山花郁夫の発言 (本会議)
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○山花郁夫君 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。
ただいま議題となりましたいわゆる三位一体の改革関連法案、義務教育費国庫負担法一部改正案、国民健康保険法等一部改正法案につきまして、地方分権に関する民主党のスタンスを明らかにしながら、質問をしたいと思います。(拍手)
我が国では、三百諸侯に分かれていた幕藩体制から、明治二年に版籍奉還、明治四年に廃藩置県を行うなど、一連の中央集権制度をつくり上げてから約百三十年がたちました。当時、近代国家を建設していく過程において、工業化社会の当時においては中央集権的国家体制が適しているとの判断が背景にあったと言われております。
そのころの日本は第一次産業が中心で、都市人口率は約五%。新潟県が人口規模第一位を誇り、交通手段は馬、船という典型的な農業国でありました。わずか一世紀の間に都市人口率は八〇%に達し、第三次産業を中心とする高度都市国家に変貌を遂げたことを思えば、中央集権的な国づくりが一定の成果を上げたものと評価できます。しかし、こうした中央集権システムによる国家建設により、政治、経済、情報、文化などの一極集中化が進み、結果として地方の活力の低下というものを招いております。もはや、このような手法は歴史的使命を終えたと言ってもよいでありましょう。
現代のように価値観の多元化した社会においては、住民の暮らしや生きがいという視点に立つべきで、中央集権的、効率重視の画一的な政策展開は見直すべきであります。地域みずからの創意工夫が生かせる国をつくっていくこと、多様な物差しで政策展開できる自治体をサポートしていく国の形に改めていくことが必要であると考えます。
一九八五年に制定され、現在ではヨーロッパの三十カ国もの国が批准しているヨーロッパ自治憲章には、公的部門が負う責務は、原則として、最も市民に身近な公共団体が優先的にこれを執行するものとするという補完性の原理、近接の原理をうたっています。家族でできないことをコミュニティーで、コミュニティーでできないことを基礎自治体で、基礎自治体でできないことを広域自治体で、そして広域自治体でできないことを国でという補完性の原理に示されるように、中央集権的な発想からの転換が必要であります。
私たち民主党も、この補完性の原理に基づいた中央政府と地方政府との関係を構想し、分権型社会を目指すべきであると考えます。
今の国際社会を見たとき、地方にいろいろな補助金を配分することに多くの人材を投入することは改めるべきであります。中央政府は地方政府に対してはしの上げ下げまで指示するような仕事はやめて、国でしかなし得ないような仕事に人材も財源も傾斜配分していくことが、ひいては国力を高めることになるからであります。
総理、中央政府と地方政府のあるべき姿、その将来像について、どのような構想をお持ちであるか、答弁を求めます。
昨年、全国知事会等地方六団体は、六月九日の内閣府による国庫補助負担金の具体案の取りまとめについての要請に基づき、八月二十四日に「国庫補助負担金等に関する改革案 地方分権推進のための「三位一体の改革」」を政府に提出しております。その内容は、平成十八年までを第一期改革とし、十九年から二十一年までを第二期改革として、総額八兆円程度の国から地方への税源移譲と、総額九兆円程度の国庫負担金の廃止、あわせて地方交付税の見直しを行うというものであります。
民主党は、国から地方への補助金を、約十二兆円の一括交付金化と五・五兆円の税源移譲を行うことにより、地域が自由に使うことのできる財源に切りかえること、そうすることによって権限と財源を地域に移譲することをマニフェストにもうたっております。地方六団体の改革案は、政府のオーダーに対するレスポンスでありますから、政府と民主党のプランが異なるのと同様に、そのスキームを異にしておりますけれども、真の地方自治の確立に向けた地方分権改革を行おうとする方向性において一致をいたしております。
さて、この地方六団体の改革案について、昨年九月から、政府と地方六団体との間で国と地方の協議の場が持たれたことは、今回のいわゆる三位一体改革の中で唯一評価できる事柄であると当時は見ておりました。しかし、昨年十二月以来、こうした機会すら設けられておりません。
二月十七日、新たな全国知事会長に麻生渡福岡県知事が就任をいたしました。麻生新会長は、前会長の梶原路線を承継すると表明をいたしております。選挙で会長が選ばれたのは史上初めてのことでありますけれども、この選挙の際、麻生新会長は、候補者所見において国と地方の協議の場を制度化すべきことを第一に訴えて当選されたことは、極めて重みがあることだと思います。傾聴すべき提案であり、今後、政府として、国と地方の協議の場を制度化し、継続して開催していくべきと考えますが、その意向はおありでしょうか。総理に答弁を求めます。
そして、その協議の場は、真に地方の声に耳を傾ける場でなければなりません。昨年は、協議の場どころか、既得権益にしがみつく中央省庁の激烈な抵抗の場であり、結果として、族議員の権限を温存するアリバイづくりの場として利用されたのであります。
その結果、地方六団体が百四十八項目にわたる国庫補助負担金の改革案を示したのに対し、政府案にはほとんど反映されることはありませんでした。
そこで、総理に伺います。百四十八項目のうち、暫定分を除くと、一体何項目を採用したのですか。また、その総額は幾らになるのでしょうか。答弁を求めます。
