下田敦子の発言 (本会議)

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○下田敦子君 下田敦子でございます。
 民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました障害者自立支援法案について質問の機会をいただきましたので、よろしくお願いを申し上げます。
 質問に先立ちまして、このたびの選挙後の政局について、国際教養大学副学長グレゴリー・クラーク氏は、改革という魔術が人々を幻惑したとさえ分析しておりますが、郵政民営化の底にあると言われる三百五十兆円の郵貯、簡保の資金は、アメリカの経常収支赤字の四年分に該当し、アメリカの海外投資を復活させるには十分な額と聞き及んでおります。こういう話題は、アメリカでは既に六年も前から情報公開されていると言われておりますが、残念ながら大方の我が国の国民はこの事実を知る機会が皆無に等しかったと私は思っております。アカウンタビリティー、説明責任を果たさない政治ほど非民主的なものはないと考えます。
 さて、平成二年より福祉八法の改正により国から地方自治体へ責任主体が移譲され、平成五年からは障害者基本法により少しずつ横断的にとらえられてくるようになってまいりましたが、我が国の身体、知的、精神の障害に対するそれぞれの縦割り行政の現状は残されております。
 また、御案内のとおり、平成十五年に支援費制度が始まり、措置制度から契約という考え方が芽生えましたが、初年度予備費から充てられた百二十八億円ではその需要にこたえられることも難しく、事実上破綻状態であるという意見も聞かれます。ちなみに、その予算不足分は、額にして二百億円、高速道路建設費に直せば五キロ分にしかすぎません。
 こういう流れの中で、我が党としては、同法案が国会に上程されてから、各障害者団体の皆様と意見交換をした上で、去る六月九日、障害者自立支援法案の骨格部分を含む九項目の修正要求を与党に対して行いました。
 本法案は、戦後の福祉行政の中で最大の法改正案であり、重要法案であります。あくまでも障害のある方の立場からこの法案は育てていかないとならないと考えます。
 そこで、まず第一に、総務大臣にお伺いいたします。
 政府は、ザ・トリニティー、いわゆる三位一体なる施策を打ち出されましたが、地方自治体への課税権の分配がなされないまま今日を迎え、地方自治体の混乱は実に目に余るものがあります。
 先ごろ、全国市長会、各町村長から障害者福祉施策に関する決議要望が、そして各議会からも意見書が届きました。内容はおしなべて障害者の多様なニーズに適応した財政措置の充実を図る要望ばかりであります。
 こういう状態の中で、市町村合併の財政混乱も重なり、責任主体である市町村が同法案に基づき移譲された事業、本法案にかかわる地域生活支援事業等を財政上堅持していけなくなった自治体が出現した場合の対応をどうするのか、お尋ねいたします。
 また、今朝の厚生労働省の説明にもありましたが、地域間格差はサービスの利用増加とともに拡大してきており、障害者自立支援法の一部に、来年四月からの重度心身障害者医療費は、無料だったものから、低所得者以外は自己負担になるなど、利用者側の生活がますます苦しくなることへの不安と不満は大きく、課題は山積したままであります。障害者の福祉と医療費の切り詰めは、財政難を大義名分にして拙速主義に走っているという声も国民の多くから届いています。
 一方では、国民の大方が望まないイラクへの自衛隊の派遣及び活動等の経費として、今日まで、十七年度経費も含んで六百四十九億円、実に費やしております。どうも、この国の予算編成の理念が正常でなくなっていることを昨今強く感じます。
 この六月、七月と連日のように、障害を持った方々始め、その関係者の方々が座込みをし、先日は、全国から集まられた一万弱の方々がこの国会周辺を行進され、ハンガーストライキまで行っていかれました姿を、同法案の審議を前にして、恐れ入りますが、財務大臣はどうお感じになられましたか、お伺いいたします。
 次に、同法案にかかわり問題となっている点がございます。
 障害者自立支援法の害という字、害虫の害ではなく、いしへんに疑う、礙げられるという文字に変える運動が、また仮名文字を使用する運動が長く続いておりますが、一向に改まる様子がありません。ちなみに、お隣の韓国は、いしへんに疑うの障礙に既に変えましたが、まずノーマライゼーションの意味からも、この障害の害という字を改正するべきではないかと考えますが、内閣官房長官はいかがお考えでございましょうか。
 次に、重度の障害を持つある親子の暮らしを通して、このたびの法案の及ぼすと考えられる生活の変化について、起こり得ることを具体的にケースワーク化して、順次論点を整理してお尋ねいたします。
 Kさんは一級身体障害者で、トイレや入浴など全介助が二十四時間、三百六十五日必要とする四十一歳の女性であります。週五日は区内の身体障害者通所授産施設に通っています。Kさんは年金暮らしのお母さんと二人暮らしで、月々の収入は、八万三千円の障害者年金と授産施設の作業工賃を足して、トータルで約十万円の生活をしておりました。しかし、この障害者自立法案が成立したとすれば、毎月、生活費だけで四万円前後の負担が増え、新たな負担として、授産施設利用料一万六千円、月二十日分の昼食代が一万四千円、さらに週六日の自宅の入浴ヘルパーの一割負担が発生してきます。
 もっとも、負担には上限が設けられていて、低所得者区分に入るというものの、実質的な毎月負担金分はかなり増加いたします。自己負担をゼロにする窮余の策として生活保護の取得も考えてみるものの、様々な問題から断念を余儀なくされました。
