国際問題に関する調査会

2006-02-08 参議院 全66発言

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会議録情報#0
平成十八年二月八日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         西田 吉宏君
    理 事         山東 昭子君
    理 事         大塚 耕平君
    理 事         佐藤 雄平君
                大仁田 厚君
                岸  信夫君
                末松 信介君
                田村耕太郎君
                伊達 忠一君
                谷川 秀善君
                中川 雅治君
                二之湯 智君
                西銘順志郎君
                水落 敏栄君
                大石 正光君
                木俣 佳丈君
                工藤堅太郎君
                郡司  彰君
                富岡由紀夫君
                広野ただし君
                前田 武志君
                浮島とも子君
                加藤 修一君
                澤  雄二君
                大門実紀史君
    ─────────────
   委員の異動
 二月七日
    辞任         補欠選任
     木俣 佳丈君     小川 勝也君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         西田 吉宏君
    理 事
                岸  信夫君
                山東 昭子君
                西銘順志郎君
                大塚 耕平君
                佐藤 雄平君
                澤  雄二君
    委 員
                大仁田 厚君
                末松 信介君
                田村耕太郎君
                伊達 忠一君
                谷川 秀善君
                中川 雅治君
                二之湯 智君
                水落 敏栄君
                小川 勝也君
                大石 正光君
                工藤堅太郎君
                郡司  彰君
                富岡由紀夫君
                広野ただし君
                前田 武志君
                浮島とも子君
                加藤 修一君
                大門実紀史君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        三田 廣行君
   参考人
       大阪大学大学院
       法学研究科教授  坂元 一哉君
       NPO法人岡崎
       研究所理事長・
       所長       岡崎 久彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○国際問題に関する調査
 (海外派遣議員の報告)
 (「多極化時代における新たな日本外交」のう
 ち、日本の対米外交(今後の日米同盟の在り方
 )について)
    ─────────────
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西
西田吉宏#1
○会長(西田吉宏君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告を申し上げます。
 昨日までに、加納時男君、松田岩夫君、野上浩太郎君及び木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として西銘順志郎君、伊達忠一君、谷川秀善君及び小川勝也君が選任をされました。
    ─────────────
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西
西田吉宏#2
○会長(西田吉宏君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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西
西田吉宏#3
○会長(西田吉宏君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に岸信夫君、西銘順志郎君及び澤雄二君を指名をいたします。
    ─────────────
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西
西田吉宏#4
○会長(西田吉宏君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 国際問題に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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西
西田吉宏#5
○会長(西田吉宏君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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西
西田吉宏#6
○会長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
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西
西田吉宏#7
○会長(西田吉宏君) 国際問題に関する調査を議題といたします。
 まず、先般、当調査会の委員を中心とする議員団が海外に派遣をされましたので、この際、派遣議員団の団長を務めました私から報告をいたします。
 昨年十二月十日から十六日までの七日間、EUの統合と拡大等に関する実情調査並びにチェコ共和国及びベルギー王国の政治経済事情等視察のため、市川一朗君、南野知惠子君、直嶋正行君、前田武志君、澤雄二君、そして私、西田吉宏の六名が参議院から派遣をされました。
 我が国は、米国、EUに次ぐ極となり得る東アジアを念頭に共同体構築に向けた検討や議論を重ねてきております。このような観点から、二度の世界大戦を通じて欧州各国が戦い、対立している状況に終止符を打つべく、共同体の創設を目指し、半世紀を掛けて現在のEUをつくり上げてきた経験と様々な課題や変化を調査することは、本調査会等における東アジア共同体構想に関する議論の一助となり、さらに我が国の東アジアにおける外交を展開していく上で参考になり得るものと考えます。
 このような視点から、EUの執行機関である欧州委員会本部並びにEUの原加盟国であるベルギー及び新規加盟国で著しい発展を遂げているチェコを訪問し、EUの現状と課題等について積極的な意見交換を行ってまいりました。
 現行EUを創設しようとした一義的目的は、欧州各国の平和と安定と自由であり、特に国民にとってこれらは重要であって、その観点から、EUは周辺国とも安定と友好の関係を維持していこうとしているとの説明がなされました。また、EU域内人口は四億五千万人に達しているが、これらの人々の歴史、文化、言語、宗教等は異なっているが、うまく融合している、世界には様々な経済圏、文化圏があり、種々の対立やテロの問題も出ているが、民主国家を標榜するEUの融合は一つのモデルになるのではないかとの意見が共通の価値観を有しているあかしとして印象に残りました。
 現在、二十五か国に統合、拡大をしたEUは、世界の一極を占める米国に追い付く努力をしており、EU政策のキーワードを経済成長と雇用創出に置いておりますが、一昨年五月に新規に加盟した十か国も欧州への復帰を果たすとともに、EU加盟による経済活性化を期待している面がうかがえました。
 EUは、統合、拡大、深化、すなわち深まりを遂げる一方、欧州憲法条約の批准延期、中期財政予算をめぐる大国間同士の確執、拡大への疑問などの問題も惹起されておりますが、ベルギーの欧州担当国務大臣は、各国の国民に対してEUのアプローチを理解してもらう努力を重ね、EUは何を目指していくべきか、欧州とは何かを議論していきたい、また、EU域内の経済強化をしていく上で拡大が良い結果を生んでおり、経済発展は小国だけが利益を受けているばかりでなく、大国の国々にも利益になっている、結果として大国も小国も平等であることを忘れてはならないと説明しておられました。欧州委員会の高官もこれらの課題を乗り越える意思を表明しておりましたが、拡大にはイスラム国家であり、人口も多いトルコとの交渉が難しい問題であるとの認識も示されました。
 チェコの第一外務次官との意見交換では、政府外交レベルでは話せないテーマ、事項を議会外交、議員外交で協議できるという意味で議会レベルでの外交を歓迎したい、また、日本、チェコ両国の結び付きを深めていきたいとの考えが表明されました。特に、日本のチェコへの投資はドイツに次いで多く、日本に対する期待が大きいと感じました。これに関連しますが、チェコでは百五十八社の日系企業が進出をしており、派遣団一行も自動車の合弁会社を視察をし、我が国企業の欧州における雇用と経済発展に寄与している実情を確認できました。
 最後に、今回のEUの拡大と統合等の実情調査において、EUの課題の一つになっている少子高齢化問題がありますが、EUではチェコを含め出生率が低く、少子化、これに伴う高齢化が経済成長との関連で問題となっております。欧州委員会の経済・財務担当高官は、EU圏の総人口は減っていく傾向にあり、その結果、労働人口も高齢化していくだろう、年金の問題を考えると高齢者と女性の雇用率は高まると予測をしているとのことでありました。雇用政策面では、若年労働者の雇用創出を考えると同時に、退職年齢の延長も念頭に入れていかねばならないとのことであります。また、チェコの財務担当高官は、社会保障政策面で子供のいる世帯の女性に対する年金の優遇、義務付けられている私的年金への税の補助等の措置を実施ないしは検討しているとのことでございました。
 以上が今回の調査概要報告でありますが、EU拡大・深化について課題があっても乗り越えるという欧州委員会事務局幹部の信念がうかがえると同時に、ASEANを中心として我が国も検討している東アジア共同体との相違性も認識でき、今後の議論に参考となる示唆が多くあったと考えております。
