経済・産業・雇用に関する調査会

2006-05-10 参議院 全43発言

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会議録情報#0
平成十八年五月十日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     島田智哉子君     池口 修次君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         広中和歌子君
    理 事
                北岡 秀二君
                南野知惠子君
                松村 祥史君
                谷  博之君
                和田ひろ子君
                浜田 昌良君
    委 員
                岩井 國臣君
                大野つや子君
                小泉 昭男君
                吉村剛太郎君
                伊藤 基隆君
                池口 修次君
                大久保 勉君
                津田弥太郎君
                峰崎 直樹君
                松 あきら君
                井上 哲士君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        富山 哲雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○経済・産業・雇用に関する調査
 (「成熟社会における経済活性化と多様化する
 雇用への対応」について)
    ─────────────
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広中和歌子#1
○会長(広中和歌子君) ただいまから経済・産業・雇用に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、島田智哉子さんが委員を辞任され、その補欠として池口修次さんが選任されました。
    ─────────────
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広中和歌子#2
○会長(広中和歌子君) 経済・産業・雇用に関する調査を議題とし、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」について委員間の意見交換を行います。
 本調査会は、これまで「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」をテーマに調査を進めてまいりました。
 本日は、これまでの調査を踏まえ、二年度目の中間報告書を取りまとめるに当たり、委員各位の御意見をお述べいただきたいと思います。
 議事の進め方でございますが、まず各会派から一名ずつ大会派順にそれぞれ十分以内で御意見の表明を行っていただきました後、一時間程度、委員相互により自由に意見交換を行っていただきたいと思います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、これより意見表明を行っていただきます。
 御意見を表明される方は順次御発言を願います。
 北岡秀二さん。
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北岡秀二#3
○北岡秀二君 まず一番最初に表明をさせていただきます自由民主党の北岡秀二でございます。
 本調査会は、平成十六年十月に設置されて以来、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」について調査を行ってまいりました。今国会もこれまで五回にわたり参考人の方々をお招きし、貴重な御意見を伺いました。本日は、これまでの調査を踏まえ、自由民主党を代表し、意見を表明させていただきたいと存じます。
 我が国経済は、バブル経済の崩壊以降、十数年にわたって低迷を続けておりましたが、ようやくこのような状況を脱し、現在景気は民間主導で着実な回復を続け、日本人は自信と活力を取り戻しつつございます。消費者物価指数はここ数か月連続して前年同月比プラスで推移し、三月末には日経平均株価が一万七千円台を回復をいたしました。日銀は、三月九日に量的金融緩和政策の解除を決定いたしております。
 今回の景気拡大は、戦後最長のイザナギ景気を超えるのではないかとも言われています。雇用状況も改善し、最近では有効求人倍率が一倍を超え、失業率も四%台前半の水準まで低下いたしました。企業の採用意欲も高まり、多くの企業が新卒採用者数を増加させております。我が国経済は、今新たな回復の歩みを進めていると言えましょう。この景気回復の腰を折ることのないよう、注意深く経済政策を進めていくことが求められています。
 このように、景気が回復を続ける一方で格差が拡大しているのではないかとの指摘がなされております。格差の程度を示す指標であるジニ係数を見ますと、近年は格差が急激に拡大しているようにも見えます。しかし、この拡大については見方がいろいろございまして、人口の高齢化により所得格差の大きい高齢者が増加していることと、世帯規模の縮小により所得の低い世帯が増加していることが影響しているためであり、実際にはそれほど格差は拡大していないという見方もあります。いずれにいたしましても、この問題は政治的に非常に大きな問題であり、今後とも引き続き状況を注視していく必要があると思います。
 格差拡大の中で、若年層の格差拡大については大方の見方が一致しているようです。若年層においては、正規社員として雇用された者と、パート、アルバイト、派遣等の非正規で雇用された者との間で所得の二極化が見られます。幾ら努力しても格差を解消できないとすれば、若者が将来に対する希望を失うことになりかねず、社会の不安定化の要因となることも懸念されます。若者の自覚と努力はもちろんでありますが、企業側も、景気が回復している今このときに、正規雇用の拡大や非正規雇用から正規雇用への登用制度の整備を図ることが望まれます。
 また、大都市圏などの景気回復が著しい地域がある一方で、厳しい状況が続いている地域もあり、地域間格差、大都市と地方との格差が拡大しております。参考人からも日本経済のローカル化という発言がありましたが、各地域が独自性を発揮し、競い合って発展していくことが重要であり、そのためには地域金融をしっかりと確保し、地域でお金が循環する仕組みが求められます。
 また、地域活性化の方策の一つとして、定年退職後の人々の活力を大いに生かすような施策を講ずることは非常に有効ではないかと考える次第であります。
 IT技術の発展とともに経済のグローバル化が急速に進展いたしました。企業は少しでも人件費が安い国に工場を移し、投資資金は少しでも有利な運用先を求めるというように、世界規模で人、物、金が動くようになってきています。このようにグローバル化した世界の中で、我が国が将来にわたって競争力を維持、向上させるためにはどうすればよいのか。やはり人材であろうと思います。人材育成や技術、技能の向上のため、教育や職業訓練を時代のニーズを取り入れながら更に充実させていくことが必要であります。
 我が国はいわゆる護送船団方式により高度成長を遂げてまいりましたが、今日ではこのような手法は制度疲労を起こしているのではないかと思います。我が国の経済、産業、雇用の在り方も、グローバル化などの時代の趨勢に合わせ変革していく必要があります。このような意味で、競争原理の導入による社会の活性化は不可避ではないかと考えます。しかし、ただ単にグローバル化の波に合わせ、社会を完全に市場原理にゆだねることは行き過ぎであり、適切なセーフティーネットを形成し、我が国社会の優れた点を十分に伸ばしていくことが必要であります。
 そこで、キーワードとなるのは機会の平等と結果の平等ではないかと考えます。戦後の日本社会は結果の平等に非常に重きが置かれておりました。確かに社会保障などの領域において、一定のラインを決め、そのラインだけはどうしても守っていくという意味での結果の平等が必要なことは言うまでもありません。しかし、全員に平等なチャンスが与えられた場合には、結果に差が出たとしてもその責任は自分で負うべきであるという意味での機会の平等が今後は重要になると考えます。この機会の平等と結果の平等を社会システムの中に適切に位置付けていくことがこれからの社会の在り方の大きな課題であると考えます。
 少子高齢化の進行により労働力人口は平成十年をピークに減少傾向にあり、今後もこの状況は避けられません。二〇〇七年から団塊世代が大量に定年年齢に迎えることもあり、喫緊の課題としてはいわゆる二〇〇七年問題への対応策を、中長期的な課題としては将来にわたっての労働力の確保策を講ずる必要があります。団塊の世代の退職については、技術、技能の伝承を図り、また定年延長、継続雇用等によってその影響を抑えるとともに、団塊世代の方々に様々な方法でその活力を社会に還元していただくことが重要であると考えます。
 また、女性の労働については、出産、育児の時期に労働力率が低下するいわゆるM字型カーブ、そして就業中断後の再就職が大きな課題であります。仕事と育児等の両立のための施策を一層推進するとともに、女性の再就職支援、企業支援については情報や教育訓練機会の提供などの施策を講じていくことが有効であると思います。
 さらに、高齢者雇用については、本年四月一日から、高年齢者雇用安定法の改正により、年金支給開始年齢の段階的な引上げに合わせて定年年齢の引上げ、継続雇用制度の導入等が事業主に義務付けられました。雇用と年金の接続はこれからの最重要課題の一つであり、法改正による今後の動向を見守りたいと考えます。
