河瀬一治の発言 (武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会)

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○河瀬参考人 皆さん、おはようございます。私は、敦賀市長の河瀬でございます。
 本日、武力攻撃事態の対処に関する件につきまして立地自治体の意見を聞いていただける機会を設けていただきまして、心から感謝申し上げるところでございます。
 特に、先ほど知事さんの方からお話がございました、私ども、特殊な事情があるという一つの地域でございます。福井県は今十五基の原子力発電所を持っております。すべてそれが、福井県は嶺南と嶺北というふうに分かれておりまして、嶺南と呼ばれます敦賀以西に位置をいたしております。昨年八月に関西電力の美浜三号機の配管の事故がございましたけれども、ちょうどあの隣に当たるところでございます。
 敦賀市と原子力のかかわりにつきましては、一九六二年に日本で初めての軽水炉であります日本原電敦賀一号機の建設の決定に始まりまして、二号機、そして新型転換炉の「ふげん」、高速増殖炉「もんじゅ」、さらには、今、世界最大の発電量を誇ります日本原電の三、四号機、この建設着手もございまして、計六基、これまで四十年余りにわたりまして日本の原子力行政の先駆的な役割を担ってきたんじゃないかなというふうに自負もいたしておるところでございます。
 また、私は、一九六八年に創設をされました、全国の立地また隣接市町村で構成をいたしております全国原子力発電所所在市町村協議会という会がございますけれども、歴代敦賀市長が会長をさせていただいておりまして、これは、立地が二十四の市町村がございます。また、隣接市町村として八つの町村が参加をしておる協議会でございます。
 私ども、何といいましても、住民の皆さん方の安心、安全の確保、これを大前提といたしまして、地域と原子力発電所が共存共栄していける施策が実現をされまして、原子力があってよかったなと言われるような町づくりを今目指しまして、会員が一体となって、国のエネルギー安全保障という重要な国策に誇りを持って取り組んでいるところでもございます。
 また、私ども敦賀市でございますけれども、人口七万少し切れます地方都市でございます。今回、全国約二千四百の市町村の中で、国会の委員会での発言の場を与えていただいたわけでございますけれども、原子力発電所が今回の指針の中でも重要な位置づけを占めるとの御認識であるというふうに理解いたしているところでございまして、安心と安全を根幹といたしております全原協という立場としても、大変ありがたく、感謝をいたしておるところであります。全原協の会長という立場で、また立地市長という思いを申し上げたいというふうに思っておるところであります。
 これまで私ども、武力攻撃といいますとなかなかぴんとこなかったのが現実じゃないかなというふうに思いますし、非常に日本というのは平和で安全な国であるというふうに思っておりましたが、近年では、先ほど朝のテレビの方でも、北朝鮮が核実験を行う云々、ミサイルを発射した云々というようなことが報道されておりましたし、よく最近そういうことを聞きます。平和というものに対しましても、恐怖といいますか、そういうものも少し芽生えてきているような感じもいたします。
 また、安全という面でも大変な事故もたくさん起こっております。特に、地震でありますとか、先ほど触れました関西電力の、原子力発電所の中では初めての死者を出した事故であります。私どもは原子力災害というふうにはとらえてはおりませんけれども、やはり、ああいうプラントで起きました事故、また、尼崎での事故等々大変大きな事故が続いておりまして、なかなか安心、安全というものが薄くなってきたかなという思い、それと、先ほど触れましたような他国からのいろいろな攻撃があるんではなかろうかと思われるようなこともございまして、テロもいろいろな話題にもなっておるところであります。
 そこで、有事等々の武力攻撃事態への対処につきましては、国民の努力だけではなかなかいけないんではないか、さらに、一市町村の能力を超えるんじゃなかろうかというふうに思っておりまして、国にすべてをお任せして、私ども、日々公務に励んでいるのが現状でございます。