 簡単ではありますが、これで私の報告を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
 以上でございます。
    ─────────────
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西
西田吉宏#8
○会長(西田吉宏君) 次に、本調査会の調査テーマである「多極化時代における新たな日本外交」のうち、日本の対米外交に関し、今後の日米同盟の在り方について参考人から意見をお伺いした後、質疑を行いたいと思います。
 本日は、大阪大学大学院法学研究科教授坂元一哉参考人及びNPO法人岡崎研究所理事長・所長岡崎久彦参考人に御出席をお願いをいたしております。
 なお、岡崎参考人は所用により遅れてお見えになりますので、御了承願いたいと思います。
 それでは、一言ごあいさつを申し上げます。
 坂元参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本調査会では、日本の対米外交について重点的かつ多角的な調査を進めてまいっておりますが、本日は、今後の日米同盟の在り方について参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。本日は御苦労さんです。
 なお、本日の議事の進め方でございますが、まず坂元参考人、岡崎参考人の順でお一人三十分程度で御意見をお述べをいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いたいと思いますので、御協力をお願いをいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、坂元参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。坂元参考人、よろしく。
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坂元一哉#9
○参考人(坂元一哉君) 大阪大学の坂元でございます。
 本日は、お招きくださりありがとうございます。今後の日米同盟の在り方につきまして、最近考えておりますことを少しお話しさせていただきたく思います。
 かつて、国際政治学者高坂正堯は、日本外交のあるべき姿を、アメリカとは仲良く、中国とはけんかせずという言葉で表現いたしました。教授が亡くなってから今年で十年になります。私は、教授が今存命であれば、現在の日本外交をどのように評価されるか、そのことをよく考えます。
 この正月、くしくも朝日新聞と産経新聞という、リベラルと保守の世論を代表する二つの新聞が高坂教授の別の言葉をそれぞれ引用して論説を展開いたしました。教授の言葉を思考の手掛かりにしたいと考えるのは私だけではなさそうです。
 私は、今挙げた教授の言葉をもじって申しますと、ここしばらくの日本外交は、アメリカとは更に仲良く、中国とはなるべくけんかせずと、そういう姿勢になるんだろうと考えております。以下は、アメリカとは更に仲良くという部分について、一つの提案のようなものとお考えください。
 現在の日本の安全と繁栄がアメリカ合衆国との良好な関係に基礎を置くことは改めて言うまでもありません。では、その良好な日米関係が何に基づくかと申しますと、これは両国の間で、政治、経済、文化、様々なレベルで様々なこれを支える要素がございます。しかし、その中で何より重要なものはといえば、やはり安全保障、互いが互いの安全保障に協力するという約束ほど両国を強く結び付けるものはないと思います。日米安保条約、日米同盟は、その意味で安全保障そのものの機能、すなわち東アジアの勢力バランスを日本に有利にして日本の平和と安全に貢献するという機能だけではなくて、日米両国を強く結び付けるかすがいのような機能も果たしていると考えます。
 ただ、このかすがいという機能から日米同盟を見ました場合に、この同盟には一つ弱点がございます。それは、大分変わってきたとは申しましても、依然としてこの同盟が、基地を貸して安全保障を得る、そのことを基本とするものであり、互いに互いを守るという通常の意味での同盟関係の側面が弱いことです。
 基地を貸して安全保障を得るという形、基地と安全保障の交換と言ってもよろしいでしょうが、この形の安保協力は日米それぞれに大きな利益がございます。ございますから長続きしてきたわけでありますけれども、残念ながら、ややもすると互いに感情の摩擦を生じさせやすいところがございます。
 と申しますのも、基地を貸す方は、借りる方が基地の負担と危険を十分に理解していないではないかと疑い、逆に基地を借りて軍隊を置く方は、自国の若者に命のリスクまで負わせて抑止力を提供しているのに評価されない、こういう不満を抱く、しばしばそういうことになりやすいからです。例えば、今回の米軍再編の問題、これは米軍再編と日米同盟をすり合わせる問題と言った方が正確ですけれども、この問題でもその摩擦が出てきたように思います。
 日本における基地の整理統合に関しては、抑止と負担のバランスということで進められたわけです。それは当然のことだと思います。ただ、抑止というのは目に見えにくく、負担というのは目に付きやすい。ですから、この二つのバランスと申しましても、どうしても負担をどう減らすかということがクローズアップされて、そうなりますと、今度は米軍の方が、あっ、何なんだと、おれたちはただの負担かと、こうなって面白くないということになります。
 誤解のないように繰り返しておきますが、私は抑止と負担のバランスはとても大事だと思います。ただ、同盟が基地を貸して安全保障を得るというだけに限定されたままですと、そのバランスを図る作業が双方に不満をもたらしやすいと、そう心配するわけです。お互い安全保障上の必要があるから同盟を結んでいるけれども、基地と安全保障の交換だけですと、どうも互いに心が通わない。せっかくのかすがいが、かすがいの機能を果たさなくなってしまう、むしろ摩擦の種になる、そのことをどうしたら避けられるか、それを考えるのです。
 私は、これまでずっと、日米同盟を強化するには、基地を貸して安全保障を得るという形だけではなくて、互いに互いを守るという形を強化する必要があると言ってきました。それは、冷戦が終わって国際環境が大きく変わったと、それに日本も過去半世紀の間、自衛力の育成に努め、それなりの能力を持つようになっている、そういう状況からくるところもございます。ですが、それと同時に、そもそも基地を貸して安全保障を得る、その形で同盟のきずなが強いものになるだろうか、日米両国関係のかすがいとしての機能をしっかり果たせるだろうか、そういう基本的な問題を意識するからであります。私は、互いに互いを守るという形の協力を強化すれば、抑止と負担のバランスということも今より気持ち良くお互い図ることができるのではないか、そう考えております。
 そういう観点から今度の米軍再編を見ますと、私の目には、一昨年来、世間の注目を集めております重要な論点、すなわち沖縄普天間基地を始め日本国内の米軍基地の整理統合、米陸軍第一軍団司令部の座間基地移転、弾道ミサイル防衛協力体制の整備、こういった論点ですが、それらの論点以外に特に注目すべき、少なくとも長期的には注目すべき論点があるように映ります。それは西太平洋マリアナ諸島最南端に浮かぶ米国領の島グアムが日米同盟の将来に果たす役割です。
 グアムは、皆様御存じのように、日本から飛行機で三時間ほどで行ける常夏の島で、毎年多くの、何十万もの日本人が観光に出掛けておりますが、実はこの島は、米国が米軍再編において、日本、イギリス、そしてインド洋のディエゴガルシアと並んで世界大の米軍即応展開を支える戦略展開拠点の一つと位置付ける島でもあります。
 ラムズフェルド国防長官は、いったん米軍展開の必要性が生ずれば、世界のどこへも所要の戦力を十日以内に展開し、敵を三十日以内に撃破し、その後三十日以内に次の場所での戦闘が可能になるようにする、そういう体制をつくることを理想として米軍再編を推し進めています。その米軍の迅速な展開能力を支える前進指揮司令所あるいは兵たん補給拠点の一つに挙げられるのがグアムでして、グアムにあります広大なアンダーセン空軍基地、原子力潜水艦の基地であり、空母も接岸できるアプラ軍港などの施設が今後これまで以上の戦略的意味を持つようになると思われます。
 ちなみに、レジュメに書きましたように、米軍再編につきましては、軍事評論家江畑謙介さんの「米軍再編」という御本を参考にしてお話をしております。
 昨年十月に日米両政府がまとめました米軍再編と日米同盟に関する中間報告では、そのグアムの日米同盟における役割が明らかになっております。まず、沖縄駐留の第三海兵機動展開部隊司令部がグアムに移転します。これにより、沖縄からは七千名の海兵隊隊員及びその家族が県外に移転することになります。これはアメリカ政府が沖縄の基地負担軽減策の目玉として示した提案です。沖縄県も歓迎していると聞いています。
 この中間報告ではまたグアムにおける日米共同訓練の強化がうたわれています。これはアメリカがグアムの訓練施設を拡張するのに合わせた措置だと言います。
 これのどこが注目に値するかと申しますと、前者につきましては、一つにはこの島への司令部移転につきまして日本側から資金的援助の約束をしております。で、これをどういう建前で資金を出すのかと、それはこれから政治的に一つの争点になるのではないでしょうか。しかし、そのことより私が注目しますのは、この移転した海兵隊のその後の使い方について、日本は何ができるだろうかということです。
 抑止と負担のバランスと言いますが、グアムに海兵隊司令部が移転して基地負担が減った分、抑止力維持のための日米間の仕事の分担はどう変化するのだろうかという問いでございます。私は、米国側にはこの移転した海兵隊が日米同盟の目的に即して移動をする場合には、日本側から輸送、整備、補給などの後方支援協力を得られるとの期待があると思います。今すぐにということではなくても、将来的にそういうことができるようになるならば、これは日米が互いに互いを守るという形の協力を増やすことになると思います。
 後者、すなわちグアムにおける日米共同訓練の強化は、自衛隊と米軍の相互運用性、能力、即応性の向上に貢献します。既に陸上自衛隊と航空自衛隊が共同訓練を行い、成果を上げていますが、特に航空自衛隊は、広い訓練空域を使って、日本ではやりにくい電子戦の訓練ができますし、電子戦の訓練ができますし、米軍との真剣な訓練で戦技の向上にも役立つそうです。昨年初めて実弾を使った空対地射爆訓練を行ったとも聞いております。こうした訓練は、自衛隊と米軍が協力して日米同盟の有事対応能力を高め、東アジアの軍事バランスを日米両国に有利なまま維持するのに大いに役立ちます。
 今、経済だけでなく軍事的にも台頭しつつある中国は、このグアムの戦略的価値をよく知っております。台湾海峡有事を考慮して、台湾の東方からグアム方面への海域調査にも余念がありません。一昨年の中国潜水艦による日本領海侵犯事件は、グアム周辺への偵察から帰還する途中で起きた事件だと言われています。
 そのことにも関連いたしますが、防衛大学校の太田文雄氏は、推測と断りながらも、中国が東京都の沖ノ鳥島をあくまで岩だと主張して日本の排他的経済水域を認めないのは、この島がグアムと台湾のちょうど中間点にあると、その戦略的価値を考慮してのことではないかと興味深い指摘を行っておられます。将来、中国の潜水艦隊が更に増強されていくということになれば、グアムと台湾に近い沖縄、グアムと沖縄の間のシーレーン防衛が日米同盟の重要な関心事にならざるを得ないと考えます。
