北岡秀二の発言 (経済・産業・雇用に関する調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○北岡秀二君 まず一番最初に表明をさせていただきます自由民主党の北岡秀二でございます。
 本調査会は、平成十六年十月に設置されて以来、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」について調査を行ってまいりました。今国会もこれまで五回にわたり参考人の方々をお招きし、貴重な御意見を伺いました。本日は、これまでの調査を踏まえ、自由民主党を代表し、意見を表明させていただきたいと存じます。
 我が国経済は、バブル経済の崩壊以降、十数年にわたって低迷を続けておりましたが、ようやくこのような状況を脱し、現在景気は民間主導で着実な回復を続け、日本人は自信と活力を取り戻しつつございます。消費者物価指数はここ数か月連続して前年同月比プラスで推移し、三月末には日経平均株価が一万七千円台を回復をいたしました。日銀は、三月九日に量的金融緩和政策の解除を決定いたしております。
 今回の景気拡大は、戦後最長のイザナギ景気を超えるのではないかとも言われています。雇用状況も改善し、最近では有効求人倍率が一倍を超え、失業率も四%台前半の水準まで低下いたしました。企業の採用意欲も高まり、多くの企業が新卒採用者数を増加させております。我が国経済は、今新たな回復の歩みを進めていると言えましょう。この景気回復の腰を折ることのないよう、注意深く経済政策を進めていくことが求められています。
 このように、景気が回復を続ける一方で格差が拡大しているのではないかとの指摘がなされております。格差の程度を示す指標であるジニ係数を見ますと、近年は格差が急激に拡大しているようにも見えます。しかし、この拡大については見方がいろいろございまして、人口の高齢化により所得格差の大きい高齢者が増加していることと、世帯規模の縮小により所得の低い世帯が増加していることが影響しているためであり、実際にはそれほど格差は拡大していないという見方もあります。いずれにいたしましても、この問題は政治的に非常に大きな問題であり、今後とも引き続き状況を注視していく必要があると思います。
 格差拡大の中で、若年層の格差拡大については大方の見方が一致しているようです。若年層においては、正規社員として雇用された者と、パート、アルバイト、派遣等の非正規で雇用された者との間で所得の二極化が見られます。幾ら努力しても格差を解消できないとすれば、若者が将来に対する希望を失うことになりかねず、社会の不安定化の要因となることも懸念されます。若者の自覚と努力はもちろんでありますが、企業側も、景気が回復している今このときに、正規雇用の拡大や非正規雇用から正規雇用への登用制度の整備を図ることが望まれます。
 また、大都市圏などの景気回復が著しい地域がある一方で、厳しい状況が続いている地域もあり、地域間格差、大都市と地方との格差が拡大しております。参考人からも日本経済のローカル化という発言がありましたが、各地域が独自性を発揮し、競い合って発展していくことが重要であり、そのためには地域金融をしっかりと確保し、地域でお金が循環する仕組みが求められます。
 また、地域活性化の方策の一つとして、定年退職後の人々の活力を大いに生かすような施策を講ずることは非常に有効ではないかと考える次第であります。
 IT技術の発展とともに経済のグローバル化が急速に進展いたしました。企業は少しでも人件費が安い国に工場を移し、投資資金は少しでも有利な運用先を求めるというように、世界規模で人、物、金が動くようになってきています。このようにグローバル化した世界の中で、我が国が将来にわたって競争力を維持、向上させるためにはどうすればよいのか。やはり人材であろうと思います。人材育成や技術、技能の向上のため、教育や職業訓練を時代のニーズを取り入れながら更に充実させていくことが必要であります。
 我が国はいわゆる護送船団方式により高度成長を遂げてまいりましたが、今日ではこのような手法は制度疲労を起こしているのではないかと思います。我が国の経済、産業、雇用の在り方も、グローバル化などの時代の趨勢に合わせ変革していく必要があります。このような意味で、競争原理の導入による社会の活性化は不可避ではないかと考えます。しかし、ただ単にグローバル化の波に合わせ、社会を完全に市場原理にゆだねることは行き過ぎであり、適切なセーフティーネットを形成し、我が国社会の優れた点を十分に伸ばしていくことが必要であります。
 そこで、キーワードとなるのは機会の平等と結果の平等ではないかと考えます。戦後の日本社会は結果の平等に非常に重きが置かれておりました。確かに社会保障などの領域において、一定のラインを決め、そのラインだけはどうしても守っていくという意味での結果の平等が必要なことは言うまでもありません。しかし、全員に平等なチャンスが与えられた場合には、結果に差が出たとしてもその責任は自分で負うべきであるという意味での機会の平等が今後は重要になると考えます。この機会の平等と結果の平等を社会システムの中に適切に位置付けていくことがこれからの社会の在り方の大きな課題であると考えます。
 少子高齢化の進行により労働力人口は平成十年をピークに減少傾向にあり、今後もこの状況は避けられません。二〇〇七年から団塊世代が大量に定年年齢に迎えることもあり、喫緊の課題としてはいわゆる二〇〇七年問題への対応策を、中長期的な課題としては将来にわたっての労働力の確保策を講ずる必要があります。団塊の世代の退職については、技術、技能の伝承を図り、また定年延長、継続雇用等によってその影響を抑えるとともに、団塊世代の方々に様々な方法でその活力を社会に還元していただくことが重要であると考えます。
 また、女性の労働については、出産、育児の時期に労働力率が低下するいわゆるM字型カーブ、そして就業中断後の再就職が大きな課題であります。仕事と育児等の両立のための施策を一層推進するとともに、女性の再就職支援、企業支援については情報や教育訓練機会の提供などの施策を講じていくことが有効であると思います。
 さらに、高齢者雇用については、本年四月一日から、高年齢者雇用安定法の改正により、年金支給開始年齢の段階的な引上げに合わせて定年年齢の引上げ、継続雇用制度の導入等が事業主に義務付けられました。雇用と年金の接続はこれからの最重要課題の一つであり、法改正による今後の動向を見守りたいと考えます。
 また、参考人から、高齢者に対する求人は職種に偏りがあるとの指摘がありました。高齢者雇用は、単に働く場を提供するということだけではなく、雇用のミスマッチをできるだけ解消するために、その内容にも目を向けていく必要があります。
 我が国は今大きな転換点にあります。改革の必要性が叫ばれ、各般の取組がなされております。しかし、このようなとき一番必要なのは、一人一人のもう時代が変わったという意識改革であるように思われます。挑戦の心をなくしてしまえば経済も社会も活力を失います。どうせ駄目ではないかから、これをやってみよう、あれに挑戦してみようという意識に変わることが最も重要であり、政治はそれを支援していかなければならないということを最後に申し述べ、意見表明とさせていただきます。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 116414061X00720060510_003

発言者: 北岡秀二

speaker_id: 13059

日付: 2006-05-10

院: 参議院

会議名: 経済・産業・雇用に関する調査会