浜田昌良の発言 (経済・産業・雇用に関する調査会)
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○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
まず冒頭に、当調査会は、今国会におきましても各委員に活発な意見を述べる機会をいただきました。公平かつすばらしい調査会運営をしてくださいました会長に御礼を申し上げます。
当調査会で取り上げたテーマは、第一に経済及び所得格差問題であります。
いわゆる勝ち組、負け組との言葉に表されるように、構造改革の進行に伴って経済至上主義の社会へと押し流され、社会の二極化、すなわち格差が広がっているのではないかとの懸念があります。格差の統計的検証については、参考人から、世帯主の年齢構成及び世帯人員を固定したジニ係数を計算した結果が示され、一九九五年以降、わずかでありますが、格差の拡大傾向が示されました。特に、近年の傾向として二十歳代、三十歳代での格差がより顕著であるとのことでありました。これは、これらの世代でのフリーター等非正規雇用の拡大と関連しているものと考えられ、今後これらの世代が四十歳代、五十歳代と移行するにつれて、ますます格差が拡大するのではないかと懸念されるところであります。
つまり、所得格差の問題は、現時点ではわずかであるにしても、希望格差社会という言葉で表されているように、将来の格差拡大の懸念が大きいというのが問題の本質ではないでしょうか。しかも、その格差の階層が固定化され、現時点だけの循環問題から、結婚、子育て、教育など、世代間をまたがる構造問題に転化することが懸念されていると言えます。
よって私は、今後、年齢層に応じて所得格差が拡大していかないように、また将来に階層が固定化されないように、三つの点が重要と考えます。
第一には、非正規から正規雇用への移行の拡大であります。これは、調査会での視察で訪問した企業では既に大規模に始められているところでありました。統計的にも正規雇用への移行は二〇〇五年で四十一万人と、前年比一七%増となっており、逆の非正規雇用化の四十六万人まであと一歩のところまで来ています。
第二に、パートや短時間正社員等による同一労働同一賃金という均等処遇の実現であります。今後、サービス産業の生産性を上げていくためには短時間雇用者の戦力化が不可欠であり、このような取組がかぎとなると考えられます。
さらに、第三に、学校や仕事などで一度失敗しても再チャレンジできる社会の仕組みづくりであります。ある意味で、学卒一括採用を前提とした社会から、随時中途採用を行うフレキシブルな産業社会が求められているのではないでしょうか。これらこそ雇用のセーフティーネットであり、今若者が何となく不安に感じる所得格差に対する答えの一つであると考えます。
テーマの第二は、日本経済のグローバル化への対応についてでありますが、日本経済のグローバル化への対応としては、中国経済との関係抜きには議論できない問題です。
中国経済は、GDP世界第四位という経済大国としての中国と、一人当たりGDPが千七百ドル、日本の二十分の一という途上国の共存があります。参考人からは、日中間の貿易は競合度の低い垂直分業であることから更に進展させ、日中FTAを進めるべきとの意見がありました。さらに、日本がこのようにアジアとの連携を深めるに当たっては、並行してというよりは、先行して経済のローカル化を進めるべきとの参考人の意見には、私は同意するところがあります。多様な地域の活力、地域力があって初めて経済のグローバル化、アジア化もうまく回っていくものと考えます。この点は、今後、FTA、EPA、東アジア共同体構想を進めていく上でもう一度確認すべき点であると思います。
第三に、団塊世代の退職による経済・産業・雇用への影響についてであります。
参考人からは、労働市場全体に与える直接的インパクトは限定的であると考えられるものの、技能の伝承という点からの影響は小さくなく、企業内の匠の制度や社内学校、社内塾に向けての工夫をお聞きしました。また、団塊の世代は、それ以前の世代に比べて、ボランティア、NPO、NGOへの参加意欲が高く、それまでの就業経験を生かしたいという欲求が高いとのことでありました。
よって、私は、団塊の世代の技能伝承を円滑に進めるため、従来社内に限って行われてきた匠の制度や社内学校、社内塾を地域社会に開き、高等専門学校や工業高校で団塊の世代をボランティア講師として招いて実施していく仕組みを考えることが重要であると思いました。
第四に、高齢者雇用の在り方についてであります。
二〇〇六年四月から改正高齢者雇用安定法が本格施行され、六十歳以降の継続雇用等が義務化されました。参考人によれば、以前から大企業を中心に七割程度の事務所には継続雇用の制度はあったものの、継続雇用が実施されていない定年退職者が七二・八%にも上り、その原因としては、高齢者の希望する働き方と実際の継続雇用の現実の間に労働時間、勤務場所、仕事の内容等についてのミスマッチがあるとのことでありました。また、仕事量の調整など事業所が高齢者に対する特別な措置をしているかを聞いた異なるデータでは、何と七七・六%の事業所では特別の措置はしていないという回答でした。
しかし、我が国労働力人口が減少する中で、高齢者は貴重な労働力資源であります。高齢者が継続雇用しやすい環境、待遇を企業が工夫することがあって初めて改正高齢者雇用安定法の本来の趣旨も生かされるものと考えます。
その意味では、九十四歳で現役として働いておられる例が紹介されました参考人の企業では、そもそも企業内では役職ではなく名前で呼び合う、また組織運営のトップと肩書の上下も関係ないという正にフラットな企業組織が高齢者継続雇用を受け入れやすくしていると考えられます。
このように、企業組織全体を高齢者が継続雇用されやすいものへと変更していくことがあらゆる企業で今求められているのです。
最後に、女性雇用をめぐる課題についてであります。
男女雇用機会均等法が拡大改正施行されて二十年がたち、女性雇用について、育児休業等制度面では一定の成果が得られつつあるものの、更なる改善を図るには、女性とともに男性の意識の変革が重要との参考人の指摘がありました。つまり、男性が家庭でも地域でも職場でもファミリー・フレンドリーであることが求められるということであります。
一方、ファミリー・フレンドリーな企業ほど長期に見て業績が良いとの分析結果も示され、今後、このような分析を深め、広く認知されるようにしていくことが必要です。
なお、法制度の改善としては、児童手当の拡充を始めとして、一、育児休業法の育児の対象年齢の大幅延長、例えば十八歳。二、現行では実態上育児休業が取得困難な妻が専業主婦の場合や、両親がともに取得しようとする場合の改善。三、復職や再就職時の教育訓練機会の提供や再雇用制度の充実。四、女性の雇用が多い人材派遣業における雇用者の手取り単価と受入れ企業の支払単価に関する情報公開の徹底等が今後の検討課題であると考えます。
以上です。