 報道によれば先週、米国防総省は、安全保障政策の指針となる四年ごとの国防戦略見直し、QDRを公表しました。この中で、台頭する中国については、これを米国と軍事的に競い合える最も大きな潜在力を持つ国と指摘し、将来的にライバルになる可能性があるとの警戒感を鮮明にしています。その上で、太平洋には、空母を五隻から六隻に増強、七十隻保有する潜水艦の六割も太平洋に向けるなど、大西洋からの戦力シフトを打ち出しています。これは注意すべき動きだと思います。
 私は、日米同盟の強化、発展を望んでいます。ただ、同盟の強化、発展と申しますと、大概は、まず米国側に強化、発展の構想が生まれて、次に米国のイニシアチブで提案ないし要求があり、そしてその後、日本はそれにどう対応するかを考える、時にはその考えることで国内が大もめになると、そういう話になりがちです。私は、たまにはこちらから積極的にアイデアを出せないものかと思います。
 例えば、このグアムに関してはどうでしょう。そのことを考えますと、半世紀前の歴史的エピソードが思い出されます。一九五五年、時の外相重光葵は、吉田茂が締結した安保条約、つまり旧安保条約ですが、その改定を目指して私案、私の案という形ですけれども、米国政府に対し、西太平洋を条約区域とする相互防衛条約を提案しています。訪米した重光は、安保条約には米国の日本防衛義務が明示されていない、旧安保条約はそういうものでございましたが、明示されていないなど不平等なところがあると訴えて、ダレス国務長官に条約改定を迫りました。しかし、ダレス長官は、重光外相の話を聞いた後一言、グアムが攻撃されたら日本はグアムを守りに来ることができるのかと反論したのです。西太平洋の相互防衛と言うのなら、当然、日本は西太平洋の米国領グアムが攻撃されたら助けに来てくれるのでしょうねという反論です。ダレスは、日本は憲法上も実力上もグアム防衛には貢献できないと決め付けていたのです。重光は、もしグアムが攻撃されたら日米で対応を協議すると食い下がったのですが、ダレスは、これは協議の問題ではなくて相互防衛の問題であると、つまり互いに互いを守ることが問題なんだとして、重光の提案を拒絶しました。
 旧安保条約は、その五年後に岸信介首相の下で改定されました。しかし、新しい条約は、わずかに、日本国の施政の下にある領域、つまり日本、沖縄返還まではこの日本に沖縄は含んでおりませんが、日本において日米いずれか一方が武力攻撃を受けたら日米は共通の危険に対処する、その意味でのみ相互防衛を約束するものでした。つまり、日本と在日米軍を日米が共同で守るということを約束するだけで、あとは基地を貸して安全保障を得る旧条約の基本を変えるものではありませんでした。しかも、この新条約でうたった日本と在日米軍を日米が共同で守るという約束でさえ、その共同防衛にちゃんとした実質が伴うのは大分後年になってからのことです。
 冷戦中は、ソ連との全面戦争が前提でしたから、対ソ封じ込めの重要な基地である日本を守ることは米国の安全にも死活的な利益になりました。ですから、日本とアメリカが共同で日本を守る、それだけでも双方に大きな意味がありました。しかし、冷戦後はそうはいきません。地域紛争やテロとの戦いで相互性を求めようとするならば、日本国の施政の下にある領域を超えた場所での防衛協力が必要になります。
 一九九七年、日米両国は新しい日米防衛協力のための指針、ガイドラインを制定しました。この中で、日本周辺で有事が発生したときには、公海上、これは戦闘が行われている区域とは一線を画するという条件付ですが、公海上で米軍に対して後方支援、後方地域支援を行うことができることになりました。二〇〇一年のテロ特措法では、インド洋での洋上補給協力、二〇〇三年のイラク特措法ではサマワでの人道復興支援を行い、現在も続けているわけです。
 様々な評価がございますが、これらは皆、冷戦後に自衛隊と米軍の安保協力の幅を広げて、日米同盟を基地を貸して安全保障を得るというだけの関係から脱却させようとする努力の表れと見ることができます。もちろんその努力は、日本にできる範囲でできる限りの協力をするというものでありまして、例えばイギリスの協力の仕方とは違うし、ドイツの協力の仕方とも違います。しかし、現在、日米同盟関係が過去最高の状態にあると言われるその大きな理由が、こうした日本内の努力を米国政府が高く評価していることにあるのは間違いございません。
 私は、中間報告に盛り込まれたグアムの役割を見て、日米同盟に新しい地平が開けると思っています。この島が、基地負担の軽減にしろ、訓練基地としての利用にしろ、日米同盟の強化に今後大事な役割を果たしていくのは間違いないでしょう。だとすれば、あとは、基地を貸して安全保障を得るというだけの関係から脱却する、その努力の延長線上でこの島に関して日本は何ができるのかを考えることになろうかと思います。
 一つは、日米同盟といいますと、安保条約上、日本がアメリカに基地を貸すわけでありますが、私は、貸すばっかりでは面白くないところもありますので、突拍子もない話かもしれませんが、何か協定を結んでグアムに訓練目的の基地を借りたらどうだろうかと思っております。まあそれが現実には難しいとしましても、そのくらいの気持ちでグアムの基地施設を訓練に使わせてもらえばよいのではないかと考えます。そういうことなら、先ほど触れました海兵隊のグアム移転にかかわる資金援助の話も、早く出ていってほしいからお金を出すという後ろ向きの理由ではなくて、訓練施設の事実上の、言葉はあれですけれども、利用料のようなものとみなせるのではないでしょうか。
 もう一つは、日米で協力してグアムと沖縄の間の公海上のシーレーン、この安全のためのシーレーン防衛を行うことです。これは事実上、グアムの共同防衛につながります。それができれば、半世紀前、日本が日米同盟を互いに互いを守る同盟に変えようとした、その際の障害を取り除くことになります。もちろん、日本は今のところ、正面切ってグアムの防衛に協力するとは言えないでしょう。というのも、政府が、同盟の理論的基盤である集団的自衛権について、持っているが行使できないという不思議な憲法解釈を取り続けているからです。
 近年、この政府の憲法解釈への批判が高まっていて、少なくとも限定的には集団的自衛権の行使を認めるべきだという議論が強まりつつあります。実際のところ、万一、日本が武力攻撃を受けた場合における日米の共同防衛も、新ガイドラインにおける後方地域支援も、またテロ特措法に基づく洋上補給も、すべて限定的な集団的自衛権の行使として説明した方が無理がないのであります。
 それでも、この不思議な憲法解釈の変更は簡単ではなさそうです。解釈の変更ではなく、憲法改正が必要だとの意見もあります。この院の中にも様々なお考えがあるかと存じます。集団的自衛権の行使に対する慎重論の背景には、いったん集団的自衛権の行使が認められると、日本の軍事活動はどこまでも広がり、戦前の二の舞になるのではないかという不安があるようです。しかし私は、この不安は世界と日本の現実を考えれば杞憂にすぎないと思います。思いますが、それでもやはりそういう不安を国民が抱かないで済むように工夫する必要はあるでしょう。
 集団的自衛権の行使に関して、私自身は、一昨年、二〇〇四年の二月十八日、参議院の憲法調査会で参考人として陳述を行っております。詳しくはその記録をごらんいただければよいかと思いますが、私の基本的な考えは今の憲法でも集団的自衛権は行使できるというもので、その解釈に基づいて地理を限定した範囲で集団的自衛権を行使するための法律を制定する、この法律が歯止めになるわけですけれども、さらにその法律の範囲内でも武力行使そのものには慎重な政策を取ると、そういう前提で、日本の領土、領海、領空、そして公海とその上空、そこにおいて集団的自衛権の行使ができればよいと考えております。
 日米同盟は、海洋国家同士の同盟ですから、これだけでも互いに互いを守るという色彩が随分と濃くなるはずです。もちろん、沖縄とグアムの間の公海上のシーレーン共同防衛も堂々と行うことができます。実際に戦争にならないようにする抑止力が問題ですから、日本の行動を誤解されないように、堂々と行うというのは大事なことかと思います。
 さて、以上のように、私は、米国との良好な関係が大切で、日米同盟は互いに互いを守るという方向で更に強化しなければならない、そのためにグアムがこれから大事なポイントになる、集団的自衛権は限定的でもよいから行使できるようになるべきだと申し上げました。こう申し上げますと、本日私とともに意見を述べられる岡崎大使からは大体において御同意をいただけると確信しております。
 しかし、私のような考えには、日米関係は大事だけれども、余り大事にすると、これまでの対米追随を継続するだけで日本外交の自主性はいつまでも回復できないではないか、日本外交の地平は狭いままではないか、横暴なアメリカに従うしかないのは悲しいといった批判が出てくるかと思います。これらの批判は戦後ずっと存在してきた批判であります。戦後の日米関係とともに還暦を迎えた批判と言ってもよいわけです。それだけ古くから続いてきた批判ですから、それに対する優れた反批判も歴史が長いわけでございます。
 本日は一言だけ申し上げます。
 日米同盟の在り方に対するこの手の批判は、力の強い者への自然の反発に裏打ちされております。そして私は、やや皮肉な物言いですが、そういう反発の背景にある日本人の気概をむしろ頼もしく思います。それがなければ日本の将来は暗いかもしれません。反発する気概は自尊心から生じるものです。そして、国民が自尊心を失えば国家の独立は危うくなります。独立自尊の大切さはつとに福沢諭吉が説いたところでございます。私は、日米同盟が日本人の気概と自尊心をどのように取り込んで活力を増していくか、それが今後も日米同盟、日米関係の最重要の課題だと考えています。グアムの事実上の共同防衛で互いに互いを守るという要素を増やしたらどうだと、米国側に言われる前にこちらからアイデアを持ち掛けたらどうだという考えも、結局はそういう課題を意識してのことでございます。
 ただ、力の強い者への反発ということに関して付け加えますと、アメリカの力が幾ら強大だと申しましても、それにはやはり限界がございます。
 イラク戦争前に、アメリカの一極支配ということがしきりに言われました。なるほどアメリカは政治、軍事、経済その他において他を寄せ付けない力を持っております。だから世界をリードするのですが、これを見て、これからの世界はアメリカが何でも勝手に決めることになるのではないか、そういう世界になったら困るし危険だという言説がはやりました。今でもかなり根強くあるかもしれません。ですが、イラク戦争で分かったことは、アメリカは世界でだれにも負けない軍事力を持っていて、戦争になったら無敵だけれども、イラク復興の困難、中東政策全体のつまずき、そして同盟国、友好国への支援要請、これらに見られますように、何でもかんでも自分一人で自分の思うとおりにできるわけでもありません。
 アメリカは無敵ですが、決して全能ではないのです。アメリカは世界の多くの問題に関与するため、その力が分散されます。ですから、ますます同盟国、友好国の協力が必要ですし、アメリカの力すべてが他の一国の力と対峙するわけではありません。米国の力を議論するときには、そのことも忘れてはならないと思います。
