大門実紀史の発言 (国際問題に関する調査会)
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○大門実紀史君 今までの参考人質疑踏まえて、私も東アジア共同体のこれからの方向について絞って意見を述べたいと思います。
東アジア共同体はこの調査会で二年にわたり議論がされてまいりましたけども、いろんな議論がありまして、APECだけでいいんじゃないかと、東アジア共同体そのものが必要なのかという議論から、いろいろ出ましたけども、私、必要だという立場ではおりますが、そうはいっても議論百出のテーマでございました。それが緩やかなものなのか、EU型を目指すのか、あるいは経済協力に絞るのか、安全保障も含めるのか、あるいはアメリカを入れるのか、アメリカ抜きなのか等々、いろいろ、さらに日中間の歴史認識問題も議論されて、大変混沌とした議論になっているような気がいたしますけども、余り考え過ぎちゃうと、いろんなことを考え過ぎると、といいますか、先にビジョンを考え過ぎるとこういうものは余り進まないんじゃないかというふうに私は現実的にとらえておりまして、お互い利益になることを進めていけば、なるようになるといいますか、自然に形はつくられるんではないかと思います。
そういう点では、経済面での共同体に行く前の連携というものが、実際にも進んでいるわけですが、よりどころで物を考えていけばどうかと思いますが、ただ、FTAとかEPAを幾ら重層的に結んでも、それが共同体につながるとは限りません。私は、むしろ通貨、金融面での今進み始めている協力を拡大すべきではないかというふうに思っているところでございます。
そもそも、東アジア共同体みたいな構想が出たのは、九七年のアジア通貨危機が発端でございます。あのときにASEANの国は、アメリカのファンドを含めたアメリカマネーに、ドルペックを取っていたということもありまして、やられたと、アメリカにやられたと。それがあってアメリカから相対的な自立を確保したいと。ですから、APECではなくてというところから出発したのがそもそもこの東アジア共同体の議論でございました。その後、もちろんIMFが入って、IMFプログラムに対する反発、つまりそこでもアメリカに対する反発とかがあって、東アジアの国だけでという流れが始まったわけでございます。ですから、APECでということにはそもそも議論からならないスタートだろうというふうに思っています。
で、その中で日本は特別な協力をしてきたわけです、この通貨協力面ではですね。アジア通貨基金構想が出ましたけども、これはアメリカとIMFの反対でつぶれました。九八年には新宮澤構想を打ち出して、三百億ドルの資金供与をアジア通貨危機下でやったと。二〇〇〇年にはチェンマイ・イニシアチブですね、これはいざというときの為替資金をスワップで準備すると。これにも協力、日本が大変イニシア取ってお金も出していると。あと、アジア債券市場の育成ですね、これはアジアの貯蓄をアジアの投資に使おうという構想ですが、これも日本が非常に、日本の財務省が頑張っているわけです。
こういう金融通貨協力を更に進める、これは正に共同体的な枠組みですから、これを進めることが今後の共同体の礎を固めて広げていくことになるだろうと思います。で、これは二つの日本の国にとって有効な面があると思っております。
一つは円の国際化。つまり、これからは世界の通貨というのはドルとユーロとアジア通貨に収れんしていくんではないかと言われています。恐らくその方向になると思いますが、そのアジア通貨の中で日本の円がどういう影響力を持つかと。円の国際化まで行くかどうかは別として、円の影響力をそこで高めておくというのは、これは経済的な意味の国益には間違いなく沿うわけでございます。そういう点で、この通貨金融協力、特にチェンマイ・イニシアチブとアジア債券市場の育成に日本が更に力を入れていくということは、その円の国際化、円の影響力をアジアの通貨の中で、結果的には通貨バスケットになるか何か分かりませんが、とにかく円の影響力を強めるという点では非常に国益にもつながると思います。
もう一つは、アメリカがアジア共同体を非常に嫌がっている理由は、結局、日本と中国がドルをたくさん買っておりますけども、ドルから相対的にアジアマネーが自立をしていくと、これを一番嫌がっているわけでございます。したがって、アメリカはドルを垂れ流しする、赤字を垂れ流しするというところで自国の経済を回しておりますから、ドルを買ってくれなければ、ドルから離れられると非常に困るわけです。しかし、それは一方、ドルがいつ暴落するか分からない、いつ下落するか分からないという危ないものを含んでおります。いわゆるドルリスクでございますけども、それを中国も日本も今抱えているわけです。そういうドルリスクから相対的に自立していくという点でもこのアジアの通貨協力、アジア内での、域内での通貨協力というのがドルリスク回避という点からも国益に沿うというふうに思います。
そういう点で、あれこれの議論ありますが、FTA、EPAの議論が先行しておりますけども、余り取り上げられておりませんが、通貨金融協力に力を入れることが一番現実的な共同体をつくっていく方向になるんではないかという意見だけ表明しておきます。
以上です。