 現在、最も問題である第二十九条の三、第五十八条の三、厚労大臣が定める基準により算定した費用の額の九割を給付し、残りの一割が利用者負担となるといういわゆる応益負担の考え方が、各種障害者団体及び御家族からも強い反対の声が寄せられています。障害者本人の、及び配偶者の所得に基づくことの選択可能な仕組みとすることも考えていかなければなりません。
 先ごろ厚労省から発表されました国民生活基礎調査から見ると、ただでさえ生活が苦しいと答えている世帯が実に五五%を超え、最悪を更新している中で、この生活を苦しめる応益負担について今後どのように検討されるのか、財務大臣及び厚生労働大臣にお尋ねいたします。
 次に、第五条の十八、自立支援医療の中で「自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療であって政令で定める」とありますが、平成十七年度から公費負担医療の見直しがなされ、いわゆる更生医療等の患者負担増案が実施されれば、重度かつ継続的医療の必要な難治性の心臓疾患等を抱える方々や透析を必要とする腎臓疾患の方々、いわゆる内部障害でありますが、この方々も大変な負担となり、大きな不安を抱えているという声が届けられております。この点について厚生労働大臣はいかがお考えでしょうか。
 もし財務大臣にこのKさんのようなお身内がいられたならば、この同法案をどう思われますか。安心した生活ができると確信され、御納得されますか、お伺いいたします。
 お話はそれますが、総理は還暦を過ぎて三年もたちなんとしておられ、尾辻厚生労働大臣はこの十月二日にめでたく六十五歳のお誕生日を迎えられました。おめでとうございます。大変軽やかなステップを春のように踏まれまして、眼鏡を掛けることもなく、現在は掛けておられますが、先ほどは掛けておられませんでした。細かい字の答弁書をこのたびは特に当院において御丁寧に読んでおられます。その若さのもとは、さぞ食生活が良く、栄養管理が行き届いておられるからだと拝察しておりました。
 障害を持っておられる方は、身体障害もそれぞれ個人差が大きく、日ごろより施設又は訪問栄養指導のために、利用者のアセスメントに基づき作成した栄養ケア計画に基づいて行うことも重要であります。また、食事形態も日々の状態に合わせて個々に対応した栄養管理が必要となります。食費も自己負担となり、治療食という本来の目的から懸け離れた解釈がされがちで、このことについてどうお考えなのか、尾辻厚生労働大臣にお伺いいたします。
 続いて、障害者福祉の一元化に一番多くの課題を抱えている政策の一つである精神障害者福祉政策を中心に質問させていただきます。
 重度かつ継続の範囲について、統合失調症、躁うつ病、難治性てんかんとありますが、去る六月の九日、主管課長会議における厚労省の説明では、財政上の要請による選別であって、医療的重症度ではなく、対象疾患の範囲を決定するものではないということでありましたが、厚生労働大臣はいかがお考えであるか、お尋ねいたします。
 また、精神衛生法当時の一部改正によって創設された三十二条の理念のとらえ方はどうなるのかも加えてお伺いいたします。
 次に、障害者介護給付について、現行の介護保険要介護認定を活用して障害程度区分を設けると予定されていますが、精神障害者には当てはまらない点が多々あることが明らかであり、障害者区分について、その状態、生活能力を加味した精神障害者の特性を専門的に、客観的にデータに基づいて分析し、医療サービスを受けてきた精神障害者にこれから福祉サービスの連携を強めたサービスをより適切に受けることができるよう定める必要があると考えますが、厚生労働大臣はいかがお考えでしょうか。
 精神障害者の自立については、期限を定められ職業就労訓練との考え方が示されていますが、精神障害者は、長期間の生活障害により、就労訓練期間等の、他障害者と同様な評価基準ではなじまないものがあります。また、高次脳機能障害者等においてもこの点について当てはまり、専門的検討が必要と考えられます。厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 その他、地方精神保健福祉審議会等のこれまでの必置規定についても検討していかなければならない点が多くあると思います。
 次に、ヨーロッパ諸国では、当事者も加わりまして関係者全体で話し合い、いかに支え合う社会をつくるべきか、ソーシャルインクルージョンという理念が社会福祉政策の基調となっており、そのためには、学校教育、社会教育のインクルーシブ、いわゆる包括的教育が必要不可欠となっておりますが、第一条の同法案目的は、分離して行う教育は教育する側の都合を考慮するものであって、実際、欠格児童とされた児童生徒は普通の小中学校に通うことが許されません。欧米では、普通教室に補助教員を入れてその授業を行っている国も多く、健常児童は障害を有する児童と共生し、障害を理解して育つ、いわゆる共生共学の場を、環境を享受しております。我が国のこの囲いの中の特殊学校教育をしてきた結果、点字ブロックの上に駐車する黒塗りの車が見掛けられる社会になりがちです。障害児の分離教育から特別支援教育の移行について、文部科学大臣にお伺いいたします。
 また、障害児への在宅支援サービスが圧倒的に不足し、この制度は空白地帯と言っても過言ではございませんが、この整備をどうされるのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 最後に申し上げます。あの真夏の炎天下、座込みをされている方々がどんな悲痛な懇願を政府にしているのか、数多くの当事者や家族の方々の深刻な思いを重くおもんばかりながら、壇上からの質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 116315254X00420051005_008

発言者: 下田敦子

speaker_id: 3048

日付: 2005-10-05

院: 参議院

会議名: 本会議