稲見哲男の発言 (本会議)
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○稲見哲男君 民主党・無所属クラブの稲見哲男でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、議題となりました国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部改正案及び地方分権改革について質問いたします。(拍手)
平成七年七月に地方分権推進委員会が発足をして、間もなく十年が経過しようといたしております。平成十三年六月の最終報告まで六次にわたって報告がなされましたけれども、私は、平成八年三月の中間報告が地方分権の基本的理念を最も端的に指し示していると考えています。
その中間報告に比してみれば、当初、国庫補助負担金の廃止と税財源の地方への移譲とともに地方交付税改革の三つの課題を一体的に進めるとされていた三位一体改革は、地方交付税の削減等による国の財政再建ばかりが先行し、目標からすっかり外れてしまっています。
確かに、公共事業の垂れ流しにより自民党政権が積み上げた一千兆円に上る国、地方の膨大な債務の中では、地方においても財政再建は重要な課題です。
しかし、分権改革の本旨は、地方の自主的な決定、裁量権を拡大することで地域の実情に合った事業の選択、効率的な事業推進を可能にすることであり、補助金による中央省庁のコントロールを排してむだな事業をストップし、地方の財政的自立、ひいては地方の個性ある発展につなげていくことであります。
翻って、総理の進める三位一体改革は、政府、省庁の権限維持、地方への財政負担の押しつけ、課題の先送りと結論の先延ばしに終始し、まるで地方分権改革の体をなしていません。(拍手)
山花議員の質問と重複は避けますが、平成十六、十七年度の三位一体改革において省益に走る各省庁の姿は、大きな歴史的転換点、この国の形を根本から再構築すべきこの時期にあって、国を滅ぼしかねないものと言えます。そして、小泉総理がリーダーシップがないこと、あるいはやる気がないことが鮮明になりました。小泉総理の三位一体改革は、地方にとってマイナスとなりかねない要因を多く内包し、まやかしの地方分権であると言わざるを得ません。(拍手)
まず初めに、農業近代化資金助成法等の一部改正案に関連して質問をいたします。
地方六団体は、昨年八月に提示した補助金改革案において、農水省所管の補助金のうち、今回の法案で改正される農業近代化資金利子補給補助金を含め、三十五項目、額にして約三千九十億円を廃止、税源移譲対象として挙げました。
しかし、平成十七年度の三位一体改革によって税源移譲の対象となったのは、農業近代化助成補助金を含めて五つの補助金に限られ、移譲額はたった五十四億円にすぎません。残りの三千億円余り、農水官僚や自民党の族議員が権限と利権にしがみつく構造には手をつけられませんでした。まさに、寄生虫ではありませんか。これが、小泉三位一体改革の実態です。
この農業近代化資金助成法等改正案についても、補助金削減が実現して地方分権が一歩進んだと歓迎するのは、コインの片面しか見ていないことになります。別の観点からいえば、地方が要求した改革のほんの一部だけを実現することと引きかえに、中央省庁の官僚や族議員が権益の大部分を守り切ったということであり、本法案を含め、今国会に提出された三位一体改革関連法案の大部分は、改革骨抜きの象徴にほかなりません。
なぜ、地方提案のわずか三十五項目さえ採用できなかったのか、この三十五項目すべての補助金を廃止し税源移譲することにどのような障害があるのか、何が問題なのか、島村農林水産大臣の見解を伺います。(拍手)
また、小泉総理には、この三千億円の骨抜きという現実に対してどのように認識しておられるのか、官僚や族議員に配慮するあなたのことだから、一歩前進だというくらいのコメントがやっとかもしれませんが、自分なりの認識をお述べください。
農水省は、昨年の国と地方の協議の場において、地方提案に対しかたくなにゼロ回答を繰り返し、あげくの果て、百七十五の補助金を、強い農業づくり、元気な地域づくりなど七つの交付金化を行うとしてお茶を濁して、地方の主張を退けました。
政府は、交付金化とは、複数の補助金を束ね、その総枠の範囲でなら補助金相互間の融通を認めるものであり、地方にとっては利便性が高まるものであると自画自賛しています。
しかし、幾ら交付金化されても、農水省が決めた補助要綱にのっとって地方から農水省に申請が行われ、農水省や自民党族議員からさまざまに指導されたあげく、農水省が承認して初めて地方に交付されるのであれば、これまでの補助金と本質は変わりません。むしろ、交付金化は、名前を変えて補助金を温存する小泉総理お得意の看板のかけかえ、やったふり改革にすぎません。
補助金の交付金化に伴い、補助要綱を新たにつくるのか、新設するのであれば、従来のものと比べて基準が大幅に緩和されるのか、島村農水大臣、お答えください。
交付金化は、農水省の権限温存のための手段としか評価し得ないものであり、地方分権の重要性を一顧だにしない農水省のその姿勢も問題ならば、農水省を初め、抵抗する各省を最後まで説得し切れなかった小泉総理のリーダーシップの欠如もまた問題です。