 今回、この基本方針で、それぞれの役割分担に応じて、武力攻撃災害の発生、また拡大の防止に必要な措置を実施することとされたことは、まことに適切であるというふうに思っております。住民の生命財産を守るというのが私ども首長に課せられました第一の責務といたします自治体として、持てる能力と機能を十分に発揮いたしまして、住民の安全、安心の確保のために努めていきたい、このように考えている次第でもございます。
 しかしながら、まだできたばかりの法律でございまして、実際にしっかりと動くかどうかという点では不安なところもあるわけであります。
 自治体は、住民の避難誘導から救援に至るまで大きな責務が課せられながら、国の判断に従属させられることになるわけでございまして、基本方針に、「住民の避難に関する措置を円滑に講ずることができるよう、国は必要な調整を行うもの」というふうにあります。この調整とはどういうようなものかなというふうに考えましたり、また、あらゆる武力攻撃等の事態に対しましてどのように住民の避難誘導をすればいいのか、自治体側に計画の策定をゆだねている点もあります。
 そこで、原子力発電所と身近に生活をともにいたしております市町村として幾つかのことをお願いしたい、このように思います。
 まず一番大事でありますのは、外交ということは国を守る上では非常に重要なことだというふうに思っております。日ごろ国会議員の先生方には、私ども、国の発展のため、また平和の維持のために大変御尽力いただいておりまして、深く感謝を申し上げるところであります。
 先ほども触れましたけれども、北朝鮮からミサイルが発射されたとの情報、また、核実験があるんじゃなかろうか。特に日本海側の都市といいますのは、御承知のとおり、黄砂というものがシーズンになるとどんどん飛んでまいります。要するに、自然の流れの中で、大陸の方から物が飛来してくるわけでございます。そういう意味で、核実験が行われたその後のいろいろなものが飛んでくるんじゃなかろうか、そういうような不安なども実はございまして、やはり外交面で、そういうことがないように、また、有事が起こらないようにまずあるべきが一番安心につながるわけでございます。
 平和で安全な国日本、こういうものを国会の先生方のお力でぜひこれからも確立していただきたい、このように思うところでもございます。いろいろな諸問題がございますので、世界の動きは難しいものがございますけれども、ぜひしっかりとした外交努力をお願い申し上げたい、このように思います。
 それと、被害想定ということでございますけれども、原子力災害、自然災害を問いませず、災害に対する有効な対応を行おうといたしますと、その災害がどの程度のものか、それを想定していくということが極めて重要であるというふうに思っておりまして、非常事態から住民を守るという観点では、これは他の災害とも私は同じだというふうに考えております。一元的な体制の中でこれは行われるべきでございまして、市町村の原子力防災計画に準じて行われることは理解するものであります。
 しかし、現行の防災計画につきましては、設備のふぐあいが進展をしました過去の事故をベースとしておりまして、これらがミサイルなどで破壊されることを想定する場合にもこれを適用できるのか。また、その内容を十分に検証し、相違があるのであれば、武力攻撃等に係る防災計画として適切に反映させることが不可欠ではないかというふうにも考えるところでございます。
 例えば、現行の私どもの防災計画の中では、防災対策を重点的に充実すべき地域を発電所からおおむね半径十キロ内というふうにしておるわけでありますけれども、これがミサイル攻撃を想定した場合でも適用できるのかなというふうに考えましたり、また、事故によりまして放射性物質が放出されるまでの時間を数十時間と想定しておるんですけれども、有事の場合においては、やはり時間的に極めて短いのではないかなということも考えます。
 そこで、避難指示にどの程度の時間的余裕があるのかな。これらの基本的な事項、実効的な対応に直接これはかかわるものでございますので、的確な被害想定が必要と考えておるところでございます。
 次に、住民への避難指示及び基盤整備でございます。
 原子力につきましては、特に有事があれば当然目に見えるものでございますが、原子力発電所の事故といいますのは、放射性物質というのは、これは全く人間の五感に感じないものでございます。色もついておりません。住民対応につきましては的確な情報伝達が大変重要であるというふうに思いますし、さらに、いかにそこから早く逃げていくか、離れていくかということも非常に大切なものだというふうに考えております。
