福井俊彦の発言 (財務金融委員会)
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○福井参考人 まず最初に、ただいま委員がおっしゃいましたとおり、金融政策は、経済状況が非常に悪い状況から、先行き、すべての国民がごらんになって望ましいと思われる状態まで、円滑に改善の方向をたどっていかなければならない、そのプロセスを金融政策は一貫して支えていかなければならない、こういうふうに考えております。
量的緩和政策が導入されました五年ぐらい前、まさに日本経済がデフレスパイラルに陥るリスクというものを強く感じていたころでございました。その後、デフレスパイラルに陥るリスクは次第に軽減しつつも、物価が継続的に下落する。最近は、物価がプラスの状況に戻って安定的に推移する状況に非常に近づいてきている。今後は、物価安定のもとで持続的な景気回復というのをより確かにしていく、さらに、それを長期にわたって実現していけるように基盤をさらに整えていく、こういう長いプロセスでございます。
量的緩和政策というものは、そういう日本経済が危機的な状況にあった状況に対して、緊急避難的に対処するための異例な措置としてやってきたものでございまして、経済がここまで正常化の過程を歩んできた段階において、昨日、この枠組みは解除させていただきました。今後は通常の金利政策に戻りますけれども、当面、ゼロ金利政策というところから再スタートするということでございまして、私どもとしては、まだ、金融政策が最終的に実現を目指すべき状況に対しては道半ばの途上にあるというふうに考えています。最終的には、持続的な景気回復を物価安定のもとで継続的に実現できるような状況にこぎつけたい、今後ともそういう長い努力をしたいということでございます。
量的緩和政策の枠組みのもとでは、消費者物価指数が安定的にゼロ%以上となるまでという強いコミットメントをいたしまして、これは、日本銀行自身がみずからの手足を縛ってこの難局を乗り切るためのコミットメントでございました。
金利政策に戻りました後は、金融政策の機動性ということで、非常に大事になってまいります。経済の上振れリスク、下振れリスクともに機動的に対応できるということが金融政策の生命線でございますし、先ほど申し上げました、より望ましい経済に持っていくための金融政策運営というのはまさに、荒わざでなくて、最も適切なタイミングできめ細かい金融政策を連続的に打ち出していくということで実現できる可能性が強いわけでございます。そういう意味で、機動性が大事と。
しかしながら、一方で、金融政策については透明性が大事と。日本銀行から発するメッセージと行動が国民の皆様方、市場参加者の皆様方から見て十分理解できるということがあって初めて政策の効果も高まるし、日本銀行として説明責任、アカウンタビリティーも果たせる、こういうふうに考えております。したがいまして、量的緩和政策から通常の金利政策に戻るこの時点で、新しい金融政策の枠組みを私どもとして新しく設計いたしまして、きのう打ち出した。その柱は、透明性と金融政策運営の柔軟性の両立ということでございます。
諸外国におきましても、そうした点ではさまざまな先例がございます。いわゆる厳格な意味でのインフレーションターゲティングというふうなことから始まり、いろいろな例がございます。かつまた、インフレーションターゲティングをとっていると言われている国の場合でも、実際の金融政策の運営の仕方は、その枠組みの中でその国の実情に応じてさまざまであるということでございまして、日本銀行といたしましては、海外のさまざまな事例、そして国内におきましても各界の識者の方々のすぐれた御見識、すべて私どもよく勉強をさせていただきまして、いいところはすべて拝借する、そして、最終的にはやはり日本の実情にきちっと合ったものということでつくらせていただいたのが、きのうの例でございます。
したがいまして、物価安定につきましても、国民の皆様が今後経済活動をしていく場合に、デフレもインフレも心配することなく、安心して経済活動ができる状況ということに明確に定義をさせていただいた上で、各政策委員がそういう物価安定の概念を数字であらわせば当面どういうイメージを持っておられるか、これは中長期的に見て物価の安定というものをどういうふうに認識しているかということを映し出して、これは今後の金融政策運営上、十分念頭に置いて我々がやっていくということを明らかにさせていただいた。国民の皆様方の物価観と本当に合っているかどうか、今後ともすり合わせをしながらやっていきたいということで、したがいまして、一年置きぐらいには我々のイメージも再点検しながらやっていこう、こういうふうな仕組みになっております。