 また、参考人から、高齢者に対する求人は職種に偏りがあるとの指摘がありました。高齢者雇用は、単に働く場を提供するということだけではなく、雇用のミスマッチをできるだけ解消するために、その内容にも目を向けていく必要があります。
 我が国は今大きな転換点にあります。改革の必要性が叫ばれ、各般の取組がなされております。しかし、このようなとき一番必要なのは、一人一人のもう時代が変わったという意識改革であるように思われます。挑戦の心をなくしてしまえば経済も社会も活力を失います。どうせ駄目ではないかから、これをやってみよう、あれに挑戦してみようという意識に変わることが最も重要であり、政治はそれを支援していかなければならないということを最後に申し述べ、意見表明とさせていただきます。
 以上でございます。
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広中和歌子#4
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、和田ひろ子さん、お願いします。
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和田ひろ子#5
○和田ひろ子君 民主党・新緑風会の和田ひろ子でございます。
 本調査会では、成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応について、昨年に引き続いて調査を続けてまいりました。本年は、格差の問題、二〇〇七年問題と高齢者雇用、女性雇用などを中心に調査いたしましたので、これらの点につきまして私どもの意見を述べさせていただきます。
 第一に、格差問題についてでございます。
 我が国は、グローバル化の進展やIT革命といった社会状況の変化やバブル崩壊後の長期間にわたる経済の低迷に加え、構造改革の失政により社会の各方面にわたってゆがみ、ひずみが生じてきており、これらを背景として、経済所得格差、教育格差、地域格差といった様々な格差問題が発生しております。
 まず、経済所得格差問題ですが、生活保護受給世帯や貯蓄なし世帯の急増など、各種統計からも格差が拡大していることが明らかになっておりますが、とりわけ大きな問題点は、若年層において格差が拡大していることではないかと考えます。若年層における格差拡大の理由は、正規社員と非正規社員の間に生じる賃金格差が原因と言われております。
 バブル崩壊後、各企業は人件費を圧縮するため、正規社員の雇用を抑制し、非正規社員の雇用を増加させてきました。そのあおりを受けて、個人の能力の有無にかかわらずフリーターとなった若者が失業の不安やリスクを感じたまま低賃金に甘んじている現実がございます。ニートも含めて、これらの若者は将来に不安を抱えているため結婚もできないなどの影響も生じており、その社会的損失は決して少なくありません。今後は、できるだけ多くの若者が正規社員として雇用され、その経済所得格差を縮小していく必要があるのではないでしょうか。
 そのためには、行政においては若者向けの教育訓練の充実をより一層図ること、企業においては非正規社員を積極的に正規社員として登用することが不可欠と考えます。さらに、同一価値労働同一賃金の原則を踏まえて、正規、非正規雇用間の賃金格差の解消を目指すべきであると思います。そのほか、自らのライフスタイルに応じた多様な働き方を可能とする短時間正規社員制度の普及を図ることも必要と考えております。
 次に、教育格差ですが、近年、就学援助受給者数が増加しております。その一方で、幼児期から学習塾に通うなど多額な教育費を支出する家庭もあります。子供はどこの家庭に生まれてくるか選択できませんから、子供は等しく生まれ等しく育つべき国の宝であります。にもかかわらず、現実には教育の機会の平等が子供たちに与えられておりません。この背景には、所得再配分の政策がうまく機能していないことがあると思われます。
 政府においては、教育格差の是正の観点からも税制面や社会保障面に関する所得再配分の在り方について検討する必要があると考えますし、具体的には奨学金制度の一層の充実が不可欠だと思います。
 また、地域格差の問題ですが、東海地方など大都市圏を中心に景気は回復傾向を示しておりますが、地方においては依然として厳しい状況にあります。早急に地方経済を活性化させ、我が国のすべての地域の景気を好転させるべく、更なる地方分権の推進、税制の在り方などについて検討する必要があると思われます。
 第二に、二〇〇七年問題と高齢者雇用について申し述べます。
 今日、団塊の世代が六十歳定年を迎えるいわゆる二〇〇七年問題がクローズアップされております。この問題は、メリット、デメリットの双方を含んでおり、メリットとしては、団塊の世代の退職による欠員の若年層の採用に充てることができること、団塊の世代が地域社会に戻りNPO活動などで能力を発揮できることなどがあり、デメリットとしては、製造業を中心に若者への技術伝承が円滑に進められるかということなどが挙げられます。
 私は、メリットの方にも視点を向け、この問題を前向きにとらえていく必要があると思います。それが大切なことだとも考えました。
 次に、高齢者雇用ですが、本年四月より改正高齢者雇用安定法が施行されました。六十五歳までの高齢者雇用を確保するため、事業主は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかの措置を講ずることとなりましたが、大多数の企業は継続雇用制度の導入を選択しているようであります。しかしながら、継続雇用制度は、労使協定により継続雇用の対象者の基準を定めることとされ、加えて経過措置として、協議が不調のときは就業規則等で基準を定めることができることとなっております。
 各企業においては、継続雇用を希望する高齢者がすべて雇用されるべく適正な基準を定め、決して事業主が恣意的に継続雇用を排除できるような基準を定めないように注視していかなければなりません。
 また、少子高齢化の進展に伴い労働人口が減少する中、我が国の活力を維持し経済的な成長を維持していくためには、これまで以上に高齢者の方々に働いていただかなければなりません。そのためには、高齢者のニーズに即した職務や待遇を企業サイドも用意する必要があります。具体的には、高齢者の能力を生かせるアドバイザー的な職務の創出、短時間勤務の導入などを積極的に進めてほしいと思います。そして、将来的には、高齢者が年齢によって差別されることなくその能力を十分に発揮して働くことができる社会、エージフリー社会を目指していく必要があると考えます。
 最後に、女性の雇用について。
 我が国の女性雇用者の割合は約四割に達するなど、女性の労働市場への進出は進んでおります。また、いわゆるM字カーブも以前に比べフラット化が進み、三十代の労働力率も増加傾向にあります。しかしながら、男女間の賃金格差が依然として大きく、また女性はパートタイム労働者が多いという状況にあります。
 我が国における男女間の賃金格差は先進国の中でも目立っており、今般の男女雇用機会均等法改正の趣旨を踏まえつつ、男女間の賃金格差の是正に是非とも取り組むべきであると思います。
 今後は、我が国の労働力人口を確保する観点から、女性の労働率を高めつつ女性の雇用状況を改善していかなければなりません。そのためには仕事と家庭の両立を図ることが可能となるよう、育児休業制度、保育所整備などの充実強化が不可欠であります。
 各企業は、次世代育成支援対策推進法に基づき行動計画を策定し、育児や介護を支援するための制度の導入を進めておりますが、企業サイドから見てもこうした取組は優秀な人材確保につながるはずであり、決してマイナスにはならないのであり、一層の積極的な取組が期待されます。
 その一方で、制度が創設されたとしても、これが十分に活用されなければ意味がありません。例えば、我が国の男性の育児休業の取得率は一%にも達しておりません。この数字から、男性が働き女性が子育てを行うという意識が我が国においていまだ根強いことがうかがえます。仕事と家庭の両立を支援する制度を整備すると同時に、男女の役割分担の意識も変えていくことが必要ではないでしょうか。
 最後に、我が党といたしましては、格差のない社会、すべての雇用者が生き生きと働ける社会づくりに向けて最大限努力することをお約束して、意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございます。
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広中和歌子#6
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは次、浜田昌良さん、お願いいたします。
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浜田昌良#7
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
 まず冒頭に、当調査会は、今国会におきましても各委員に活発な意見を述べる機会をいただきました。公平かつすばらしい調査会運営をしてくださいました会長に御礼を申し上げます。
 当調査会で取り上げたテーマは、第一に経済及び所得格差問題であります。
 いわゆる勝ち組、負け組との言葉に表されるように、構造改革の進行に伴って経済至上主義の社会へと押し流され、社会の二極化、すなわち格差が広がっているのではないかとの懸念があります。格差の統計的検証については、参考人から、世帯主の年齢構成及び世帯人員を固定したジニ係数を計算した結果が示され、一九九五年以降、わずかでありますが、格差の拡大傾向が示されました。特に、近年の傾向として二十歳代、三十歳代での格差がより顕著であるとのことでありました。これは、これらの世代でのフリーター等非正規雇用の拡大と関連しているものと考えられ、今後これらの世代が四十歳代、五十歳代と移行するにつれて、ますます格差が拡大するのではないかと懸念されるところであります。
