計画には書かないこととなりましたが、広域地方計画には具体的なプロジェクトを書くことになっています。地方分権が進まないままこのような計画を策定すれば、利権誘導型の陳情合戦となり、無用な時代おくれの巨大プロジェクトのオンパレードになることは明らかであります。
一極集中の是正は、地方における巨大プロジェクトではなく、欧米でも行われているように、都市部におけるダウンゾーニングや事務所規制などの具体的規制です。やるべきことには全く手をつけないこのような計画で一極集中の是正がなされるはずがないことは、過去の全総が証明しているところです。
第三に、計画策定の主体の問題です。
以上のような失敗の責任の所在が明らかでないのは、国土計画が単なる行政計画にとどまっているためであります。しっかりと国会がコントロールできる計画策定が求められているにもかかわらず、今回の改正でも、こうした中央官僚が作文する形態に変わりがありません。
さらに、国土計画は省庁の垣根を超えて策定されなければならず、全国計画については国土交通省ではなく内閣総理大臣がしっかりとリーダーシップを発揮しつつ策定すべきであり、この点では、従来の全総計画よりも後退していると言わざるを得ません。
第四に、今回の国土計画への時代の要請は国土形成における地方分権の実現にあると考えますが、本法では地方分権の視点が欠けています。
広域地方計画を策定することにより、地方分権が進んでいるかのように見えますが、権限も財源も中央に残ったままでは、地方の創意工夫を生かすことができるわけがありません。これでは、本来地方が担うべき領域に地方整備局を通じて国の関与の強化が進むだけであり、これまでどおり国への陳情合戦が繰り返されるばかりか、むしろ激しくなるだけであります。
新たに国土計画を策定する最も基本的な意義は、分権型社会への道筋をはっきりと示すことにあります。しかし、広域地方計画の策定主体はあくまで国土交通大臣であるため、国の地方への関与がさらに強まることは明らかであり、時代に逆行するものと言わざるを得ません。
そもそも、国土計画は何のためにあるのでしょうか。それは、国民生活を豊かにするためです。そのかぎは、日本人の心にあります。地方の文化や伝統を尊重し、特色を生かしながら、地域が地域として自立的に発展し、その豊かさを享受できるようにすることであります。国民生活の豊かさは、単なるハード面の充実のみでは実現できません。伝統、文化、芸術、教育、福祉などのソフト面を顧みなかった結果が現在の日本の社会なのです。
過去の計画に対して謙虚に向き合い、その問題点を明らかにできれば、このような改正案になるはずがありません。国権の最高機関たる国会の民主的コントロールも及ばず、省庁縦割りを温存し、分権型社会への道筋も示されていない、このような国会軽視の法案に賛成することは、国民の代表たる国会議員としてみずからの職責を放棄することになりませんか。多くの皆様がこの法案に反対していただけるものと確信して、私の討論とさせていただきます。(拍手)