龍井葉二の発言 (厚生労働委員会)

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○龍井参考人 おはようございます。連合の龍井でございます。
 お手元に「均等法二十年 今回改正に求められるもの」という資料をお配りしていますので、御参照いただければと思います。
 まず冒頭に、せっかくこういう機会を与えていただいて光栄に思っておりますが、いかんせん、これだけの重要法案がこんなに短い時間で審議されていいんだろうかと、多少憤りに近いものを実は感じております。ただ、幸いというか、皆さん方の審議をしていただく前に参考人ということになりましたので、逆に言いますと、午後に与党の質疑が予定されているということですので、ぜひそこで取り上げていただきたいという課題をきょうは提起させていただきたいと思っています。
 それで、冒頭に、レジュメの中で、均等法が成人式を迎えるということで、当初は、八五年、いろいろ問題はあるけれども、小さく産んで大きく育てようということで、難産の末、辛うじて産声を上げたわけですけれども、本当に今育っているんだろうか。これは、改正、十年ごとですよね、それで二回目、本当にこれが当初望んでいた方向に今進んでいるんだろうか。
 一枚のグラフを用意しています。この十年間、つまり、これは均等法が努力義務から法的義務に変わったその後のほぼ十年間の中で、実は働き方の二極化というのが大変深刻に進んでいる。つまり、三十五時間から六十時間の人が絶対数で減って、三十五時間未満の人、そして六十時間以上の人が急増している。これは、実は主要には、もちろん男性が長時間タイプ、それから女性が短時間タイプに属するんですが、今深刻なのが、女性労働者の中で超長時間派とそして短時間不安定雇用の広がりというのが、二極化が進んでしまっているという事態です。
 私、最近、この準備でいろいろなお話を伺う中で、特に長時間女性と不安定雇用の女性、その双方で実は中絶が非常にふえている。一・二五ショックが報道されましたけれども、基本的にこの働き方の二極化がきちんとまともにならない限り、どんなインフラを整備しようが、どんな金目をつけようが、それは基本的に解決にならないということをこの実態は示していると思います。そういう意味で、大きく育てるという状況になっているんだろうかという基本的な疑念がございます。
 今、中野さんの方からもお話がありましたし、田島さんの方からもお話がありましたように、八五年成立から十年かけて、やっと努力義務が禁止規定に変わった。ただ、せっかく禁止規定に変わったのに、これが、ただしということに、書いてございますように、あくまで同じ雇用管理区分、同じ箱の中の話だよ、雇用管理区分、箱が違っちゃったらそれは比較の対象にそもそもならないよということになってしまったがゆえに、右側の矢印にございますように、今までだったら女性だからという、露骨な差別はさすがに禁じられた。でも、一般職だから、パートだから、何々だから、別のものが用意されてしまえば、それは全く、男女差別でありながら、それが形を変えて温存される、あるいは拡大する。今の法律は、残念ながら、こうした事態に全く無力なわけです。
 したがいまして、この問題、特に雇用管理区分のあり方も含めて抜本的に変えるというのが、本当にこの二十年、そして途中の改正から十年で求められていたはずでした。そして、これも御指摘がありましたように、間接差別の禁止というのは、この九七年改正、十年前の国会の、ここの場での附帯決議でその検討が確認された。では、この十年間、一体何をやっていたんだろうか。いや、私ども労働組合自身も反省しています。十年前から課題が明らかで鮮明になっていたのに、一体何をやっていたんだろう。いまだに、概念があいまいだ、なじみません、そういうことがやはり許されている状況ではないのだろうかということを思っております。
 次のページに、間接差別禁止について、この定義の御説明はもう繰り返しません。ただ、一点だけ申し上げておきますと、川本さんからお話ありましたように、三つ、外見上は性中立的、一方に不利益、そして職務関連性等合理性が説明できないという要件になっていますので、これは分科会でも経営側の皆さんが随分御心配をされて、何にでも広がるんじゃないか。私は逆で、きちんと説明ができればいいんです。ですから、逆に、どういうものがなりますかということが問題なのではなくて、この三つの条件に当てはまるかどうか。現に、これは参議院の段階でも北井局長が答えられていますように、範囲を限定するという例は他国ではない、このスキームだけでやっていく方がむしろわかりやすいと私どもは思っております。
