小坂憲次の発言 (文部科学委員会)
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○小坂国務大臣 昨年十月末の第三次小泉内閣の発足に当たりまして、文部科学大臣を拝命いたしました小坂憲次でございます。
遠藤委員長初め理事、委員の皆様方には、日ごろから、文部科学行政の推進に、また国民スポーツ振興に対しまして、温かい御理解と御支援を賜っておりますことに、心から感謝を申し上げる次第でございます。教育改革や科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の振興のため、さらに力を尽くしてまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。
第百六十四回国会におきまして各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。
天然資源に恵まれない我が国においては、人材こそ国の宝であり、教育はこの国の将来を左右する国政上の重要課題であります。また、戦後の荒廃からいち早く立ち直り、今日の繁栄を築き上げることができたのは、科学技術の振興とそれを支える人材の養成があったからであります。
グローバル化の進展、少子高齢化の進行や人口減少など、国際環境や社会経済の急激な変化の中で持続的に発展を遂げていくためには、国家百年の計に立ち、教育・文化立国と科学技術創造立国の実現を目指した改革が不可欠であります。
まず、私といたしましては、どの子供にも豊かな教育をとの考え方に立ち、国際社会で活躍できる心豊かでたくましい人づくりを目指した教育改革をさらに推進する必要があると考えております。このため、今後重点的に取り組むべき具体的課題を教育改革のための重点行動計画として取りまとめ、先日、公表いたしました。
第一に、義務教育については、国の責任を確実に果たしつつ、学校や地方の創意工夫を生かした教育が実現できるよう、構造改革を力強く進めてまいります。
具体的には、国が明確な戦略に基づき目標を設定し、そのための確実な財源保障など基盤整備を行った上で、市町村や学校の権限と責任を拡大する分権改革を進めるとともに、教育の結果の検証については、国が責任を持って施策を推進し、義務教育の質を保証する仕組みに改革することとし、今後、必要な制度改正や事業の推進等を図ってまいります。
なお、義務教育費国庫負担制度の取り扱いについては、昨年末の政府・与党合意により、制度を堅持した上で国の負担割合を三分の一とすることになりました。今国会では、この政府・与党合意などに基づき、公立義務教育諸学校等の教職員給与費及び施設整備費の負担等に関する制度改革を内容とする法律案を提出しております。
第二に、活力ある人材を育てるため、学習指導要領の見直しなどを通じて子供たちの学ぶ意欲や好奇心を育成していくなど確かな学力の育成、いわゆるキレる言動など、近年大きな社会問題となっている子供の情動面の問題に対応する方策の検討や、学校、家庭、関係機関の連携による不登校への対応など豊かな心の育成、子供たちの体力の向上や食育の推進など健やかな体の育成、キャリア教育や、ニート等を対象とした学び直しの機会の提供など、自立し挑戦する若者の育成の四点に重点を置いて取り組んでまいります。
第三に、充実した教育を支える教育環境の整備について、安全、安心な学校、地域づくり、ICT利活用による教育、学習の推進、教育費負担のあり方の検討の三点に重点的に取り組んでまいります。
学校や通学路において大変痛ましい事件が続発していることを重く受けとめ、ハード及びソフトの両面から組織的、継続的な対策に取り組む子ども安心プロジェクトを推進し、学校の安全、安心の確保に万全を期してまいります。学校安全ボランティアへの参加など、国民の皆様に積極的な御協力をいただきながら、政府一丸となって、地域ぐるみの安全確保のための取り組みを強力に進めます。
非常災害時に地域住民の応急避難場所となる学校施設の耐震化を促進するため、国土交通省と連携し、本年内を目途に公立小中学校の耐震診断の完了を要請するとともに、喫緊の課題である学校施設等のアスベスト対策を推進し、保護者や地域の方々から信頼される安全、安心な学校づくりを進めます。
