梶原拓の発言 (予算委員会公聴会)
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○梶原公述人 梶原でございます。
今月の初めに全国知事会会長を退任いたしましたが、全国知事会、市長会、町村会、それからそれぞれの議長会、これは地方六団体と称しておりますが、地方六団体がいわゆる三位一体改革にどのような考えで取り組んできたか、また地方分権改革にどのように取り組んできたか、その点についてお話をさせていただきたいというふうに思います。
お手元に資料をお届けいたしておりますが、その一ページにございますように、地方分権改革、三位一体改革は、単に国と地方との間の権限、財源の奪い合いではないということでございまして、幅広い、あるいは根の深い改革というふうに我々は意識をしておりまして、行政改革であり政治改革であり、あるいは生活改革、社会改革、産業改革、こういうような幅広い改革につながっていくものだという認識をいたしております。そして、一の一番下にございますように、地域、個人の潜在能力を解放していくということが日本全体を生き生きとした社会にしていく、こういうことではないかということでございます。
二にございますが、歴史的視点から見た場合、歴史の大きな流れから見ますと地方分権改革というのは歴史の必然である、このような認識をいたしております。基本的に、官僚政治から市民政治へという、四百年のサイクルで日本の政治権力の中心が移行いたしておりまして、平安遷都から鎌倉幕府、そして徳川幕府、そして今日に至っている、こういうような考え方もございます。
それから、明治維新は中央集権改革でございましたが、我々が今進めている平成維新は地方分権改革である、地方分権革命であるというふうに認識をいたしております。二ページに参りまして、工業社会から情報社会へ移行していくということは、画一社会から多様性の社会へ移行しなきゃいけないということでございまして、そういう意味からも分権改革は必然である、かように考えております。
それから、(三)にございますが、大正デモクラシー運動が盛んに行われて、その結果、昭和三年に第一回普通選挙が行われております。後ほど説明させていただきますけれども、第一回の普通選挙の際の立憲政友会、これは今の自民党の前身の一つでございますが、その選挙公約が地方分権ということでございました。
御案内のとおりでございますが、立憲政友会は、市民派ということで民党と呼ばれておりました。もう一方の立憲民政党は、官僚派ということで官吏の吏党と呼ばれておりました。
その後、軍国主義体制に入りまして、いわゆる民党派が影を潜めていった、こういうようなことでございます。石橋湛山先生が早くから地方分権を、特に税源移譲というものを唱えてこられました。
「地方分権推進の必要性」が三にございますが、現在は高コスト不満足社会と言っていいのではないかと思います。非常に硬直化している、縦割りだ、規制が強過ぎる、そしてみずから決定権がないという不満足な状況である、全体が甘えの構造、護送船団で依存社会であるということで、地方分権をしていくということが真の構造改革であり究極の財政再建である、一言で言うと、自己責任社会に日本全体を持っていかないと究極の財政再建はできないというふうに考えております。
三ページに参りまして、住民主権、市民政治ということは、なるべく生活者に近いところで政治、行政を行うということが透明性を高めるし、また情報公開の効果も高い、市民参加もやりやすいというようなことでございまして、代表制民主主義と同時に地方自治が併存することによって真の民主主義となるということでございます。
ヨーロッパでは、第二次世界大戦、ナチズムの反省から、つまり、余り権限が中央に集中し過ぎると、独裁者が出た場合に大きく国がぶれてしまうということで、足元をしっかりしようという反省、そういうことで、ヨーロッパ地方自治憲章というものが一九八五年に制定されております。
地域に自由を、市民に権利をというのが我々の地方分権改革のスローガンということでございます。
「国と地方の役割分担のあり方」でございますが、地方自治体の実力はどうかということでございまして、国際的に経済規模というものを見てみますと、ブロック別に、これも後ほど御説明しますけれども、広域の単位で考えると、ノルウェー、アルゼンチン、イギリス、スイス、ブラジル、メキシコ、ベルギー、ポルトガル、オーストラリア、ベトナム、この十カ国を一つのところでコントロールしようということで、物理的に中央集権というものが限界に来ているというふうに考えていいんじゃないかと思います。
この地方自治の基本原理は、ヨーロッパ地方自治憲章それから世界地方自治憲章の案というのがございまして、これが民主主義の、あるいは地方自治のグローバルスタンダード、こう言ってもいいのではないかと思いますが、近接及び補完の原理ということになっております。なるべく基礎的自治体、日本の場合でありますと市町村に権限、財源を優先させる、そこで処理できないものをより広域な団体で処理させる、これが日本でいえば都道府県でございまして、そこでもなお処理できない国防、防衛、通貨、金融政策等々は国の事務である。こういう近接、補完の原理というものが現在の先進国の民主主義、地方自治のグローバルスタンダードであるというふうに我々は考えております。
