谷博之の発言 (厚生労働委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○谷博之君 私は、ただいま議題となりました政府提出、障害者自立支援法案に対し、民主党・新緑風会を代表して、反対の立場から討論を行います。
さきの百六十二通常国会に初めて提出されたこの法案は、数々の重大な欠陥が明らかになり、衆議院段階で骨幹にかかわる多くの附帯決議が付けられました。にもかかわらず、今回政府が再提出した障害者自立支援法案は、わずか四項目の形式的な与党単独修正案を反映させたにすぎず、構造的な欠陥を是正するに至ってはおりません。
そもそも、私たち民主党は、先進国の中で日本の障害者の社会参加は大きく立ち後れているという現状認識に立ち、重度の障害者でも地域で自立した生活ができるノーマライゼーション社会を実現するためにも、せっかく支援費制度の導入で利用が増えてきたサービスの質、量ともに拡大していくべきだと考えております。
その点、今回の法案は、従来、障害区分で縦割りに供給されてきた福祉サービスを一元化することにより、精神障害者も利用可能なサービスの基盤整備が一定程度促進されることが見込まれる点、そして、毎年予算の確保に頭を悩ませてきた状態が義務的経費化することによってある程度は解決する点、さらにまた、地域格差是正を目指し、市町村計画を義務付ける点などでは一定程度評価できるものと思います。しかし、それ以外の点では問題だらけであり、その詳細は、民主党がさきの国会で示した九項目の抜本的な修正項目のとおりであります。
とりわけ、十分な所得保障がないまま定率負担を求める仕組みは、財政危機を理由に支援費制度の導入、そして障害者基本法改正と続いてきた障害福祉拡充の流れを一気に逆行させるのではないかと危惧さえしております。そして、応益負担で障害者の社会参加が促進するとは到底思えず、言わば障害者自立阻害法と言わざるを得ないのであります。
もちろん、障害の程度と比較して不必要なサービス利用があるとすれば、納税者の立場からあってはならないことであり、本日の審議でも厚労省や財務当局からも、そのようなモラルハザードによる過剰なサービス利用は現行の応能負担の仕組みにおいて起きていないことの認識も示されたところであります。
また、知的障害者及び障害児のホームヘルプサービス利用が予想以上に伸びてしまったと言われておりますが、実際にはサービスを提供していない市町村は障害児で六〇%にも上り、とてもニーズにこたえたサービス供給量には至っていないことも明らかになりました。そして、これは結局のところ、支援費制度導入当時、厚労省が財務省を説得するために甘い見込みを示したということにすぎなかったのではないでしょうか。
次に、育成医療と更生医療を廃止し、自立支援医療に移行することにも断固反対します。
既に質疑で明らかになったように、激変緩和措置を講じたとしても、最大十二倍と大幅に自己負担額が増えてしまうのです。重い障害を抱える子供を養う若い世帯の悲鳴が聞こえます。子育てを国を挙げて支援していこうという時代に、正に時代錯誤の法案です。
実際、育成医療の来年度概算要求はわずか十九億円、今年度の予算二十二億円と比べて三億円も減額されており、これでは心臓病手術などの受給抑制が進むのを厚生労働省は見込んでいるのではないかと言わざるを得ません。そもそも、従来、児童福祉法の世界で手当てしてきた育成医療を強引に自立支援医療に含めてしまうことは、小児慢性特定疾患事業との整合性も付かなくなってまいります。
以上のことから、育成医療や更生医療の自立支援医療への移行は撤回するべきであります。
また、障害福祉の一元化といいますが、発達障害や難病など、従来から制度の谷間に置かれてきた人々を今回もまた制度の対象外とし、谷間に置き去りにすることも指摘せねばなりません。そして、厚労省の主張は三十年間変わらず、難病対策の法制化は定義が難しいとか今後の検討事項と先送りするばかりであります。
昨日の参考人質疑でも、同じく社会的援助や福祉サービスを必要としている国民が年齢や障害の程度、そして疾病の種類の違いによって大きな格差があることは、憲法の言う平等の原則に反しているのではないかとの重い指摘もありました。
私たち民主党は、近い将来の介護保険のエージフリー化を前提に、まず、余りに貧弱なサービス基盤の整備拡大、そして所得保障が先決であると考えます。
その上で、障害の害という文字を、いしへんに疑う、ないしは平仮名の「がい」に変えることも含めて、障害の定義を根本から改めた包括的な、総合的な福祉法の制定が必要だと考えております。
原則は、社会参加なくして負担なしであり、所得保障なくして応益負担なしであります。厚労省によれば、福祉サービスの利用者負担は現行の二百三十六億円から二百五十八億円も増えるとのことであります。先人たちの長い間の苦労と努力によってようやくここまで来た障害者福祉施策において、障害が重い人ほど負担が重くなるような仕組みを二十一世紀にもなって新たに導入することはあってはならないことと思っております。
以上、反対の理由を申し上げ、心ある委員各位の御判断を期待いたしまして、本法律案に対する私の反対討論を終わりといたします。