高原明生の発言 (国際問題に関する調査会)
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○参考人(高原明生君) 十億の人口を持つ国ということで申しますと、インドがやっぱり大きいですよね。中国は、インドの政治体制、最近よく研究するようになりましたね。やっぱり非常に気になると思います。インドの人口が中国より多くなった日には、さっきのような言い訳はもう言えなくなってしまうわけですからね。
面白いのは、中国でも全然民主化に向けた動きがないかというとそうではありませんで、御存じかもしれませんが、農村において村長さんを選挙するということをやっているんですね。これは非常に自由な選挙で、秘密投票でやりましょうということになっているんですが。ですから、アメリカの政治学なんかでいうと、みんなリッチになって中産階級が政治参加要求を出して、それで民主化していくというシナリオがヨーロッパの経験なんかから一つあるわけですけれども、中国の場合はそうじゃなくて、どっちかというと貧しい方から、都市ではなくて農村から民主化していくということになっているんですね。
それはなぜかというと、貧しいので農村では村当局が村民からいろいろな名目でお金を吸い上げて、そのお金を使って村の行政をやるんですね。上からちゃんと財政の移転がされないもんですから、どうしようもない。橋を補修するにも学校の屋根直すにも村民から、言葉を悪く言うと巻き上げるわけです。そうするというと、村民はそのこと自身も不満ですし、それからもう一つは、本当に橋に使っているのかよ、おまえ、というわけですね。実際、そうじゃない例もたくさんあるわけですが、何か村の幹部だけみんな携帯電話を持っているとか車に乗っているとかいうようなこともあるわけで、つまり、アカウンタビリティーを保障するためのデモクラシーという、そういう考え方なんですね。ちゃんと投票で選ばれるリーダーであるならばそういう悪いことはできないはずだということで、村から実は中国では民主化が進んでいるという実態があります。
しかし、そうやって村、農村から始まったものが、そうすると村のレベルから、中国の場合は行政のレベルで申しますと、次は郷、郷鎮の単位になって、それから県があってという何段階もあるんですが、次第にこの自由投票によるリーダーの選出ということが上に波及していく可能性というのは、これはあるんですね。実際、それが目指されている。ただ、時間が掛かるかもしれない。
いつかという御質問に対しては、本当に将来のことを言うと、すぐ中国で将来のことを言うと間違っちゃうもんですからなかなか言い難いんですけれども、そうですね、どれぐらい、要するに、そういう体制内の改革が先に進むのか、それとも一気にハードクラッシュが来て共産党がつぶれてしまうのかという、どっちかだろうとは思うんですけれども、じゃ、どっちが先にどうなるかというのは本当に分かりません、申し訳ありませんが。
中国共産党は、同時に、やっぱりソ連共産党の例を非常によく研究しているんですよね、なぜソ連ではあんなにもろくも共産党の一党支配体制が崩れてしまったのか。私なんかからしても、やっぱりソ連があんなにもろかったのは非常に不思議です。それは独裁を守るために軍隊から警察からいろいろ、もうそれこそ最後はどんなに赤字になってもいいから生活保障をばっちり都市ではやるとか、いろんな手段があるはずなんですね。なのにソ連ではああなったということをよく研究しているということもあり、相当、さっき申しましたように耐用年数に近づいているとは思うんですが、粘るだろうというふうに私自身は今日の段階では考えているということです。済みません、長くなって。
それから、法整備が、法律は一杯作っているんですけれども、きちんと執行されてないという問題がありますよね。それは事実だと思います。ただ、例えば十年前と比べてどうかというと、裁判官のプロフェッショナル化とかいろんな面でかなり改善も見られておりますので、ゆっくりとではありますけれども、状況は良くなりつつあるのではないかというのが基本的な私の理解です。ただ、もちろん、先進工業国、日本なんかと比べれば全然足らないし、汚職、腐敗についてはさっき申しましたとおりで、裁判官の汚職、腐敗というのもまだまだあるというのが現状だと思います。
労働者は本当にかわいそうです。中国の労働者、だれも彼らの権利守ってくれませんから、農民もそうですけれども、労働組合なるものがありますが、それは共産党の手足となっている団体ですので、労働者の権利を守ってくれる人はほとんどいない。弁護士で義憤に駆られてやった人がいたとしましても、その土地土地の政治の中でつぶされてしまうようなこともあるわけであって、いわゆる私たちが理解するような意味での搾取が横行しているというのが実情だと思います。それをどうしようもないというのが現状だと思います。
北朝鮮との距離、中国にもきっといろんな考え方があるんだろうと思います。今の金正日体制のやり方に対しては不満を、強い不満を持っている人が多いと思いますね。じゃ、どうするのかということで方法論になりますと様々な考え方が恐らくあって、一つのオプションとして、中国流のレジームチェンジというんでしょうか、そういうことも考えている人もいるかもしれません。だけれども、それは今の主流ではないというふうに思っています。