 問題は、この右側にあります、田島さんたちも参加されていた研究会報告の七つから、一、二、四の三つのものに省令で今回は限定するということにされています。
 下にチャートをお示ししていますのでごらんいただきたいんですが、まず、間接差別の定義、今申し上げました、そして、裁判等の根拠とされます間接差別法理、これは北井局長も、幅広いものです、特に省令で決めた、あるいは決める予定の三つに限定するものではありません、そのこと自体もきちんと周知をしてまいりますというふうにお答えになっていらっしゃいます。
 つまり、間接差別の定義を国連からも求められて法制化をしました。その間接差別の定義というものには範囲というのがあり得ません、こういうもので今申し上げた三つの要件をクリアするかどうかが定義です。したがって、非常に、定義、法理というものが限定されないということがまず大前提です。
 ただし、今回の法案の第七条につきましては、これは、あくまで行政指導をする根拠規定として定めました、行政指導をする際に、その対象範囲を限定しないとできません、したがいまして、まず省令で三つに限定しましたという説明をされています。したがって、第七条で規定をされているこの行政指導の根拠規定に限っては、三つの基準で行政は指導してまいります、第七条違反として指導してまいりますというのが今回のスキームです。
 すると、当然おわかりのように、その間はどうなるんでしょう。このAとBの間の、間接差別そのものには限定がございません、範囲は広いものです、今回の法律は行政指導では三つに限定します、となると、その間の、このチャートではCに当たる部分というのは、ではどう扱われるのでしょう。これは、ぜひ今回の午後の討議で解明していただきたい点だと思っています。
 では、もしもそういう訴えがされていたとき、一例を申し上げれば、例えば、福利厚生施設利用の世帯主要件、あるいは住宅資金等々の資金の貸し付けの要件として世帯主要件がある。これは別に女性だからと何も断っていない。世帯主だという要件があることによって、結果的に、まさにこのチャートにございますように、女性が排除されていくことになるというような案件が例えば均等室なり相談センターに持ち込まれた、では行政はどうしてくれるんですか。北井さんは、すべての相談事例について門前払いはしませんと明言していらっしゃいます。
 となると、その事実確認、本当にそうなっているんですか、そしてそれがきちんと職務との合理性があるんですかということまで均等室ないし相談のところで経営者に確認してもらえるんでしょうか。では、それがその要件を設けていることの職務との関連性等の合理性について、きちんと使用者の方に、事業主の方に確認していただけるんでしょうか。結局そこが全くわからない。でも、きちんと門前払いをしないで対応するとはおっしゃっている。
 一つここで、参考というところで、先ほども話題になりましたコース別雇用の留意事項というのが既に示されております。これは後でぜひ御参照いただきたいんですけれども、この留意事項は、三つのレベル、一は明確な法違反、二というのは法に抵触をする実質上の差別、法違反じゃないんだけれども抵触をするおそれのある実質的差別を二として掲げて、これは助言の対象にしています。
 厚労省に聞いていただければおわかりのように、百八十件分精査をして、八割、九割のところが助言の対象になっているという、逆の意味で驚くべきデータが紹介されておりますけれども、いずれにしろ、これは行政として助言をするとなっているわけです。
 では、今回のような場合には、指導、助言、勧告といったスキームの中でどう扱われるんですか。私どもは、これはぜひとも、それを門前払いしないとおっしゃるのであれば、きちんと助言、指導の対象にしていただくということを明確にしていただきたい。そうでなければ、今のままで大丈夫だよということについては何の説得性も持たないと私は思います。
 それで、もう一つ重要な論点が司法判断への影響です。これも既に提起がされていますので繰り返しません。ただ、少なくとも、参議院の段階の御答弁の中で、間接差別法理に基づいて、省令で掲げる予定の三点以外のものについても違法と判断される可能性があるということは明確に述べておられます。そのこと自体を周知していくということも言われていますので、ぜひその点はきちんと確認していただいた上で、ただ、問題は、それであっても、この三つ以外は違法じゃないんだから裁判でも門前払いになるという心配は全くぬぐえておりません。