 いずれにしろ、我々は、無敵だが全能ではない国と仲良くしております。そこに私は、日本外交にとっての大いなる安心とチャンスを見いだすのであります。
 御清聴ありがとうございました。
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西
西田吉宏#10
○会長(西田吉宏君) ありがとうございました。
 岡崎参考人、お越しをいただきましたので、一言ごあいさつを申し上げ、お願い申し上げたいと思う次第でございます。
 御多忙中のところ、本調査会に御出席いただきましてありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
 本日は、今後の日米同盟の在り方について忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。どうぞお座りのままでごあいさつ結構ですよ。
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岡崎久彦#11
○参考人(岡崎久彦君) のっぴきならない先約ございまして、少し遅れましたこと、おわび申し上げます。
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西
西田吉宏#12
○会長(西田吉宏君) それでは、岡崎参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。岡崎参考人、どうぞ。
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岡崎久彦#13
○参考人(岡崎久彦君) いただいております時間が三十分でございますんで、三十分、まあこれだけの方がおそろいでございますから、やっぱり一番大事なことだけ申し上げたいと思います。それは、やはり今後、日本の政策をどうするかということでございます。
 アジアで日本が孤立しているというんでございますけれども、これは構造的な孤立なんですね。日本は日米同盟だけができるように、これはもうありとあらゆる国会答弁でもってできるようになっているんです。ところが、それ以外の国とが何もできないようになっているんです。これはもうこの構造を変えない限り日本の孤立というものは避けられないですね。もうアジアだけじゃなくて、これ世界的に孤立ですけれどもね。
 要するに、世界の国というのは、どの国でも一番心配なのは国民の安全、あとは経済の繁栄ですけどね。国民の安全にとって日本という国は、これ何の役にも立たないです。これが日本の体制上そういうふうになっている。ですから、これ孤立するというのは自ら選んで孤立しているんですね。それを例をもって申し上げたいと思います。
 私は、八八年から九二年までタイの大使をしておりました。それで、八四年というのは、これ中国が南沙群島まで進出してきた初めての年でございますね。
 中国というのは非常にこれは大きな国で、ゆっくりとゆっくりと動くんでございますけれども、四九年に国をつくりまして、それからすぐ朝鮮半島と。それから、五九年になりましてやっとチベット制圧ですね。それから、主に国内建設に集中しておりまして、外国に出てきたのは、西沙群島でさえもたしか七五年か六年です。それで、南沙群島まで出てきましたのが一九八八年、これが私がタイに赴任した年でございます。
 それで、そのときに、時のタイの総理大臣はチャチャイという総理大臣です。で、日本の防衛庁長官が公式訪問をしておりました。それで、チャチャイ総理大臣が日本の防衛庁長官に言ったことは、どうも中国が南シナ海に出てきてうるさくてしようがないと、これから日本海軍とタイの海軍が南シナ海で共同演習しようじゃないかと、そうやって自衛をしておけば中国も出てこられないと。それを公式に申しました。
 これに対して、これはもうその場で私は、この問題若干知っていたものですから、知恵を付けまして、共同演習はできないけれども訓練ならいいと。そんな話してもお分かりにならないと思いますけれども、共同演習ですと集団的自衛権の行使になるんです、共同訓練ならばならないんです。そういうことになっていると。そんなことを言っても、実際やることはほとんど同じですから。そんなことを言ってもお分かりにならないと思いますけど、それが一応、国会答弁みたいな形でもって返事をしておきましたけれども。もう訓練だろうと演習だろうと、日本は絶対その話に乗れませんと。
 その時期に、もし日本の海上自衛隊を出して共同訓練をしようと、ましてそれが中国の南方進出に対して抑えになろうと、これはもう全然問題にならないです。これはもう軍国主義者というか、右翼、軍国主義者、好戦主義者と言われて、これもう全然問題にならないと。それを伝えるだけでも私は危険感じたぐらいですね。もちろん伝えました。公式の電報で伝えていますけれども、これ何の反応もないですね。これは反応しようがないです。ちょっとでも反応したら批判されますから。そういう日本は国だった。今でもそうかもしれないですね。
 それで、その後タイは、非公式ですけれども、非公式というか裏からですけれども、同じことを言ってきております。これも日本は全く何の反応もしません。で、タイは幾ら言っても日本は反応しないと、そういう状況がちょっと続いている。そうしますと、タイという国はこれは外交の天才ですから、第二次大戦でもってこっちに付いたりあっちに付いたり上手に立ち回って独立を守った、そういう外交の天才ですから、ああ、これは日本は何の役にも立たないなと、これはよく分かります。それから後は中国を許容する政策ですね、中国の政策になびく政策。それから後は大体中国の政策の言うとおりになっているというのがタイの外交でございます。特に、最近のタクシンは非常に親中国です。これは、特にタクシンがそうでありますけれども、それに至る過程でも、もうとにかく日本は何の頼りにもならないと、だんだんだんだんとそちらに流れていったというのが事実でございます。
 日本が過去二十年間ぐらいの間にもうどれだけのチャンスをミスしているかということですね、集団的自衛権行使の問題ですね。それは本当に数え切れないです。
 冷戦が一番ひどかったのは一九八〇年、八〇年代ですね。ソ連がカムラン湾を一大海軍軍事基地にしまして、そこにソ連の艦艇をどんどん送り込むと。そこに来た艦艇が、今度は日本海まで来てウラジオストクに来ると。これ、その中にはミンスクという航空母艦もあると。そういう状況がございました。
 当時もまた、中近東はもう、今もそうですけど、いつもごたごたしておりまして、七九年のシャーの革命がありまして、八〇年にはイラン・イラク戦争と、それで非常に航海の危険もあった。それで、アメリカの第七艦隊がパトロールをするんですね、マラッカ海峡からインド洋を通って。これがもう大変なつらい任務なんですね。これはもう鉄板の、甲板の上でこれ外を見ているわけですから、甲板の上は夏はもう日中四、五十度になると。それで、夜になって下に入っても冷房利きませんから、これすぐ四十度ぐらいになるんですね。船に大体冷房が入ったのは今のイージス艦が初めてですから。今のイージス艦も、あれはコンピューターを守るための冷房で、乗員のための冷房じゃありませんから。
 で、あのころはまだイージス艦がない時代。そのつらさは今度の海上自衛隊が行って初めて分かっていますよね。ところが、それを第七艦隊がやっている。それで、まあ二、三か月ごとの交代でしょうけれども、非常につらい任務をしている。そうすると、通る船、通る船が全部日本のタンカーだという。それで、一体どうして日本の海上自衛隊は一緒にパトロールしてくれないんだと。これは、水兵辺り、もう相当の上のレベルからもそういう声が非常に強かったんです。
 ただ、まあペンタゴンの一番上の人間だけはそれは分かっていますよ。日本に集団的自衛権というものがあって、行使を禁止というものがあって、そこに行けないんだということが、それが分かっている人が百人いないでしょうね。でも、百人はいます。それはペンタゴンの日本関係者ですね。これ分かったら大変なことですよ。
 つまり、これはアーミテージが時々言っていますけれども、日本海で日本の護衛艦とアメリカの駆逐艦が一緒に並んで走っていると。で、日本の護衛艦がやられそうになったらアメリカがすぐ助けに来る。アメリカの方がやられても、日本はこれ助けに行けない。そんなばかな話があるかと。これが分かっているのはペンタゴンでも百人ぐらいでしょうね。これがもしアメリカ国民全部が知ったら、それは本当に怒りますよ。こんな同盟があるかと言って。それがまあ集団的自衛権だ。しかし、水兵なんかは分かりませんからね。非常なその不満を持って勤務している。
 ところが、日本はこれできないんです。どうしてかというと、日本の海上自衛隊が、これはまあできると言ったって出しませんけれどもね、もう当時の雰囲気では。もう怖くて出しませんけれども、理論的には出せた。出しても日本の船しか守れない。アメリカの船やインドネシアの船は守っちゃいけないんです、集団的自衛権の行使になるから。
 しかも、もっと変な話は、日本の船なるものがないんです。日本の持ち船で、船長も日本人ですけれども、船籍はほとんどリベリア船かパナマ船籍なんですね。これは便宜船籍です。そうしますと、日本の海上自衛隊がパナマ船籍、リベリア船籍の船を守ることはどうかというと、これは集団的自衛権の行使に当たるんですね、法制局の解釈で。守っちゃいけないんです。
 もうそんな話って、皆さん、どうしてそういうくだらない議論をするんだとおっしゃるでしょうけれども、もうそれは今までの国会答弁の積み重ねでそうなっているんですね。そうすると、行ったって守るものがないんですね。だから、どうせ、また、守るものがあったって、その当時の雰囲気じゃ行かせないですけれどもね。
 で、もしあのときに日本が海上自衛隊を出していたらどうなったかと。そのときはもう東南アジアはもろ手を挙げて賛成です、日本が来てくれたということで。先ほどの、タイの総理大臣の発言から見ても分かるとおりです。
 それから、当時は中国さえも賛成です。中国は、八〇年代の初めというのはソ連の脅威、これがもう何より第一。日本は、日本に、あのころなら、日本が同盟できる国であったら中国とさえ同盟できたんだ。日本にGNPの二%を使えと言ったのもそのころです。それで、私は防衛庁おりましたけれども、中国のいろんな軍の代表団が日本に来たいんですね。で、日本に来ると言わないんで、メキシコへ行った帰りに寄るとか、そういう口実でもってしょっちゅう来て、来て、日本の防衛庁の幹部に会いたいと。そういう時代もあったんです。しかも、カムラン湾にソ連が大海軍持ってますから、中国自身のシーレーンが脅かされている。で、中国も大賛成です、そのときもし日本が出ていれば。
 それで、もし日本の海上自衛隊が出ておりますと、それは海上自衛隊というのは規律は正しいし、能率はいいし、それから、ほかの国の水兵というのは悪いことばっかりしますけれども、規律厳正ですからね。だから、東南アジアの国では、それはもう絶対に評判いいはずなんだ。それで、すべてをきちんとやって、しかも、それで日本の軍隊というのはもう一度東南アジアを攻めに来るような軍隊でないということは、みんなもうよく分かります。で、もし、あのときに派兵、派兵というか、パトロールしていれば、日本という国の東南アジアにおける地歩というのは確立していたはずなんだ。