ICT、情報通信技術、インフォメーション・アンド・コミュニケーションズ・テクノロジーの利活用による教育、学習の推進については、世界最高水準のICT国家を支える人づくりという観点から、教員の指導力の向上を図るとともに、学校におけるICT環境の整備を加速するため、私も先頭に立って、総務省と連携しつつ、地方公共団体に働きかけるほか、本年三月を教育の情報化強化月間として、ICT利活用促進キャンペーン等を実施してまいります。
教育費負担のあり方の検討については、少子化など、社会経済全体の状況も踏まえつつ、就学前から社会人になるまでの各段階における教育費負担の実態を把握し、課題を明らかにした上で、その対策について検討を進めてまいります。
第四に、子供たちの基本的生活習慣の育成を支援するため、PTA等民間団体と連携して、「早寝早起き朝ごはん」運動を全国展開するとともに、地域における子供の居場所づくりをさらに推進するなど、家庭、地域の教育力の向上を図ります。
また、これらの具体的な取り組みとあわせて、新しい時代にふさわしい教育の基本理念を明確にするため、中央教育審議会の答申や与党における議論を踏まえ、国民的な議論を深めつつ、教育基本法の速やかな改正を目指し、しっかりと取り組んでまいります。
私は、これらの施策を中心に、国民の皆様の幅広い御理解と御協力を得ながら、教育改革の着実な推進に引き続き努力してまいる決意であります。
私は、初等中等教育段階では、幼児期から子供たちの好奇心を伸ばす教育環境をつくり、子供たちが学ぶ楽しさを感じながら、一人一人がそれぞれの得意な分野を伸ばし、社会で自立していく力を身につけることが極めて大切であると考えます。
学力の問題については、国際的な調査結果等により明らかとなった読解力の低下、学習意欲や学習習慣が十分に身についていないこと等の課題を深刻に受けとめ、今後、基礎、基本をしっかり身につけさせるとともに、学ぶ意欲やみずから考え主体的に判断する力などの確かな学力をはぐくむため、学習指導要領全体の見直しや、習熟度別少人数指導の一層の推進、全国的な学力調査の実施、国語力の育成、理数教育、総合的な学習の時間の推進など、総合的な学力向上策に取り組みます。
子供たちに、命を大切にする心、善悪の判断などの規範意識や倫理観、公共心や他人を思いやる心などの豊かな人間性や社会性をはぐくむため、学校と家庭、地域社会が一体となって、道徳教育の充実、学校の内外を通じた奉仕・体験活動や読書活動などの推進を図ります。また、青少年の有害環境対策に取り組みます。
子供たちの健やかな体をはぐくむため、体育の一層の充実や運動部活動の振興を図るとともに、食育基本法を踏まえ、家庭、地域と連携しつつ、栄養教諭制度の円滑な実施や学校給食における地場産物の活用の推進などにより、学校における食育を一層進めてまいります。また、児童生徒の薬物乱用防止教育など、学校保健の充実に取り組みます。
学校の内外を通じて不登校や問題行動への適切な対応を図るほか、LD、ADHD等の発達障害を含む障害のある子供たち一人一人の教育的ニーズに応じるため、必要な制度の見直しを進めるなど、特別支援教育を一層推進してまいります。外国人児童生徒教育においては、日本語指導を初めとして、充実を図ります。また、就学前の幼児の教育、保育を一体として提供する仕組みの制度化など、幼児教育の振興に取り組みます。
学校運営協議会制度によるコミュニティ・スクールの設置促進など、保護者や地域住民の参画による信頼される学校づくりを進めるとともに、適切な学校評価システムを構築します。また、教員評価の徹底や十年経験者研修制度の推進など、教育専門職としての教師の資質向上を図るとともに、教職課程の質的水準の向上、教職大学院制度の創設や教員免許更新制の導入を含む教員養成、免許制度の改革について検討を進めるなど、教育の質の保証、向上を図ってまいります。教育委員会については、地域の課題に主体的に取り組めるよう、制度の見直しを検討してまいります。
知識基盤社会の時代と言われる二十一世紀において、我が国では若年人口が急速に減少し、平成十九年には、大学、短大の志願者と入学者が一致する、いわゆる全入時代を迎えます。各大学が、それぞれの個性、特色を一層明確化し、教育、研究とこれらを通じた社会貢献という三つの役割を十分に果たすよう、国公私立大学を通じた競争的な環境を整備し、大学改革への取り組みを支援してまいります。具体的には、世界的な研究教育拠点の形成、高度専門職業人の養成、地域への貢献、産学連携等を通じた人材養成等、各大学の多様な取り組みの支援に努めます。また、国際的に魅力ある大学院の構築のために、関係施策を体系的に、集中的に推進します。