ということで、三ページの(三)にございますように、国の関与、規制をどんどん緩和し、あるいは是正していくべきだということを主張いたしております。
次のページ、資料一というのがございますが、これは、昭和三年、一九二八年、今から七十七年前ですか、大正デモクラシーの成果として、第一回の普通選挙が行われました。これが先ほど申し上げた立憲政友会のポスターでございまして、「地方分権丈夫なものよひとりあるきで発てんす」、一方「中央集権は不自由なものよ足をやせさし杖もろふ」と。これが第一回普通選挙の立憲政友会の選挙公約ということになっておりまして、今日これをそのまま持ち出しても十分通用するということで、八十年近くほとんど変わっていないという現状でございます。
資料二でございますが、「地方分権は何故必要か」ということでございまして、これは、先ほど申し上げましたように、やはり硬直社会に今なっております。全国一律、画一でコントロールされている、これをもっと地方に任せて、柔軟な、創意工夫ができる社会に持っていく。
それから、縦割り社会。各省庁別、局別、課別、ひどいときは係別で縦割りの補助金とか規制が行われているということで、横割りの仕事ができないということになっておりまして、もう莫大なむだを生んでおります。
それから、過度の規制によって創意工夫が生かされないということになっております。
そういうような状況で、地域、市民、非常に満足感を抱けないというような閉塞状況になっておるわけでございまして、分権型にしてより透明性を高める、そして自分たちも、自分たちの生活にかかわる行政についてみずから参加できる、こういうことによって初めて満足感が出てくるということでございます。
総じて、最後にございますように、日本はまだ、護送船団といいますか甘えの構造といいますか、依存社会でございまして、地方自治体相互の競争原理というものももっともっと導入しなきゃいけないということでございまして、しっかりやらない首長は選挙で落選をするということにしなきゃいけない。今は、いや国が悪いんだとか、そういうツケ回しができる状況であるということでございまして、次のページにございますように、そういう改革をして低コスト満足社会へ持っていくべきである、これが究極の財政再建である。
世界の政治経済学者が提唱しておりますリヴァイアサン仮説というのがございまして、税財政面で分権が進むほど、国、地方を通じた歳出規模は縮小するということでございます。世界六十二カ国の二十世紀終わりごろの二十年間のデータを用いた実証研究がございまして、一国の総収入に占める地方自主財源の割合が一%増加すると、国、地方歳出は国内総生産、GDP比で〇・二九%減少するというようなことでございます。
例えは正確じゃないかもしれませんが、自分たちのお金を税金で納める、それが国に入って戻ってくるときは、一種のマネーロンダリングで人の金になって来ていますから、非常にむだな使い方をする。やはり自分の金として使うようにしないと大きなむだが出てくる、端的に言いますとそういうことではないかということでございます。
次のページに「各地域ごとの経済力の国際比較」という図がございまして、これは先ほど申し上げましたように、上から、北海道はノルウェーに相当する、東北はアルゼンチンに匹敵する、関東はイギリスに匹敵する、それから東海はブラジルに匹敵するというようなことで、これだけの経済力のある広域ブロック、それぞれが一国の力を持っているんですが、これをまとめてコントロールしようということ自体がもう限界に来ている、国際的にそういう視野で見ていかなきゃいけないんじゃないかということでございまして、その次のページにブロック別のいろいろな指標を出しております。
それから、最後に資料四がございますが、世界地方自治憲章の案というものがございまして、これは、中国とアメリカの反対によって日の目を見ておりませんが、ヨーロッパ地方自治憲章をベースにした、民主主義あるいは地方自治のグローバルスタンダードと言ってもいいと思います。
日本政府もそれに賛成をしておったわけですが、この下の囲みにございますように、平成十二年、いわゆる地方六団体も、これが我々が目指す地方分権の推進、地方自治の確立と軌を一にするものである、このような動きが今や世界の潮流であるということで、その実現に向かって努力すべき、こういうような決議をし、声明を発表いたしております。
以上のような基本的な考え方で三位一体改革あるいは地方分権改革に我々地方六団体が取り組んできた、そういうことでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
以上でございます。(拍手)