高原明生の発言 (国際問題に関する調査会)

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○参考人(高原明生君) 御質問どうもありがとうございます。
 最初から順番にお答えを申し上げていきたいんですけれども、実は、そもそも中華人民共和国ができる直前、国民党と内戦を戦っているときに、毛沢東は中国も連邦制の国にしようというふうに最初は言っていたんですね。これはソ連が民族ごとの連邦という形でもうできておりましたので。ところが、もう内戦に勝利することは間違いないということが分かった段階でやめたと言って、やっぱり単一制の国家にするといって今日まで来ているわけであります。けれども、御指摘のとおり、一国家二制度、一国二制度というものが元々は台湾を対象に考えられた政策なんですけれども、実施は御存じのとおり香港それからマカオという地域を対象に行われておりまして、その内容を見ますと、もうほとんど連邦制と同じような内容の仕組みが実はできているというふうに言っていいんじゃないかと思います。それは、もし台湾も一国家二制度という枠組みの下で問題が解決されるという形になれば台湾もそこに加わると。
 じゃ、ほかのチベットとか新疆はどうなるんだということで、このまま変わらないのかどうなのか。そういうことにつきましては、一つ注目されますのはやっぱりチベットの動向なんですね。そのチベットのダライ・ラマの側とそれから中国共産党との間の話合いというのが実は進められているプロセスの今最中でありまして、ダライ・ラマはもうかなり高齢になってまいりましたし、チベットについてどういった話合いが付くのかということが長期的に中国の国の在り方ということを考える上では一つの焦点になるんだろうというふうには考えております。
 実は一九八九年のいわゆる天安門事件、六・四事件の前には、漢民族が主に住んでいる地域を対象としても、やっぱり連邦制にした方が国家運営の仕方としてやりやすいんじゃないかという、そういう議論はあったんですね。しかし、六・四事件以降、そういう言い方は少なくとも表ではしないようになっています。
 なぜかというと、やはり国がばらばらになっていくことに対する本能的な恐怖感といいましょうか、列強によってじゅうりんされ、半植民地化され、国がばらばらになりそうになったという歴史的な記憶というのが染み付いている面がありますので、連邦制を語るということはすなわち中国を弱くしようとするという外国の陰謀に乗ってしまうようなことじゃないかという、それが今のところまだ公式ラインであって、表面的にはそういった議論はできないんですけれども、しかし、実態としてはほかの連邦制の国よりも強い権限を香港やマカオは持っているというのが実際です。しかし、それは植民地だったわけですから、かなり特別なケースだということも言えます。ですから、ポイントはチベットがどうなるかということだというふうに思うんですね。
 それから次は、香港・マカオと台湾とのFTAが台湾側から見るとどう映るのかということなんですが、実は意見が割れて、私自身がこれまで聞いた範囲では二つの意見がありますね。
 一つは、余り賛成したくないと。それはなぜかというと、香港・マカオとFTAを結ぶことによって、やっぱり大陸に対する経済的な依存が一層深まってしまうということに対する恐怖を抱く指導者たちがいますね。しかし、ビジネス界はそうではなくて、規制をなくしたいという立場でありますので積極的ですし、それから、もしその香港・マカオとのFTAが、例えば日本との間のFTAの交渉に弾みを付けるような、そういう作用を果たすのであるならばいいんじゃないでしょうかというような見方もあるので、それは両方考え方があるというのが今の台湾の状況ではないかと思います。
 それから次に、安全保障の問題ですけれども、中国は日本と国交を正常化してから日米安保そのものを批判したことはないと思います。これもよく誤解があるんですけれども、例えば、九〇年代の日米安全保障協力の範囲の拡大とか機能の拡大とか、それに対して批判したことはあるんですけれども、日米安全保障協力体制そのものを批判したことはないと思うんですね。
 今の多くの指導者は大変現実主義的に物事を考えられる人たちであって、アメリカのこの地域における軍事的な機能を正しく評価しようと、その安定をもたらす力としてのアメリカのプレゼンスですね、これはこれとして評価すべきだというのが今は主流の考え方だと思います。だからこそ、今年の一月の末だったですけれども、中国とアメリカの間で戦略対話が行われまして、それはバイの戦略対話であったわけですけれども、日米との間でもやりたいというふうに中国側の中には言っている人がいるわけですね。大変現実主義的に考えて、もちろん、さっき私の話の中で申しましたように、ぶつかる面もあるんですけれども、ぶつかる面もあるんだけれども、だけれども話合いでその辺の折り合いは付けていこうという非常にプラグマティックな考え方を今の主流の人たちはしているということだろうと思います。
 以上です。

発言情報

speech_id: 116214308X00220050216_009

発言者: 高原明生

speaker_id: 5882

日付: 2005-02-16

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会