 つまり、所得格差の問題は、現時点ではわずかであるにしても、希望格差社会という言葉で表されているように、将来の格差拡大の懸念が大きいというのが問題の本質ではないでしょうか。しかも、その格差の階層が固定化され、現時点だけの循環問題から、結婚、子育て、教育など、世代間をまたがる構造問題に転化することが懸念されていると言えます。
 よって私は、今後、年齢層に応じて所得格差が拡大していかないように、また将来に階層が固定化されないように、三つの点が重要と考えます。
 第一には、非正規から正規雇用への移行の拡大であります。これは、調査会での視察で訪問した企業では既に大規模に始められているところでありました。統計的にも正規雇用への移行は二〇〇五年で四十一万人と、前年比一七%増となっており、逆の非正規雇用化の四十六万人まであと一歩のところまで来ています。
 第二に、パートや短時間正社員等による同一労働同一賃金という均等処遇の実現であります。今後、サービス産業の生産性を上げていくためには短時間雇用者の戦力化が不可欠であり、このような取組がかぎとなると考えられます。
 さらに、第三に、学校や仕事などで一度失敗しても再チャレンジできる社会の仕組みづくりであります。ある意味で、学卒一括採用を前提とした社会から、随時中途採用を行うフレキシブルな産業社会が求められているのではないでしょうか。これらこそ雇用のセーフティーネットであり、今若者が何となく不安に感じる所得格差に対する答えの一つであると考えます。
 テーマの第二は、日本経済のグローバル化への対応についてでありますが、日本経済のグローバル化への対応としては、中国経済との関係抜きには議論できない問題です。
 中国経済は、GDP世界第四位という経済大国としての中国と、一人当たりGDPが千七百ドル、日本の二十分の一という途上国の共存があります。参考人からは、日中間の貿易は競合度の低い垂直分業であることから更に進展させ、日中FTAを進めるべきとの意見がありました。さらに、日本がこのようにアジアとの連携を深めるに当たっては、並行してというよりは、先行して経済のローカル化を進めるべきとの参考人の意見には、私は同意するところがあります。多様な地域の活力、地域力があって初めて経済のグローバル化、アジア化もうまく回っていくものと考えます。この点は、今後、FTA、EPA、東アジア共同体構想を進めていく上でもう一度確認すべき点であると思います。
 第三に、団塊世代の退職による経済・産業・雇用への影響についてであります。
 参考人からは、労働市場全体に与える直接的インパクトは限定的であると考えられるものの、技能の伝承という点からの影響は小さくなく、企業内の匠の制度や社内学校、社内塾に向けての工夫をお聞きしました。また、団塊の世代は、それ以前の世代に比べて、ボランティア、NPO、NGOへの参加意欲が高く、それまでの就業経験を生かしたいという欲求が高いとのことでありました。
 よって、私は、団塊の世代の技能伝承を円滑に進めるため、従来社内に限って行われてきた匠の制度や社内学校、社内塾を地域社会に開き、高等専門学校や工業高校で団塊の世代をボランティア講師として招いて実施していく仕組みを考えることが重要であると思いました。
 第四に、高齢者雇用の在り方についてであります。
 二〇〇六年四月から改正高齢者雇用安定法が本格施行され、六十歳以降の継続雇用等が義務化されました。参考人によれば、以前から大企業を中心に七割程度の事務所には継続雇用の制度はあったものの、継続雇用が実施されていない定年退職者が七二・八%にも上り、その原因としては、高齢者の希望する働き方と実際の継続雇用の現実の間に労働時間、勤務場所、仕事の内容等についてのミスマッチがあるとのことでありました。また、仕事量の調整など事業所が高齢者に対する特別な措置をしているかを聞いた異なるデータでは、何と七七・六%の事業所では特別の措置はしていないという回答でした。
 しかし、我が国労働力人口が減少する中で、高齢者は貴重な労働力資源であります。高齢者が継続雇用しやすい環境、待遇を企業が工夫することがあって初めて改正高齢者雇用安定法の本来の趣旨も生かされるものと考えます。
 その意味では、九十四歳で現役として働いておられる例が紹介されました参考人の企業では、そもそも企業内では役職ではなく名前で呼び合う、また組織運営のトップと肩書の上下も関係ないという正にフラットな企業組織が高齢者継続雇用を受け入れやすくしていると考えられます。
 このように、企業組織全体を高齢者が継続雇用されやすいものへと変更していくことがあらゆる企業で今求められているのです。
 最後に、女性雇用をめぐる課題についてであります。
 男女雇用機会均等法が拡大改正施行されて二十年がたち、女性雇用について、育児休業等制度面では一定の成果が得られつつあるものの、更なる改善を図るには、女性とともに男性の意識の変革が重要との参考人の指摘がありました。つまり、男性が家庭でも地域でも職場でもファミリー・フレンドリーであることが求められるということであります。
 一方、ファミリー・フレンドリーな企業ほど長期に見て業績が良いとの分析結果も示され、今後、このような分析を深め、広く認知されるようにしていくことが必要です。
 なお、法制度の改善としては、児童手当の拡充を始めとして、一、育児休業法の育児の対象年齢の大幅延長、例えば十八歳。二、現行では実態上育児休業が取得困難な妻が専業主婦の場合や、両親がともに取得しようとする場合の改善。三、復職や再就職時の教育訓練機会の提供や再雇用制度の充実。四、女性の雇用が多い人材派遣業における雇用者の手取り単価と受入れ企業の支払単価に関する情報公開の徹底等が今後の検討課題であると考えます。
 以上です。
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広中和歌子#8
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、次、井上哲士さん、よろしくお願いします。
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井上哲士#9
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 日本社会と経済は、今様々な事態に直面をしています。その中で、初めての事態として格差の拡大と、もう一つは人口減少という問題があります。この新しい事態が何を必要としているのか、意見を述べます。
 格差の拡大について、重要な研究結果が発表をされたと今週の月曜日に一斉に報道されました。二〇〇二年までの十五年間で、所得の格差の度合いを示すジニ係数が三十代から四十代の男女で最大三〇%上昇したというもので、国立社会保障・人口問題研究所が厚生労働省の所得再分配調査のデータを再集計した結果であります。政府は、これまで所得格差を表すジニ係数の拡大について、主に高齢者世帯の増加などによる見掛け上のもので、実質的な所得格差は統計データからは確認できないとしてきましたが、見掛け上だけではなく、現役世代での実質的な所得格差が拡大していることが明らかになりました。
 同研究所では、現役世代での格差の拡大は非正規雇用の増加や成果主義への移行が背景だと分析をし、現役世代の格差は今後も拡大する可能性を指摘をしています。実際、この間、中高年へのリストラや新規採用の抑制によって正社員を減らし、派遣やパート、アルバイトなど非正規雇用への置き換えが進められました。この五年間で正社員は二百七十万人減少し、非正規雇用は二百八十七万人増加をしています。全労働者の三人に一人、若者や女性では二人に一人が不安定雇用の下に置かれています。多くの場合、派遣、請負やパートなどの年収は正社員の半分か三分の一程度で、雇用保険や健康保険にも入れてもらえないなど、権利の侵害も横行をしています。そこには、大企業などが正社員を徹底削減し、安上がりで使い捨てやすい非正社員に置き換え、人件費の削減で利益の極大化を図るという戦略があります。
 また、政府による労働法制の改悪がこうした事態を加速してきたことも重大です。
 参考人からは、こうした職業の不安定化で生活の将来見通しが立たなくなり、幾ら努力しても報われないと思う人が増える希望格差社会だという重大な指摘もありました。
 もう一つの新しい事態は、人口減少社会への突入であります。不安定雇用の下にある若者が結婚できないことや、子育て支援の遅れなどの問題など、少子化自体の問題の解決を早急に図ることが必要です。同時に、今後、団塊世代が大量に定年期を迎えることと併せ、労働力が減少し技術力の継承が困難になっていることへの対応が必要です。
 以上のような状況の下で、今後の日本経済の活性化にとっては、格差を拡大してきた雇用政策の見直しと、高齢者や女性も能力や経験を生かして働き続けることができる社会の実現が必要であり、そのための法整備を含めた働くルールの確立が求められています。
 一つは、人間らしく働くルールの問題です。サービス残業の根絶を含め、長時間労働を是正し人間らしい働き方を確立することは、過労死の横行などの日本社会の異常を正す上でも、新たな雇用を創出する上でも重要です。同時に、派遣やパート、契約などで働く労働者への差別格差をなくし、均等待遇のルールを確立することが求められています。
