岡崎久彦の発言 (国際問題に関する調査会)

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○参考人(岡崎久彦君) アメリカがどう思っているかという御質問でございますけれども、これは、まず一般論としては大変難しいんでございます。アメリカというものはございませんで、アメリカのだれが何を言っているかという、そういう話なんですね。ただ、それからまた、表に言えないこともあるんですね。内心はこう思っているけれども、表に出すと内政干渉になるから言えないと、そういうこともあるわけでございます。
 ただ、一番のテキストになる指針は、紀元二〇〇〇年の秋のアーミテージ報告です。これはアーミテージ報告という、まあ我々呼んでおりますけれども、実際アーミテージ報告でいいんでございますけれども、アーミテージは民主党のジョーゼフ・ナイを巻き込みましてアーミテージ・ナイ報告と、要するに民主、共和両党の政策であると、ということを表に出して、それで言っておりますけれども、そこでアメリカが期待していること、これ実はアーミテージは二〇〇一年から国務副長官になるわけです。それで政権に入るわけです。ジョーゼフ・ナイはその前の、これはたしか九六年の一月だと思いますけれども、もうペンタゴンを辞めておりまして、ハーバードに帰っている。お互いに個人の資格ですから、個人の資格だから何を言ってもいいと。そういうことでもって、これをもし公式の場で言ったらば内政干渉とか何か言われるおそれがある。だけれども、それを自由自在に言ったというのがアーミテージ報告なんです。
 で、アーミテージ報告は、これはもう先ほど私が申し上げましたことと同じことなんで、いろんなことを言っておりますけれども、とにかく日本にとってずばりこれが大事というのは二点です。一つが集団的自衛権の行使を認めろと、それからもう一つは、将来の目標として日米関係を米英関係と同じように持っていきたいと、その二つなんですね。それが、ブッシュ政権ができましてからアーミテージは要職に就いたもんですから、ですから必ずしもそれをはっきり言わなくなったと。ところが、これもまあ内部の話でございますけれども、国務省の連中に聞くと、日米関係どうすると、そういう話になったら、あれはバイブルだと、すぐあれを見て、ああ、あれにこう書いてあると、だからそれに沿った線の発言をすればいいんだと、ということで、ブッシュ政権の第一期におきましてはこれが全くアメリカの政策と言って良かったと思います。
 で、アーミテージも実は初めに、一年ぐらいは黙っておりまして、だんだんとそこに書いてることを公式の場で言うようになりました。それを言ったのが、多分二〇〇二年の暮れごろから言って、それからいろんな記者会見でも言うようになって、それから最後に、これ、テキスト持ってくれば良かったんですけれども、最後にコーリン・パウエルに、自分の長官ですね、にちょっと同じようなことを言わせております。それでまあ一応固めたつもりだったんでございましょう。
 ですから、アメリカのその本当の心の中を言えば、日本が集団的自衛権を行使してイギリスみたいになって、世界のあらゆるところでもってアメリカのパートナーとしてイギリスのようにいつも肩を並べていてほしいと、これがそうなってくれれば一番有り難いと、ということだと思います。
 ところが、アメリカという国は一つじゃございませんで、特に、まあ二種類ですけれども、一つは戦前の反ファシスト時代の人がまだまだ年寄りでは残っておりまして、やっぱり日本はかつての敵だったというように思っている人もいないことはない、これはほとんどもう影響力ございません。むしろ影響力があるのは日本の左翼の、これは日本の場合いつもそうなんですけれども、日本の左翼の影響を受けたリベラルですね。これがちょうど日本の左翼が言うようなことを言っております。日本は平和憲法を守ってればいいんだとか、また逆になって、アメリカとしてはアジアにおいてたった一つの同盟ではなしにほかの国にも目を配るべきであるとか、これ大体、それを言っている日本側の論者とアメリカの論者との関係とかいって、大体のつながりは分かるんでございますけれども、それが一種の、何といいますか、アンチテーゼとして、これはもうブッシュ政権の第一期の間はほとんどもうゼロに等しい影響力です。ですけれども、数えればニューヨーク・タイムズの社説に一度、二度出たことがあるとか、そういうようなのはございます。これにはやっぱりちょっと警戒しなきゃいけないと。
 それと、親日派が全部、政権去りましたですからね。アーミテージ、ジム・ケリー、トーケル・パターソン、マイケル・グリーン、これ全部去りまして、残りは別に反日ということはないんですけれども、例えば今度、アーミテージの後任のゼーリックという人は対中関係でもって自分の存在を示そうと、中国から信頼されているところを示して自分の存在を示そうと、そういうところのある人でありますし。
 いずれにしても、今の小泉・ブッシュ関係が続く限りはこれはもうずっと心配ない話でありますけれども、やっぱり若干今のままでいいかというと、これはむしろ同盟をいつも強化する形で持っていかないと崩れる心配はございます。そのためには、また同じことを申しますけれども、集団的自衛権でございます。

発言情報

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発言者: 岡崎久彦

speaker_id: 3639

日付: 2006-02-08

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会