 日本は、戦後半世紀、もう大変なお金と技術援助、好意、ありとあらゆるものをみんな東南アジアに注ぎ込んできた。にもかかわらず、例えばFTAなんというのは、今はやっていますけれども、初めに中国がFTAを言い出した。中国のFTAなんというのは何にも内容はないはずなんだ。それでも中国が言ったら、ああ、じゃそうしましょうと。こういう中国の言うことをやっぱり聞かざるを得ないと。それはどうしてかというと、日本は安全保障にとっては全くのゼロなんですね。日本と仲良くするということがその国の安全にとって何の意味もない、全くゼロなんだ。
 それは、もっと端的な話申し上げますと、これは実はちょっと、リストを自分でチェックしてないんですが、人から聞いた話ですけれども、今度の日本の常任理事国入りですね。あれは各国がスポンサーを付けて決議案を出すと。例えば、ドイツの常任理事国入りはフランスとベルギーなんかがちゃんとスポンサーになった。それから、インドに、インドがもちろんセイロン、スリランカですね、スリランカとかネパールなんかがそれを支持している。それから、ブラジルも周りの国が支持している。ところが、日本はアジアの国が一つも支持してないですよ。それで、近い国といえばキリバス。キリバスというのは南太平洋の島ですよね。その辺りは共同提案国になっているんだ。アジアと名の付く国が一つも入ってないんだ。
 インドネシア、タイなんというのは、日本が戦後どれだけの善意とお金をつぎ込んで、日本の金城湯池であるべきなんだ。やっぱり中国が怖いんです。その意味で日本は、これは全く孤立しているんですね。それはどうしてかというと、もうたった一つですよ。集団的自衛権というのが行使できないからだけです。
 つい、つい二、三日前も何かいろんな話をしていましたら、日本はアジアで孤立していると言ったけれども、じゃ、インドと同盟したらどうだと、そういうような話があって、そのアイデアは別に悪くはないんですけれども、同盟って何するのということですよ。何の役にも立たない国と同盟するということは、意味成さないですよね。インド洋のパトロールをインドと一緒にやれるという話ならば、それならもうすぐにでも乗れる話なんだ。ですから、民主党の前原さんがマラッカ海峡、インド洋のパトロールぐらい一緒にやったらどうだと言うのは非常な正解だと思います。
 これを今やろうとすれば、これは中国は反対でしょうね。それで、東南アジアは内心黙ってます。内心は日本に来てほしいんだ、だけど黙ってます。だけれども、これを日本がアメリカと一緒になって強行すれば、これまた反対できない、だれも反対できない。これを実施すれば、今からでも遅くないです、日本は東南アジアにおける自分の力を回復できます。過去二十年、三十年間、日本がどれだけのチャンスをミスしているか。これは全部、集団的自衛権行使の問題です。これはもう国民に対して恐るべき損害を与えているんですね。
 それで、集団的自衛権そのものの話は皆さんもよく御存じと思いますけれども、もう一度復習しますと、集団的自衛権は日本はあるんです。これはむしろ憲法上あるんですね。というのは、憲法を作って、それから後に国連加盟、日米安保条約、サンフランシスコ平和条約、これ全部結んでおりますけれども、その中にそれぞれ項目があって、日本は集団的及び個別的自衛権を有すると書いてある。しかも、憲法には条約遵守義務が書いてある。ということは、日本は集団的自衛権を持っています。
 これは、ただ私の解釈じゃなしに、これ、大体憲法の有権解釈権というのは裁判所が持っているんだ。裁判所が、いろいろ判決出しておりますけれども、憲法九条は日本固有の自衛権を否定するものでないと。固有の自衛権を否定するものでないというのが今のところ裁判所の有権解釈です。
 固有とは何かということなんですけれども、これは、英語というのは変な言葉でもって、何かよく分からないんです。英語の、日本の固有の自衛権というのは国連憲章の固有の自衛権取っているんですけれども、国連憲章は五十一条に、各国は固有の集団的及び個別的自衛権を有すると書いてある。英語はインヒアラントって、インヒアラントっていうのは、これはもう何というか、初めからあるというような意味ですね。これでは意味は成さないんですけれども。
 これは、フランス語が、国連憲章というのはフランス語の正文なんですね。フランス語の正文によりますと、これは、ドロア・ナチュレール・ドゥ・ディファンス・レジティームですか。だから、正当防衛の自然権となっておる。インヒアラントということは自然権なんですね。つまり、いろんな憲法とかありとあらゆる法律がある、その前からある権利が自然権なんです。人間が眠る権利とか、食事をしたりする権利、息を吸う権利とかですね、息を吸ったら炭酸ガスを吐く権利とかですね、これは、いかなる憲法といえどもこれは否定できないですからね、否定したって意味がないですからね。だから、そういうのは自然権ですよね。
 だから、集団的自衛権というのは自然権としてあるんですね。憲法上の文面上ある上に憲法解釈上もある。それを、これは本当にもう何とも言いようがないんですけれども、権利はあるけれども行使は許されないという判断をずっと続けてきているわけですね。
 これはもう皆さん、特に自民党の皆さんはもう私の意見に完全に御賛成だろうと思いますから今更言うこともありませんけれども、どうしてこういうむちゃくちゃなことを言っているのか本当に分からないですね。まあ、私、これは多分、東大法学部がいけないんだろうと思うんですよね。これは要するに、東大法学部というのは六法全書の勉強ばっかりしていますから、あるテキストの解釈しかできない。その前の法哲学になると、みんな何だか分からないんですね。常識の、一般庶民の常識からいえば、権利があるということは行使できるということなんですよ。権利があって行使できないといったら、ただばかだって言って、ばかだって言ってしまえばそれで済む話なんです。それを、権利があるけれども行使が、憲法上行使が許されないって、そういうことを一生懸命書いて何か形を作っているというのは、これは本当に日本の法学教育の誤りですね。
 そんなことを言ったら、世の中に取引というものは成立しないですよ。物を買って、私は物を、お金を払うと。そうすると領収書くれますよね。領収書をもらったんだからその商品よこせと言うと、相手が、確かにあなたは領収書を持っていると、だからあなたはこの物品を受け取る権利があると、だけどその権利を行使することは許されないと。これ取引成立しないですよ、人間社会の。そういう訳の分からぬことをこれだけ長い間、これちょっと本当に、それで、それがただその言葉だけの上ならいいですけれども、先ほど申し上げました日本の外交、それから日本の国民の繁栄にとってどれだけの害を及ぼしているかですね、この過去二十年間ですね。
 という意味で、これは、私はもう一言だけ一番大事なことを申し上げるといえば、集団的自衛権行使の解釈を変えるとも言わないですね、そもそも権利があって行使できないというのは解釈じゃないですから、ばかを言っているだけですから、だからもうばかなことは言わないということでもって、これはいろんなことがもう、いろんなことが解決します。そこで、それができればということで、結局、この日本の外交の展望というのが、展望というものは開けてくるわけですね。
 そこで、今後のアジアの情勢でございますけれども、これは中国の軍事力というのはやはりこれ相当な脅威です。これ、今はまだ脅威ではないとも言えるんですけれども、軍事問題というのは長期的に考えなきゃいけない。
 具体的に申しますと、東シナ海の平和はどうやって保たれているかと。それは日本の海空軍兵力が圧倒的強いんです。それで、しかも日本が専守防衛であって平和主義の姿勢を取っていると。今度、中国が政策は極めてアグレッシブです。これはもう勝手にどんどん海底のガスを掘ったり、それから艦船が自由に出没したり、これはもうあたかも中国が大海軍を背後に持っているかのごとく傍若無人にやっている。だけども、力がない。結局、力のない国が、アグレッシブな国は力を持たない、日本のように力を持っている国が平和主義、専守防衛である、これならバランスが取れるわけです。それで東シナ海というものの平和が保たれている。
 これが崩れますと、例えば力が五分五分になってくるとこれはどういうことが起こるか、ちょっと。例えば大陸棚の理論によりますと、もう中国の大陸棚というのは沖縄の近海まで延びていますから、そこまでの地下資源というものはこれ中国が勝手に何をやってもいいんだということもできるわけで、今の中国のビヘービアからいえば、力がなくてもあれだけのことをしている。まあこれは日本が力を使わないということを見越した上でのことでありますけれども、あれをやるんですから、これ力のバランスが崩れてきますとこれ相当な難しい状況になってくる。
 それで、過去、これいろんな統計がございますけれども、結局、過去、日本もアメリカも共通して言っておりますことは、過去十数年間中国の軍事費というものが毎年二けた増えていると、一年を除いて。一年といったって、たしか九%ぐらいですから、実質上そうですね、二けた成長。これ、十年間の二けた成長というのはかなり恐るべき、十数年というのはかなり恐るべきことなんです。まあ、元の大きさがどうかということがありますでしょうね。元の大きさは、これはアメリカの国防省、国防省の推定、それからロンドンの戦略研究所の推定、これもう大体一致しておりまして、公表の数字の二、三倍であろうと。日本の予算が今は大体五兆円として、七兆円ぐらいだろうと言っておりますね。それが毎年十何%ずつ増えていると。
 しかも、特に急に増え出したのが一九九七年からですね。九七年から、それまではこれ中国のインフレを差し引くと、本当に二けたになるのが九七年からです。ただ、まあインフレということが中国の物価というか武器調達の費用にどれだけ反映されているか、これはまた全然別の議論があり得るんですけれども、取りあえずはインフレというものを差し引けば、九七年から先はもう完全に二けた成長、十数%増えている。
 しかも、その九七年に陸軍を五十万人削減しているんですね。つまり、人件費を減らして、しかも全体の額を増やしている。これは近代化ですね。これは兵力を近代化する場合の常套手段です、全くの。例えば一九二五年の日本の宇垣軍縮、四個師団削減したときも、あれ一次大戦でもってヨーロッパの兵器がうんと進歩して日本が後れてしまったものですから近代化しなきゃいかぬと、そのために四個師団削減したんで、これはまあ近代化の常套手段です。ですからそれを、それを始めたのが九七年とすると、もうそろそろ十年近くなる。これは相当な力になっている、なってくるんですね。そうすると、極東のバランスというものがいつか崩れてくる。
 それからもう一つは、どうもこの膨大なお金、これ正直申しまして、それだけのお金を使っていれば東アジアのバランスを崩すことはできたはずなんです。それをまだやっていないんですね。それは一体何をやっているかというと、恐らくはこれ推測で、私の推測でございますけれども、アメリカの推測も同じでしょう、心の中では。それから、平松さんとか、そういう専門家の推測も同じでございますけれども、やっぱりICBMですね、大陸間弾道弾に相当な金を使っている。これは、要するに冷戦時代の米ソ間の恐怖の均衡、それと同じようなものを作ろうとしている。それも、それも十分想定できます。ということで、極東の軍事バランスというものがだんだん悪くなってくる。