 OECDの雇用アウトルックでは、日本の特徴は、正社員と非正社員の間に大きな格差が存在することにある、有期雇用や派遣労働への規制が過去二十年間にわたり徐々に緩められてきた、その結果、日本はこうした形態の就業への規則がOECDの平均をかなり下回っていると指摘されています。例えば派遣労働者の待遇でも、フランスやドイツでは正社員と同一にするという原則が確立しています。フランスでは、雇用が不安定だからという理由で、正社員よりも一〇%賃金を上乗せすることで均等待遇を確保しています。ドイツでも、派遣労働者と正規労働者の時間当たり賃金を同一にしており、そうすれば派遣会社への手数料を含めれば正社員より派遣社員を雇った方が企業にとって割高となるため、安定雇用の拡大にもつながっております。ヨーロッパにできることが日本にできないはずはないと思います。
 日本共産党は、これまでにパート・有期労働者雇用待遇法案も提出をしてまいりました。この中で、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件で差別扱いしない、均等待遇を保障することを提案をしてきました。派遣についても、均等待遇の確保と派遣先企業での正規雇用への道を広げること、違法行為が横行する業務請負を厳しく監督し、この分野でも均等待遇を図ることが必要です。
 もう一つは、高齢者雇用の問題です。
 高齢者雇用に関しては、厚生年金の支給開始年齢の引上げに伴い、生計維持のための収入確保、社会保障制度の支え手の確保、経済社会の活力の維持という三つの観点から、六十五歳までの雇用継続をすべての企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が施行されました。ところが、これに逆行する五十五歳定年制を導入したり、安定した生活ができない低賃金を押し付けるケースがあり、希望者全員の雇用や生計維持という法律の趣旨に背くことがないよう、企業への指導監督の徹底などが必要となっています。
 最後に、女性雇用の問題です。
 男女雇用機会均等法の施行から二十年、均等法制定当時に千五百四十八万人だった働く女性は二千二百万人を超え、全雇用者の四割を占めています。大学新卒者の就職状況も、ここ二年連続で女性の方が男性を上回っています。新入社員の意識では、役職に就きたいと考える女性の割合も増え、そして子供ができてもずっと仕事を続ける方がよいとした女性も、均等法十年前の世代は一三・三%でしたが、均等法十年後の世代では三七・五%に増加をしています。
 問題は、職場の現実がこうした女性の意欲にこたえるものになっていないことです。女性の賃金が正社員でも男性の六八%、管理職の女性比率も約一割にすぎません。仕事と子育ての両立支援も不十分であり、第一子の出産を機に三人のうち二人が職場を辞めています。また、相次ぐ規制緩和の下で既に女性の半数以上が非正社員となり、賃金や労働条件で深刻な格差が新たに生まれています。
 先日可決した均等法改正案は、妊娠、出産による不利益取扱いの禁止などで一定の改善もありますが、雇用管理区分を用いた間接差別が温存され、差別を禁止する範囲や対象を限定しているなど、是正のための実効性の点で大変不十分なものと言わざるを得ません。均等法の基本理念に仕事と生活の調和を加え、条件を付けない間接差別の禁止の明記、一定規模以上の企業にポジティブアクションの義務付け、企業に差別の立証責任や権限ある救済機関の設置など、差別の禁止、差別是正を実効あるものにし、女性労働者の均等待遇や平等な雇用をという願いにこたえる一層の法改正こそ求められていると思います。
 以上、日本社会が新しく直面している問題に対応した法整備等の問題について意見を申し述べました。
 終わります。
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広中和歌子#10
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、渕上貞雄さん、よろしくお願いいたします。
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渕上貞雄#11
○渕上貞雄君 社会民主党の渕上貞雄です。
 「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」について、これまで多くの参考人の方から意見表明がありましたが、残念ながら、意見の多くは使用者の立場に立ったものが多かったように思います。
 多様化する雇用という議題からすれば、やはり働く者からの意見表明をもう少し多く聞く必要があったのではないかと思います。
 さて、小泉内閣が発足をしてから五年が経過をいたしました。景気回復の兆しが見えてきたと、自ら強力に進めて、市場競争主義による構造改革路線の成果を強調する小泉首相ですが、各種データを見る限りでは、賃金や資産の格差が拡大をしているだけでなく、勝ち組、負け組といった社会構造の二極化が進み、職業選択の自由や教育の機会の均等など、これまでの日本社会の発展の基礎となったものが崩れつつあるように見えます。
 総務省の労働力調査によりますと、正社員数は、一九九七年の三千八百十二万人、七六・八%をピークに減少に転じ、〇五年には三千三百七十四万人、六七・四%にまで下がっています。一方、パートや派遣、契約社員など非正規労働者は、九七年、千百五十二万人、二三・二%だったものが、〇五年には千六百三十三万人、三二・六%へと急増をしています。
 OECDが昨年二月に発表しましたレポートによりますと、二〇〇〇年時点の日本の所得格差を表す指数、ジニ係数は調査した二十五か国中で十番目に高く、日本社会は格差が大きくなっていることを明らかにしています。また、貧困率、全世帯の平均収入の半分以下しか収入のない世帯の割合は一五・三%と、先進国の中では米国とアイスランドに次いで三番目に高いという結果が出ています。
 この影響は教育現場にも現れています。経済的な理由で給食費、修学旅行費など就学援助を受ける児童生徒は、東京、大阪でともに四人に一人の割合となり、全国的に見ても、〇四年度は〇〇年度と比べて四割近く増加をしています。また、貯蓄率ゼロ世帯が〇四年度には二三・八%になったほか、自殺者はこの数年三万人以上で推移をしています。
 これらは、改革なくして成長なし、民間にできることは民間にの名の下に、経済・金融市場を始め労働分野などの規制緩和を推し進めてきた結果であると言えます。
 私はここで幾つかの提言をしたいと思います。
 まず第一番目は、男女雇用機会均等法を男女雇用平等法にすることです。
 一九八六年に施行された男女雇用機会均等法は、九七年の改正、九九年施行後も様々抜け道があり、事実上格差も依然として残るなど、実効性に乏しいものになっています。今国会において予定されています男女雇用機会均等法を男女雇用平等法に変えていくべきと考えます。
 次に、育児休業・介護休業法の改正であります。
 すべての労働者、とりわけ現実に重い家族的責任を担いつつ仕事との両立に努力をしている女性労働者の権利保障を更に手厚くするために、育児・介護休業法を改正をし、雇用の継続の実効性を確保することが必要と考えます。また、働く人たちからの要望の強い家族の看護休暇制度やつわり休暇制度の確立も必要と思われます。
 三点目は、パート・派遣労働対策です。
 雇用構造の変化を踏まえつつ、同一価値労働同一賃金原則を含む均等待遇原則を法に盛り込むべきです。また、多様な就業形態の存在が労働条件の切下げや権利の劣悪化をもたらすこと等ないように、一定の期間を経過した派遣労働者は正社員化すべきと考えます。さらに、若年世代のキャリア・スキルアップ支援をするため、有給のインターンシップ制度なども有効と考えます。
 四点目は、障害者の就業の機会、就業率の向上です。
 障害者雇用促進法で法定雇用率が制度化されたにもかかわらず、民間企業の障害者雇用は一向に進んでいません。この状況を改善するために、未達成納付金を大幅に引き上げるなど、民間企業も積極的に障害者を雇用するような施策を講ずるべきだと考えます。
 以上、数点にわたって提言をしましたが、これらの施策の実効の上からも、年金制度を始めとする社会保障制度の改善が必要と考えています。
 最後になりましたが、この間、調査会をリードしていただきました会長始め、理事並びに運営を支えてくれました委員部、調査室の皆さんの御協力に感謝とお礼を申し上げまして、意見表明といたします。御清聴ありがとうございました。
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広中和歌子#12
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 六人の方々からそれぞれ会派を代表して御意見を伺いました。
 過去一年間、私たちがこの調査会で行った調査、視察を基にそれぞれのお立場から見事に総括していただいたこと、心から御礼申し上げます。
 この発表を受けまして、メンバー相互の意見交換を行いたいと思います。
 御意見のある方はどうか挙手をしていただきたいと思います。
 まず、池口修次さん。
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池口修次#13
○池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。
 基本的には和田委員の意見に賛同するものではありますが、格差問題、特に経済所得格差の問題について私なりの意見を表明をさせていただきたいというふうに思っております。
 この数字としてのデータとしてはジニ係数という数字が使われるわけですが、このジニ係数の拡大について、なぜそうなったのかというのを役所に質問をしますと、多くの場合、高齢化の結果であるという答えが返ってきております。私は、高齢化の結果としてジニ係数が拡大、増えているのは事実だというふうに思いますし、ある意味、高齢化というか年齢が上がるということは、経験をした上での賃金格差ですからある意味やむを得ない現象であるというふうに思いますが、ただ、それだけでないのは事実だというふうに思いますし、そこに原因を帰結するのは、やっぱりこの問題の抱えている大きな問題から目をそらすことであるというふうに思っております。やはりこの問題で、このジニ係数の拡大の中で一番大きな深刻な問題というのは、やっぱり若年層のジニ係数が上昇しておるということであるというふうに思っておりまして、この問題を早急に改善しないと、ある意味、これからの少子化にもつながる問題であるというふうにとらえております。