 衆議院の審議向けに衆議院の調査局が分厚い資料を用意していただきまして、この中で、論点整理というところでその問題に触れられ、幾つかの判例にも触れられて詳しく論点が紹介されておりますけれども、その二十ページのところで、調査局のコメントとしても、「裁判への影響に対する懸念は払拭されていない。」ということがこの資料でも明記をされている。ぜひその懸念を払拭できる道があるなら、この国会の審議の中で明らかにしていただきたいと思います。
 次の論点は、仕事と生活の調和の問題です。
 これは、既に参議院の審議の中では、当然のことですけれどもこれは重要です、これは当然認めていらっしゃいます。これは法律全体で受けてまいります。大臣答弁の中では、強いて言えば時間法制の枠組みで受けるのが妥当ではないかという見解を示されています。
 御承知のように、八五年法には、この項目が職業生活と家庭生活の調和という表現で実は法律に入っていました。九七年改正、これは、ILO百五十六号条約等々を受けた、男女ともに家庭生活も職業生活も担っていくんだということの議論の中で、それが育児・介護休業法にとかいう、つくられていく過程の中でこれが論議されたわけですが、この法律、つまり十年前の段階ではあくまで女性差別に対する禁止の法律だった、女性差別に対する一方禁止規定だから、その法律に仕事と生活の調和を入れてしまうと性役割固定になるという理由が主な理由として、削除されました。当然我々も賛成しました。今回は、今申し上げた一番のネックになります一方禁止規定が男女双方禁止規定に変わります。したがって、少なくとも九七年時点での削除理由のかなり大きな部分は消えたと判断しています。
 実は、もっと本質的な問題は、この問題が単に働き方の問題だからどこかの法律に入ればいいや、どこかの趣旨で受ければいいやという問題ではないということです。つまり、これはまさに働き方の基準、そして、この法律が主管であります、働き方の平等、均等の基準そのものだということです。
 なぜかというと、これまでの女性差別禁止というのは、ほぼ無条件に男性との差別、したがって、男性基準に合わせていく、格差があればそこに合わせていく、その差を埋めていくというのが女性差別を解決する、格差を是正するという方向で、その基準である男性基準というのはほとんど自明なものとして問われなかった、問われずに済んできちゃった。今回はそれが双方禁止規定に変わります。
 ということは、例えば、先ほどのチャートじゃございませんけれども、圧倒的に多くの男性が超長時間で働いている、圧倒的に多くの女性が、同じ職場の中だとしてもほとんどが有期、パートでいる、これは明らかに差別であると認定したとします。だとしたら、どちらに合わせるんですかということです。男女双方差別禁止ですから、多分、今までだったら、無理な働き方をしている男性を基準に女性の正規雇用化とか均等待遇というふうにやっていったでしょう。双方差別禁止ということは、めちゃくちゃな、無理な働き方をさせられている男性、単身赴任を押しつけられている男性、よくわからない配転にも応じざるを得ない男性、もしもそれが男性に集中しているとすれば、これは差別だ、これも北井局長が答えられています。
 ということは、みんながみんな長時間に合わせるわけじゃないよね、みんながみんなパートになるわけじゃないよね、では、どこに合わせることがこの双方差別禁止になるのか。今の例は極端な例かもしれませんけれども、そこが、均等の基準というのが双方差別禁止になったことによって改めて実は問われているんですよ。その問題がきちんと論議をされていないで、双方差別禁止になったということだけでは、この非常に根本的な問題が解決されない。
 要するに、附帯決議にも入っていますような、今男性の働き方こそ見直さなくちゃいけない、その基準そのものを疑ってかからなくちゃいけない。そうじゃなければ、まさに働き方だけじゃない、生活としても持続可能じゃなくなっている、再生産可能じゃなくなっている、これを変えなきゃいけない、そのぐらい実は大事な論点だと思っております。
 したがいまして、時間の関係でこの二点だけに絞らせていただきましたけれども、ぜひこの論点を、きょうの午後以降のところで討議を深めていくということを期待したいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 龍井葉二

speaker_id: 31756

日付: 2006-06-13

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会