国立大学法人については、各大学が自主性、自律性を十分に発揮し、教育研究の一層の活性化を図り、個性豊かな大学づくりを進めることができるよう、国として必要な支援に努めるとともに、施設整備についても、新たな緊急整備五カ年計画を策定し、引き続き着実に支援してまいります。
加えて、大学の設置認可制度の的確な運用と第三者評価制度の円滑な実施を進め、大学の教育研究の質保証の充実を図ってまいります。
私立学校については、建学の精神に基づく個性豊かな教育研究活動を積極的に展開できるよう、一層の振興に努めてまいります。また、教育を受ける意欲と能力のある者の修学の機会を確保するため、奨学金の充実など学生への支援にも精力的に取り組んでまいります。
科学技術・学術は、国民の生活や経済活動を持続的に発展させ、環境問題など地球規模の問題の解決に大きく貢献するなど、我が国の、そして人類の希望ある未来を切り開くかぎとなるものであります。
平成十八年度は、第三期科学技術基本計画の初年度に当たります。政府における科学技術振興の中核を担う文部科学省としては、科学技術創造立国の実現を目指した諸施策を積極的に展開してまいります。
まず、若手研究者や女性研究者、外国人研究者など多様な人材が能力を発揮できるような環境整備や、科学技術、理数教育の推進など、学校段階から研究者、技術者に至るまで、科学技術を支える人材の質的、量的な充実に向けた取り組みを総合的に推進してまいります。
また、大学や大学共同利用機関等におけるニュートリノ研究、アルマ計画、大強度陽子加速器計画等を初めとした独創的、先端的基礎研究に取り組むとともに、研究者による高い倫理観のもとで着実に推進してまいります。また、イノベーションの創出に向け、知的財産戦略の強化及び産学官連携の推進、知的クラスター創成など地域科学技術の振興を図ってまいります。
加えて、科学研究費補助金の拡充など競争的資金の充実により、競争的な研究環境の整備を図るとともに、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の四分野における一層の重点化や、原子力、宇宙・航空、海洋、地震・防災、新興・融合分野の研究開発を効果的に推進してまいります。さらに、新しい感染症やテロの防止等、国民の不安を解消し、安全で安心な社会を実現する科学技術を推進するとともに、科学技術活動の基盤となる施設設備等を整備し、世界一流の人材を引きつけられるような研究環境を実現してまいります。
中でも、先日打ち上げに成功したH2Aロケット等の宇宙輸送システム、地球深部探査船「ちきゅう」が就航した海洋探査システム、「もんじゅ」を初めとする高速増殖炉サイクル技術、統合地球観測・監視システム等の国家の総合的な安全保障に密接にかかわる技術や、次世代スーパーコンピューター、エックス線自由電子レーザー等の我が国の発展を強力に牽引する世界最高性能の研究設備を実現する技術については、我が国が持続的に発展し、世界をリードしていくための基幹的な技術であり、これらについて戦略的に研究開発を推進してまいります。次世代スーパーコンピューター等の先端大型研究施設については、幅広い研究者に共用される仕組みの構築に取り組んでまいります。国際協力で核融合エネルギーの研究開発を行うITER計画の着実な推進や、近年発展が著しいアジア諸国との連携強化など、国際活動を戦略的に展開します。また、各省庁が連携し、地域の大学等の活性化、活用による地域再生を目指す、地域の知の拠点再生プログラムを推進してまいります。
人々が生涯にわたり自己実現を図ることができるよう、生涯学習の環境整備や大学、専修学校における社会人のキャリアアップのための教育を推進するとともに、新しい時代に即した社会教育の活性化を図りつつ、男女共同参画社会の形成を推進する教育、環境教育や人権教育等の充実に努めてまいります。
また、フリーター、ニートの増加等を踏まえ、しっかりとした勤労観、職業観をはぐくみ、若者が明確な目的意識を持って職につくことができるよう、地域や企業の協力のもと、中学校を中心とした五日間以上の職場体験など、各学校段階に応じ、体系的なキャリア教育を推進するとともに、ニート等を対象とした学び直しの機会の提供等に取り組んでまいります。