 そこで、最後の結論に参りますけれども、例えば朝鮮半島、台湾海峡、これについての軍事バランス、これは国際的ないろんな書類がございますけれども、見ますと、日本の軍事力というのは特に近代的な非核の海空軍力に関しては世界第二位と言って差し支えないんです。アメリカの次です。イギリスより強いですから。この力が朝鮮半島、台湾海峡の軍事バランスの中でゼロに計算されているんですね。これは非常に不思議な不思議な状況なんです。
 台湾海峡なら中国の攻撃能力と台湾の防衛能力と第七艦隊の来援能力、それを足してこちらの方が強い、こちらの方が弱いと、いつになったら追い付くと、そういう議論になってくるんですね。これが、日本が集団的自衛権を行使できると決まった途端に、これは別に行使できるってことで、するとは全然限らないんですけれども、理論的に行使できると決まった途端に、日本の戦力を全部そこに計算しなきゃいかぬ。そうしますと、東アジアの戦略環境というのは一変します、もう非常に安定します。恐らく二十年、三十年単位で東アジアの戦略環境というのは安定して、非常にこれ、平和で安定した地域になります。
 それが平和で安定してない限りは、中国は、いつかは日米の間を裂けるかもしれない、あるいは日本を脅かして日本の兵力あるいは基地を使えないようにさせられるかもしれない、その期待を持って外交を行いますから、いつまでたっても問題が起きると。ところが、日米同盟の力というものは、これは一体であるということになりますと、戦略環境というのは一遍で安定します。もう二、三十年間平和で安心していいような状況になります。これまた集団的自衛権の行使の問題です。
 そこで、最後に、これ日米同盟というものは日本にとって非常に大事なものなんですけれども、だから、これはもう日米同盟さえ維持していりゃ大体、我々まあこういういい生活していますけれども、この生活を我々の子供や孫の代まで大体保証できます。これ、同盟切って保証しろったって私は全然そんな自信ありませんけれども、この同盟さえあれば今我々がやっているこういう生活、それは維持できます。これは日本としては得なんです。
 だから、アメリカにとって得かどうかという問題があるんですね。アメリカにとって得なように日米同盟をつくっていかなきゃならない。それは、これはもうアーミテージが何度も言っていることでありますけれども、日米同盟を米英同盟と同じようにする。つまり、アメリカは一応覇権国なんですけれども、アメリカ大陸にこもっていると。それで、旧大陸にはドイツとかフランスとかロシアとか中国とか、もう一筋縄でいかない国がたくさんある。これを扱うには、東に大西洋を挟んでイギリス、西に太平洋を挟んで日本と、これが極めて信頼できる同盟国ならば、これはアメリカの国際国家戦略というのは非常に楽になるんです。むしろこれが理想型になるんです。ですから、日米同盟がアメリカにとって理想型になると、そういうふうに外交を持っていけば、これ日米同盟万全です。そうしますと、我々日本国民の、これ我々全部です、これもう左翼の方も全部含めて日本人全部の安全と繁栄、これは二十年、三十年、守れると思います。
 以上でございます。
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西
西田吉宏#14
○会長(西田吉宏君) ありがとうございました。
 これより質疑を行います。
 本日は、あらかじめ質疑者を定めずに質疑応答を行いたいと存じます。
 できるだけ多くの委員の方々が質疑を行えることができますよう、委員の一回の発言時間は五分程度でお願いをいたします。
 また、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございますので、よろしくお願いします。
 なお、理事会協議の結果ではございますが、まず大会派順に各会派一人一巡するよう指名をいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、岸信夫君。
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岸信夫#15
○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。
 坂元参考人、岡崎参考人におかれましては、大変貴重な御意見を賜りまして、心より感謝申し上げる次第です。
 さて、日米同盟でありますけれども、広い意味でのこの日米の良好な関係の構築というものは、これ戦後六十年、ましても今後も我が国の外交のバックボーンであり続ける、このように考えるわけですけれども、一方、我が国の置かれているこの状況、特に東アジアにおける外交の展開というものを考えたときに、特に中国との関係を踏まえた上で日米同盟をどう考えていくか、これは常に我々も考えておかなければいけないわけです。
 日米同盟というものは、我が国にとっての目的というのは、やはり我が国を取り巻く極東、東アジアの平和と安定を確保する、それによって経済の繁栄、また地域の発展を目指していく、このためにも不可欠なものであるというふうに思うわけです。
 極東アジアにおけるこの在日米軍基地の戦略的重要性というものは、戦後の冷戦構造の中において、これは一致した認識でもあったわけです。特に、米国においてもそうでありましたし、ソ連と対立している中国においてもこの重要な役割を果たしてきたわけです。
 極東の冷戦構造というのは、ソ連が崩壊した後も中国や北朝鮮がそのままの政治体制で残っている現状においては、ヨーロッパの冷戦後とはまた違うわけでありますけれども、先ほどからもお話がございますように、そのソ連の脅威が去っても、今度はそれに代わって中国が台頭してきている。東南アジアの諸国にとっても、以前は中ソの覇権競争の中でバランスを取ってきた部分がありますけれども、今この中国に対してなかなか物を言える状況でなくなってきているようなところです。
 この件につきましては、先ほど岡崎大使の方からもお話がありましたとおり、日本のこれまでの態度にもある程度責任があったのかもしれないわけですけれども、その中国にとってのこの日米同盟、彼らの覇権の追求には大きなまた障害になっている。昨年の2プラス2で日米が台湾問題に若干触れました、共通の戦略目標ということで若干触れたことに対して中国が過剰なまでの反応を示した、このことからもこれが非常に明らかであると思います。
 今の、その一方で、アメリカの状況というものを見てみますと、ブッシュ政権、非常に親日的な関係、今非常にいい関係にあるブッシュ政権ですけれども、この政権が第二期目に入りました。今まで知日派とか親日派と言われていた人たちがまた政権から離れておるわけです。二期目がこれからだんだん終わりに近づいていくと、当然、このブッシュ政権もレームダックということも考えられますし、また、イラクの状況を今見ていますと、またこれもアメリカの国内では非常な批判にさらされている。また、民主党がその次に政権を取っていくことというのもあるわけですけれども、その場合の揺れ戻しということもあるかもしれません。日本への風向きが今後大きく変わってくるという可能性もまたここにあるわけですけれども、ここでやはり我々としては日米の揺るぎないその信頼感の醸成というのが何よりも必要なんだろうというふうに思うわけです。
 先ほどからお二人の参考人のお話を聞いておりまして、やはり今、特に議題になっています米軍の再編問題、これを我が国がまとめていくことと、その一方で、集団的自衛権、この問題を我々自ら解決していく、このことが今後の日米同盟、信頼関係の構築には、親交には大変重要な欠かせないものなんだろうというふうに思うわけです。
 ただ、再編問題は、やはり我が国、私の地元の岩国でもそうですけれども、それぞれの地域で大変な問題になっております。また、集団的自衛権、これはあるのかないのかということも含めてこれまで議論もしてきたわけでありますけれども、こういったことがアメリカサイドからどのように見ているのか、今の日本の状況、議論の状況というのをアメリカサイドではどういうふうに見ているのか、この辺りについてお尋ねをしたいと思うわけですけれども、我が国は今、自ら国を守っていくというその独立国家としての意思をきっちり示していかなければいけない時期でありますし、一方で、その地域あるいは世界に対する責任というものも果たしていかなければいけない。相互協力とかお互いの国の価値を高めていく、共同していくということもこれは求められているわけです。
 先ほどからお話がありましたとおり、この日米関係、日米同盟を進めていく、このことが地域の安定につながる一方で、アジアの、特に中国からは反発を受けている、こういう状況にあるわけですけれども、これを反対側から、アメリカから見たときにどのように映っているかということについてお二人の参考人から御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。じゃ、坂元参考人からお願いいたします。
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西
西田吉宏#16
○会長(西田吉宏君) それでは、坂元参考人。
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坂元一哉#17
○参考人(坂元一哉君) お答えします。
 今度の、先ほど挙げましたQDRでは、太平洋重視とともに、同盟国というのがアメリカの国力にとって最も重要な資源の一つと、こういうふうに確認をしたわけです。これは、考えますと、二〇〇一年、二十一世紀になってからの日米関係、まあテロ以降の日米関係でございますけれども、やはり日米同盟の強化のための日本の努力もそれはかなりのものがあったというふうに思うわけであります。
 思い出しますと、真珠湾攻撃六十周年記念のときにブッシュ大統領が、テロ特措法に従ってインド洋上でこの日米の両艦船が協力してその安全保障の協力をしているということを高く評価したこともございます。その後は、イラク戦争、これはアメリカの国内でもいろんな議論があるわけでございますけれども、そういうテロ戦争、イラク戦争、こういうところでの日本の協力について非常に高く評価しているというのが前提だと思います。その上で、今、特にアメリカが日本にああしてほしい、こうしてほしいということが直接にはまだ伝わってこないような感じがいたします。というのは、やはりアメリカ自身がいろんなほかの問題で忙しいんじゃないかなというふうに思うわけであります。
 ですから、我々は、アメリカというものが、先ほど申しましたように、力はあるけれども世界のいろんな問題に関心を持たなきゃいけないという国でありますから、このアジア太平洋においては日本にかなりのことをしてもらいたいなと思っているという前提で、我々がどういうことができるか、どういうことができないかということを言ってあげるというのがいいんじゃないかというふうに思います。ちょっとお答えになっているかどうか分かりませんけれども。
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岡崎久彦#18
