福井俊彦の発言 (財務金融委員会)

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○福井参考人 おはようございます。日本銀行の福井でございます。
 日本銀行では、ただいま委員長からお話のございましたとおり、昨年の十二月、平成十七年度上期の通貨及び金融の調節に関する報告書、半期報と呼んでおりますが、これを国会に提出させていただきました。日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会を本日ちょうだいし、まことにありがたく、厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 日本銀行では、御承知のとおり、一昨日、昨日、二日間にわたり開催されました政策委員会・金融政策決定会合におきまして、いわゆる量的緩和政策の枠組みを変更いたしまして、短期金利を金融市場調節の操作目標とする、いわゆる通常の金利政策に移行することを決定いたしました。本日は、こうした決定の背景にある経済、物価情勢や金融政策運営について、御説明を申し上げたいというふうに思います。
 最初に、最近の経済金融情勢について御説明を申し上げます。
 我が国の景気は着実に回復を続けております。この点をやや詳しく御説明申し上げますと、輸出や生産は増加を続けております。また、企業収益は高水準で推移しております。こうしたもとで、設備投資も引き続き増加をしております。家計部門では、雇用者数の増加が続き賃金も上昇に転じていることから、雇用者所得は緩やかに増加しております。雇用所得環境が着実に改善しているもとで、個人消費は底がたさを増しているという状況でございます。
 先行きについて見ますと、海外経済の拡大を背景に、輸出は増加を続けていくというふうに見られます。また、企業の過剰債務などの構造的な調整圧力がおおむね払拭されたもとで、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を受けて、国内民間需要も引き続き増加していく可能性が高いと考えられるところでございます。
 このように、外需と内需、そして企業部門と家計部門がともに回復し、前向きの循環メカニズムが働く環境が整っているということから、息の長い景気回復が続いていくだろうというふうに見ております。もとより、高騰を続ける原油価格やそのもとでの海外経済の動向など、景気に対するリスク要因については、引き続き十分注意を払っていく必要があると考えております。
 景気回復が続くもとで、物価をめぐる環境も好転しております。
 消費者物価指数、これは生鮮食品を除く全国のベースで見た消費者物価指数でございますが、昨年十一月から小幅の前年比プラスとなりまして、本年一月の前年比は比較的はっきりとしたプラスになりました。経済全体の需給ギャップは緩やかな改善を続けておりますし、ユニット・レーバー・コストの下押し圧力は基調として減少いたしております。さらに、企業や家計の物価見通しも上振れてきております。こうしたもとで、消費者物価指数の前年比は、先行きプラス基調が定着していくというふうに見られます。この間、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に上昇しておりまして、先行きも上昇を続けるというふうに見られます。
 金融面では、企業金融をめぐる環境は総じて緩和の方向にございます。民間銀行の貸し出し姿勢は積極化しておりまして、民間の資金需要は下げどまりつつあるという状況でございます。こうしたもとで、民間銀行貸し出しは、貸出債権の流動化や償却を調整したベースで見ますと、昨年八月に前年比プラスに転じた後、プラス幅が拡大してきているという状況でございます。
 次に、日本銀行の金融政策の運営について申し述べさせていただきたいと思います。
 日本銀行は、二〇〇一年三月、物価の継続的な下落を防止し、持続的な成長のための基盤を整備するという観点から、当座預金残高を主たる操作目標として潤沢な資金供給を行う、いわゆる量的緩和政策を導入いたしまして、この政策を、消費者物価指数、全国ベース、除く生鮮食品というベースですが、その前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続すると明確な約束を行いました。以後、約五年間にわたり、この約束に沿って粘り強く量的緩和政策を継続してまいりました。
 こうしたもとで、日本経済は大きく改善し、着実に回復を続けております。物価面でも、消費者物価指数の前年比はプラスに転じまして、先行きプラス基調が定着していくと見られる状況でございます。
 こうした経済、物価情勢の好転を踏まえ、日本銀行は、一昨日、昨日と開催されました政策委員会・金融政策決定会合において、量的緩和政策の枠組みを変更し、無担保コールレート、オーバーナイト物のレートでございますが、これを金融市場調節の操作目標とする金利政策に移行することを決定いたしました。あわせて、金融政策の透明性を引き続きしっかりと確保する観点から、物価の安定についての明確化を含め、金融政策運営の新たな枠組みを導入いたしました。
 この点を若干詳しく御説明申し上げますと、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、操作目標である無担保コールレートをおおむねゼロ%で推移するように促すということを決定いたしました。量的緩和政策の経済、物価に対する効果は、既に短期金利がゼロであることによる効果が中心になっておりますため、今回の措置により非連続的な変化が生じるものではないと考えております。先行きの金融政策運営としては、無担保コールレートをおおむねゼロ%とする期間を経た後、経済、物価情勢の変化に応じて徐々に調整を行うということになります。この場合、経済がバランスのとれた持続的な成長過程をたどる中にあって、物価の上昇圧力が抑制された状況が続いていくと判断されるのであれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いと考えております。
 また、日本銀行は、金融政策運営の新たな枠組みを導入いたしました。そのポイントを申し述べますと、第一に、日本銀行としての物価の安定についての基本的な考え方を整理するとともに、金融政策運営に当たり、現時点において、中長期的に見て物価が安定していると政策委員が理解する物価上昇率を示すことといたしました。第二に、先行き一年から二年の経済、物価情勢の点検と、より長期的な視点を踏まえつつ金融政策運営に当たり重視すべきリスク要因の点検、この二つの柱に基づいて経済、物価情勢の点検を行うことといたしました。第三に、こうした点検を行った上で、当面の金融政策運営の考え方を整理し、定期的に公表していくことといたしました。
 日本銀行といたしましては、こうした新たな枠組みのもとで、透明性の高い形で適切な金融政策運営を行い、物価安定のもとでの持続的成長に貢献してまいりたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 福井俊彦

speaker_id: 9074

日付: 2006-03-10

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会