総理に伺います。補助金は何本か束ねたら補助金ではなくなるのでしょうか。また、交付金化の名のもとに、官僚や族議員が相変わらずばっこし続ける実態についてどう思われるのか、お答えください。(拍手)
続いて、昨年十一月に示された政府・与党合意に盛り込まれた、補助負担金の廃止・縮減によって移譲された事務事業について、確実に執行されることを担保する仕組みについて伺います。
国からの補助金が廃止された事業を自治体が責任を持って実行できるように、施策の到達目標を明示することを一概に否定するものではありませんが、地方の自由と自立を阻害するような国の関与が残されてはなりません。ただでさえ、義務的経費の補助金改革ばかりが先行し、地方の自由となる税源移譲額がわずかであるのに、そこにさらなる縛りがかかるようでは、地方分権でも何でもありません。
わざわざ明記されている担保する仕組みとはどのような内容を考えているのか、小泉総理、麻生総務大臣、お答えください。
次に、政府・与党合意において、今後の検討課題として挙げられた生活保護費負担金について質問をいたします。
生活保護制度は、憲法二十五条の理念に基づき、最低限度の生活を全国一律に保障する重要な役割を担っており、社会保障の根幹をなす制度であります。そもそも、このような国民生活の基盤を支える基礎的な行政サービスは、その財政責任のすべてを国が負い、経費の全額を負担すべきものであります。
厚生労働省の取りまとめによれば、生活保護を受ける世帯が、昨年十月時点で約百万二千世帯になり、昭和二十五年の制度発足以来初めて百万世帯を超えました。平成十七年度の予算案では、生活保護費約一兆九千億円が計上され、自治体負担分と合わせると二兆五千億円を超えます。
そして、そのしわ寄せは、とりわけ大都市に集中をいたしています。平成十四年度で、指定都市の保護世帯は二十四万一千百十世帯、全国の二七・七%を占め、保護費は六千五百十五億円、二八・九%に上ります。厚労省がねらっている負担率の引き下げの影響は、十六年度予算ベースで、指定都市だけで六百二十三億四千五百万円と莫大です。全国では二千億円を超えます。しかも、現行でも、一般財源決算額と基準財政需要額算入との乖離が指定都市で五百八十四億円余りもあり、三割を超える措置不足、つまりは、指定都市の負担になっているわけです。
このような状況の中で、厚労省がねらっているような生活保護費負担金の負担率引き下げを行うことは、単なる国の責任放棄であり、国の負担を地方に押しつけるものでしかありません。きっぱり断念すべきであります。(拍手)
保護費の増嵩は、創設後五十年を経て制度疲労を起こしていることに根本的な原因があり、受給期間の長期化に対する自立支援機能の強化、あるいは高齢者世帯の増加や医療扶助費の増加に対する制度見直しなどについて、現場の声を十分聞きながら、三位一体改革とは別個に検討すべきです。小泉総理の見解をお伺いいたします。(拍手)
地方財政計画に関連をして質問いたします。
谷垣財務大臣は、経済財政諮問会議で、地方財政計画において投資的経費の単独事業費など実際の執行額を大幅に上回る過大計上が行われているとして、七、八兆円を十七、十八年度に是正、削減すべきと極めて刺激的な指摘を行い、物議を醸し出しました。そして、今年度の地財計画においては、決算乖離の一体的是正として、一般単独と投資単独でそれぞれ三千五百億円のプラスマイナスが行われました。
投資的経費の決算乖離だけを問題にするのは間違いで、例えば平成十三年度の決算では、投資的経費は六兆円下回っているものの、一般行政経費では七・六兆円上回っています。このことは財務省も十分に御承知のはずであり、地方財政計画の策定に当たって、十分に協議し、政府として決着してきた内容であるにもかかわらず、突然このような提起は、地方に政府案をのませるためのブラフであったとしか思えません。
谷垣財務大臣に猛省を促すとともに、投資的経費の歳出減のみを一方的に削減することについては撤回されたと解しますが、谷垣財務大臣、麻生総務大臣の認識をお聞きいたします。
締めくくりに、冒頭に申し上げた平成八年三月の地方分権推進委員会の中間報告の第一章「総論」を引用したいと考えます。
「国権の最高機関たる国会が率先し、これに内閣が歩調を合わせ、明治期以来の中央集権型行政システムを新しい地方分権型行政システムに変革しようとする決意を表明したものであって、わが国の憲政史上にも稀なる画期的な政治決断であった。」「それは明治維新・戦後改革に次ぐ「第三の改革」というべきものの一環であって、」「世紀転換期の大事業である。」こういうふうに述べられています。
この理念を忘れ去り、補助金改革では省益を優先し、交付税改革では財政再建だけを目的にした、官僚と族議員に屈服した、かけ声倒れの小泉総理に地方分権、地域主権を推進することはできません。地方分権は、政権交代と民主党の新しい政府でこそ実現するのだということを国民の皆さんに高らかに宣言をして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