○参考人(岡崎久彦君) アメリカがどう思っているかという御質問でございますけれども、これは、まず一般論としては大変難しいんでございます。アメリカというものはございませんで、アメリカのだれが何を言っているかという、そういう話なんですね。ただ、それからまた、表に言えないこともあるんですね。内心はこう思っているけれども、表に出すと内政干渉になるから言えないと、そういうこともあるわけでございます。
 ただ、一番のテキストになる指針は、紀元二〇〇〇年の秋のアーミテージ報告です。これはアーミテージ報告という、まあ我々呼んでおりますけれども、実際アーミテージ報告でいいんでございますけれども、アーミテージは民主党のジョーゼフ・ナイを巻き込みましてアーミテージ・ナイ報告と、要するに民主、共和両党の政策であると、ということを表に出して、それで言っておりますけれども、そこでアメリカが期待していること、これ実はアーミテージは二〇〇一年から国務副長官になるわけです。それで政権に入るわけです。ジョーゼフ・ナイはその前の、これはたしか九六年の一月だと思いますけれども、もうペンタゴンを辞めておりまして、ハーバードに帰っている。お互いに個人の資格ですから、個人の資格だから何を言ってもいいと。そういうことでもって、これをもし公式の場で言ったらば内政干渉とか何か言われるおそれがある。だけれども、それを自由自在に言ったというのがアーミテージ報告なんです。
 で、アーミテージ報告は、これはもう先ほど私が申し上げましたことと同じことなんで、いろんなことを言っておりますけれども、とにかく日本にとってずばりこれが大事というのは二点です。一つが集団的自衛権の行使を認めろと、それからもう一つは、将来の目標として日米関係を米英関係と同じように持っていきたいと、その二つなんですね。それが、ブッシュ政権ができましてからアーミテージは要職に就いたもんですから、ですから必ずしもそれをはっきり言わなくなったと。ところが、これもまあ内部の話でございますけれども、国務省の連中に聞くと、日米関係どうすると、そういう話になったら、あれはバイブルだと、すぐあれを見て、ああ、あれにこう書いてあると、だからそれに沿った線の発言をすればいいんだと、ということで、ブッシュ政権の第一期におきましてはこれが全くアメリカの政策と言って良かったと思います。
 で、アーミテージも実は初めに、一年ぐらいは黙っておりまして、だんだんとそこに書いてることを公式の場で言うようになりました。それを言ったのが、多分二〇〇二年の暮れごろから言って、それからいろんな記者会見でも言うようになって、それから最後に、これ、テキスト持ってくれば良かったんですけれども、最後にコーリン・パウエルに、自分の長官ですね、にちょっと同じようなことを言わせております。それでまあ一応固めたつもりだったんでございましょう。
 ですから、アメリカのその本当の心の中を言えば、日本が集団的自衛権を行使してイギリスみたいになって、世界のあらゆるところでもってアメリカのパートナーとしてイギリスのようにいつも肩を並べていてほしいと、これがそうなってくれれば一番有り難いと、ということだと思います。
 ところが、アメリカという国は一つじゃございませんで、特に、まあ二種類ですけれども、一つは戦前の反ファシスト時代の人がまだまだ年寄りでは残っておりまして、やっぱり日本はかつての敵だったというように思っている人もいないことはない、これはほとんどもう影響力ございません。むしろ影響力があるのは日本の左翼の、これは日本の場合いつもそうなんですけれども、日本の左翼の影響を受けたリベラルですね。これがちょうど日本の左翼が言うようなことを言っております。日本は平和憲法を守ってればいいんだとか、また逆になって、アメリカとしてはアジアにおいてたった一つの同盟ではなしにほかの国にも目を配るべきであるとか、これ大体、それを言っている日本側の論者とアメリカの論者との関係とかいって、大体のつながりは分かるんでございますけれども、それが一種の、何といいますか、アンチテーゼとして、これはもうブッシュ政権の第一期の間はほとんどもうゼロに等しい影響力です。ですけれども、数えればニューヨーク・タイムズの社説に一度、二度出たことがあるとか、そういうようなのはございます。これにはやっぱりちょっと警戒しなきゃいけないと。
 それと、親日派が全部、政権去りましたですからね。アーミテージ、ジム・ケリー、トーケル・パターソン、マイケル・グリーン、これ全部去りまして、残りは別に反日ということはないんですけれども、例えば今度、アーミテージの後任のゼーリックという人は対中関係でもって自分の存在を示そうと、中国から信頼されているところを示して自分の存在を示そうと、そういうところのある人でありますし。
 いずれにしても、今の小泉・ブッシュ関係が続く限りはこれはもうずっと心配ない話でありますけれども、やっぱり若干今のままでいいかというと、これはむしろ同盟をいつも強化する形で持っていかないと崩れる心配はございます。そのためには、また同じことを申しますけれども、集団的自衛権でございます。
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西
西田吉宏#19
○会長(西田吉宏君) それでは、佐藤雄平君。
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佐藤雄平#20
○佐藤雄平君 民主党の佐藤雄平でございます。
 ことわざに遠くの親類よりも近くの他人と、こんなことわざがあります。先ほど両参考人の貴重なそれぞれの話を聞いている中で、坂元さんの方から、日米同盟についての批判も、また反発も必要であると、そんな点から二、三お伺いをさしていただきたいと思います。
 一つは、小泉・ブッシュ京都会談ありましたですね。このとき、会談が終わってから小泉さんは、日米関係が良好であればあるほど中韓、アジア諸国との良好になれると、こんな話をしました。これはもう当然のことながら、日米安全保障条約のいわゆる同盟というふうなことを前提とした話であろうということを多分私は諸国が感じていたのではないかなと、そんな思いをします。それをずっと聞いておりますと、何かやっぱりトラの威をかりた外交みたいな感じがする。まず一つは、この発言について、東南アジアの皆さんはどのようにこれひとつ感じただろうかなと、これを両参考人にお伺いしたい。
 さらにもう一つ、これが進んでいくと、アジア諸国の皆さんは、どっちにしても日本はアメリカなんだと、同盟国なんだ、軍事同盟なんだと。だとすれば、全く場合によっては主権を実行してないんであろうと。だから、日本との関係、日本との外交、交流は、アメリカとの交流をしておけば、これは日本との関係は、まあある意味ではつながっていくであろうと、ややもすれば私はそんなことが思われるんじゃないかなと、そういうふうな危惧をしております。このまず二件について。
 さらにまた、日米安全保障条約ですけれども、これは軍事同盟であります。これは締結したときはもう当然のことながら、そこには仮想敵国があるという前提の中で締結をしたと思うんです。その当時は私はソビエトであろうと。ソビエトが崩壊した。となると、この軍事同盟、日米安全保障条約の軍事同盟の中の仮想敵国というのはどういうふうなところに置いているのか。まあこれ、仮に中華人民共和国だとすれば、中国とは友好条約を結んでいるわけですから、あえて中国から言わせれば、とんでもない話だということになってしまうと。そういうふうな意味合いでのいわゆる安全保障条約の仮想敵国条項をどういうふうに両参考人は理解しておられるか、この件についてお伺いしたいと思います。
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坂元一哉#21
○参考人(坂元一哉君) 小泉首相が仲良くすればするほどとおっしゃったのは、これが外交の基礎だというお話以上のものではないと私は思っておりますが、一つ、トラの威をかりた外交、トラの威をかるキツネということでしょうが、私はトラになるよりはキツネの方がましだというふうにいつも思っておるわけであります。日米同盟なしでということになりますと、これはやっぱり周りが日本をトラに見てしまう恐れもあるわけでございまして、賢いキツネになって、トラの威も時々はおかりして外交を進めていくということになるんではなかろうかというふうに思います。これはアジアがどう見るかどうかということでありますけれども、私はそれほど心配しておられないというふうに思うわけであります。
 それから、アジア諸国、アジア諸国と言われたときのアジアというのが一体どの範囲かということがやっぱり問題になりまして、中韓とおっしゃっていただければ、まあそれでということで分かりますし、まあ中国と、この場合はですね、韓国は米国と同盟国でありますから、間接的には日本とも安全保障関係もあるということですので、中国ということでお話しだというふうに伺って、最後のその仮想敵国、中国が仮想敵国でないでしょうねということでありますが、私は、これ意味の問題でありまして、要するにどこが仮想敵国、ソ連、確かに冷戦中はソ連を仮想敵国としてこの同盟の抑止力を強化したわけでありますが、その仮想敵国がなくても、この今の東アジアの平和と安定というものに現状維持ではなくて現状を打破しようという力が動けば、それに対してそうではありませんよという形でこれを抑え込むような、そういう抑止力というのは、これは必要になってくるというふうに思います。これは仮想敵国ということではなくて、まあ、具体的に台湾海峡の問題でも、それから具体的にこれは朝鮮半島の問題でも、これはやはりアジア全体の、東アジア全体の抑止力と、そういう何か変なことが起こらないようにするという、そういう前提を作らなきゃいけませんので、そのための同盟ということであります。
 何か敵国というと友好条約に反するんじゃないかということになるわけですけれども、まあそれは、中国の中で例えば軍事演習なんかをしたときに、どういうふうに見ておられるか分かりませんけれども、それをお互い敵国の、何かけんかをすると、そういうことではないわけであります。岡崎大使もおっしゃいましたように、中国の軍事的な増強ですね、これは民主党の代表も脅威と呼んでおるわけでありますけれども、この脅威ということにはやはり将来的に対応しなきゃいけない。だからといって、中国が敵だということを言う必要は私はないのではないかなというふうに思っております。
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岡崎久彦#22
○参考人(岡崎久彦君) 日米同盟を良くしていればアジアの問題は良くなるんだと、これは小泉さんも言われて、それから最近も、もうアメリカ大使も、シーファーですね、記者会見で同じことを言っております。これが一つの決まり文句になっておりまして、ですから、そうすると、これについての説明ぶりが要るわけなんですね。それで、この発言の出典は、それは別に私が言ったからということではございませんけれども、私も若干責任があるわけでございます。