 なぜそうなったのかということでの私の見解は、ある意味、昨今におけるやっぱり正規、非正規の賃金格差をある意味放置をしたままで雇用の規制緩和をした結果が私は一番大きな問題だろうというふうに思っております。
 その対策として、企業に正規雇用を増やすよう要請なのか指導なのかはするという方法もあるというふうには思いますが、ただやっぱりそれはある意味その企業がボランタリーにそれをやるということを期待をするわけで、そうではなくて、やっぱり政府がやるべきは正規社員とパートや派遣社員の賃金格差の是正を早急に取り組むということがやっぱりこの問題での一番優先すべき課題であるというふうにとらえております。
 以上、一点に絞って私の意見表明をさせていただきました。ありがとうございました。
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広中和歌子#14
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 続いて、よろしければ、津田弥太郎さん。
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津田弥太郎#15
○津田弥太郎君 津田です。
 基本的に和田議員の意見表明に賛同をするわけですが、そうすると若干、北岡議員の意見に反論する形になるわけでございますが、私はまあここ、今日の議員の中では一番最近まで製造業の現場に近いところにいた人間として、率直に今の格差の問題を含めてどういう状況になっているかということを指摘をしながら、問題提起をしたいというふうに思っております。
 日本経済は活力を取り戻しつつあるというふうに北岡議員もおっしゃったわけですが、経済が活力を取り戻しているというのは、企業の決算が黒字になっているというところで、まあ大体はそういう表現になるだろうと思うんです。どういう内容で黒字になっているかというところまではなかなか問わない。しかし、その中を見ていきますと、黒字になるために企業はどういう経営をしているかというと、人件費を大幅に引き下げる、そのことによって黒字を出すというやり方を実はやる。
 この小泉政権下において、労働の規制緩和がたくさん行われました。特に、製造業における派遣労働が認められるようになって、製造業において、特にここは雇用吸収力が大変多いわけですが、比較をすれば。その職場において、派遣労働を中心としたいわゆる安い労働力が大幅に増加をした。むしろ、その募集内容を見ると、地方によっては、地域によっては正規従業員はどこも募集してないと、派遣しか募集をしてないという状況があるわけで、結果的に、正規従業員として働きたいけれども派遣で働くしかないというそういう状況になっている中で、実は企業が黒字化をしてきた。
 経営にとってみれば、それは大変喜ばしいことかもしれませんが、イザナギ景気のように、これは皆さん思い起こしていただければお分かりのように、給料もどんどこどんどこ上がったわけであります、あのときは。しかし、今日のこの景気の回復というのは、働く人たちの労働条件は全然良くなってないわけであります。つまり、アメリカの経済がよく言われておりますジョブレスグロースという言い方をされておりますけれども、日本の場合も正に同じような状況になってきていると思えるわけであります。
 また最近、正規雇用が少し増えてきたというのは、正に二〇〇七年問題を本当に経営者も深刻に考えるようになったからこそ採用を始めたんであって、結局、行ってこいの関係であって拡大とは言えないわけであります。その証拠は、厚生年金の加入者が増えているかどうかです。厚生年金の加入者が本当に増えてきているんだったらば、これは間違いなく正規従業員が増えてきているというふうに見ることができるわけであります。しかし、そちらはそうじゃない。つまり、こういう状況では極めて深刻な状況、つまりこの調査会のテーマであります多様化する雇用への対応という点で大変大きな問題点があるということが結論になるのではないのかな、そんな気がしてならないわけであります。
 先ほど、若い方が結婚したくても結婚できないという問題がございました。これはこういうことなんです。年収が百五十万とか二百万、この男女が、二人合わせれば何とか三百万とか、まあせいぜい四百万になる。それだったらまあ何とか暮らせるかもしれないけれども、子供ができたときどうなるか。非正規で働いている人たちが子供ができたときに、育児休業が使えるのか、産前産後の休暇がもらえるのか、もらえないんです。だから、結婚できないんです。こういう状況を小泉改革がもたらしているという、これは大変大きな問題点であります。
 働く立場からすれば、厚生年金と健康保険と雇用保険、この三保険というのはまあある面ではもう自らの生命線に近い問題であります。しかし、派遣、パートを始め、多くの非正規の人たちはこの三つの保険がないんです。また、この保険料をもし払ったとして、残りで本当に生活がしていけるかどうか。そういう状況ですから結婚はできない、ましてや子供をつくるということもなかなかできない、私はそんな状況ではないのかなと。
 これから正に、和田議員がセーフティーネットの問題も取り上げられましたけれども、このことにこれから取り組む必要が大変あるのではないかということを指摘をさせていただきたいと思います。
 以上です。
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広中和歌子#16
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。そちら、いかがですか。今の民主党の議員からの意見に対して何かございませんか。北岡秀二さん。
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北岡秀二#17
○北岡秀二君 私は、今の話、全く同感のところも多うございます。ただ一つ、我々は、これはもう政治的な課題で、大きく今後の課題として立ち向かっていかなければならない分野だろうと思うんですが、もう御承知のとおり、もう我が国経済というのは昔から言われているように資源も何もない、あるのはもう貿易立国で人材立国だというような状況の中で、確かに世界の経済環境が大きく変わってきた。これはもう話をすれば切りがないから簡単に申し上げますが、大きな要因の一つには私は冷戦構造の崩壊と、それとまたもう一つはIT産業の振興とともに経済の質が大きく変わりつつあると。そういう状況の中で、我が国の社会が先ほど申し上げた貿易立国として立ち行かなければならないという大きなもう環境変化に対応するということの激変に対して、最近、変わってきたのがここ十年、十五年だろうと思うんです。
 それと同時に、今お話があったように、大企業にしてもかつては、先ほど申し上げたとおり、冷戦構造がまだ固定化されている、そしてまた、なおかつITを中心とした経済構造が変わる要因もそうない状況の中では従来どおりのスタイルでやっていけた部分もあったかとは思うんですが、経済ということを考えてみると、それでやっていけないと、なおかつ、それに対して国際競争に勝ち行けなければならないというところで、今起こっている問題が表面化してきたと。
 私はもう今の御提案というのは十分に理解するし、確かにそのとおりだろうと思うんですが、ただ、私ども、これから政治的にそういう避けて通れない経済環境の変化あるいは国際的な環境変化に対して、我々自身がこれから日本の政治課題として、そういった格差問題とかあるいは終身雇用が崩壊して雇用形態が変わってくることに対して、あるいは少子化が進行してきて、核家族化がどんどんどんどん進行してきて、そういう問題が、正に今後我々自身がこの調査会等々で問題解決をしていかなければならない新たな課題として私はとらえるべきじゃないかなというふうには感じております。
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広中和歌子#18
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 松あきらさん、よろしいですか、先に。
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松あきら#19
○松あきら君 ありがとうございます。
 各会派の皆様、すばらしくおまとめいただきましたことをまず感謝申し上げます。伺わせていただきまして、本当にそのとおりだなという同感の思いが一杯でございます。
 今、私は実は経産副大臣という立場をいただいておりまして、政府側の方に入っているのだというふうに思います。私は今、多様化する雇用への対応の中で、やはり、例えば、一つの例でございますけれども、高専、これなどは一〇〇%就職率ですけれども、例えば高専などを出て就職した場合、同じ技術、同じ能力があっても、大学や大学院を出た人と所得が違うんです。低いんです。私は、こういうことは全くおかしいと。ですから、今は企業側に反対に、もういわゆる昔のそうした学歴社会というのは人口増加社会の時代のことであったと。もう本当に今はその人の能力できちんと見ていただきたいし、それだけの技術や能力がある人にはきちんと、例えば大学を出ているとか出ていないとかそういうことではなくて、能力で評価してくださいと、そういうふうにしていただきたいということを御提案申し上げるのと同時に、教育の複線化ということを考えていかなきゃいけないと。
