高野博師の発言 (決算委員会)

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○高野博師君 このやり方はフィフティー・フィフティー方式を取ったと、こう言われていまして、中央アジアと中国も、これも同じように、いずれも必ずしも等分ではないんだが、フィフティー・フィフティーというやり方をしたと。それは法的な根拠はないんです。政治的な妥協と現実的な利益に基づいてこれは合意に達したということなんですね。それから、中国とベトナムも、この陸の国境の係争地は二百二十七平方キロ、ほぼこれは等分したんですが、トンキン湾は五三%がベトナム、四七%は中国と。これもフィフティー・フィフティーというやり方で解決、決着をしたと、こういう事実があります。
 これはかなり重要なポイントではないかと思うんですが、国民の世論、これは両方の国民が納得しない限り領土問題というのは恐らく解決することは難しい。中国とかロシアあるいは中央アジア、ある程度秘密裏に交渉するということはできると思うんですが、日本の場合はもうほとんどそれができない、川奈会談でももうほぼ分かっていたというような状況がありますんで。したがって、国民にいろんなやり方、考え方を提示した上で、国民の支持を得ながらこれは交渉する必要があるんではないかと思うんですが、そこで日本の国民も現状維持のままでいいのかと。必ずしもそうは思っていない。特に地元の人はできるだけ早く返還してもらいたいというのがあるのと、それから四島返還というのは本当なのかと、本当にあり得るのかという、かなり疑問を持っている人も相当増えている。
 そういう中で、これは一九九九年の世論調査ですが、国民の八〇%は日ロ平和条約は不可欠だと、しかし八二%の人はその阻害要因は領土問題だと、こういう調査結果も出ていますが、二〇〇〇年の場合には二島返還が三四%、四島返還が三二%、二島返還の方が少し増えている。こういうことで、一方で二六%の国民は日本は領土問題に固執すべきではないという意見も強くなりつつある。多くの日本人は日本とロシアのパートナーシップ、友好関係、これが領土問題よりも重要だという、そういう見方が増えていると、こういう現実があります。また一方で、ビザなし交流もかなり進んでいますので、相互の理解というのも相当進んでいる。ロシア人と共生することもできるという日本人も地元地域では増えていると、こういうことがあります。
 そこで、去年の十一月、プーチン大統領が訪日したときに私は相当期待をしたんです、何か進展があるんではないかと。小泉さんが選挙で圧勝したので、これは国民を説得するような何かやれるかなと。プーチンも国内の権力も握っているしと。しかし、何ら進展はなかった。むしろイルクーツク声明よりも後退したという見方もあるぐらいであるということがありまして、先般、森総理が訪ロしたときにプーチン大統領は、両国に平和条約がないのは残念だと、両国にとって受入れ可能な、すべての問題の解決を見いだせることを期待していると、こういう言い方をしているんですね。正にこの両国にとって受入れ可能なやり方、解決方法というのはあるのかないのかということだと思うんです。
 そこで、私は、ロシア側の考え方を、これは私の推測ですが、こういうことが言えるんじゃないかと思うんですね。歯舞、色丹の二島はもう返さざるを得ないということは、これ認識はあると。しかし、四島返還というのは、さっき言ったように、これは敗北を意味し、ロシア国民を説得するというのは難しい。しかし、今現在ロシアは景気はいいと。しかし、いずれにしても資源に依存した経済構造ですから、構造改革をやって安定的な経済成長ができるようにする必要があると。そのためには日本の技術と資本が必要だという考えはあるだろう、シベリアの開発も日本とやる、やりたいという希望はあるだろうと思います。
 そこで、中ロの、ロシアと中国の戦略的パートナーシップはあるけれども、日ロの関係を改善して北東アジアの安定を図るというのは、ロシアの国益にとってもこれは意味があることだろう。日米同盟の一方の日本との関係を良くするということは、これもロシアにとってはプラスになるだろう。これはロシアがそう言っているわけじゃないんですが、私の考えではそうだろうと思います。
 アメリカにとっても、日ロの平和的、安定的関係というのは、アジア太平洋の平和と安定にとって、そしてこれも米国の、アメリカの利益にかなうということだろうと思うんですね。そしてまた、対中国を考えたときにアメリカが、この日ロの良好な関係というのは非常に重要な意義を持つだろうと、六者協議もプラスに働くだろう、こういう、アメリカ側に立ってみればそういうことも言えるのかなと。
 これは、こういう関係は特に反対する理由、勢力って大きくないんじゃないか。要するに、ロシア国民と日本国民を説得できる解決方法があるかどうかということだと思うんですね。そこで、領土問題は、お互いが勝利したと、ウイン・ウインだという解決方法でないとこれは絶対うまくいかないだろう。そういう意味では、二島か四島かという数字にこだわる必要があるのかどうかということなんですね。
 これは、この北方領土問題を面積でもし半分こしたらどうなるかといいますと、歯舞、色丹、国後は、日本の三島は間違いなく返ってくるんです。択捉の四分の一まで行っちゃうんですね。択捉が物すごい大きいんです。しかも、あの大半はロシア人が住んでいるんです。必ずしもその四分の一までで国境を切るかどうかは別にしても、私は自分では三・二五と呼んでいるんですが、こういう解決の仕方はあり得ないのかどうか。
 両方の国民がこれじゃ納得できないと言うのかどうか。今までの日本が主張した原則からいうと、とんでもないという話になるのかどうか。私は、必ずしも法的な解釈だけではうまくいかないんではないかということで、新しい発想で、新しいアプローチで現実的な判断と政治的な決断、そういう努力をする必要があるんではないか。
 これはこれでやれと言っているんではないんですが、こういうアイデアもあると。新しい発想がこの打開につながらないかどうか。具体的にはどこで本当に切るかというのはいろいろあると思います。しかし、三・二五というのは私はかなり現実的なアイデアとして、考えとして取れないかなと。それはいろんな考えの人がいますが、とんでもないと、四島しか絶対許さないと言う国民もいるでしょう。そうでない人もいるでしょう。しかし、二島か四島かではどっちも満足させることできないということだと思うんですが、これについて大臣の御意見をお伺いいたします。

発言情報

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発言者: 高野博師

speaker_id: 15245

日付: 2006-04-05

院: 参議院

会議名: 決算委員会