 それで、私が本来の趣旨で申し上げましたのは、これはちょっと大ざっぱな話なんですけれども、アジアというのは非常に複雑な地域でありまして、ヨーロッパと比べて、いろんな独立変数のある多次元方程式、これは解くの大変であると。つまり、南北朝鮮がどうなるか分からないし、統一朝鮮がどうなるか分からない。中国が将来どうなるかも分からないし、中台関係がどうなるか分からない。これ全部は分かりませんから。しかし、だから、多次元方程式なんですけれども、非常に簡単なのは、この方程式の解は日米同盟というものの当たりが圧倒的に大きいんですね。軍事力の合計からいったら問題なく大きいですしね。それから、経済力からいっても、技術力、資本力、全部一番大きいですから、一番大きなものが安定していればあとの変数が若干変わっても大丈夫と、そういうことでございますね。ですから、まず日米同盟を大事にしていて、それからあと、日中関係でも何でも考えればいいのでありまして。
 それで、その場合に、失敗した場合でも損害が非常に少ないです、日米同盟を強固にしておけば。ところが、日米同盟が崩れたら、この損害は計り知れないです。ですから、まず日米同盟。理屈を付ければ、日米同盟をしっかりさして、どうやってももう日本に対して揺さぶりを掛ける意味がないと、いろんな形の揺さぶりを掛ける意味が全くないと、そうなりますと日中間の問題の種はなくなりますから。いろんな種を使って揺さぶりを掛けている。幾ら揺さぶってもこれは意味がないということになれば、これは隣ですから友好関係しかないということで、やっぱり日米関係を強化すればそれで、日米関係を強化とすることが、失敗しようと失敗しなくても、日中政策にとって答えであろうと、そういうことであります。
 ですから、私のさっきの多次元方程式論からいえば、あらゆる問題ですね、例えば将来の日中関係どうする、それから朝鮮半島問題どうする、将来の統一朝鮮対策どうすると。答えは一つなんですね。禅問答みたいなものなんです。日米関係強化と。これをまず言って、それからあとはその都度ということでございますね。また、その全体の値が全然違いますから、大きな問題と、問題の大小、軽重が全然違う問題でございますから、大の問題をまず大事にすると、小の問題はその都度その都度、そういうことでございます。
 それで、アジアの反応ですけれども、東南アジアと初めちょっとおっしゃいまして、東南アジアなら、これは日米同盟を強化すればこれはもろ手を挙げて賛成です。日米共同でマラッカ海峡からインド洋までのシーレーンを守ると。これは前原代表もおっしゃいましたけれども。これは、それを言えば今中国は反対します。で、中国の反対をおもんぱかって東南アジアは黙るか、否定的まで言いません、ですけれども、黙り込んでしまう。ところが、内心は大歓迎なんです。そうなれば、今度は中国の圧力に抵抗できますから。だから、日米同盟強化ということは、これはもう中国対策として東南アジアがもう完全に賛成でございます。中国が反対するのは当たり前なんですね、それはね。韓国はちょっと余りここで詳しく申し上げる必要はございませんけれども、今議論する価値ないと私は思っております。
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西
西田吉宏#23
○会長(西田吉宏君) それでは、澤雄二君。
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岡崎久彦#24
○参考人(岡崎久彦君) 仮想敵国は……
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西
西田吉宏#25
○会長(西田吉宏君) 失礼しました。
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岡崎久彦#26
○参考人(岡崎久彦君) 日本には仮想敵国がないんです。これは私、大変苦労しまして、私、防衛庁で三百回ぐらい答弁したんですけれども、仮想敵国が禁句で、これは言っちゃいかぬことになっているんです。いつ、どこからどういう敵が来ても必ず守れるようにと、これ全部そう書いてあるんです、防衛計画の大綱でも何でもですね。私はもう大変困りまして、国会答弁のときに仮想敵国と言ったらもう直ちにしかられるものですから、面倒だからソ連ということにしまして、もしソ連が攻めてきたらと、そう言っておりました。ですから、当時は仮想敵国はソ連でございます。当時は仮想敵国はソ連でございます、ソ連。
 ただ、同盟というのは外交の中で最も長期的かつ基本的な問題なんです。それで、日本の一番の外交の失敗は日英同盟の廃棄。これはやっぱりロシアの脅威が、帝政ロシアの脅威がなくなったからなんです。ところが、あれが結局、私の、これは私の解釈でございますけれども、やはり日本を戦争に導いた最大の、どれが一番大きいといえば、日英同盟の廃棄が最大の原因でございます。
 それは、やはり極東の島国でありまして、七つの海を支配するアングロアメリカン世界、これと付き合っていれば国民の安全、完全に守れますから、いつどんなことがあって長期的にどう変わろうと国民の安全と繁栄を守れる。それ以外のチョイスですと、それは危なくてしようがないです。という意味で、これは仮想敵国以前のジオポリティックスの問題でございます。
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西
西田吉宏#27
○会長(西田吉宏君) はい、どうぞ。
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澤雄二#28
○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。
 坂元、岡崎両参考人、今日は本当にありがとうございます。
 日米関係というのは、同時にアジアの関係でもありますし、なかんずく東アジアとの関係だと思いますので、日米と東アジアの関連についてお話をお伺いしたいというふうに思います。
 これまでのこの調査会の議論を振り返ってみますと、日米同盟は堅持する、維持する、強化をする、一方で東アジア共同体構築というのも志向しようじゃないかというのが多数意見に今なりつつあるような気がしております。しかし、そのそれぞれに懸念があるという意見も出されているところでございます。
 日米同盟は、去年の十月の2プラス2で「未来のための変革と再編」と題して、新たな同盟関係、共同声明として発表されました。トランスフォーメーションを始めとしてミサイル防衛。このミサイル防衛は、情報共有化ということでは日米の関係、物すごく進ませる、若しくは今後進ませる、進ませたと思っています。
 坂元先生がさっきちょっと引用されましたけれども、テロ特措法のときのインド洋のイージス艦派遣のときに、インフォメーションかインテリジェンスかという情報提供の中身についてすごい国会で議論されましたけれども、それは何かもう遠い昔の議論みたいで、このミサイル防衛ではとっくにそれを乗り越えています。そうでなければ、もう防衛なんかできないからであります。
 そのことは、情報の共有化だけではなくて、作戦の統合ということにも今進みつつあって、先月は離島防衛を想定した日米の共同訓練、アメリカ本土で初めて、サンディエゴでありますが、行われました。こういうふうに、この二、三年の間に日米安全保障体制というのは物すごく大きな変化をしているというふうに理解をしています。
 しかし、先ほど双方に懸念があると申しましたけれども、このように日米同盟が強化されればされるほど、その必要性を十分に認識していても、例えば国連改革のときは日米の利害、必ずしも最初は一致したとは言えません。それから、最近では気になるのは、靖国参拝でブッシュ大統領を始めとしてアメリカ側がこれに懸念を表明しました。これなんかは、まあ余り深く議論は今日はいたしませんけれども、ある意味ですごく気になるところであります。というふうに、必ずしも一〇〇%利害が一致するわけではないと。
 そうすると、いつも浮かんで消えてくる懸念は、先ほどから言われていますように、日本はアメリカのパートナーとして巻き込まれたくないことにも巻き込まれざるを得ないんじゃないか、それは避けることできないんじゃないかという疑問、経済的な側面においても何か制約されるのではないかという不安、懸念がずっとあるわけです。
 坂元先生おっしゃいましたけれども、それは歴史的に日米同盟があったときからずっとその懸念は続いていることだというふうにおっしゃいました。そうだと思うんです。そうだと思うんですが、それは国際情勢とかいろんな情勢の変化によって多分その中身も変わってきていると思います。ですから、今は今の時点での懸念、不安、心配事はあるんだろうと思います。
 一方、同時に、東アジア共同体というのを構築しようとします。この東アジア共同体というのは、ヨーロッパでEUが成功しつつありますけれども、これはフランス、ドイツ枢軸の長い歴史のある政治的意思がありましたけれども、東アジア共同体というのはそういう政治的意思があったのかというと、歴史的には余りなかったんじゃなかろうかというふうに思います。そして、共同体へ動き出したときの一つの懸念は、これも先ほどから議論されていますけれども、中国の主導によって中国中心の秩序になってしまうのではないかという懸念であります。
 こういう懸念はあるんですが、一方で全く逆のことも言えるわけですよね。日米同盟の強化というのは、先ほど言ったその中国の懸念を抑止する力もあります。一方で東アジア共同体を構築するということは、これは当然中国との関与をしていく。中国との関与をするということは、アメリカに対して今度は逆に抑止力、バーゲニングパワーを持つということ、日本の行動を限定的かもしれないけれども少し拡大できるかもしれないというようなことが、同時に相反することがあって、大事なことは、その中で日本の外交戦略をどう考えるかということであると思うんです。
 先ほど佐藤委員が小泉総理の発言を引用されました。私も同じ発言引用したいと思うんですが、日米首脳会談後の記者会見で、日米関係が良ければ良いほど中国、韓国と良好な関係を築けると。私は、ちょっとこの言葉を私なりに替えてみました。それは、日本、中国、韓国がそれぞれアメリカとの関係が良好であれば日中韓の関係も良好であるというふうに私は替えてみました。そうすると、これは東アジア共同体というのをつくったときに、やっぱりアメリカにも門戸を開くべきだということに通じるかもしれません、この価値観は。大事なことは、アメリカと日中韓の三国が相互に重要な補完関係を持っているという事実であります。
 現在、東アジアの地域協力というのは、EPA、FTAの経済統合、地域的にはASEANがハブとして急速に今発展してきています。先ほど岡崎先生言われましたように、中国の経済の成長は物すごいし、軍事力の増強も大変なものがあります。こういう状況の中で外務省が何をしているかというのを見ると、残念ながら何か対処的に次から次へと手を打っているだけで、長期的な戦略、しかも短期的な戦術もないんではないかというような気がいたします。
 お二人に、外務省に対して、我々に対して、長期的戦略、短いスパンの戦術、こういうことが一番大事だということを聞かせていただければと思います。岡崎先生は、大戦略として集団的自衛権と日米強化だとおっしゃいましたけれども、それ以外にあればお話を伺いたいなと思っております。
 以上です。
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西
西田吉宏#29
○会長(西田吉宏君) それじゃ、今度は岡崎参考人から。
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