 今、格差社会などということもありましたけれども、中学や高校あるいは工業高校、あるいは高専ですね、こういうところを出て、いったん社会に出て働くと。けれども、もっと更に深く勉強したい、あるいはこういうことが足りなかったと仮に思ったときに、また大学等に戻って、例えば行って勉強ができるような、そういうこともやっていかなければいけないし、産学の連携ということももっと深くしっかりと結び付いていかなければいけないというふうに思って、そういうことも今の立場の中で産業界の皆様にお願いをしていると。
 それから、私も請負の話を以前に、去年ですね、させていただきましたけれども、製造業の派遣がオーケーになったと。けれども、その中で特に、今もお話が出ましたけれども、偽装請負、偽装派遣、つまり請負で派遣よりも更に厳しい状況があると。私は、これ最初に、今の立場でありませんでして、議員として厚生労働省に、じゃどれぐらいの請負で働いている人がいるんですかと聞いたら、人数も把握していないし、報道等では百万人あるいはそれ以上と言われて、あるいは、じゃそういう会社がどれぐらいありますかと聞いたら、それも実は把握していないと。今やっとそうした把握を役所の方もしつつある、きちんとこれは対応しなければいけないと。
 こういう派遣で過酷な、この前も申し上げましたような昔の女工哀史のような状況で若者が働かされているという状況もしっかりと見て、これはやっぱり国として対応していかなければ、ニートやフリーターが云々ということ大事ですけれども、本当にそういう現実があるということをやっぱりこれは手を付けていかなければならないということで、私も今いただいている立場の中で必死にどうしたらいいかということで動いている状況であります。
 今、ちょっとまとまりがないお話をいたしましたけれども、本当に大事な問題を一杯抱えていて、そしてこの調査会で議論が出ましたこと、各会派の先生方がおっしゃったこと、全部本当に一々そのとおりなんです。もちろん、あっ、そうじゃないよと思うところもちょっとはありますけれども、正直言いまして、これを私は謙虚に受けなきゃいけないと。そして、謙虚に受けた上で、じゃどういうふうにできるかと、どういう知恵を持ってあるいは努力を持って、本当により良き、人口減少社会の中で更に日本が成長できれば、これは世界の中のいい見本になるわけでございますので、やっぱりそういう日本を目指すために、今回の調査会の御提言もいただいた上で頑張っていかなければならないと、これは感じている次第でございます。
 以上でございます。
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広中和歌子#20
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 伊藤基隆さん、お待たせしました。
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伊藤基隆#21
○伊藤基隆君 私は、発言する考えはないでここにいたんですが、皆さんの、最初の北岡さんから始まる意見陳述をずっと聞きまして、全員が一致していたと思うんですね、認識が。ある程度の違いというのは、それは立場立場の問題があってそうなっただけで、全体的にはテーマに対する認識は一致していたと。これは経済・産業・雇用調査会というけれども、私も今年から出てきて感じるのは、雇用調査会です。日本の社会問題で一番大変な格差問題の根幹にあるのがその雇用問題だという認識で、今日のそれぞれの会派の意見陳述からそれぞれ皆さんの意見も一致してきたと思うんです。それは、厳然たる事実があるからそういうことだと思うんです。
 私は、ジニ指数の問題は、今から十年ぐらい前に経済企画庁、当時、経済企画庁だったと思うんですが、警告を発しました。ジニ指数が悪くなっていると。当時、一九九七年にアメリカの、クリントン政権だったんですが、クリントン大統領が経済報告の中で、こういうことを報告の中で言いました。かつて我が国はと、我が国とはアメリカ合衆国のことですが、我が国は国が豊かになるときあらゆる国民が一緒に豊かになった、しかし今は富める者と貧しき者がだんだん拡大していって二極化している、だからこれは経済政策の失敗だというふうに認識しているのだと、それを直さなきゃならない、そういうことを大統領が述べたわけです。しかし、その後の大統領選は民主党政権は実現しないで、政権が移行したわけですけれども、このクリントン大統領の警告というか反省というのは生きなかったと、アメリカで生きなかった。
 しかし、今日私は本会議に出ていて、非常に劇的なというか、世の中を変える法律が提案されました。これに対する質疑も行われて、そこにおいでの浜田さんも質問なさいました。それは、今まで日本の、バイパスを造って郊外に展開するということと、そういう国の国土政策と大店法の規制を緩和することによって、日本の地方は、大都市以外の地方は、超大都市以外といいましょうか、それ以外は中心部が空洞化してきているのは皆さんのふるさとを見ればすぐお分かりでございますけれども、その政策を転換するという法律であります。遠からず、日本の状況というのは私は変わるだろうと、かなり大きく変わるんじゃないかと、時間は掛かるだろうけれども、そう余り時間は掛からないうちに変わっていくんじゃないかというふうに思います。
 政府は、閣僚は壇上で今までの政策の誤りを表明しませんでした。しかし、法律が作られてくる中で、従来政策、国土政策の反省の上にというのが明確に示されてきたということを聞いております。これは画期的な本会議だったなというふうに思っていまして、そういうことからすれば、格差問題についても、国会自身が雇用関係の、特に派遣を、製造業に派遣することを認めたような、拡大しながら、それが原因となって所得格差が起こってきたと。所得格差が地域間の格差になって、大都市と地方の格差、日本に住む人々のあらゆる生活営為の格差が起こってきているわけで、単純なものではないと。
 しかし、その根幹にある一番大きな原因は雇用の規制緩和によって起こったのが引き金になっているんじゃないかというふうに今日の皆さんのそれぞれの御意見が一致しておりました。
 私は昨年はこの調査会にいませんで、今年から出て、一体どうなるのかなと最初思いましたら、何か漠然としたものをそれぞれ議論しているような感じでした。しかし、ここへ来て、なるほどな、皆さんは大したものだなと、ずっとそこに収れんさせてきたというふうに思います。ですから、北岡さんがおっしゃるように政治の問題ですから、政治の場できちんと解決しなければならない、そういう課題を私たちは与えられているんだろうと。
 まあ所得格差が拡大始めたのは小泉政権のときからではありません。それより以前です。しかし、北岡さんの意見発表の中にあったとおり、最近急速に拡大しているということだけはだれしも実感として持っているんじゃないかということになれば、今この場にいる者はそれをどう改善するかというシステムチェンジをするための法律を用意しなきゃならないんじゃないかというふうに私は思います。ただ、この調査会が直接法律をということになるかならないかは私の考えの範疇にありませんけれども、そういうものが国会に課せられた役割でないかというふうに思います。
 世の中というのは、最も根幹となるのは生活基盤、それぞれの生活基盤でありまして、一生懸命働いていれば、家族を養って、子供を教育して、ローンであっても家を建てるというところがみんなにあれば、それは社会の基盤というのは大きくなるというふうに思います。グローバル化の中で、IT化の中で状況が変わって、それに対応しなけりゃならないということもそれはあろうかと思うけれども、国力の根幹というのは国民が総出で働いていくという力が、意思が、希望があるかどうかというところにあることを考えると、雇用の問題の解決、男女不平等の解決ということはいち早く取り組むべき問題だと思います。
 自己責任ということをよく言われますが、自己責任を貫徹するなどということはほとんどの人間にとって不可能であります。それは言葉では自己責任と言うけれども、自己責任を実行できる人間が一体幾人いるかとなると、それは非常に少ない数しかいないと。自己責任を負っている人というのは、自覚するか自覚していないかは別にして、社会的な責任、社会全体を守らなきゃならない責任も同時に持っているわけでありまして、そういうことからすれば大変厳しい課題なんだと。そうでなくて、一般的な努力をすれば、以上でなくても、努力をすれば生活の安定が得られるというものを、社会をかつての日本のように取り戻す必要があるだろうと。
 また、私は、今日を招来した、要するに長い不景気を招来した根本には製造業の失敗ということはなかったと思います。繊維に象徴される、アメリカから日本へ、日本からアジアへという、そういう動きはあったと思いますけれども、金融業の失敗、金融政策の失敗が大きな力となって製造業を痛め付けたというのが実態だろうと。
 今、製造業は非常に製品の高級化というかハイレベル化、高い技術でなきゃできない製品というところに日本の製造業は進みつつあって、これは到底アジアの及ばないところであって、アメリカさえも及ばないところなんで、これが成功を収めつつあるということを聞いております。いかなる状況下においても日本の製造業はそういう力で切り開いてきたと。
 今、経済産業省副大臣も言いましたけれども、製造業の持っているパワーというのは、無資源、貿易立国の根本的なパワーであるけれども、世界の経済を動かしたグローバリズム、金融のグローバリズム、グローバリズムではなくて、アメリカンパワーというものに侵されたということをしっかりととらえていく必要があるんじゃないかというふうに思っています。