総理は、九月三日の閣僚懇談会で、改革の検討に当たっては、地方からの改革案を真摯に受けとめ、関係各大臣は、改革案の実現に向けて率先して、責任を持って全力で取り組み、平成十七年度予算に最大限生かしてもらいたいと述べています。この今回の結果は、改革案の実現に向けて関係各大臣には全力で取り組んでもらった結果と評価できますでしょうか。百点満点で一体何点がつくようなものなのか、自己採点の答弁を求めます。
同様に、総務大臣にお伺いします。この結果は、地方からの改革案を真摯に受けとめた数字だとお感じになられますでしょうか。答弁を求めます。
次に、義務教育費国庫負担法一部改正案について伺います。
義務教育段階における顕著な学力の低下、学級崩壊などの困難な課題の直面と就学前教育の見直しなど、義務教育に関する国と地方の役割はますます大きくなってきております。
地域によって直面する課題も異なり、また、地域の特性を生かした学びの場づくりを創造的に進めていくためにも、教育の現場のあり方は大胆に地域にゆだねて、その創意工夫を求めていくべきであります。権限のないところに責任は伴いません。責任のないところに創意工夫の意欲は生まれません。民主党は、義務教育の無償原則を含めて、その基盤整備のための財源保障について国が責任を負い、それを義務教育という中で、使途の特定されない一括交付金として配分する仕組みを提案しております。
政府の改正案は、義務教育費国庫負担金から四千二百五十億円を減額するというものでありますが、地方六団体案と異なり、中学校分という仕切りもなしに、案分して減額するというわけでありますから、地方案とは似て非なるものです。これでは、従来から指摘されていた、国が金を出すが口も出すの弊害を除去するどころか、金はけちるが口は出し続けるというまさに最悪の選択であり、分権改革には真っ向から対立するものと言わざるを得ません。(拍手)
昨年十一月二十六日の政府・与党合意には、義務教育については制度の根幹を維持するとあります。ただいまの趣旨説明でも、文部科学大臣は同様の趣旨のことを述べられましたが、これは、口は出し続けて地方独自の施策は許さないということを意味することになるのではないでしょうか。文部科学大臣に答弁を求めます。
しかも、今回の措置は、平成十七年限りの暫定措置となっております。これは中央教育審議会の議論にゆだねたもので、国庫負担制度を今後どうするのか、予見可能性の極めて不確かな代物であります。
ところで、総理は、中教審の答申は尊重すべきであるという意見についてどのように考えておられますでしょうか。平成十六年以前に戻すという答申が出る余地もある問題ですので、これは極めて重要なことだと考えます。答弁を求めます。
また、中教審の答申が出たら、たとえそれが義務教育費国庫負担金制度を維持するという結論であったとしても、政府としてそれに従うということになるのでしょうか。文部科学大臣に答弁を求めます。
また、従うということになると、今回の補助金改革案は振り出しに戻ってしまうことになりますが、総務大臣、どのように対処されるのでしょうか。答弁を求めます。
次に、国民健康保険法等一部改正案について伺います。
この改正案は、国民健康保険制度について、国から都道府県に対して財政調整権限の一部を移譲するものであります。この補助金改革により、国庫負担率が引き下げられ、都道府県が市町村間の財政を調整する交付金制度が導入されます。
しかし、税源移譲をされたところで、地方がこの財源を国保財源以外に充てるということは考えられません。しかも、国が今後示すというガイドラインのあり方によっては都道府県がさらに縛られる可能性があり、使途に自由度が高まるといったたぐいの話ではありません。
高齢化社会のますますの進展とともに、医療費の増加が確実に予想されます。すなわち、この補助金改革は、結果的に地方に負担を押しつけることになることは目に見えております。税財源移譲、国庫補助負担金の削減、交付税改革は、地方分権を推進するための手段であるべきで、そのこと自体が目的ではないはずです。経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三を経済財政諮問会議で決定する際に行われた内閣総理大臣指示の冒頭にも、次のように述べられています。「三位一体の改革は、「地方が自らの創意工夫と責任で政策を決める」、「地方が自由に使える財源を増やす」、「地方が自立できるようにする」ことを目指す」。
この国民健康保険法等一部改正案は、地方分権と一体どのような関係があるというのでありましょうか。具体的には、地方が何を自由に選択することができるようになり、どのような創意工夫が可能となるのでしょうか。厚生労働大臣、総務大臣、それぞれに答弁を求めます。
もともと国保の問題は、地方六団体の国庫補助負担金改革には存在しなかったものであり、六団体案を真摯に受けとめたと言っているはずの政府が、まるで異なったものを提案しているのであります。ベンチ入りしていない選手をフィールドに出してプレーさせることは、スポーツの世界ではルール違反です。
世間一般には、表面上の財務数値の見ばえをよくするために数字を飾ることを粉飾決算といいます。地方分権とはまるで関係のない制度改正をあたかも三位一体の改革の成果であるとし、国庫補助負担金改革の三兆円に算入するとして胸を張っているのは、まさに国家的粉飾であるということを指摘いたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