トリノ冬季オリンピック競技大会が開幕しましたが、スポーツの振興は、活力に満ちた社会を形成する上で不可欠であります。世界的な大会における日本選手の活躍は、国のアイデンティティーを確立するとともに、国民全体の活力の源泉となるものであり、夏季、冬季を通じ、競技力の強化、向上のためトレーニング拠点施設の充実が急務であり、このため、ナショナルトレーニングセンター中核拠点施設の整備を推進するなど、世界のひのき舞台で活躍できるトップレベルの競技者の育成等に取り組むとともに、総合型地域スポーツクラブの育成などにより、また、スポーツ振興くじも活用し、国民のだれもが身近にスポーツに親しめる地域のスポーツ環境の整備に努めます。
子供の目標やあこがれの地となるような全国的なスポーツ大会の拠点づくりを推進するとともに、親子で一緒に体を動かす機会の提供などにより、子供の体力の向上に努めます。
スポーツの振興をさらに効果的に推進するため、平成十三年度から十年計画として実施しているスポーツ振興基本計画については、本年は見直しを行い、生涯スポーツの普及振興、国際競技力の向上、そして子供の体力向上を図るという視点から、豊かなスポーツ環境づくり推進のための施策を充実させてまいります。
文化芸術は、人々に感動や生きる喜びをもたらし、豊かな人生を送る上での大きな力となるものであります。活力ある社会の実現のためには、文化力の向上を図ることが、経済力と並ぶ車の両輪として極めて重要であり、文化芸術立国の実現に向けた取り組みを総合的に推進してまいります。我が国が誇るすぐれた文化財や伝統文化はもとより、映画、音楽、アニメ、ファッションなどの日本文化は、ジャパン・クールとして世界の人々を魅了しております。我が国の顔となる魅力ある文化芸術を創造し、積極的に世界に発信していくため、文化芸術創造プランや「日本文化の魅力」発見・発信プランを推進し、特に、次代を担う子供たちの豊かな人間性と多様な個性をはぐくむため、感性豊かな文化の担い手育成プランを推進します。正しい国語の継承、発展のため、文化審議会国語分科会を通じて検討を進めてまいります。また、地域文化の振興、文化財の保存、活用、文化財分野における国際協力に積極的に取り組みます。通信と放送の融合等への適切な対応を含め、新しい時代に対応した著作権等のあり方の検討に取り組んでまいります。
さらに、平成十四年に閣議決定された文化芸術の振興に関する基本的な方針について、諸情勢の変化等を踏まえ、本年に適切な見直しを行います。
我が国が、国際社会において積極的な役割と責任を果たし、世界から信頼される国となることは極めて重要な課題であり、日本の知識や経験を生かせる国際協力、交流に力を尽くします。官民の連携により奨学金制度の充実を図るなど留学生受け入れ体制の整備充実や日本人の海外留学、外国人青少年との交流促進などの支援にも取り組んでまいります。グローバル化の進展やインターネット社会に対応した英語教育の充実について、初等教育段階における具体的方策の検討を進めるなど、英語によるコミュニケーション能力の育成に努めます。また、二十一世紀のアジアの発展と我が国の持続的な繁栄のためには、中国、韓国などアジア近隣諸国との幅広い分野における協力、交流を強化し、相互理解と信頼に基づく関係を構築することが重要であります。アジアの近隣諸国等とのコミュニケーションを促すという観点から、英語以外の外国語教育のあり方を検討してまいります。
以上のほか、規制改革や構造改革特区、地域再生については、今後とも引き続き、地方公共団体や民間の創意と工夫を生かし、教育研究の活性化や地域の活力の再生という観点から、できるだけ柔軟に取り組んでまいりたいと考えております。また、公益法人改革、公務員の総人件費改革、独立行政法人の組織、業務の見直し、被用者年金の一元化等の重要な課題に積極的に対応してまいります。
私といたしましては、国民の皆様の強い期待を真摯に受けとめ、文部科学行政全般にわたり、さまざまな取り組みを力強く推進してまいりたいと考えております。引き続き、関係各位の御理解と御協力を心からお願いを申し上げまして、私の所信といたします。
ありがとうございました。(拍手)