 これからの二十一世紀の問題点というのは、私は、社会的にどういうことが一番重要なのかというと、義理人情だと思っています。義理と人情と。義理人情というのは古めかしいように思うかもしれませんけど、連帯、助け合い、人間対人間の共感を高めていくということだろうと思います。そういうふうなところに我が調査会が取り組んだということは大変立派なことだったと。だれがこのテーマを選んだか全く知りませんけど、選んだ人は大変立派だった。それより立派なのが、ここまで到達させてきたこの調査会の議論だと思います。
 是非これを一致結束して、格差是正、クリントン大統領がやろうとしたけどできなかったわけですが、今各党が同じことを言ったわけですから、是非そういうふうにしていただきたいと思います。
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広中和歌子#22
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 岩井さん、よろしくお願いします。
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岩井國臣#23
○岩井國臣君 大変世の中が動いておりまして、こういう格差問題というか、経済の問題というか、あるいは文明の問題というか、そういった問題についていろんな動きがあるんですね。
 まず、イラクの問題あるわけですけど、イスラムの原理主義とキリスト教の原理主義、この問題をどう考えるかということで、中沢新一があの九・一一の後、何かにつかれたような感じで「緑の資本論」って書くんです。要するに資本主義というか、御案内のとおり、イスラムは利子の付かない金なんですね。イスラム銀行へ預けても利子は付かない。そういう世界が現にあるわけですね。我々の世界はまさしく資本主義の世界にあるわけ。それで、こういうことでいいのかどうかという。
 それから、もっと大きく言うと、フランシス・フクヤマという日系人がおりますが、この人が「歴史の終わり」というのを書いて、これは余り評判良くなかったんだけど、そして人類の終わりって書いたわけですね。果たしてこれから歴史はどうなっていくのか、人類はどうなっていくのかということを書いているわけです。そして、そういう議論が今一杯起こっているわけですよ、起こっているわけ。
 それで、この春に中沢新一の、文化人類学というのがあるんですけど、芸術人類学という学問のジャンルができました、研究所。で、我思う、ゆえに我ありというのはデカルトですが、そういうのでなくって、芸術家というのは頭で考えずに感性で考えるわけです。そこに何かがある。そこへ一つ哲学がありますよという、人類学がありますよということで、芸術人類学というのができる。この中沢新一が市場原理、市場経済では駄目で、世界はやっていけないので、そこへ贈与経済を入れないかぬというようなことを盛んに言ってるんです。ねらいはそこにあると思います。
 したがって、こういうこれからの経済や産業や雇用の問題考えるときに、今の市場原理で果たしていいのかどうかというところを考えていかないといかぬのですね、一つは。ですから、もし、調査部局の方ででもいいんですけど、ここへ来られれば一番いいですが、中沢新一が何考えているのか。
 それから、経済学も随分このごろ進歩してまして、進化経済学というんですね、進化。経済は進化していきますよと、どんどん時代とともに進化していきますよということで進化経済、まあ複雑系経済学というのもありますが、進化経済学というのがあって、北大の西部忠さんというのが地域通貨のことを盛んに言うんですね、地域通貨。これ利子付かないわけですよ、地域通貨。だから、その西部さんの話もやっぱり僕は聞いてみる必要があるじゃないかと。いや、僕は聞いているんですよ、僕はいろいろ聞いてるし彼の本は全部読んでおりますが。
 それから、実際に実活動を地域において、企業の非正社員と正社員の問題というのは一つの企業の中の問題だから、そこのところはちょっと私自身分かりにくいことあるんですけど、地域格差というのは間違いなくありますから、過疎はどんどんどんどん進んでまして、もう地方は大変なんですよね。これ何とかせないかぬじゃないか。それから、まあ地域だけじゃないんだけど、教育にしても医療にしても介護にしても、地域で面倒見ないかぬじゃないかというんで地域介護だとか地域医療だとか地域教育だとかということが言われておりまして、いろんなボランタリー活動というのか、NPOだとかそういう活動がもう現に起こっているわけですね、現に起こっている。
 それで、堀田力さんというのがおりますね。さわやか福祉財団、今理事長をしておられますが、あの方がまた地域通貨ということを言っておられるんですよね。この問題、経済だとか産業だとか雇用の問題を考えるときに、そういう現に今もうその最先端で学問の、あるいはそういう実活動をやっておられる、ボランタリー活動をやっておられる、最先端で苦労をしておられるというか、人の話を私は聞く必要があるんじゃないかと。
 私自身は、今日は財政金融委員長池口さんおられますし、それから野党の筆頭理事おられる。十六日の財政金融で、この間やったんですけど、まあ財務大臣、財務大臣というか実際は答弁は財務省が書いてるわけで、ええ加減なこと言っておるので、今度もう一遍やったろうと思って、今度やるんです、十六日に。ちょっと時間をいただいてやることにしているんですけど、一つの切り口として、切り口です、それですべて解決するわけでないと思いますけど、そういう進化経済学であるだとか贈与経済であるだとか、それから地域通貨であるだとか、そういったことは少し私、この調査会としては、ちょっと調査室の方で調べてもらったらいいと思うんですけど、そんなふうなことを思いました。すぐに答えが出るわけじゃありませんよ。すぐに答えが目の前にすっと、それやればすぐ答えが出てくるという問題ではないんですけども、そういう勉強を私はする必要があるように感じましたので、ちょっと一言申し上げておきたいと思います。
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広中和歌子#24
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。すばらしい御示唆。
 時間まだ十分ありますから、まず小泉さん、よろしくお願いします。
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小泉昭男#25
○小泉昭男君 大変専門的な知識をお持ちの方ばかりでございまして、先ほど、今外に出ていかれました伊藤先生、義理と人情の話出てました。
 私、一番今日本を引っ張っていかなくちゃいけない基本的な部分は教育だと思っておりまして、やはり、昔、道端で子供と擦れ違っても、こんにちは、おはよう、子供も大人も言ったもんでありまして、うちの父は真っ暗な道、娘迎えに行ったら、真っ暗だからお互いにこんばんは言っちゃったなんて話ありましたけれども、あいさつはもう基本でありました。
 そして、私、結婚ができない理由というのはまた違った部分にかなり深いものがあるんじゃないかなと、こういうふうに思いますけれども、昔から、一人口は食えないけれども二人口は食える、こういうことわざがあるように、幾ら貧しくても、貧乏人の子だくさん、もう生活のためにみんな必死でやってきたわけでありまして、私も子供のころは十一人家族でありましたから、親が子供全員にきちっと平等になんてできる家庭じゃありませんでした。近所でお葬式があると、葬式まんじゅうを十一分の一に切るわけでありまして、あんこが片っ方へ寄っているから、上からしっかり見てないとあんこを取り損なうような、こんな子供のころを過ごしました。
 私、そういうころから日本はもう資源がないって、こう言われてまして、今日の繁栄を築いたのはハングリー精神だと思うんですね。ファイティング原田さんって御存じだと思うんですが、今亀田兄弟がすごく脚光を浴びてますけれども、すべて戦いだって言ってます。亀田さんのお父さんも戦いだって言ってます。ファイティング原田さんに聞きますと、スポーツも経済も同じでありまして、昔はもう相手をたたきのめさなければ自分は食っていかれなかった、しかし今はもう三ラウンドやると食えるというんですね。それだけ何とか食っていかれちゃう時代だと自分は思うんですよ。
 そういう中で、一番これから大事なのは、さっき伊藤先生おっしゃった義理と人情、これにもう一つプラスすれば、横浜の方の港で働いてる大分有名な方がよく言ってますけども、GNOだって言ってるんですね。義理と人情と恩返し、これをしっかり子供に教育してやっていくこと、そうすれば日本はもっと強くなると思うんです。
 それで、ゆとり教育が良かったかというと、私はゆとり教育は失敗だと思うんですね。週休二日というのは魅力があることですけれども、果たして子供のためになったか。以前、学習塾の経営者が立候補したときがありましたけれども、その方が言ってましたけども、私たちが食っていかれるのは義務教育が役に立たないからだと、こういう内容のことを言われました。私も全くそのとおりだなと思いました。
 これから一番大事なことは、やはり全体を、専門的な部分はもう各先生方にお話しいただきましたので、私は思うままにお話をさせていただきましたが、各先生方のお話の中で、一番最終的にお話伺った伊藤先生のさっきの義理と人情、それにプラス恩返しと、これが日本社会の源であると、私はこう思っておりますので、この経済・産業・雇用に関する調査会の中から教育問題だとか人情論だとかというのはふさわしくないと思うんですけれども、すべてに私はそこが基本じゃないかなと、こういうふうに思っております。
 これから強い日本を目指すためには、ただお金のやり取りだとか労働力で勝負だとか、その以前の問題で、人間性で勝負していかないと世界で勝てないと思うんですね。品格ある国家という本を読みました。あの中にも載ってましたけれども、勝海舟が外国へ行って尊敬されたというんです、英語も何も話せなくって。今英語をべらべら話せる人が尊敬されない時代が来ちゃってると、日本がそれだけ安く見られちゃってるんだと、私はそう思います。そういう意味で、企業が頑張ってる部分の一番の底力になってる労働力を提供いただける国民の皆さんがしっかりと働けるような、そういう国家観的なものを持てるような教育をまず根本からやっていかなくちゃいけないんじゃないか、こういうふうに思います。