 基本方針には、市町村の重要な役割として、県に伝えられました国からの避難指示を迅速的確に住民に伝えまして、さらに避難誘導を行うことと明記がされておるところであります。
 現実の体制はどうかということで、敦賀市の例をとりますと、今、私ども、全市にCATVが普及をしております。基本方針にも挙げられております防災行政無線、これも整備をしていただいておりますけれども、既に設置から二十三年経過いたしておりまして、大変老朽化をいたしております。かつ、全市民を対象としたものではございませんで、先ほど言いました、発電所から半径十キロ内に限定をされているところでございます。
 また、市民の情報収集に有効な手段でございます携帯電話は今ほとんど普及をしておりますけれども、やはり地方都市がゆえ、不感地帯があるのも現実でございます。
 また、避難する際に必要な道路、すなわち避難道路につきましても、避難には必要と言われております二経路はもちろんでありますけれども、実は一経路ですら十分に整備がされていない状況でございます。
 さらに、原子力発電所の特殊性から、非常に海辺に近い、また岩盤等の関係もございますけれども、いわゆる風光明媚な地域に立地しておるところが、私ども敦賀、美浜等も含めまして大変多うございます。そうなりますと、海水浴に非常にたくさんの皆さんが訪れるシーズンがあるわけでございます。そういう季節要因もこれは考慮しなければならないというふうに思います。
 どのような経路を通り、どのような手段を用いていかに避難させるのか。これらの課題、市町村にとりまして、計画ではなくて現実の問題であるというふうに考えておるところであります。
 特に住民への情報伝達につきましては、避難誘導を迅速的確に行わなければならない責務は理解するわけでありますけれども、国におきましては、まずこのような実態を把握していただきまして、国として、防災行政無線の全市内への整備、携帯電話の不感地帯の解消、避難道路の整備など、基盤整備を行うことが非常に必要であるというふうに考えておる次第でございまして、国会の先生方のお力を賜りたい、このようにも思うところでございます。
 また、専門家の配置ということでございまして、原子力というのは非常に特殊性がございます。安全確保につきましては国の一元的責任のもとで進められておりますし、必要な専門知識と能力につきましては、なかなか市町村の能力を超えるものでございます。
 現在、私ども立地地域にはオフサイトセンターというものの設置をいただきました。それぞれ原子力防災専門官が、さらに福井県など一部の地域には原子力安全地域広報官が今配置をされております。現在兼任であります広報官を専任にし、平常時にも有事の際にも、広報官、専門官が市町村に対し適切な指導助言を伝えるように、また住民に対しまして説明責任を果たせるよう体制を整備すべきであるというふうに考えておるところであります。このようなことにつきましては、地域住民の安心、安全確保の観点から極めて有効な方策と考える次第でもございます。
 最後になりましたけれども、魂の入った計画にすべきという声も聞かれているところでございますけれども、対応すべき相手につきましては、行政組織ではなく住民であるということを深く認識した実効的な計画を策定することが重要であります。常に住民に接しまして、住民の生命財産を守るべき責務を有します私ども市町村長として、住民に対しましてどのような対応をとるのか、現実を直視した対策を思案しなければならないというふうに考えているところであります。
 最後に、冒頭触れました二十四の市町村は、全国のわずか一%の市町村でありますけれども、全国の発電量の三分の一を供給しているということに誇りを持ちまして、今、国策の最前線で取り組んでいるところであります。私ども、この誇りが色あせないように、立地市町村の住民の安全が確保されまして、安心できる、実効のある体制の確立をお願い申し上げまして、発言を終わらせていただきます。
 本当にきょうはどうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 116205054X00420050511_004

発言者: 河瀬一治

speaker_id: 26845

日付: 2005-05-11

院: 衆議院

会議名: 武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会