高原明生の発言 (国際問題に関する調査会)
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○参考人(高原明生君) まず、成長に関するいろいろな御質問がありまして、答えられないのもありますけれども、一つ、最初に挙げられたのは為替の問題だったと思いますが、中国政府としましては、できるだけスムーズにほかの国がしてきたような規制を緩和していき、自由化を徐々に進めていく方向へかじを切っていきたいと思っていることは間違いないと思うんですけれども、しかし、御指摘のようにその成長率にどう影響するのかということは一番気になる点であって、後でお答えしますように、やはり成長率が下がると、御指摘のとおりだと思いますが、社会的なインパクトというのはかなり大きいだろうというのが今の当局の認識でもありますから、急速に、何と申しましょう、逆に言うとよっぽど慎重に為替の問題は取り扱うだろうと。ですから、いろいろな予測があって私も何が正しいかよく分からないんですけれども、輸出にかなり依存している状況がありますから、私はその切上げについてはよっぽど慎重にするだろうということは分かるんですけれども、それ以上のことはちょっと言い難いというのが実際のところであります。
長期的なシナリオとしては、中国とはいえ今の高度成長がいつまでも続くわけではありませんでしょうから、成長率が徐々に下がっていくと。いろいろな要因で下がっていくと思うんですけれども、ただ、もし今の政治的な安定が維持できれば、後背地は非常に大きい中国、まあ懐の深い中国においてかなりの高度成長が例えば五年とか十年のオーダーではどうも続きそうだという方のエコノミストたちの言うことを、私はどっちかというと今のところはそうかなというふうに聞いているという状況です。
しかし、こんなことを言うと、あした何が起きるか分からないのが中国の常なので、将来を予測すると易者になってしまいますので、学者としましては、本当のところを言うと分かりません。正直なところを言うと、例えば北京オリンピックが終わってから、あるいは上海の万博が終わってから中国の成長率七%以上あるでしょうかと言われて、あるともないとも言えないというのが本当のところであります。
例えば、出生率についても、私、ちょっと今数字を持っておりませんので何とも申しませんけれども、あるいは資源とかエネルギーとか環境とか、当然そういった要因が足かせになっていくのはこれは間違いのないことですよね。じゃ、それがどれほどの足かせなのか。もう中国を飛べないようにするような重いおもしなのかどうなのかという、そういう問題になってきますよね。
これについても、厳密にこういうファクターをこういうふうに計算してこうなんですよということはとても申せないんですけれども、過去二十数年の中国の経済成長の経験からいえば、これまでもいろいろなボトルネックがあると言われながら、何だかんだ言われながらこのように高い成長率を保ち続けているという実績がありますね。その実績というのは、私は中でも割と確かな方の考慮すべき要因ではないかというふうに思いますし、じゃ、それを可能にしてきた要因というのが今中国になくなっているかというと、必ずしもそうは思わないので、恐らくは今の七%以上の成長率というのが、まあ予見し得る将来にわたって、例えば、そうですね、今が二〇〇五年ですからあと五年くらいは続くのじゃないかという印象を今日の段階では私自身は持っているということで、今日の発言とさせてもらいたいと思います。
それから、さっきのそのソフトランディングの社会的な影響と、ソフトランディングと申しますか、経済成長率が下がった場合にどうなるだろうかということですね。
これは、最も直接的に影響が出るのはやっぱり雇用であって、雇用に相当なインパクトがあるだろうというのが今の当局の判断であり、だからこそ七%は死守しなければならないというのが当局の立場ですね。それがしかし、じゃ五%になり四%になりしてしまった場合にどうなるだろうか。これも本当のところは分からないわけですけれども、もし中国の今調子がいいような沿海の大都市においても失業者が今以上に町にあふれるということになって、今はまだ政府なんかの前に、門の前に押し掛けていくのは老人が多いんですよね。どっちかというと老人は失うものがないんで、怖いものがないので、年金ちゃんと払えと、給料もらってないぞというふうに行くんですけれども、若い人はまだ余り行かないんですね。一時期ちょっと行ったときもありますけれども、行ってもしようがないということになって行くのをやめているわけですね。そういった人たちが町に出るようになったら、これは大変だと思います。しかし、今のところはそういう気配はないわけであって、そうなったときにどうなるかというのは何とも言えませんけれどもね。
一つは、財政、要するに、赤字国債をもっと今以上に出して、ともかく財政的な補てんで対応しようとするでしょう、まずは。それと同時に、何か秘密結社みたいな、あるいは地下組織みたいのができてこないように必死になって取締りをするでしょう。そういうあめとむちの両方を駆使して、何とか安定を保っていこうと努力するだろうということは明らかだと思います。