 具体的に話はなかなかまとまりませんで、思ったとおりの意見言わせていただきました。各先生方の御意見に深く感銘をいたしまして、一言で終わらしていただきます。
 ありがとうございました。
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広中和歌子#26
○会長(広中和歌子君) 大変ありがとうございました。
 それでは、谷先生。
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谷博之#27
○谷博之君 私もこの調査会でいろんな議論をお聞きしてまいりまして、それで今日いろんな総括的な御意見を聞かしていただいておりまして、何か自分でも今考えていることをちょっと発言してみたいなと思いましたものですから、お許しいただきたいと思っていますが。
 これはちょっと余談ですが、あさっての本会議で、地球温暖化対策推進法という法律の改正法案が本会議物になりまして、今回それを質問さしていただこうと思っておりますが、その中で二十一世紀は環境の時代だというふうに言われています。
 それで、五月八日の日にいわゆる政府の推進本部が全国紙に一面を使って物すごい広告を出しています。ごらんになった方はおられると思いますが、環境と技術というテーマで、小泉総理が大写しになった広告出ているわけですが。
 よく考えてみますと、もうこれ御案内のとおりですけれども、二〇〇八年から二〇一二年のこの四年間のいわゆる本当の試合で、戦いで一九九〇年比の温室効果ガスの排出量を六%削減するということですが、実質的には今約七%増えているわけでありまして、合計一三%の排出抑制をしなければ京都議定書の約束は守れないと、こんな状況にあることはもう御案内のとおりだと思うんです。いろいろ民生部門とか運輸部門で努力はしていますけれども、残念ながらそれが果たせていないと。
 政府の考え方というのは環境と技術だと、こう言っているんですよね。いろいろ見てみますと、例えばいわゆるこういう国会でもそうですが、いろんな公的機関で使われている電力、これについても、非常に安い電力を買おうとするから非常に環境に負荷の高いそういう電力になってしまう。例えば、いわゆる石油とか、そういうガスをやっぱり火力発電することによって電力を生み出すと、それは逆に言えばCO2の排出量が非常に増えてくるという、安かろう悪かろうという、そういうふうな考え方になってしまうとこれ地球全体の環境を悪くしていくと。これは一つの例ですけれども、そういう意味では、そこをどうやって技術的にクリアしていくのかというようなことがやっぱり問われてくるんじゃないか。
 しかも、それは、私は、技術というか、それはやっぱり僕は環境という一つの産業だというふうに思っていまして、そういう分野の本当の意味の、ある意味では姿勢的にはもう後ろ向きの姿勢に一時期なるかもしれないけれども、それを一つの産業としてまた技術開発をして、環境という一つの大きな柱をやっぱりしっかり立てていくということが今求められているんではないか。
 ただ、残念ながら、京都議定書が発効してから、あるいはその前から随分いろんなことを言っていますが、残念ながら掛け声倒れに終わってしまっていまして、一向にその実効性が上がっていないというふうなことがありまして、これは本当に、もし実効性が上がらなければそれは先へ先へとその負担が更に上乗せをされてくるわけですから、これはもう何が何でもそれを実行していかなきゃいけないとすれば、やっぱり本気になってそういうふうな取組といいますか、しかもそれは相当、産業であると同時に経済を動かすことであり、また、そこには雇用を生み出すそういう大きな分野でもあるというふうに思っていまして、そういうことも、やっぱりずっといろんな議論を聞かしていただきながら、やっぱりこれからしっかり視点を当てていかなきゃいけないんじゃないかなと、こんなようなちょっと感じしましたので、感想としてお話をさしていただきます。
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広中和歌子#28
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、南野先生。
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南野知惠子#29
○南野知惠子君 ありがとうございます。
 私も、この委員会に所属させていただいて多くのことを学ばせていただいたと思っております。経済、産業、雇用、これはすべて生きることのクオリティーを高めていく大きな目標になっているのではないかなと思っております。
 大分昔、十九世紀のころですか二十世紀のころですか、二十世紀のころ読んだ本の中に、産業を時代的に追っていけば、まずトン産業、これは石炭とか大きな造船というトン産業から、次はキログラム産業、冷蔵庫だとか自動車だとか、それからその次にはグラム産業、ミリグラム産業、ナノグラム産業、もう今、ITの産業までずっと小さな分野で今世の中が動いている。
 そして行き着くところはというのが、二十一世紀は、今先生は環境の時代とおっしゃっていましたが、私は心の時代だというように思っております。どのような心で生きるか、どのような心で自分の人生をつくっていくか、また、他者との関係をどうつくっていくかというところが一番大きな課題になってくるだろう。そこで、伊藤先生がおっしゃった義理人情、それから小泉先生がおっしゃった恩返しというのがありますが、やはり権利と義務をどのように我々は分担しなければならないのか、また、その中に責任というものをどう追求していかなければならないのかというのがここに大きくカバーされてくるように思います。
 今、少子社会と高齢社会が同時にスタートしていっている。その中で、世代間の課題というのは社会福祉だとか、先ほどもお話が出ました年金の問題だとか、いろいろな課題が本当に同時に我々掌握しなければならない、それをいい形に持っていかなければならないという問題が出てきておりますので、そういう意味では、人々がどのように生きるかというのは、家族がどういうきずなを結んで生きていくのかというところに今終局来ているのではないかなと思います。
 今までの隣組のいい環境というものがだんだん現代化されてきておりますし、その中で家族のきずなが何となく今弱い結び付きになっているように思います。家族の中にも大変忌まわしい出来事が平気で起こったりしているこの世の中に我々はどのように直面するのかということが一つあろうかと思います。
 そういう中では、教育というお話も出ました。確かに、学校で教える教育だけでなく自分が社会から学ぶもの、それも一つの教育であろうし、家庭における伝統的な母親、父親からの教育というものが今もっと必要になってきている時代ではないのだろうか。そういう中で、昔はお嫁さんに行くときには家庭のみそ汁の味、これをちゃんと覚えて出ていくというようなこともあったように、本当に家の文化、家の伝統というものが多少揺らいできている世界なのかな、そういう意味を深く思いますときに、少子社会という問題にぶつかったときに、では子供を産んでもらうことだけが今少子社会の問題ではないと。
 子供は今、年間に百十一万人ぐらいは生まれております。その子供を虐待しないように育てる社会が大きな課題になってくるはずであろうかと思っておりますので、その課題が少子社会の一番キーの問題、ポイントになってくるように思います。そういう意味で、少子社会、どうしたらたくさん産んでもらえるかという他力本願でなく、自分たちがどのように今生まれている子供をすてきな大人に育てていく環境というものをどうとらえていくかという中に、経済、産業、雇用の課題が一杯詰まっているように思います。
 そして、もう一つ、この前トヨタを見学させていただきました。その中でも、国際的な課題というのが大きな企業の中で生きていっております。それも中小企業の中でどうそれを生かしていくかと、中小企業は比較的女性がウエートを持ってお仕事をしているように思いますけれども、そういう問題をどうとらえていくかというような課題にもなってくるように思います。
 そういう形の中で、今我々が高齢社会というのをもう一つ見てみた場合には、本当にこのすばらしい日本をつくってきた我々の先輩に対してどのような人生の最期をみとっていくのかというのも大きな課題であり、雇用の中に医療雇用というような問題もあります。医療の提供というような問題も、課題も一杯あります。
 そういった中で人間らしさというものをどう取り入れていくのか。最終的に日本に生まれて良かったというような医療を提供するというのが我々の願いでもありますけれども、そういうものを全部踏まえながら、どう我々は歩いていったらいいのかというような課題を考えました。この時代の、心の時代をどう生きていくかということがこの委員会の中で私は検討されたというふうに思います。小泉総理もしっかり頑張ってくださっておりますし、改革というところにも大きな根差しをしてくださっているとも思います。そういう課題も含めながら世の中いい方向に変わっていければ一番いいなというふうに思っているところであります。
 また、雇用の問題については外国人労働者の課題もございます。FTA、これをどうするかというようなことも直面する課題でありますので、一つ一つの課題がこの委員会と直結しているなと、そのように思っておりますので、今日、皆様方の御意見を拝聴しながら大変感銘を受けました。一言付け加えさせていただきました。
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